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中国の日系部品メーカー:新エネルギー車・燃費改善向けの部品・材料供給を拡充

華南・華中・華北・東北地区ならびに中国全般における動向

2018/03/29

要約

華東周辺

中国の自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます。)
拡大マップ:華南地区 / 華中地区 / 華北地区 / 西南地区 / 東北地区

  本レポートは、中国の華南・華中・華北・東北地区および中国全般での日系部品メーカーの動向である。(2017年5月から2018年1月までの約9ヵ月間を収録)
  *中国・華東地区における日系部品メーカーの動向は既報レポートをご参照ください。


  2017年の中国の自動車生産台数は2,902万台(前年比3.2%増)、販売台数(工場出荷台数)は2,888万台(同3.0%増)と共に過去最高を更新。しかし、小型車減税政策の税率引き上げの影響もあり低い伸びに留まった。このうち、EV、PHVなどの新エネルギー車(NEV)は、2017年から政府補助金の引き下げが行われたものの、販売は引き続き好調で前年比約1.5倍の77.7万台となった。


  中国政府は2017年に一連の自動車政策を発表した。1月にNEV事業への参入管理規定を公布し、参入条件を厳格化。4月に「自動車産業中長期発展計画」でNEVやコネクテッドカーなどの中長期戦略を提示。9月には乗用車企業への平均燃費規制と2019年からの一定割合のNEV生産義務付けを発表した。こうした中、中国企業を中心にEV生産ライセンス取得が続いている。外国メーカーではVWが江淮汽車、Fordが衆泰汽車とNEVの合弁生産会社を2017年に設立。その他の欧米日韓メーカーも、2018年から2020年にかけてのNEV事業参入計画を明らかにしている。また、既存車種についても、欧米日韓、中国の主要メーカーは2017年から2019年にかけて生産能力の増強を計画している。


  日系自動車部品メーカーは、こうした動きに対応するため、在来車のみならずEV、PHV向けの部品や部材の生産能力増強を進めている。燃費改善関連では、神戸製鋼のアルミパネル材やJPSのポリプロピレン材の新工場稼働、豊田合成の樹脂フューエルフィラーパイプの新規生産、GSユアサのアイドリングストップ車用鉛電池の設備増強。NEV関連では、アルパインのEV用バッテリーマネジメントシステムやパナソニックのリチウムイオン電池の量産開始、日立オートモティブ電動機システムズのNEV向けモーターの新会社やルネサスエレクトロニクスのNEV向け半導体システムの開発拠点設立、八千代工業のPHV向け樹脂製燃料タンクや住友理工のEV向けモーターマウント生産計画などの動きがみられる。

 

中国での日系部品メーカーの動向 (*新品目投入)

生産能力
増強
生産ライン・設備
等の増設など
広東省 ケーヒン(カーエアコン用熱交換機:設備増強)
豊田鉄工(ハイテン材部品:ライン増設)
パイオラックス(ばね類に生産を集約。樹脂系は武漢工場に移管)
ホシデン(電子部品:設備増設)
本多通信(車載カメラ用コネクタ:設備増強で全自動生産ライン導入)
ヨロズ(サスペンション部品:設備増設)
八千代工業(*PHV向け樹脂製燃料タンク:既存ラインで量産)
湖北省 エイチワン(骨格部品:最新鋭溶接ラインを1本増設)
ショーワ(ショックアブソーバー、EPS:設備増強)
パイオラックス(東莞工場から樹脂を移管、*燃料タンク向けバルブ:設備拡張)
八千代工業(サンルーフ、燃料タンク:設備・ライン増設)
天津市 アイシングループ(AT:組立ライン増設)
ジェイテクト(*下流アシストタイプEPS:新ライン増設)
豊田合成(*樹脂フューエルフィーラーパイプ:既存工場で生産)
豊田鉄工(ハイテン材部品:ライン増設)
遼寧省 アルパイン(*EV用バッテリーマネジメントシステム:既存工場で量産開始)
住友化学(*熱可塑性エラストマー:新設備導入)
中国全般 アドヴィックス(*新型電動パーキングブレーキ:既存工場に設備導入)
住友理工(*EV向けモーターマウント:中国で新たに生産)
工場増設、
建屋拡張
広東省 市光工業(各種ミラー:第2工場)
SMK(コネクタなど:同じ市内に工場移転)
湖北省 今仙電機シートアジャスタ:第2工場、プレス機も導入し一貫生産体制構築)
湖南省 ジーテクト(車体部品:第2工場)
新会社(工場)設立・稼働 広東省 昭和電工(熱硬化性成形材料:第2生産拠点)
長瀬産業(*NEV向け精密金属インサート成形部品:合弁会社)
日立オートモティブ電動機システムズ(*電動車両用モーター:新会社)
湖北省 河西工業(*天井トリムの部品:新会社)
三光合成(プラスチック成形品:新会社)
JSP(ポリプロピレン材料:新工場、引き続き設備増強)
JCU(めっきなどの表面処理薬品:新工場、委託生産から自社生産に切り替え)
四川省 住友化学(PPコンパウンド:新会社)
天津市 神戸製鋼(アルミパネル材:新会社)
GSユアサ(*高付加価値鉛電池を中心に能増:新工場に既存工場から移転)
村上開明堂(バックミラー:新会社)
遼寧省 パナソニック(*リチウムイオン電池:新工場稼働、2棟目も建設中)
吉林省 JSP(ポリプロピレン材料:新工場)
中国全般 帝人(ガラス繊維複合材など:新生産拠点を設立)
リファインHD(使用済み有機溶剤リサイクル:新たに3つの工場建設へ)
開発・営業強化 北京市 ルネサスエレクトロニクス(NEV向け半導体システム:開発拠点新設)
中国全般 オムロンオートモーティブエレクトロニクス(EPSやボディ用ECU:営業強化) 
河西工業(電動車向け内装部品:広州・武漢などの工場で開発人員を増員) 
ケーヒン(電動車のパワーコントロールユニット:営業強化) 
デンソー(高付加価値部品:既存販売店の育成) 
東レ(内装材用途の高級人工皮革:販売強化) 
ブリヂストン(タイヤ専売店の拡大、アフターサービス拡充で人材教育)
事業体制強化
(提携、工場統合など)
広東省 デンソー(次世代自動車分野:広州汽車集団と戦略的提携) 
東京コスモス電機(車載用電装部品:近隣の自社工場と統合) 
日鉄住金物産(コイルセンター:2社を1社に集約)
中国全般 パイオラックス(次世代自動車分野:広州汽車集団と戦略的提携)
企業売却 中国全般 NEC/日産(日米英のリチウムイオン電池事業を中国の投資ファンドに売却)

 

関連レポート:
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  中国新エネルギー車(NEV)詳細 (2017年12月)

<日系部品メーカーの海外動向>
  中国・華東地区 (2018年3月)
  中東欧 (2018年2月)
  西欧 (2017年12月)
  インド (2017年9月)
  北米 (2017年8月)
  ASEAN (2017年8月)
  メキシコ・ブラジル (2017年6月)
  中国 (2017年5月)

 

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