インドの日系部品メーカー:自動車メーカーの生産能力増強への対応、取引先拡大を目指す

三桜工業、ショーワ、東レ、豊田合成、ニッパツ、日本電産、日本ピストンリング、ハイレックス、横浜ゴムなどの動向

2016/06/09

要 約


インド市場概況:回復が続く

インドの2015年の自動車生産台数は413万台(前年比7.4%増)、新車販売台数は343万台(同7.8%増)。メーカー各社による新型車投入が需要を喚起したほか、燃料価格の値下がりや金利低下も販売増に繋がった。2016年1~4月累計も、生産台数が150万台(前年同期比6.7%増)、新車販売台数は122万台(同7.2%増)と堅調。輸出も増加しており、2014~15年度(2014年4月~2015年3月)は70.8万台(同5.2%増)と初の70万台超え。2015年~16年度も75.6万台(同6.7%)と拡大を続けている。

自動車メーカー各社の生産能力増強や効率化が進む

こうしたなか、スズキはGujarat州の新工場(年産能力25万台)を2017年に稼働予定。Fordは同州の新工場(同24万台)が2015年3月に稼働。ホンダは2016年中にRajasthan州の第2工場を同6万台増強。GMはHindustan Motorから引き継いだGujarat州のHalol工場が老朽化し稼働率が30~40%に留まっているため、2016年度下期に閉鎖する。このため、Maharashtra州のTalegaon工場の年産能力を2015年の13万台から2025年までに22万台に増強して、同工場に生産を集約し効率を高める。

日系部品メーカーの投資

自動車メーカー各社の増産計画への対応や、取引先の拡大、グローバル輸出拠点づくりなどに向けて、日系部品メーカーの生産能力拡充、事業体制強化、新規進出などが進められている。新規進出や新品目供給での現地部品メーカーへの生産委託もみられる。


新規進出(生産品目)

新会社・工場設立 臼井国際産業(配管)、コイワイ(エンジン部品)、東レ(エアバッグ基布)、日本電産(車載モーター、増産投資も計画)、日立オートモティブ(バルブタイミングコントロールなど)、横浜ゴム(乗用車用タイヤ)
現地会社に委託生産 クラリオン(カーナビ)、東レハイブリッドコード(タイヤ補強材)

生産能力増強(生産品目、*は新品目)

設備・工場の増設 西川ゴム(*グラスランチャンネル)、日鍛バルブ(エンジンバルブ)、パイオラックス(ファスナー、バルブ)、ミツバ(ウインドウォッシャーシステムなど)、武蔵精密(鍛造部品)
新会社設立 FCC(クラッチ)、光生アルミ(アルミホイール)、豊田合成(ゴムホース)
自社工場建設 日本ピストンリング(バルブシート)
第2工場建設 エイチワン(車体骨格部品)、大同メタル(*エンジン用軸受)、丸一鋼管(*バス・トラック用ステンレス製排気管)
第3工場建設 ショーワ(ショックアブソーバー)、ニッパツ(精密ばね)、ハイレックス(コントロールケーブルなど)

事業体制の強化(生産品目)/進出中止

合弁会社や技術提携先の子会社化 五十嵐電機(小型モーター)、三桜工業(配管)、GSユアサ(鉛蓄電池)、豊田合成(ハンドル、エアバッグなど)
営業拠点設立 日本ガイシ(排ガス対策製品)、パイオラックス(ファスナーなど)
開発拠点設立 FCC(クラッチ)、日本電産エレシス(車載エレクトロニクス)
生産拠点の新規進出を中止 GMB

バングラディッシュでは、テイ・エス・テックがトリムカバーの生産拠点を設立。輸出競争力が低下した中国に代わるグローバル供給拠点の位置づけ。

以下は、インドとバングラディシュにおける日系部品メーカーの最近動向である(収録対象は、2016年5月までの約2年間)。


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