中国の日系サプライヤー:新エネルギー車向けの部品・部材供給を拡充

中国全般、東北・華北・華中・華南・西南地区、台湾における動向

2019/06/04

要約

華東周辺

中国の自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます。)
拡大マップ:華南地区 / 華中地区 / 華北地区 / 西南地区 / 東北地区

  本レポートは、中国全般、東北・華北・華中・華南・西南地区、台湾における日系部品メーカーの動向である。(2018年2月から2019年4月までの約15ヵ月間を収録)
 *中国・華東地区における日系部品メーカーの動向は既報レポートをご参照ください。

  2018年の中国の自動車生産台数は2,781万台(前年比4.2%減)、販売台数(工場出荷台数)は2,808万台(同2.8%減)となり、市場成長の鈍化が見られた。主な要因としては米中貿易戦争の影響と2017年末の小型乗用車減税政策終了前の駆け込み需要の反動が挙げられる。車種別の販売台数では、SUVが999.5万台(前年比2.5%減)、セダン・ハッチバックは1,152.8万台(同2.7%減)とともに減少した。特に下半期の落ち込みが激しく、7月以降の全ての月で前年同月比を下回った。

  一方で、EV、PHVなどの新エネルギー車(NEV)の販売台数は前年比61.7%増の125.6万台と大幅に増加している。中国政府は2018年1月からNEV対象車両の車両購置税が免除される「新エネルギー車の車両購置税免除公告」を施行。その一方で排気量1.6L以下の乗用車を対象にした車両購置税率を10%に戻した。また2019年よりICE車(ガソリン車、ディーゼル車、ガス燃料車、ハイブリッド車)の生産・販売台数が年間3万台以上の企業を対象にNEVクレジット制が導入され、新たなNEVモデルの導入や体制づくりが加速している。

  広東省は香港に隣接し、改革開放路線のスタート地点であるIT先端都市の深圳を擁する。深圳にはEV最大手でDaimlerとEVの合弁事業を展開するBYDが本部を構える。また、湖南省武漢は長江の流域にあるため、古くから交通の要所で軍需産業及び重工業が盛んであり、東風汽車グループが本部を置く自動車産業の集積地でもある。華北地区にはEV販売が好調な北京汽車グループの本部や、今後MINIの生産を担う中国SUV販売台数トップの長城汽車の本部がある。日系自動車メーカーの合弁工場がある天津(一汽トヨタ)、武漢(東風ホンダ)、広州(広汽トヨタ、広汽ホンダ、東風日産)にはすでに多数の日系サプライヤーが進出しているが、NEVモデルの投入増加や、中国自動車メーカーからの受注拡大に対応し、部品メーカー各社による体制強化が進められている。

  トヨタは上海モーターショーで発表したEVのIZOA(一汽トヨタ)とC-HR(広汽トヨタ)を2020年に発売する。またNEV対応のため、2022年の稼働開始を目指し広州工場を拡充する。ホンダは2019年下期に発売予定の第2弾EVを武漢で製造する。
  日系サプライヤーによるNEV関連の動向としては、パナソニックの角形リチウムイオン電池量産開始、日本電産のE-Axle新工場、UACJのリチウムイオン電池用アルミ材料の新工場などがあり、納入先拡大に伴う動きとしては、アイシンAWのAT生産拠点新設、ジェイテクトの電動パワーステアリング(EPS)増産、KYBのEPS新工場、エイチワン、東プレ、ジーテクトなどプレス部品の生産増強などが見られる。さらに、ケーヒン、日立オートモティブシステムズ、三菱電機などが電動車向け製品の新たな生産体制を検討している。

 

中国での日系サプライヤーの動向 (*新品目投入)

新会社(工場)
設立・稼働・出資
河北省 UACJ(バンパーなどアルミニウム部品:合弁設立)
湖北省 アルプスアルパイン(バッテリーパック:生産拠点設置)
KYB(*電動パワーステアリング:合弁契約締結、生産拠点設置)
東プレ(プレス部品:新会社+新工場)
西川ゴム工業(ウェザストリップ:新会社+新工場)
広東省 アイシンAW (6速AT:新会社+新工場)
四川省 三菱ケミカル(機能性樹脂製品:新工場)
台湾 シャープ(車載カメラ、電子ミラー:新会社設立)
生産能力増強 生産ライン・設備等の増資など 全国 IHI(ターボチャージャー:生産効率改善)
伊原電子工業(プリント基板:生産増強)
エイチワン(プレス部品用金型:生産増強)
東プレ(プレス部品:設備増強)
本多通信工業(車載カメラ用コネクター:設備自動化)
リョービ(AT用ダイカスト部品:生産増強)
天津市 ジェイテクト(電動パワーステアリング:ライン増設)
日宝(樹脂成形部品:設備増強)
河北省 共和レザー(合成皮革、塩化ビニール表皮:生産増強)
湖北省 ジーテクト(プレス部品:設備増強)
丸順(バッテリーケース:ライン改修)
リケン(ピストンリング:生産増強)
広東省 アルファ(ドアハンドル部品:設備増強)
出光興産(コンパウンド製品:生産増強)
エイチワン(溶接治具:内製化)
オンキョー(スピーカーユニット:生産体制強化)
JSP(発泡ポリプロピレン:生産増強)
大日光・エンジニアリング(車載電子機器:ライン増設)
塚田理研工業(金属めっき処理:ライン増設)
長津製作所(プラスチック部品:設備増強)
台湾 JSP(リアシートコア材:設備増強)
工場増設、建屋拡張 遼寧省 日本電産(E-Axle、ブラシ付きDCモーター:新工場)
パナソニック(*車載用角形リチウムイオン電池:新工場)
天津市 トヨタ紡織(フィルター:移転・新工場)
河北省 ジーマックス(ベルチェ素子モジュール:移転・新工場)
広東省 三井化学(長繊維GFPP:新工場)
UACJ(リチウムイオン電池用アルミニウム電池箔:新工場)
開発・営業強化
(工場取得、合弁会社化、
開発・営業・試験拠点)
全国 サンデンAS(EV向けヒートポンプ:受注拡大)
JVCケンウッド(車載カメラや電子ミラーなど:受注拡大)
神明電気(車載スイッチなど:販路拡大)
大同メタル工業(EV向け部品など:テクニカルセンター開設)
タチエス(シート:開発強化)
ニッキ(CNG車用機器:営業強化)
ブルーイーネクサス(電動車用駆動モジュール:開発拠点設立)
遼寧省 アルプスアルパイン(*2出力ブレーキペダルポジションセンサー:新製品開発)
アルプスアルパイン(カーシェアリングサービス:製品開発強化)
天津市 サンデンAS(カーエアコン:環境試験棟設立)
湖北省 デンソー(デジタルメーター:開発合弁)
広東省 エフテック(足回り部品:開発強化)
京セラ(自動車部品、電子部品:オープンイノベーション開設)
ショーワ(ショックアブソーバーなど:開発要員増員)
八千代工業(燃料タンク、サンルーフ:開発強化)
台湾 西村製作所(プレス加工:市場開拓)
事業体制強化・再編
(工場取得、合弁会社化、
開発・営業・試験拠点)
全国 NOK(フレキシブルプリント基板:提携、生産拠点検討)
クラリオン(カーオーディオ:生産拠点の機能見直し)
ケーヒン(電動車向けPCU:生産拠点検討)
小糸製作所(ランプ:子会社売却、生産増強、生産拠点検討)
住友化学(PPコンパウンド:生産拠点検討)
日本特殊陶業(ノックセンサー:日本から生産移管、イノベーションセンター開設)
日立オートモティブシステムズ(電動アスクル向けモジュール部品:生産拠点検討)
堀場製作所(評価試験設備:計測事業強化)
三井化学(LIB部材や軽量素材:生産増強検討)
三菱電機(ISGなど電動向け部品:生産拠点検討)
吉林省 NTN(インホイールモーター駆動システム:技術提携)
内モンゴル自治区 JFEケミカル(EV電池の負極材:合弁検討)
湖北省 豊田合成(ウェザストリップ製品:資本参加・拠点増設)
重慶市 フタバ産業(エキゾーストマニホールドなど:子会社売却)
台湾 豊田通商(車載モーター:資本参画)
三井化学(炭素繊維調達:業務提携)
ルネサスエレクトロニクス(車載用マイコン:生産委託)

 

関連レポート:
中国・華東地区の日系サプライヤー: NEV市場の拡大に対応 (2019年5月)
2019年中国販売の見通し(汽車工業会)は2,810万台うちNEVは160万台 (2019年3月)
2018年中国市場:新車販売台数2.8%減の2,808.1万台、乗用車は前年比4.1%減 (2019年2月)

<日系サプライヤーの海外事業動向>
  中東欧 (2019年6月)
  西欧 (2019年5月)
  インド (2018年11月)
  メキシコ (2018年10月) 
  米国・カナダ (2018年9月) 
  ASEAN (2018年8月)
  中国・華南・華中・華北・東北地区 (2018年3月)
  中国・華東地区 (2018年3月)

 



東北地区:新工場設立(日本電産)、新製品導入(アルプスアルパイン、パナソニック)、技術提携(NTN)

遼寧省:新製品開発(アルプスアルパイン)、新工場設立(日本電産)、量産開始(パナソニック)

アルプスアルパイン
(旧アルプス電気)
2出力タイプのブレーキペダルポジションセンサーを生産
アルプスアルパインは2出力タイプのブレーキポジションセンサー「RD1030211」を中国市場向けに開発した。大連市の工場で2021年4月より月10万個を生産する計画。同製品は、ブレーキランプ点灯と回生ブレーキシステムの両方へ電圧出力が可能、次世代自動車のコンパクトな設計に貢献する。従来の1出力タイプではブレーキランプ点灯用との同時出力ができず、セットメーカー側の設計において不便があった。同製品はクルーズコントロール解除用途にも適用できる。
アルプスアルパイン
(旧アルパイン)
ニューソフトとの合弁会社が大連でカーシェアリングサービスを提供
アルプスアルパインと中国IT大手ニューソフトとの上海の合弁会社、東軟睿馳汽車技術(ニューソフトリーチオートモーティブテクノロジー)は大連市でカーシェアリングサービスを提供する。アルプスアルパインはシェアリングの運営に必要な部品やシステムを拡充する方針。決済や車両管理向け車載部品やセンサー、BMS(バッテリーマネジメントシステム)を開発する。(2018年10月報道)
日本電産 大連にEV向け駆動モーターの新工場を設立
日本電産は5億ドル(約550億円)を投資して、浙江省に続く中国2カ所目の生産拠点を大連に建設する。外資系企業が集積する金普新区で、統合駆動モーターシステム「E-Axle」や車載用ブラシ付DCモーターを製造する。稼働開始は2021年ごろになる見通し。(2019年4月報道)
パナソニック 大連市の車載用角形リチウムイオン電池工場で量産出荷を開始
パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズは、2018年3月から遼寧省大連市の車載用リチウムイオン蓄電池生産拠点で量産出荷を開始した。中国におけるパナソニック初の車載用角形リチウムイオン電池の生産拠点として、北米市場ならびに中国市場向けに出荷する。同工場は2016年2月に大連遼無二電器有限会社(Dalian Levear Electric Co., Ltd)と設立した合弁会社「パナソニックオートモーティブエナジー大連有限会社」が運営している。資本金は9億元(約143億円)で、従業員数は約500人。パナソニックは日米中の世界3極で車載用リチウムイオン電池の生産体制を整えたことになる。

 

吉林省:技術提携(NTN)

NTN FSAT社とインホイールモーター駆動システムに関する技術ライセンス契約を締結
NTNは空冷式のインホイールモーター駆動システム(IWM駆動システム)と車両運動制御技術(i2-Drive System)を開発し、2018年4月に吉林省の新エネルギー車(NEV)メーカー「長春富晟汽車創新技術有限公司(FSAT:Changchun Fawsn Auto Tech Co., Ltd)」とライセンス契約を締結した。FSAT社のNEVは CFRP製ボディとアルミ鋳造製シャシーを採用した軽量化技術と、NTNが開発したIWM駆動システムおよび車両運動制御技術を搭載する。2019年に量産を開始し、2023年には年間30万台生産する予定。NTNはIWM駆動システムの量産化と、NEVへのi2-Drive Systemの搭載を支援する。


華北地区:新会社設立(UACJ)、設備増強(ジェイテクト、トヨタ紡織、共和レザー、ジーマックス)

天津市:移転・増強(トヨタ紡織)、設備増強(ジェイテクト、日宝)、環境試験棟設立(サンデンAS)

サンデンAS カーエアコン用の環境試験棟を設立
サンデン・オートモーティブクライメイトシステム(サンデンAS)は天津市にカーエアコンの効きなどを調べるための総合環境試験棟を設けた。現地生産子会社「天津三電汽車空調有限公司(Tianjin Sanden Automotive Air-Conditioning Co., Ltd.)」の敷地内に建設、2018年4月に稼働。試験棟内は-20℃から40℃近くまで温度を設定でき、雨や雪などの気象条件も再現できる。中国の試験棟開設は、日本、ドイツに次ぐ3カ所目。欧州で商用車向けの取引が多く、中国でも欧米系自動車メーカーへの取引を活発化する狙い。(2018年2月報道)
ジェイテクト 電動パワーステアリングを増産
ジェイテクトは30~40億円を投じて天津工場に1ライン増設し、ラックパラレルタイプの電動パワーステアリング(RP-EPS)を生産する。従来は油圧式のパワステ採用が多かった大型SUVやピックアップトラックも電動パワステへ置き換わることが予想されるため、中国工場での生産立ち上げなどでRP-EPSの2021年の生産を2017年実績比100%増となる280万台まで増やす。(2018年2月報道)
トヨタ紡織 自動車用フィルター生産工場を移転・拡張
トヨタ紡織はエアクリーナーやキャビンエアフィルターを生産している天津豊田紡汽車部件有限公司(Tianjin Toyota Boshoku Automotive Parts Co., Ltd.)を新工場に移転し、2018年10月から生産を開始した。新工場の従業員数は約160名、土地面積は32,500平方メートル。約13億円を投じて、生産エリアを従来の1.5倍に拡張、生産能力を最大3割増強できる。現状の年間生産能力は、エアクリーナーが60万台、キャビンエアフィルターが200万台だが、受注に応じて順次能力を引き上げる。中国でのトヨタの生産拡大やPM2.5に対する高機能フィルターの需要増に対応して、生産体制を強化する。製品はトヨタやデンソーなどに供給する。
日宝 自動車向け樹脂成形部品の生産体制を構築
日宝は2019年6月までに天津で樹脂成形部品の生産体制を構築し、自動車分野を開拓する。子会社の日宝(天津)塑料有限公司(Nippo (Tianjin) Plastic Co., Ltd.)に約1,600万円かけて型締め力280トンの射出成形機1台を導入し、今後1年以内に日系サプライヤーからの受注獲得を目指す。同工場には18台の射出成形機があり、売り上げの9割が文具向け。今回の設備導入で加工能力は現行比で1割高まる見通し。ウォッシャー液貯水タンクやカーエアコン吹き出し口部品などを設計する予定。(2018年7月報道)

 

河北省:新会社設立(UACJ)、設備増強(共和レザー)、移転・増強(ジーマックス)

共和レザー 合弁工場で内装表皮材の生産能力を拡大
共和レザーは合成皮革と塩化ビニールを生産する河北省の合弁会社「共和興塑膠 (廊坊) 有限公司(Kyowa-GSK Plastics (Langfang) Co., Ltd.)」で生産能力を増強する。2019年2月に月産能力を約1.5倍の15万メートルに高める。投資額は約7億円。合成皮革は天然皮革に比べ軽く、塩化ビニールは自動車のドアやインパネなどに使用される。同工場に塩化ビニールをシート状に圧延するカレンダー加工機1台を増設、3台体制にする。(2018年8~12月報道)
ジーマックス ペルチェ素子モジュールを製造する主力工場を移転、増強
ジーマックスは河北省秦皇島市でペルチェ素子モジュールを製造する主力工場を移転し、増強する。総投資額は約8億5,000万円。同市内の土地を確保済みで、5年ほどで順次拡大し、同モジュールの生産能力を4割増の年350万個に引き上げる。新工場は3期に分け段階的に建設する。用地の面積は1万2,400平方メートル。同社のペルチェ素子は2018年に中国EVメーカーの車載制御機器の冷却用途で採用された。車載向けは今後、シートの温度調整用も狙う。(2018年9月報道)
UACJ CITIC傘下企業と自動車用アルミ部品の合弁会社を設立
UACJは中国中信集団有限公司(CITIC)傘下の中信渤海鋁業控股有限公司(CITIC BOHAI Aluminum Industries Holding Company Limited)および中信戴卡股份有限公司(CITIC Dicastal Co., Ltd.)と河北省秦皇島市に合弁会社を設立し、自動車向けアルミニウム部品を製造、販売する。資本金は1億元(約16.3億円)。出資比率は、CITIC BOHAI Aluminum 51%、CITIC Dicastal 9%、UACJ 40%。年産能力はバンパーが45万個、車載電池筐体が7万個。生産開始は2020年、量産開始は2021年を予定している。UACJは天津市で部品の母材を生産しており、新会社に母材を供給する。

 

内モンゴル自治区:新事業検討(JFEケミカル)

JFEケミカル 宝山鋼鉄の子会社とEV電池の負極材を生産する合弁事業を検討
JFEケミカルは宝武炭材料科技有限公司(Baowu Carbon Material Technology Co., Ltd.)と合弁意向書を締結した。中国ではEVの主要部材である電池材料(負極材)の大きな需要が期待できる。内モンゴル自治区の烏海市において宝武炭材が展開している炭素事業の一環として、JFEケミカルが参画することを前提にフィージビリティスタディを実施する。第1期として、宝武炭材が烏海市で生産開始するニードルコークスを原料とした負極材について、年間生産能力1万トンの設備を建設する。2020年の稼働に向けて、2019年に事業化の是非を判断する。


華中地区:新会社設立(デンソー、東プレなど)、設備増強(ジーテクト、丸順など)、事業強化(豊田合成)

湖北省:新会社設立(KYB、デンソー、東プレ、西川ゴム工業)、設備増強(ジーテクト、丸順、リケン)、事業強化(豊田合成)

アルプスアルパイン
(旧アルパイン)
武漢にバッテリーパック生産拠点を設置
アルプスアルパインと中国IT大手ニューソフトとの上海の合弁会社、東軟睿馳汽車技術(ニューソフトリーチオートモーティブテクノロジー)は武漢にバッテリーパックの生産拠点を設置する。セルは電池メーカーから調達してパック化し、BMS(バッテリーマネジメントシステム)と組み合わせて完成車メーカーに提案する見込み。(2019年1月報道)
KYB 湖北恒隆とEPS合弁会社を設立
KYBは、湖北恒隆汽車系統集団有限公司(Hubei Henglong Automotive System Group Co., Ltd.)と、電動パワーステアリング(EPS)製造に関する業務提携を行うことについて合意し、2018年4月27日に合弁契約を締結した。合弁会社の名称は湖北恒隆凱迩必汽車電動転向系統有限公司(Hubei Henglong KYB Automotive Electric Power Steering System Co., Ltd.)で、資本金は3.2億元(約55.3億円)、KYBグループの凱迩必(中国)投資有限公司が33.4%、湖北恒隆が66.6%出資する。従来、EPS生産ラインは日本国内の工場に限定されていたが、両社のリソースを活用して中国市場におけるEPS拡販、将来見込まれるエコカー市場(EV/PHV/FCV)向け製品や自動運転技術向け製品の開発などにも対応していく。
ジーテクト 武漢工場に大型プレス機を増設、納入先を多様化
ホンダ系部品メーカーのジーテクトは、湖北省武漢の生産拠点で大型プレス機を増設する。具体的な生産能力は明らかにしていないが、GMと上海汽車の合弁会社の武漢工場向けに供給を増やす計画。同社はホンダ以外の自動車メーカーへの生産能力を2022年3月までに2018年3月期比で3割高める。(2018年7月報道)
デンソー 次世代デジタルメーターの開発を強化、ソフトウェア開発会社と合弁会社を設立
デンソーは中国におけるメーター事業の競争力を強化するため、自動車メーター用のソフトウェアの設計・開発を行う「武漢光庭信息技術股份有限公司」と、合弁会社「電装光庭汽車電子有限公司(Denso Kwantang Automotive Electronics Co., Ltd.)」を2018年12月に設立する。デンソーが51%、光庭が49%ずつ出資。設立当初の従業員数は90人。新会社は湖北省武漢市に設立し、中国向け車載用コックピット表示系製品の設計・開発を行う。光庭の持つ開発リソースを生かし、現地で求められるニーズに応じたデジタルメーターの製品化を加速させる。
東プレ 武漢にプレス部品の組立工場を設置、2020年に稼働予定
東プレは武漢に自動車用プレス部品の生産・販売子会社「東普雷(武漢)汽車部件有限公司」(予定)を設立する。2019年中に着工し、2020年下期での稼働を目指す。約10億円を投じて、湖北省で生産したプレス部品を組み立てる工場を設置する。中期的には同工場でプレス部品の生産も行う。武漢は日産自動車やホンダが新工場を建設するなど、今後需要が増加する見通し。生産体制を整え、中国での事業拡大につなげる。
豊田合成 ウェザストリップ製品の湖北Rock社に出資、華中に事業拡大
豊田合成は中国における自動車部品事業を強化するため、湖北諾克橡塑密封科技有限公司 (Hubei Konx Rubber Sealing Technology Co., Ltd.、湖北Rock社)に出資する。中国統括会社「豊田合成中国」が2018年12月に湖北Rock社の親会社「湖北正奥汽車附件集団有限公司 (Hubei Zhengao Auto Accessories Co., Ltd.)」から株式の60%を約8億円で取得する。湖北Rock社は華中地区に所在し、東風汽車集団を中心に、東風本田汽車(ホンダ)や神龍汽車(PSA)などへウェザストリップ製品を提供する独立系のサプライヤー。これにより豊田合成の中国におけるウェザストリップ製品の生産拠点は、華北のTG星光、華南の仏山TGR・福裕に、華中の湖北Rock社を加えた4拠点体制となる。
西川ゴム工業 孝感市に自動車用ゴム・樹脂製品の子会社を設立、武漢市に新工場設立
西川ゴム工業は2019年2月、湖北省孝感市に、自動車用ゴム・樹脂製品の製造加工および販売を行う子会社「湖北西川密封系統 (Hubei Nishikawa Sealing Systems Co., Ltd.) 」を設立した。新会社の資本金は900万ドル (約10億円) で、西川ゴム工業が100%出資。その後、武漢市内にウェザストリップを製造する新工場を建設する。従業員数は約240名で、2019年秋に稼働する予定。中国では上海市、広州市に続く3拠点目。日本(広島)の工場の老朽化が著しいため、代替工場として開設。2020年度以降に新工場の年間売上高1億7,000万元(約30億円)を目標とする。
丸順 バッテリーケースのアルミ化を推進、武漢工場を改修
丸順は電動車の駆動用バッテリーケースのアルミ化に着手した。電動化に伴って電池関連部品を狙うプレーヤーが増え、受注競争が激しくなることを見越して、日中でアルミ対応の生産体制を整え、早期製品化を進める。現在普及している鉄製よりも比重の軽いアルミケースの研究開発を始め、連結子会社である武漢丸順汽車配件有限公司(Wuhan Marujun Co., Ltd.)の武漢工場をアルミ部品も流せるハイブリッド仕様に改造し、2019年に立ち上げる。(2018年10月報道)
リケン 武漢のピストンリング生産拠点を増強、非日系メーカーとの取引を拡大
リケンは2020年までにピストンリングの生産能力を現在の約1.2倍となる月2,400万本に引き上げる。日本での生産能力も増強しつつ、武漢理研汽車配件(武漢)有限公司 (Riken Automobile Parts (Wuhan) Co., Ltd.)では月産400万本から月産600万本に増強する。国内外の総投資額は70億円の見込み。同社はピストンリング事業で日系メーカーへの売り上げを維持しながら、非日系メーカーへの取引も拡大する方針。非日系向けの販売比率を8%から20年までに約20%に高める目標を掲げる。(2018年2月報道)


華南地区:新会社・新工場設立(アイシンAW、UACJなど)、設備増強(アルファ、出光興産、JSP、三井化学など)

広東省:新会社・新工場設立(アイシンAW、UACJなど)、設備増強(アルファ、出光興産、JSP、三井化学など)

アイシンAW 広州汽車とAT合弁会社を設立、2020年から6速ATを年産40万台規模で生産
アイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)は広州汽車、吉利汽車とそれぞれ合弁で、オートマチックトランスミッション(AT)の生産拠点を設立する。いずれも前輪駆動(FF)用6速ATを年間40万台規模で生産する計画。広州汽車との合弁会社、広汽アイシン・エィ・ダブリュ自動変速機は2018年12月に広東省広州市に設立。生産開始は2020年8月の予定。
アルファ 広州工場でドアハンドルの生産能力を6割増強
アルファは広州市にある工場でドアハンドル部品の生産能力を現状比で6割増強するため、樹脂成形機を18台導入する。2019年5月までにフル稼働させる。組立ラインも新たに7~8つ設ける。投資額は約3億円を見込む。射出成形から組立工程まで一貫生産することで生産効率を向上し、 部品の内製率も現在の60%から70%まで高める。同社のドアハンドルは日産の主力セダン「シルフィ」や小型SUV「キックス」など、中国で販売するほぼ全ての車種に採用されている。ホンダではSUV「CR-V」など、半数程度の車種に採用されている。(2018年3月報道)
出光興産 広州子会社の生産能力を増強、自動車分野のエンプラ需要に対応
出光興産は中国子会社の出光複合工程塑料(広州)有限公司(ICG: Idemitsu Compounding Plastics (Guangzhou) Co., Ltd.)におけるエンジニアリングプラスチックのコンパウンド製品の生産能力を2018年12月に年間2万トンから2万5,000トンに増強する。ICGは主に中国・アジア圏向けにポリカーボネート(PC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)のコンパウンド製品を生産し、自動車電装部品やOA機器の外装部品に使われている。出光興産のエンプラの需要は自動車分野で年率約10%伸長している。
エイチワン 溶接冶具を広州工場で生産、内製化を進めコストダウンを図る
エイチワンは同社グループの工場で使用する溶接治具の内製化に乗り出す。溶接治具はこれまで、ほぼ全量を外部から調達していた。中国の広州愛機(GH Auto Parts Industries Inc.)の工場を活用して溶接治具の本格生産を開始し、2017年に日本の亀山製作所 (三重県亀山市) で製造するホンダの新機種向けの量産部品の溶接工程に供給した。治具を自社工場で生産することで、外部から調達するよりも1~2割程度のコストダウンが見込めるという。(2018年2月報道)
エフテック 広州の開発拠点で米国系メーカー向けの開発力を強化
エフテックは2019年度にグローバルに展開する開発体制の再編に着手する。エフテックは日本・米国・中国・フィリピンの4拠点で開発を行っており、広東省広州市にある中国の開発拠点においては米国系メーカー向けの開発力を強化する予定。米国系メーカーが米国と中国の2つの市場で事業を展開している背景がある。米国オハイオ州にある開発拠点との連携を強め、効率的な製品開発につなげる。(2019年1月報道)
オンキヨー 広州合弁会社を完全子会社化、中国生産体制を最適化
オンキヨーは国光電器との合弁会社、広州安橋国光音響(GOA)を2018年3月に完全子会社化し、広州安橋音響有限公司 (Guangzhou Onkyo Acoustic Corporation)に社名変更した。広州工場は中国市場向けに車載用、TV・PC用などのスピーカーユニットを自動車メーカーに供給している。オンキヨーは上海の生産子会社である上海安橋電子 (Shanghai Onkyo Electronics Corporation) と合わせて中国国内での生産体制の最適化を進める。
京セラ 深圳市にイノベーションセンターを開設、技術交流スペースを設置
京セラの中国における販売会社の京セラ商貿が深圳市に京セライノベーションセンター(KCIC)を開設した。京セラは中国国内で自動車部品や電子部品などを展開している。それらを紹介する展示室の他に技術交流スペースを設置し、情報発信の強化とオープンイノベーションの推進を図る。具体的には現地のスタートアップ企業などに交流の場を提供することで新規ビジネスを創出していくとともに、現地企業の成長に寄与する見込み。
ケーヒン 電動車向けPCUを現地生産、新たな納入先を開拓
ケーヒンは電動車用PCU(パワーコントロールユニット)の中国現地生産に向けて、広東省東莞市で土地の取得が完了した。2022年頃からPCUを量産する予定。それに伴い次世代型の電動車向け製品の開発も強化している。これまでPCUはホンダ向けに納入してきたが、今後は新たな納入先も開拓していく見込み。
ショーワ 広州で開発要員を倍増、中国メーカーへの対応力を強化
ショーワは四輪車向け製品の開発体制を拡大し、3、4年後をめどに昭和汽車零部件研究開発(広州)有限公司(Showa (Guangzhou) Auto Parts R&D Co.,Ltd.) の技術者を現状より倍増させる予定。同社は中国市場におけるショックアブソーバーやパワーステアリングの需要増を見込み、4~5年後に中国生産拠点での生産能力を倍増する方針。開発領域においては、製品の基本設計は日本で引き続き行うものの、中国現地メーカーへの対応力強化を目的に、広州の開発拠点で現地採用による技術者増強や教育体制の充実、各種試験機器導入を加速させる。(2019年2月報道)
JSP 発泡ポリプロピレンの生産能力を増強
JSPは広東省東莞工場で製造する発泡ポリプロピレン(ピーブロック)の生産能力を増強する。中国での生産能力は年間3万トンから2018年内に3.3万トンに引き上げる。設備投資額は約4億円。ピーブロックは緩衝性や軽量性などに優れ、自動車のバンパーコア材、内装材、リアシートコア材等に採用されている。自動車の軽量化ニーズの高まりなどで拡大する需要の取り込みを図り、グローバルではピーブロックの生産能力を16万トンに増強する予定。
大日光・エンジニアリング 深圳で車載用電子機器の生産拡大
電子機器製造の大日光・エンジニアリングは車載機器の生産を拡大する。深圳工場に生産ラインを設け、江蘇省およびタイと合わせて3拠点で製造できるようにする。同社ではオフィス関連機器の売上高が落ち込む一方、USBを差し込む端子やサイドミラー部品などの車載機器は好調で成長が見込めることから、車載機器の売上比率を2021年12月期に2018年12月期の約2倍となる3割強に引き上げる。(2019年3月報道)
塚田理研工業 金属めっき処理ラインを増設
塚田理研工業は中国の100%出資子会社、江門冢田理研(Jiangmen Tsukada Riken Automotive Trim Co., Ltd.) にプラスチック基材上に金属めっき処理を行うラインを増設する。総投資額は5億円強で、2018年8月よりフル稼働時の処理能力は同工場全体で既存の約1.5倍となる見込み。中国国内で自動車の内外装樹脂部品向け装飾めっきのニーズが多く、供給体制を強化する。(2018年4月報道)
長津製作所 東莞新工場の稼働開始、自動車向けプラスチック部品を増産
長津製作所は中国で自動車向けプラスチック部品を増産し、2021年4月期までに同分野の売上高を現在の約3億円から約5億円に引き上げる。長津金安精密注塑(東莞)有限公司(Nagatsu Kan On Precision (Dongguan) Co., Ltd.)は2018年5月から稼働、成形用金型の製造に使う設備として、コンピューター利用設計・製造システム4台、マシニングセンター4台、形彫り、ワイヤ放電加工機各4台などを導入した。これにより、従来全て外注してきた金型の内製化率を約3割から3年後をめどに8割に高める。また、2018年12月に稼働を停止した深圳工場の射出成形機54台を東莞工場に移設した。東莞工場への総投資額は約4億円。従業員数は約300人で、約100人は深圳工場の従業員、東莞市周辺で新たに200人強を採用した。(2018年12月報道)
三井化学 長繊維GFPPの生産設備を増設、軽量化に伴う樹脂需要に対応
三井化学は中国の製造拠点である三井化学複合塑料(中山)にガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)の生産設備を新設し、2020年9月から営業運転を開始する予定。生産能力は3,500トン/年。長繊維GFPPの製造拠点は、日本、米国に次ぎ3番目。今回の設備新設により三井化学の長繊維GFPPの生産能力は10,500トン/年となる。環境規制の強化やEV化の進展を背景に自動車の軽量化が求められる中、バックドアなどの金属代替素材としてガラス長繊維強化樹脂の需要は増加が見込まれる。三井化学は重点分野の1つであるモビリティ事業(自動車用途)拡大を推進する。
八千代工業 中山市の拠点で開発力を強化、現地ニーズに合わせた製品展開を目指す
八千代工業は2018年度と同様、2019年度も広東省中山市の拠点で開発スタッフを中心にさらなる増員を図る。同社の中国拠点は武漢(湖北省)と中山の2カ所で、主に燃料タンクとサンルーフを生産している。同社はホンダ向けの売上高が90%以上を占める。既に吉利汽車にサンルーフを供給しているが、コスト要求の高い現地メーカーのニーズに合わせて製品開発をすることで、収益性の高いグローバルスタンダード製品の発信を目指す。(2019年4月報道)
UACJ リチウムイオン電池用アルミ材料の新工場を建設
UACJは広東省の合弁会社が新たにリチウムイオン電池用アルミニウム電池箔の工場を建設すると発表した。UACJが49%、広東東陽光科技股份有限公司(Guangdong Dongyangguang Aluminum Co., Ltd.)が51%出資する合弁会社、乳源東陽光優艾希杰精箔有限公司(Ruyuan Dongyangguang UACJ Fine Aluminum Foil Co., Ltd.)が第3工場を建設する。投資額は約50億円で、工場の延床面積は2.1万平方メートル。箔地から集電体および電池外装材用箔まで一貫した製造体制を構築し、2020年の量産開始を目指す。年産能力は約1万トン。中国と日本の電池メーカーにEV電池用アルミ材料を提供する。また、乳源東陽光優艾希杰精箔はコンデンサ箔および自動車向け熱交換器材も増産する。投資額は約20億円。既存2工場の年産能力は9万トンだが、2020年以降は3割増の12万トン(熱交材7万トン/年、コンデンサ4万トン/年など)に引き上げる。


西南地区:新工場設立(三菱ケミカル)、子会社売却(フタバ産業)

重慶市:子会社売却(フタバ産業)

フタバ産業 重慶の部品子会社を売却、グループ事業を再編
フタバ産業は2018年2月、エキゾーストマニホールドとリヤアクスルビームを製造する「重慶福達巴汽車部件有限公司(Chongqing Futaba Automotive Parts Co., Ltd.)」を天人汽車底盤 (蕪湖) 股份有限公司(Skyman Auto Chassis (Wuhu) Co., Ltd.)に売却した。フタバ産業は内外の事業環境変化などを踏まえて事業再編を行うとし、グループ経営効率の観点から重慶の子会社を譲渡し、将来にわたり成長性が期待できる分野へリソースを重点投入することで継続的成長を目指す。これにより同社は、持分譲渡損失として2018年3月期に10億円の特別損失を計上する。

 

四川省:新工場設立(三菱ケミカル)

三菱ケミカル 成都市に機能性樹脂製品の製造拠点を新設
三菱ケミカルは自動車向け部材などの製造拠点の集積が進む四川省成都市に機能性樹脂製品の製造拠点を新設する。江蘇省の蘇州市と常熟市に次ぐ3カ所目の製造拠点で、自動車内装表皮等に適したスラッシュ成形用PVCコンパウンドの生産を2019年春に開始する予定。新会社の名称は、菱化功能塑料(成都)有限公司(Linghua Functional Plastics (Chengdu) Co., Ltd.)で、従業員数は20名。


台湾:設備増強(JSP)、業務提携拡大(豊田通商、三井化学)、生産委託(ルネサスエレクトロニクス)、市場開拓(西村製作所)

JSP リアシートコア材の成型設備を増設
JSPは発泡ポリプロピレンを生産する台湾のグループ会社である台寶樹脂化工で、成型設備を増設したと発表。既存工場において自動車用リアシートコア材用の成型機と養生機を増設したほか、事務所棟と倉庫棟を新築。総投資額は5億円。台湾市場におけるリアシートコア材の成型製品の需要増加に対応する。(2018年9月報道)
豊田通商 車載モーター製造会社へ資本参画、電動車用モーター事業に参入
豊田通商は2019年3月、台湾豊田通商股份有限公司(Toyota Tsusho (Taiwan) Co., Ltd.)を通じて、車載用モーター製造事業を展開する富田電機有限公司(Fukuta Elec. & Mach. Co., Ltd.)へ資本参画したと発表した。富田電機は1988年設立、資本金は4億台湾ドル(約14.5億円)で、従業員数は300名。自社で金型形成を行い、モーター部品の加工から組み立てまでを一気通貫で行うことができ、生産が加速していくことが見込まれる。豊田通商は電動車の要であるモーターの製造および中核部品であるモーターコアの加工事業に自社で初めて参入することを決定した。豊田通商は2017年より富田電機製品の販売、営業活動を担ってきたが、今後さらに関係を強化し、将来的には協業による中国市場への進出を目指す。
西村製作所 プレス部品の精密加工で台湾市場を開拓
西村製作所は自動運転向け部品のプレス加工で、2020年度をめどに台湾の売上高を現在のほぼゼロから全体の10%にまで引き上げる。部品の精密加工によってカメラなどの小型化につながることから、ハイテク産業が集積する台湾企業からの需要を見込む。従来の海外顧客は、韓国、香港、中国が多かった。台湾での売上拡大をテコに、2020年度に海外売上高比率を30~40%に引き上げる考え。車載部品の加工では、自動車メーカーのTier1、Tier2への需要を開拓する。(2018年10月報道)
三井化学 台湾プラスチックスとの業務提携拡大、炭素繊維の安定調達
三井化学は台湾プラスチックスとの業務提携を拡大し、2019年内にも炭素繊維の調達契約を結び、樹脂と混ぜて自動車向け複合材料の量産に乗り出す。三井化学は炭素繊維を内製しておらず、安定調達先を探していた。両社はすでに中国・寧波市におけるリチウムイオン二次電池用電解液の製造で提携している。(2019年3月報道)
ルネサスエレクトロニクス マイコン製造をEMSメーカーに委託
ルネサスエレクトロニクスは28nmプロセスのフラッシュメモリ内蔵マイコン「RH850/E2xシリーズ」の製造を半導体受託生産(EMS)の台湾積体電路製造(TSMC)に全量委託する。同製品は既存の40nm製品と比べて消費電力あたりの演算処理性能が3倍に高められる。自動運転技術の進展で低消費電力と高い処理性能を備えたマイコンの需要が高まる。ルネサスは外部委託することで高価な製造装置への投資を抑え、半導体やソフトウェアの設計・開発に集中投資する。2018年3月からサンプル品の出荷を始め、開発中の新車への採用件数を増やし、2020年にTSMCで量産する。


中国全般:生産増強(エイチワン、小糸製作所、東プレ、日立AMSなど)、開発・販売体制強化(サンデンAS、大同メタル工業など)

IHI ターボチャージャーの生産効率を改善
IHIは長春市(吉林省)と蘇州市(江蘇省)の2拠点でターボチャージャーを生産しており、拠点間の距離が遠いなどの課題がある。将来的な生産効率の向上を目指すために毎年の設備投資を積極的に行っていく。各国では環境規制の強化を受けて、エコデバイスとしてのターボチャージャーの注目が高まっている背景があり、需要増加に対応する。(2019年1月報道)
伊原電子工業 2020年をめどにEV分野に参入、中国の協力工場でプリント基板を生産
井原電子工業は中国国内のEV市場が拡大することを見越し、プリント基板の生産を中国の協力工場で行う。これまで車載プリント基板についてはエンジン車向けのみを少量だけ生産していた。今後は電子部品の増えるEV向けプリント基板に注力し、売上高を5年間で5倍に引き上げる予定。中国で生産することでコスト競争力を強化する。(2019年2月報道)
エイチワン 金型生産能力を増強、中国をグローバル生産拠点に
エイチワンはインド、インドネシアの金型生産能力を増強するほか、中国をグローバル供給拠点と位置づけ、生産設備の拡張を進める。同社の金型必要数は年間3,000型以上だが、現在の金型内製能力は年間700~800型程度。2020年までに1,000型以上を生産する体制を整える。同社グループ内で使用する金型以外にも、日本国内の自動車メーカーやインド、インドネシア、中国などの現地に進出しているプレスメーカー向けなどの需要増加に対応する。(2019年1月報道)
NOK 自動車向けFPC生産拠点の設立を検討、一貫生産体制を整備
NOKは自動車向けフレキシブルプリント基板(FPC)を強化する目的で、日本メクトロンとの連携を決めた。ライトやスイッチ、バッテリーなどモジュール分野での事業拡大を狙う。中国ではFPCの母材を作る前工程、顧客仕様に合わせる後工程を一貫して行う拠点を設ける計画。自動運転や電動化に伴いFPCの需要が高まると見込んでいる。(2018年6月報道)
クラリオン 中国生産拠点の機能見直し、カーオーディオなどの現地供給に特化
クラリオンは中国の生産拠点の機能を見直す。米中貿易摩擦などの通商リスクや中国事業拡大による現地向け製品の安定供給に備え、中国市場向けの供給に特化する。中国で生産するカーオーディオなど製品の一部は米国や日本、欧州などに輸出してきたが、今回の生産戦略変更に伴い、米国向け製品は日本やメキシコの工場からの輸出、日本、欧州、東南アジア向けは現地工場を活用して対応していく方針。(2018年12月報道)
ケーヒン 電動車向けPCUの中国現地生産を発表
ケーヒンは電動車用PCU(パワーコントロールユニット)の中国現地生産に向けて、広東省東莞市に土地の取得が完了した。2022年頃からPCUを量産する予定。それに伴い次世代型の電動車向け製品の開発も強化している。これまでPCUはホンダ向けに納入してきたが、今後は新たな納入先も開拓していく見込み。
小糸製作所 福建省の子会社工場を増強、上海の合弁会社を売却
小糸製作所は福建省の子会社、福州小糸大億車灯有限公司(Fuzhou Koito Tayih Automotive Lamp Co., Ltd.)に約6億円を投じ、ヘッドランプの生産能力を年間100万台に倍増する。また、リアランプの生産能力も50万台から70万台に拡大する。小糸製作所は上海の合弁会社を売却した。福州(福建省)に加え、広州小糸車灯(広東省)、湖北小糸車灯(湖北省)の3拠点体制で中国での生産能力を現状より2割多い350万台に引き上げ、利益を確保しながら市場を開拓する。(2018年2月報道)
華北地区で自動車用照明機器の供給体制整備
小糸製作所は華北地区に物流拠点を新設するほか、中長期的には生産拠点の新設も検討する。2018年3月に北部の完成車工場に製品を供給していた合弁会社の上海小糸を合弁先の華域汽車(HUAYU Automotive Systems Company Limited)に売却したため供給網の整備が課題になっていた。上海小糸で利用していた物流拠点があった天津付近に新たな物流拠点を開設することを検討し、中国北部での受注獲得を狙う。(2018年12月報道)
サンデンAS EV向けヒートポンプを受注、NEVの需要拡大に対応
自動車用エアコンシステムを手掛けるサンデン・オートモーティブクライメントシステム(サンデンAS)は、中国でEV向けヒートポンプを受注し、供給を開始した。中国のEV向けに初めて受注したヒートポンプシステムは、上海汽車工業集団(SAIC)傘下の華域汽車系統(HUAYU)との合弁会社である華域三電汽車空調(Huayu Sanden Automotive Air Conditioning Co., Ltd.)が最終製品に組み立てる。要素技術開発は日本と中国が分担した。新エネルギー車(NEV)規制が導入されることでEVやPHVの需要拡大が見込まれることに対応し、ヒートポンプシステムの供給先を開拓して事業拡大を図る。
JVCケンウッド 中国子会社との連携強化、車載製品の受注を拡大
JVCケンウッドは、中国の子会社「シンワインターナショナルホールディングス(信昇国际控股有限公司)*」と連携を強化し、中国事業を強化する。シンワの生産拠点で車載カメラや電子ミラーなどの製品を製造し、自動車メーカーから新規受注を獲得する。(2018年2月報道)
*2018年4月に杰伟世建伍香港控股有限公司(JVCKENWOOD Hong Kong Holdings Ltd.)に社名変更
神明電機 中国で車載スイッチなどの販路拡大、開発機能も現地化
神明電機は中国の自動車メーカー向け事業を強化する。同社は車載スイッチやコネクターを製造・販売しており、商社など外部の力を活用して中国地場メーカーからの新規受注を開拓していく。また、現在は製品開発のほとんどを日本で行っているが、同社の上海工場にも開発機能を持たせ、現地での開発から生産までのリードタイム短縮や品質に関する顧客満足度向上を図る。(2018年6月報道)
住友化学 中国東部での新工場建設を検討、ポリプロピレン樹脂混錬の生産拠点を拡大
住友化学はポリプロピレン樹脂混錬(PPコンパウンド)の生産拠点拡大のため、2019年をめどに中国での新工場建設を検討している。中国で5カ所目となる工場を既存拠点のない東部エリアを候補に設置する予定。またPPコンパウンドの他に、剛性や耐熱性を高めるガラス短繊維複合材(GFPP)や弾性に富む熱可塑性エラストマー(TPE)といった機能製品も生産する予定。GFPPは欧州メーカーへの供給実績が多く、エンジン周辺部品などに使われる。TPEはエアバックカバー材やボディシール材に使われている。(2018年9月報道)
大同メタル工業 中国にテクニカルセンターを開設、現地メーカーからの受注拡大を目指す
大同メタル工業は2019年をめどに中国に新たなテクニカルセンターを開設する。日本、英国、ドイツ、チェコ、米国に続く6拠点目となる。これまで、品質評価などは試作品を日本に輸送して対応していたが、取引先の要望に瞬時に対応する体制を整える。また日米欧の自動車メーカーのみならず、中国の地元メーカーからの受注拡大も視野に入れる。NEV規制に対応するため、電極シートやアルミダイカスト部品といったEV向け部品の受注拡大にもつなげる見込み。(2018年7月報道)
タチエス 衝突試験機の導入で自動車用シートの開発体制を整備
タチエスは2008年5月に日本、2017年10月にメキシコ、2018年7月に中国に衝突試験機を導入し、グローバルで自動車用シートの開発体制を整えた。従来は海外の開発における衝突試験は日本、または外部機関に委託して実施していた。衝突試験機導入によって、輸送による開発リードタイムの増加や輸送コストの削減を図る。日本と同様の開発体制を整えて、取引実績のある日系メーカーの海外生産モデルや中国の大手メーカーなどからの受注獲得を目指す。
東プレ 仏山と襄陽のプレス部品生産設備を増強
東プレは広東省の東普雷(仏山)汽車部件、湖北省の東普雷(襄陽)汽車部件の自動車用プレス部品生産拠点を増強する。仏山の工場には2020年の稼働をめどに、約16億円を投じて熱間プレス(ホットスタンプ)の設備を増強する。また湖北省の武漢に約10億円を投資して、新たに東普雷(武漢)汽車部件を設立する。自動車用プレス部品の組立工場を建設する計画。自動車メーカーなどが集積する武漢に拠点を設け、事業を拡大する狙いがある。
ニッキ 中国地場メーカーへの営業体制強化
ニッキは2020年度を最終年度とする新3カ年中期経営計画を発表、中国やインドの営業体制を強化する。主力の天然ガス自動車(CNG車)用機器のシェア拡大を図る。営業部門は中国地場メーカーの開拓を目指し、中国の拠点拡充も検討する。
日本特殊陶業 ノックセンサーの生産を日本から中国に移管
日本特殊陶業は日本でのノックセンサーの生産を2021年3月に終了し、中国の協力工場に生産を移管する。メキシコ工場でも2020年4月の稼働に向けて新たな生産拠点を準備をしており、ノックセンサーの生産を2拠点体制とする。エンジン点火プラグなどの他製品に比べ生産が容易な同センサーで価格競争力を高めるのが狙い。(2019年1月報道)
新事業の提携先発掘・投資拠点を開設
日本特殊陶業は新事業の提携先発掘・投資拠点「イノベーションセンター」を2019年内に欧州と中国にそれぞれ設ける。いずれも年間30億円の投資枠を与え、ベンチャー企業との資本・業務提携で新事業を育てる。中国の拠点は深圳など検討、ベンチャー企業の支援役となる現地企業を選定中。得意のセラミックス技術を活かし、次世代自動車などの新事業育成を図る。(2019年1月報道)
日立AMS 中国で電動アクスル用モジュール部品の生産体制増強
日立オートモティブシステムズ(日立AMS)は2021年にもインバーターとモーターを組み合わせた電動アクスル向けモジュール部品を中国で量産する。中国で増加するEVやHVなどの電動車の需要に対応する。まずは中国の生産子会社「日立汽車系統」で生産を始め、受注に応じて生産体制の増強も検討する。(2019年4月報道)
ブルーイーネクサス 電動車用駆動モジュールの販売・R&D拠点を設立
デンソーとアイシン精機が折半出資するブルーイーネクサスは中国に販売会社と研究開発拠点を設立する方針を示した。電動車用駆動モジュールを2021年後半にも発売する予定。デンソーやアイシンの既存顧客に営業するほか、現地の新規顧客を開拓する。R&D拠点を構えることで現地の需要にも対応できるようになる。2019年4月に設立したブルーイーネクサスはEVやFCV、PHVなど多様に対応できる汎用性の高い電動車用駆動モジュールの開発や販売を手掛ける。(2019年4月報道)
堀場製作所 電動車用バッテリーや燃料電池の評価試験設備を導入
堀場製作所は電動化や自動運転の進歩に対応するため、2018年に自動車計測事業を強化するグローバルATS(オートモティブ・テスト・システム)ボードを立ち上げた。中国では2020年度までに既存の内燃機関向け試験設備と同様の電動車対応評価試験制度を新設する。電動車開発におけるバッテリーと駆動・車両系の組み合わせ評価試験をグローバルに展開する見込み。(2018年12月報道)
本多通信工業 中国で車載カメラ用コネクタの生産を強化
本多通信工業は車載カメラ用コネクターの数量増に対応するため、生産能力増強を狙い、中国の工場で自動化を進める。従来の約2割の人員で生産可能なラインを2018年4~6月期に整備。同製品は日本で部品を生産し、中国工場で組み立てている。(2018年6月報道)
三井化学 LIB部材や軽量素材の生産体制を増強、モビリティ事業の収益拡大
三井化学はリチウムイオン電池(LIB)の部材や軽量素材の生産体制を増強する。LIBセパレーター用材料の生産能力を2018年度中に15%増の8,500トンに増やす。電解液は2017年末に日本・中国合計で年産1万トン体制を整えたが、EV生産の急拡大が見込まれる中国でさらに生産能力の増強を検討する。このほか、2020年までにバックドアなどの重量を約3割削減できる強化樹脂の生産を米国、中国で立ち上げる。同社はモビリティ事業(自動車用途)の営業利益を2025年度に2017年度比約1.7倍となる700億円を目標にしている。(2018年5月報道)
三菱電機

中国でISGなど電動車向け部品の現地生産を検討
三菱電機は中国や欧州で電動車向け部品を生産する検討を始めた。現在は日本の工場で輸出分も集中生産するが、海外でHVやEVなどの需要が拡大しており、現地生産に転換して競争力を高める計画。具体的にはモーターとインバーターを組み合わせたISG (Integrated Starter-Generator)などの生産を検討する。(2018年6月報道)

武蔵精密工業 中国に研究開発拠点を開設、現地ニーズに対応する製品開発を迅速化
武蔵精密工業が中国に設置した研究開発拠点が2018年から本格的に稼働、試験設備なども順次拡充していく予定。中国事業を拡大している日系自動車メーカーや技術レベルが向上している地場資本の自動車メーカー向けに、ニーズに対応する製品の適合開発を迅速に行う。自動車メーカーが内製していた変速機ギアなどの従来技術は部品メーカーへの外注が進むと見て、納入先の要求に応える体制を構築し、事業拡大につなげる。(2018年3月報道)
リョービ 中国2工場でダイカスト部品の生産増強
リョービは自動変速機(AT)用ダイカスト部品を製造する中国の大連工場(遼寧省)と常州工場(江蘇省)の2工場の生産能力を増強する。2019年内に約80億円を投じて、中国で需要が拡大しているAT用ハウジングの生産体制を拡充する。投資額はそれぞれ40億円。AT用ハウジングのほか、車体部品やパワーコントロールユニット(PCU)向けハウジングなどの生産能力も強化。常州工場は主に日系顧客、大連工場では日系顧客と欧州顧客向けの生産設備を導入する予定。(2019年2月報道)


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キーワード
中国、日系、サプライヤー、部品メーカー、電動化、軽量化、樹脂成形、バッテリー、モーター

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