中国の日系部品メーカー:既存工場の生産能力増強、新生産拠点設立、事業体制強化

アルパイン、河西工業、神戸製鋼所、セーレン、ジヤトコ、豊田自動織機、パイオニア、三菱重工などの動向

2016/08/08

要約

華南周辺
華南周辺
華中・西南周辺
華中・西南周辺

 本レポートは、中国における日系部品メーカーの動向である。
(2015年10月下旬から2016年7月までの約7ヵ月間を収録)

 2015年の中国の自動車生産台数は2,450万台(前年比3.3%増)、自動車販売は2,460万台(前年同期比4.7%増)の増加となった。2015年10月からの小型乗用車への減税措置が功を奏し、それまでの減少を脱し増加に転じた。2016年1-6月は、生産台数が1,287万台(前年同期比6.5%増)、販売台数が1,280万台(同8.1%増)と安定した成長軌道を示している。

 車種別では、SUV、MPV、高級車の高い伸びが続いている。また、新エネルギー車(EV、PHVなど)は、政府補助金の効果もあり、2016年1-6月の生産台数が17.7万台、販売台数が17.0万台と前年同期比2倍以上の伸びを見せている。中国政府は同補助金政策を2020年まで延長すると発表。

 こうした中、欧米メーカーでは、GMが積極的な拡大戦略を見せており、2018年までに100万台以上の生産能力増強を計画。VWは、2019年までの「500万台生産能力構築計画」について2015年上期の市場低迷の中で慎重となったが、新型車投入計画では積極的。日系メーカーも年産能力増強を進めており、東風日産は大連工場などの増強を中心に長期的に175万台に拡大する計画。トヨタは天津、広州工場での生産ラインの増設により、2015年の約105万台から2018年に113万台に増加させる計画。ホンダは2015年に年産能力12万台の広州第3工場が稼働し113万台に増加。2015年に見送った武漢第3工場新設の検討を2017年から再開する模様。

 この他、新エネルギー車については、中国メーカーのみならず日米欧系メーカーも活動を本格化させている。

 こうした動きの中、日系自動車部品メーカーは、日米欧系メーカー、中国メーカーなどからの需要増に対応し、供給体制の強化や取引先の開拓を目指した生産能力拡充を進めている。また、ターボ車やEVやハイブリッド車関連、軽量化、環境規制対応、安全関連、車載情報機器などの新技術・高付加価値商品生産のための設備増強や新工場稼働も進んでいる。



華東周辺
華東周辺
華北/東北周辺
華北/東北周辺

中国での日系部品メーカーの動向

既存工場で新品目生産 【広東省】ジヤトコ(新開発のCVT)、三井金属(四輪車用触媒)
【江蘇省】カルソニックカンセイ(新開発のビルトインオイルクーラー/ウォーマー)
【上海市・江蘇省】明神電機(車載用リレー)
【河北省】共和レザー(オレフィン系合成素材)
生産能力増強 生産ライン・設備等の増設など 【江蘇省】神戸製鋼所(冷間懸架ばね用ワイヤー)、帝人フロンティア(エアバッグ用基布)
【上海市】三菱重工(ターボチャージャのカートリッジ)
【広東省】エイチワン(金型)、テイ・エス テック(シート:新工場に移転)、マルイ工業(自動塗装ライン)
【湖北省】エイチワン(高ハイテン材製品:プレス機)、テイ・エス テック(シートフレーム:新工法導入)
【河北省】共和レザー(ポリ塩化ビニール:1ライン増設)
【河南省】ユニプレス(プレス部品)
工場増設、建屋拡張 【江蘇省】豊田自動織機(エアコン用コンプレッサー:新工場を建設し移転)、三ツ星ベルト(伝動ベルト:第2工場)、ユーシン(キーシステム:新工場を建設し移転)
【上海市】三菱重工(ターボチャージャ:第3工場)
【浙江省】小倉クラッチ(カーエアコン用クラッチ:専用工場新設、藤倉ゴム(プラグカバー:第2工場)
新会社(工場)設立・建設/稼働 【安徽省】安川電機(EV用電気駆動システム:合弁会社)
【江蘇省】コタニ(高機能ばね)、パナソニック エコシステムズ(ディーゼル排ガス用触媒フィルター)、プライムアースEVエナジー(HV用ニッケル水素電池:合弁会社)
【上海市】アルパイン(EV用バッテリーマネジメントシステム:合弁会社)、パイオニア(先進運転支援システム:合弁会社)
【浙江省】JFEスチール(小径電縫溶接鋼管など)
【湖北省】河西工業(天井内装材の拠点新設)、ケーヒン(新型空調)、小糸製作所(照明器)
【河北省】セーレン(シート材、エアバッグ)
【遼寧省】パナソニック(HV/EV用リチウムイオン電池:合弁会社)
【地域不明】ヨロズ(サスペンション部品:第3拠点)
事業体制強化(合弁会社化、販売体制、企業譲渡・取得、開発拠点) 【湖北省】中央発條(ばね:合弁会社化)
【上海市】サンデン・オートモーティブコンポーネント(PHVやEV向け電動コンプレッサー:拡販体制強化)
【遼寧省】GSユアサ(鉛蓄電池:パナソニック子会社を取得)
【北京市】フジオーゼックス(合弁会社を譲渡)
【地域不明】日本電産エレシス(開発拠点)
設備投資見送り 【広東省、安徽省】アーレスティ(エンジン部品:マシニングセンター)
国外に生産移管 【中国全国】住友電工(ワイヤーハーネス)、テイ・エス テック(トリムカバー):両社とも中国工場は内需特化型に転換

日系部品メーカー動向関連レポート:



華南 広東省での動向:エイチワン、ジヤトコ、テイ・エス テックなど

エイチワン 広州工場の金型製造能力を引き上げ
エイチワンは、広州愛機汽車配件(GH Auto Parts Industries Inc.)で内製する金型の年産能力を2015年の81個から2017年に205個まで引き上げる。2015年に数億円をかけて建屋を拡張し、試し打ち用の大型プレス機を導入。今後、NC工作機械を新たに3台導入する計画。外部に委託していた機械加工も自社に取り込むことで、コスト削減や開発・製造時間の短縮を図る。また、従来よりも高強度のハイテン材を使った部品を作るための金型も2016年から製造し、武漢愛機汽車配件(WH Auto Parts Industries Inc.)に送る。
ジヤトコ 広州工場で新開発のCVT生産開始、2020年に向けて第2工場建設も視野に
ジヤトコは、新開発の変速機Jatco CVT7 W/Rを加特可(広州)自動変速箱有限公司(JATCO (Guangzhou)Automatic Transmission Ltd.)で2015年8月から新たに生産開始。東風日産の新型車用に納入。当面、工場では生産能力増強よりも生産と品質の安定を図る。2013年時点のCVT年産能力は約90万台。しかし、ATメーカー世界ナンバーワンの目標を掲げる2020年に向けては生産能力不足となるため、第2工場建設を視野に入れている。
テイ・エス テック 四輪車用シート工場を広州市内で移転、生産能力拡大可能に
テイ・エス テックは、広州市の都市開発に伴う措置で広州提愛思汽車内飾系統有限公司(GUANGZHOU TS AUTOMOTIVE INTERIOR SYSTEMS CO.,LTD.)の工場を広州市内で移転し、2016年8月に生産開始。総投資額は80億円。当初の年産能力は約48万台と移転前と変わらないが、将来は80万台体制まで拡張可能。新工場は、納入先であるホンダ系乗用車2工場の中間にあり、物流効率が向上。
マルイ工業 広州の工場にラジエーターグリル用の自動塗装ライン導入
マルイ工業は、四維爾丸井(広州)汽車零部件有限公司(Swell Marui (Guangzhou) Automobile parts Co., Ltd.)にラジエーターグリルの自動塗装ラインを導入し、2016年8月から稼働。地場メーカーからの新規受注などでグリル需要が拡大しているため、塗装工程の自動化により生産効率を高める。投資額は非公表。当面の月産能力は、1万から1.5万台。今後の受注状況に合わせて更に生産能力を高める。
三井金属 珠海市の二輪車用触媒工場で四輪車用を生産へ
三井金属は、2018年度までの中期経営計画で、日本、米国、中国、インドネシア、インドの5カ国で二輪車用触媒の生産拠点を活かし、四輪車用触媒の生産拠点として増強する。中国では、三井金属(珠海)環境技術有限公司(珠海市、Mitsui Kinzoku Catalyst Zhuhai Co., Ltd.)の工場を増強し、新規顧客獲得を図る。


華中 湖北省での動向:河西工業、ケーヒン、小糸製作所など

エイチワン 武漢工場の3000サーボプレス機が2016年7月に稼働
エイチワンは、武漢愛機汽車配件有限公司(WH Auto Parts Industries Inc)のプレス工場に3000tサーボトランスファープレス機を設置し、2016年7月に稼働。投資額は約17億円。これにより、多種多様な製品を高ハイテン材で量産する体制を整え、製品の差別化を進める。このほか、2015年度には、省人・省スペースを追求した次世代型自動溶接ロボットラインを導入。
河西工業 武漢に天井内装部品の生産会社設立、工場は2017年7月に稼働予定
河西工業は、東風河西(武漢)頂飾系統有限公司(Dongfeng Kasai (Wuhan) Roof Trim Systems Co., Ltd.)を2016年6月に設立。資本金は1500万元(約2.5億円)。東風ビステオンとの合弁会社の東風河西(大連)汽車飾件系統有限公司が全額出資。東風本田などの完成車メーカーから天井内装部品を新規受注したためで、工場は2017年7月に稼働予定。年産能力は20万台。投資総額は約10億円。2018年度に売上高15億円を目指す。中国での天井事業の拠点と位置付けている。
ケーヒン 空調製品の武漢新工場が2016年3月に本格稼働
ケーヒンは、2014年設立の京濱(武漢)汽車零部件有限公司」(湖北省仙桃市、Keihin (Wuhan) Automotive Parts Co., Ltd.)の新工場が2016年3月に本格稼動し、新型空調ユニット(HVAC)を量産開始。東風本田からの受注拡大に対応したもので、年産能力は35万台。ケーヒンの中国でのHVAC年産能力は、広東省東莞市の工場の50万台と合わせて85万台となった。
小糸製作所 湖北省の新工場が2016年6月から照明器を生産開始
小糸製作所は、湖北小糸車灯有限公司(湖北省孝感市、Hubei Koito Automotive Lamp Co., Ltd.)の新工場が完成し、2016年6月より照明器を生産開始。内陸部・華中地域での自動車メーカーの生産増強に対応。2016年末には35万~40万台の生産を見込む。工場スペースは年産能力100万台分あり、今後、5年分位までの生産能力増強は可能としている。
中央発條 湖北省の自動車用ばねの子会社を合弁化
中央発條は、2016年3月に自動車用ばね製造の全額出資子会社の孝感中星汽車零部件有限公司(湖北省孝感市)を財務体質強化のために増資し、全額を台湾六和機械グループの六和機械投資(中国)有限公司が引受け合弁会社とした。資本金は7500万元となり、出資比率は中央発條80%、六和機械20%。会社名は、孝感中発六和汽車零部件有限公司(Xiaogan Chuhatsu Lioho Automotive Components Co., Ltd.)に変更。六和機械グループが中国に持つ営業ネットワークを活用し、拡販活動を促進する。
テイ・エス テック 武漢工場にシートフレームの一括溶接新工法を導入
テイ・エス テックは、複数部品を一括で溶接できるシートフレームの新工法を開発。海外工場では北米2工場に次いで中国の武漢提愛思全興汽車零部件有限公司(WUHAN TS-GSK AUTO PARTS CO.,LTD.)で導入する。これにより、製造コストの引き下げとフレームの軽量化につなげる。新型フレームは、ホンダのグローバル車向けとの位置づけ。



安徽省

安川電機

奇瑞汽車グループとEV用電気駆動システム製品の合弁会社設立
安川電機は、2016年6月に合弁会社の奇瑞安川電駆動系統有限公司(蕪湖市、Chery Yaskawa E-Drive System Co., Ltd.)を設立。登録資本総額は1億元。出資比率は、安川電機40%、奇瑞汽車の子会社の奇瑞新能源汽車技術有限公司(蕪湖市)45%、蕪湖市建設投資有限公司15%。EV用電気駆動システム製品生産し、EVを生産する奇瑞新能源汽車に供給すると共に、蕪湖市政府の支援のもと中国市場にも広く開発・供給する。


華東地域での動向:神戸製鋼所、豊田自動織機、アルパイン、パイオニア、三菱重工など

江蘇省

カルソニックカンセイ ビルトインオイルクーラー/ウォーマーの新製品を生産開始
カルソニックカンセイは2015年11月、康奈可汽車電子(無錫)有限公司(Calsonic Kansei Components (Wuxi) Corporation)でトランスミッションオイルを冷却・加熱するビルトインオイルクーラー/ウォーマー(BOC)の新製品である薄型のLP-BOCを生産開始したと発表。ジヤトコに納入する。カルソニックカンセイ全体のBOC生産は、2014年度に約350万台だったが、2016年度にはLP-BOCを含めて約600万台を見込む。
神戸製鋼所 冷間懸架ばね用ワイヤーの生産能力増強
神戸製鋼所は、特殊鋼二次加工拠点の江陰法爾勝杉田弾簧製線有限公司(江陰市、Jiang Yin Sugita Fasten Spring Wire)に熱処理設備の新設と付随設備の増設により、2016年10月から冷間懸架ばね用ワイヤーの生産能力を増強する。環境規制強化に伴い、強度を保ちながら軽量化できる素材への需要の高まりに対応する。月産能力は、2015年の650トンから2016年10月には1070トンに高まる。投資額は約5.7億円。
コタニ 精密鍛造部品の新工場が2016年11月に量産開始
コタニは、小谷(張家港)精密鍛造有限公司(Kotani (Zhangjiagang) Precision Forging Co., Ltd.)の新工場が2015年11月に完成。2016年11月をめどに前輪駆動車用トランスミッションのファイナルギアなどの精密鍛造部品を量産開始する。月産30万台の予定。投資額は約35億円。工場の完工式に取引関係のないフォードやトヨタ関係者を招待。欧米メーカーの開拓では、協力関係にあるドイツのルート社を活用すると共にヒルシュフォーゲル社と共同で営業活動を行うなど、受注活動を強化。
知多鋼業 高機能ばねの工場を新設、2015年12月に量産開始
知多鋼業は、KYBとの合弁で知多弾簧工業(鎮江)有限公司(CHITA KYB MANUFACTURING (Zhenjiang) CO.,LTD.)を2015年4月に設立。資本金は1500万元。出資比率は、知多鋼業70%、KYB30%。高機能の薄板ばねを2015年12月から量産。KYB経由で日系メーカーなどの現地工場に納入。従来は、日本から輸出していたが、現地での急な需要増に即応できない恐れがあるため新工場を設立し、日本の工場の生産能力の一部を移転。今後、中国での高性能車や高級車の生産拡大に合わせ生産能力を増強する。
帝人フロンティア 南通市の工場でエアバッグ用基布の生産能力増強
帝人フロンティアは、日岩帝人汽車安全用布(南通)有限公司(N.I. TEIJIN AIRBAG FABRIC (NANTONG) CO., LTD.)の工場で専用織機を増やし、2016年内にエアバッグ用基布の年産能力を約2割増の750万メートルに増強する。拡大するエアバッグメーカーの需要を取り込むもの。製品は、中国国内での供給のほかタイに輸出する。
豊田自動織機 昆山市にコンプレッサー新工場を建設し、生産能力増強
豊田自動織機は、豊田工業電装空調圧縮機(昆山)有限公司(TD Automotive Compressor Kunshan, Co., Ltd.)のカーエアコン用コンプレッサーの生産能力を増強するため新工場を建設し、2015年11月に開所式を実施。既存工場の生産設備を全て新工場に移設。年産能力を2015年度の50万台から2016年度中に150万台に拡大させる。投資額(当初予定)は3億5700万元(約69億円)。
パナソニックエコシステムズ 蘇州市にディーゼル排ガス浄化用触媒フィルター工場を新設
パナソニック エコシステムズは2015年11月、新方式のディーゼル排ガス浄化用触媒フィルター工場である広東松下環境系統有限公司蘇州分公司の新設を発表。2015年12月に生産開始し、中国のエンジンメーカーに供給。需要増に迅速に対応するために、日本の工場で触媒粉体を生産し、蘇州工場でDPF基材にコーティングする生産方式を採用。2018年度に100億円規模の販売を目指し、事業を本格化させる。
日立金属 南通市にネオジム磁石の合弁会社を2016年7月に設立、量産開始は2017年3月予定
日立金属は、合弁会社日立金属三環磁材(南通)有限公司(Hitachi Metals San Huan Magnetic Materials(Nantong) Co., Ltd.)の設立が、中国政府による審査が長引いたため、当初予定の2015年12月から、2016年7月となり、ネオジム磁石の量産開始を2015年12月から2017年3月に延期すると発表。ハイブリッド車や産業用モーター向けに供給する。原材料調達から製造、販売までの一貫体制を整える。年産能力は、2017年度が1000トン。需要増に応じて2000トンに引き上げる。売上高は2018年度に100億円を目指す。工場建設費を含む資本金は、4.5億元(約90億円)。出資比率は、日立金属51%、中科三環49%。
プライムアースEVエナジー 常熟市のHV用ニッケル水素電池の組立工場が2015年秋に稼働
プライムアースEVエナジーは、合弁会社の新中源豊田汽車能源系統有限公司(常熟市、SINOGY TOYOTA AUTOMOTIVE ENERGY SYSTEM CO.,LTD.)でニッケル水素電池の組立を2015年秋に開始。トヨタのHV車に供給。セルモジュールは日本から輸出。年産能力は11万台分。2016年末には、科力美オートモーティブバッテリー有限公司(常熟市、Corun PEVE Automotive Battery Co., Ltd.)の工場が稼働し、電池モジュールの現地供給が本格化する。
三ツ星ベルト 蘇州市の第2工場が2016年5月に前倒し稼働
三ツ星ベルトは、蘇州三之星機帯科技有限公司(Suzhou Mitsuboshi Belting Co., Ltd.)の敷地内に建設した第2工場が2016年7月稼働予定だったが、同年5月に前倒しし、需要増に素早く対応できる体制を整えた。自動車や一般産業での各種伝動ベルトなどを生産。工場建屋は7290平方メートル(第1工場建屋は1万575平方メートル)。第2工場への投資額は約5億円(設備関係を除く)。
ユーシン 無錫市に生産能力拡大のため新工場建設
ユーシンは、有信汽車系統(無錫)有限公司(U-Shin Access Systems (Wuxi) Co., Ltd.)の工場敷地が手狭になり、生産能力の上限に達しつつあるため、2016年3月に同市内に資本金3000万ドルの有信制造(無錫)有限公司を設立。2017年をめどに新工場を完成させ、既存工場から移転する。VW、GM、PSAなど欧米メーカーからのドア施錠やキーシステムなどの受注拡大に対応するもの。現工場の2015年の売上高は100億円強だが、2020年には170億円を見込む。



上海市

アルパイン 合弁会社がEV向けバッテリーマネジメントシステムを2016年内に納入開始
アルパインは、2015年11月に設立した合弁会社の東軟睿馳汽車技術有限公司(Neusoft Reach Automotive Technology (Shanghai)が初の事業としてEV向けバッテリーマネジメントシステムを開発し、2016年内にもバッテリーに組み込み中国メーカーに納入する。第2弾として、EVのシェアリングサービスに役立つシステムを開発する計画。この他に画像認識やセンサーを融合させた高度な運転支援システム、自動運転の重要技術、クラウドプラットフォームベースのテレマティクス、コネクティッドカーなどの分野での研究開発と事業化を目指している。
サンデン・オートモーティブコンポーネント PHVやEV向け電動コンプレッサーの拡販体制整備
サンデン・オートモーティブコンポーネントは、中国でのPHVやEVなどの普及により、エンジンから動力を取る必要のないエアコン用の電動コンプレッサーの販売が増加すると予想。現地法人の華域三電汽車空調有限公司(上海市、Huayu Sanden Automotive Air Conditioning Co., Ltd.)の人員増加などを通じて拡販体制を整える。
神明電機 中国の2工場で新たに車載用リレーの生産を開始
神明電機は、2016年末から上海神明電機有限公司(SHANGHAI SHINMEI ELECTRIC CO., LTD.)と太倉神明電子有限公司(江蘇省太倉市、TAICANG SHINMEI ELECTRONIC CO., LTD.)でパワーウインドウ用リレーの生産を開始する。2拠点合計で月産100万個を生産する計画。両拠点は、これまで家電用を中心に生産してきたが、日系自動車部品メーカーからの新たな受注に対応。神明電機全体の2015年度の売上高67億円のうち、車載製品は8億円だったが、2017年度には12億円に拡大させる計画。
パイオニア 先進運転支援システム技術で中国ベンチャーと協業
パイオニアは、子会社の先鋒電子(中国)投資有限公司(上海市、Pioneer China Holding Co., Ltd.)が先進運転支援システム(ADAS)関連技術での協業で、ベンチャー企業の蘇州清研微視電子科技有限公司(Suzhou Tsingtech Microvision Electronic Technology Co., Ltd.)と2015年11月に合意。同ベンチャー企業は、清華大学蘇州自動車研究院(Tsinghua University Suzhou Automotive Research Institute)の傘下企業。予防安全領域でのADAS機能を搭載した次世代車載器を共同開発し、2016年以降の製品化を目指す。加えて、パイオニアが開発している走行空間センサーの3D-LiDARをはじめとする自動運転分野での協業も検討する。
三菱重工 上海でターボチャージャ第3工場設立へ、既存工場のカートリッジ生産能力を拡充
三菱重工は、中国でのターボチャージャの生産台数を2015年の195万台から2017年に350万台に引き上げる。このため、上海に第3工場を設立する。上海の工場ではこれまで約30億円を投資してきたが、2017年までに8億円程度を追加投資する。これまで欧米系メーカー向け生産が中心だったが、中国メーカー向け供給も増加すると予想。
また、同社は、ターボチャージャのカートリッジの世界年産能力を、2016年度秋時点で合計1100万台と想定。うち590万台がタイ工場に集中するため、カントリーリスクなどを勘案し、2017年度に日本で約80万台分、中国で約20万台分の計100万台分を増強する計画。これにより、上海菱重増圧器有限公司(Shanghai MHI Turbocharger Co., Ltd.)の年産能力は2015年の80万台から約100万台に増加する。同工場では当面、カートリッジの組立にとどめ、難易度の高い機械加工は日本とタイで行う。



浙江省

小倉クラッチ カーエアコン用クラッチの専用工場を新設
小倉クラッチは、一般産業用クラッチを主に生産する小倉離合機(長興)有限公司(浙江省長興県、OGURA CLUTCH (CHANG XING)CO.,LTD.)の敷地内にカーエアコン用クラッチの専用工場を新設し、2017-2018年の稼働を計画。新工場建屋は既存工場と同規模。新工場の年産能力は150万個で、既存設備と合わせると190万個に拡大する。中国内のみならず欧米への輸出増加にも対応する。
JFEスチール 小径電縫溶接鋼管・冷間引抜鋼管の新工場が2015年7月に稼働
JFEスチールは、2014年7月設立の合弁会社の嘉興JFE精密鋼管有限公司(浙江省嘉興市、Jiaxing JFE Precision Steel Pipe Co., Ltd.)の工場が2015年7月に稼働。自動車部品用・建機用の小径電縫溶接鋼管、冷間引抜鋼管を生産。月産能力は2000トン。部品メーカーが集中する華東地区での需要増に対応。合弁会社の資本金は9600万元。出資比率は、JFEスチール36%、川崎鋼管15%、伊藤忠丸紅鉄鋼30%、台湾の萱華工業19%。
藤倉ゴム 湖州市安吉に点火プラグ用部品の第2工場建設
藤倉ゴムは、安吉藤倉橡膠有限公司(湖州市安吉、Anji Fujikura Rubber Ltd.)の第2工場を建設し、ダイレクト・イグニッション・システム用のプラグカバーを2016年8月から新たに生産する。現地に進出した部品メーカーのニーズに対応したもので、四輪車向けの専用工場として事業を強化する。第2工場の建屋は、藤倉ゴムの国内外工場の中でも最大規模で、日本の製造手法とは異なる材料やノウハウを取り入れ、生産の効率化や省人化を進める。


華北地域での動向:共和レザー、セーレン、ユニプレス

河北省

共和レザー オレフィン系合成皮革材を新たに生産
共和レザーは、内装レザー専門の共和興塑膠(廊坊)有限会社(Kyowa-GSK Plastics (Langfang) Co., Ltd.)で、軽量で環境負荷が低いオレフィン系合成皮革材(TPO)を新たに製造する。中国での需要増に対応して2016年7月に専用設備を導入し、生産を開始。海外では初の生産となる。当面は日本の工場で半製品にして中国に送り、後工程を整備した中国工場で完成させる。納入先は、日系メーカー中心から中国ローカル系への拡大を計画。また、同工場ではポリ塩化ビニールの生産ラインを1本増設し、2017年3月頃の稼働を予定。同ラインは計3本になる。
セーレン シート材、エアバッグ生産の新工場建設、2017年稼働予定
セーレンは、2015年5月設立の世聯汽車内飾(河北)有限公司(石家荘市、Seiren Hebei Co., Ltd.)でシート材の裁断・縫製を行っているが、既存工場の近隣に新工場を建設し2017年に稼働の計画。最初は、既存工場から移すシート材の縫製が主体で、需要の増加に対応する。次いで、世聯汽車内飾(蘇州)有限公司(Seiren Suzhou Co., Ltd.)工場からエアバッグの生産設備を段階的に移し、2-3年後に量産を開始。人件費の伸びが緩やかな河北省での生産によりコストを抑える。蘇州工場には、シート材生産と試作開発部門のみを残す。新工場への初期投資額は約30億円。その後は、需要動向を見ながら追加投資する。製品は主に日系部品メーカーに納入。



河南省

ユニプレス 鄭州の工場でプレス部品の生産能力増強
ユニプレスは、ユニプレス鄭州(Unipres Zhengzhou Corporation)で、プレス工場に隣接する組立工場の建屋を拡張してプレス部品の製造設備を導入する。2016年11月末に完工予定で、年産能力を22万台から41万台にほぼ倍増させる。投資額は4400万元。東風日産からの新規受注や既受注車種の生産拡大に対応する。


東北地域での動向:GSユアサ、日本電産、パナソニック

遼寧省

GSユアサ 瀋陽のパナソニック鉛蓄電池事業を取得
GSユアサは2015年10月、パナソニックが保有する国内外の鉛蓄電池事業の譲受で合意。それに基づき松下蓄電池(瀋陽)有限公司(遼寧省、Panasonic Storage Battery(Shenyang) Co., Ltd)のパナソニックの株式持分である95%を取得。中国での制御弁式鉛蓄電池の製造・販売を加速させる。
日本電産 大連市の工場で車載モーターを増産
日本電産は、車載事業の拡大に向けて海外工場で増産投資を行う。2016年度に約500億円を投じてメキシコ、ポーランド、インド、中国の工場を増強。中国では、日本電産(大連)有限公司(NIDEC (Dalian) Ltd.)で、精密小型モーターの生産をベトナムに全面移管したことで空いたスペースを車載用モーターの増産に振り向ける。
パナソニック 大連市に車載用リチウムイオン電池製造の合弁会社設立、2017年に生産開始
パナソニックは2016年2月、大連遼無二電器有限会社と車載用二次電池を製造する合弁会社の大連松下汽車能源有限公司(Panasonic Automotive Energy Dalian Co., Ltd.)を設立したと発表。資本金は2億7300万元(約48億円)。出資比率は、パナソニックチャイナ50%、大連遼無二電器50%。2017年からハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車向けリチウムイオン電池を生産する。投資額は数百億円規模。


中国全体での動向:アーレスティ、ジェイテクト、住友電工、ヨロズなど

アーレスティ 中国で計画していた2015年度の設備投資見送り
アーレスティは、2015年度に中国で計画していた15億円のマシニングセンターへの投資を見送った。新車市場の低迷によりエンジン部品の需要が減少し、設備能力が余剰になっているため。中国では、广州阿雷斯提汽車配件有限公司(広州市、Guangzhou Ahresty Casting Co., Ltd.)と合肥阿雷斯提汽車配件有限公司(安徽省、Hefei Ahresty Casting Co., Ltd.)でエンジンブロックなどの製造・加工・部品組み付けを行っており、長城汽車や日産系、ホンダ系メーカーが採用。
ジェイテクト 中国の軸受工場を部品のサイズ別に再編
ジェイテクトは、2016年9月までに中国の軸受3工場を部品のサイズ別に再編する。エアコンなど家電製品のモーター向けの「超小型」軸受は遼寧省の光洋軸承大連有限公司に集中させ、江蘇省無錫市の小型軸受工場の「超小型」の生産ラインを大連工場に移す。無錫市の2工場(光洋汽車配件(無錫)有限公司、無錫光洋軸承有限公司)は自動車用の「中型」「小型」軸受に特化する。同2工場には日本の工場から生産ラインを移し、トランスミッション内部に使う円すいころ軸受などの製造を主力にする。この他、無錫の工場ではニードル軸受の生産も強化する。
住友電工 日本向けワイヤーハーネスの生産をアジア各国に移管へ、中国工場は内需特化型に転換
住友電工は、2018年末までに中国工場で生産する日本向け輸出用のワイヤーハーネスをベトナム、フィリピン、カンボジアのほか、生産余力のあるインドネシアなどの工場に段階的に移管する。中国では人件費上昇により製造コストに占める人件費比率が40%近い高水準となっているため、アジア各国での生産により価格競争力を強化する。中国工場では、ローカルメーカーの需要を取り込み、稼働率を下げずに内需特化型に転換する。
テイ・エス テック 輸出用のトリムカバー生産をバングラデシュ工場に移転、中国内の工場再編も計画
テイ・エス テックは、2016年10月にバングラティッシュの新拠点TS TECH BANGLADESH LIMITEDでトリムカバーの生産を開始する。これに伴い浙江省寧波の工場で生産するトリムカバーは中国国内向けを中心とし、米国、日本、英国向けの生産はバングラデシュ工場に移管する。寧波では、寧波保税区提愛思泉盟汽車内飾有限公司(NINGBO FTZ TS TRIMONT AUTOMOTIVE INTERIOR INC.)と寧波出口加工区提愛思泉盟汽車内飾有限公司(NINGBO EPZ TS TRIMONT AUTOMOTIVE INTERIOR INC.)がトリムカバーを生産している。
なお、中国には広州と武漢にシート工場があるほか、複数の生産拠点がある。中国事業の効率化を進めるため、2016年度にはこれら工場の再編に着手する計画。
日本電産エレシス 中国に開発拠点を開設予定
日本電産エレシスは、中国で開発拠点を開設するほか、自前のテストコースも構える予定。地域は明らかでないが、広東省に現地子会社の日本電産エレシス(中山)有限公司(Nidec Elesys (Zhongshan) Corp.)があり、電動パワーステアリング用ECU、ABSなどを生産している。
フジオーゼックス エンジンバルブの合弁会社を韓国企業に譲渡
フジオーゼックスは2016年7月、韓国通信事業大手のAlticast Corporation やTRW Automotive J.V. LLCグループとの合弁会社の新韓(北京)汽車配件系統有限公司の保有する全株式を Alticast Corporation に譲渡すると発表。中国事業は、2015年に完全子会社化した富士气門(広東)有限公司(佛山市、Fuji Valve (Guangdong) Corporation)に集約し、販売拡大に向けた体制を構築する。
ヨロズ 中国での第3生産拠点設立を検討
ヨロズは、2015年までに広州と武漢の工場を増築し、サスペンション部品の生産能力を拡大。これにより2018年頃までは市場の拡大に対応できるとしている。しかし、それ以降については第3生産拠点の設立が必要となる可能性があるため、2017年までの中期経営計画期間で検討する。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>