メキシコ・ブラジルの日系部品メーカー:メキシコは新規進出や生産能力増強が続く

アイシン精機、愛三工業、エフテック、河西工業、ジェイテクト、積水化学、日本電産、パイオニア、AGC旭硝子など

2016/04/29

要 約

Thailand Map
(地図をクリックすると拠点マップが開きます)。

 メキシコの2015年の自動車生産台数(除く大型バス・トラック)は339.9万台(前年比5.6%増)、輸出は275.9万台(同4.4%増)、新車販売台数は135.2万台(同19.0%増)といずれも過去最高を更新。2016年1-3月は生産台数が80.6万台(前年同期比5.1%減)、輸出台数が65.7万台(同4.6%減)、新車販売台数が34.7万台(同13.4%増)と、生産と輸出は微減だが国内販売は好調である。

 このような中、日系自動車メーカーでは、2014年までに稼働した日産、マツダ、ホンダの工場に続き、トヨタが2019年稼働予定で年産能力20万台の乗用車工場(Guanajuato州)を建設する。この他、アウディ(Puebla州)および起亜自(Nuevo Leon州)が2016年半ばに、ルノー・日産アライアンスとダイムラーの合弁(Aguascalientes州)が2017年に、BMW(San Luis Potosi州)が2019年に工場を稼働する計画。

 日系部品メーカーでは、トヨタの新工場や他の日本メーカーによる増産や欧米メーカーからの受注増などに対応するために、メキシコへの新規進出や生産能力の増強が続いている。また、生産品目追加のための生産拠点の拡張や設備増強もみられる。

 ブラジルは、2015年のトラック・バスを含む自動車生産台数(CKDを除く)が242.9万台(前年比22.8%減)、新車登録台数が256.9万台(同26.6%減)と大幅減少が続く。一方、輸出は41.7万台(同24.8%増)と増加に転じた。2016年1~3月も、自動車生産台数(CKDを除く)が48.2万台(前年同期比27.8%減)、新車登録台数が48.1万台(同28.6%減)と減少が続き、輸出台数は9.9万台(同24.0%増)と増加。ANFAVEAによると2016年初めの工場稼働率は46%に低下している。

 このため、日系部品メーカーによる新たな事業展開は少ない。AGC旭硝子のフロートガラス第2工場(建築用を含む)、日清紡ブレーキによるTMDの摩擦材工場に代わる新工場の建設計画などがみられる程度。

 以下は、メキシコ、ブラジルなどにおける日系部品メーカーの最近動向である(収録対象は、2016年4月上旬までの約10カ月間)。

[メキシコでの新規工場設立]( )は生産品目

新規工場進出  アイシン精機(サンルーフ、ドアフレーム)、アドヴィックス(ドラムブレーキ)、NTN(ハブベアリングなど)、ショーワ(電動パワーステアリング)、豊田鉄工(骨格部品など)、大栄製作所(小型金属プレス)、パイオニア(カーエレクトロニクス製品)、三菱製鋼(サスペンション用ばね)、三五(排気系部品)、サーテックカリヤ(めっき加工)、DOWAホールディングス(金属めっき加工)、ゼオン化成(パウダースラッシュ用樹脂)、タツミ(電装部品など)、浜名湖電装(エンジン動弁系部品)

[メキシコでの生産能力拡充] ( )は生産品目など、*は新品目

設備増強  芦森工業(内装部品の現調率引き上げ)、エイチワン(骨格部品)、西川ゴム(グラスチャンネル*)、日本電産(電動パワーステアリング用モーター)、三井金属アクト(自動化ラインに切り替え:ドアロックの新製品*)、リケン(新車種向けピストンリンング)
工場拡張  エフテック(新棟:大型車用サブフレーム*)、積水化学(生産ライン:合わせガラス用高機能遮音膜*)、日本プラスト(増床:樹脂製品)、ユタカ技研(拡張:トルクコンバーター)、ジャトコ(拡張構想:AT)、南条装備(拡張:内装部品)、富士機工(増築:ステアリングコラム*)
新拠点・新工場
設立
 愛三工業(第2工場:エンジン部品)、アドバネクス(第2工場:精密ばね)、河西工業(第3工場:成形天井など)、KYB(新工場:ショックアブソーバー*)、住友理工(第2工場:防振ゴム)、ジェイテクト(新拠点:電動パワーステアリング*)

[ブラジルでの事業展開] ( )は生産品目

生産能力増強、
稼働率引き上げ
 AGC旭硝子(第2工場:フロートガラス)、日清紡ブレーキ(新工場:摩擦材)、エフ・シー・シー(二輪車用クラッチ工場で四輪車用クラッチ生産開始)
資本参加  豊田合成(内外装樹脂部品メーカーに出資)


日系部品メーカー動向関連レポート:
米国・カナダ編 (2016年3月)
中国編:華東・華北・東北地域・中国全体での動向 (2015年10月)、華南・華中・西南での動向 (2015年11月)
タイ編 (2015年9月)、 欧州編 (2015年8月)
メキシコへの新規進出 (2015年6月)、メキシコでの増強とブラジルでの動向 (2015年7月)
東南アジア編 (2015年4月)、 インド編 (2014年11月)

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