米国・カナダの日系部品メーカー:受注拡大に対応し、生産能力拡充、生産品目追加
曙ブレーキ、ジェイテクト、新日鉄住金、住友ゴム、ダイセル、テイ・エス テック、三菱重工など
2016/03/18
- 要 約
- 米国 生産拠点増強・新設:曙ブレーキ、ジェイテクト、新日鉄住金、ダイセル、テイ・エス テック、豊田合成、三菱重工など
- 米国 事業体制強化、買収など:住友ゴム、日信工業、住江織物など
- 米国 研究開発拠点の強化・新設:河西工業、横浜ゴム
- カナダ 生産工程の集約、既存工場の増強:テイ・エス テック、ブリヂストン
要 約
本レポートは、米国・カナダにおける日系部品メーカーの動向レポート。両国における生産能力拡充、新品目の生産などの動向についてまとめた(収録対象は、2016年3月上旬までの約1年間)。
米国の自動車販売(乗用車/小型トラック)は、2015年には1,747万台で前年比5.7%増と過去最高に達した。2016年1~2月の累計販売台数は、前年同期比3.5%増の249.2万台と拡大を続けている。2016年通年では、過去最高の販売を更新すると見られており、1800万台に達するとの予測もある
米国での自動車生産(乗用車/小型トラック)も拡大を続け、2015年は前年比3.7%増の1,178万台となった。
一方、日本メーカーの米国生産(同)は、2015年は前年比0.9%増の385万台と微増に止まったが、高稼働が続いている。2016年も日本メーカー各社は、高水準の生産を維持するとみられている。
こうした動きに対応して、日系部品メーカーも既存工場の生産ライン・設備の増設や第2、第3拠点などの設立により、生産能力増強を進めている。また、新品目生産のための新工場建設も見られる。欧米メーカーから日系部品メーカーへの発注も引き続き増加している。
投資形態 | メーカー | 生産品目(*新品目)、実施状況など |
---|---|---|
生産能力増強 (設備・生産ライン・ 工場建屋増設など) |
曙ブレーキ | ディスクブレーキ、摩擦材、アルミ製品(生産能力増強、各工場の生産品目見直し) |
エクセディ | AT用トルクコンバーター(生産ラインリニューアル) | |
MCシステムズ | ボルト・ナット、バネなどの防錆処理(生産能力増強) | |
河西工業 | ドアトリムなどの内装部品(ホンダ・日産別に専用工場化) | |
鬼怒川ゴム | 車体シール部品(生産ライン・設備のコンパクト化で増産余力) | |
ケーヒン | インテークマニホールド(新生産ライン稼働)、空調システム(一貫生産化)、 直噴インジェクター*(量産開始)、ECU(増強済み) |
|
神戸製鋼、三井 物産、豊田通商 |
サスペンション用アルミ鍛造部品(設備増強) | |
寿屋フロンテ | フロアカーペットなど(増強済み) | |
ジェイテクト | 中上級車向けEPS*(生産ライン新設) | |
ジーテクト | 高容量ハブユニット*(生産ライン増設済み) | |
ソミック石川 | リクライニング機構用ダンパー*(既存工場の空きスペース活用案) | |
タイガースポリマー | エアクリーナーモジュールなど(新棟建設) | |
テイ・エス テック | シートフレーム、シート(新工法導入済み、建屋増築) | |
東洋ゴム | タイヤ(工場拡張済み) | |
東洋紡 | エアバッグ基布およびその原糸(設備増強) | |
パイオラックス | ホースクランプ(増強設備稼働) | |
三菱電機 | オルタネーター(建屋増設) | |
新会社設立、 新工場の追加 |
NTN | ドライブシャフト(北米で3番目の生産会社設立) |
大塚化学 | ブレーキパッド材料(新規工場が稼働) | |
新日鉄住金 | 冷間圧造用(CHQ)鋼線(新工場建設) | |
積水化成品 | 発泡プラスチック成形品(2つ目の工場稼働) | |
セキソー | 空調ダクト(新工場稼働) | |
ダイセル | インフレーター(第2拠点稼働) | |
東レ | 炭素繊維(第2工場建設) | |
豊田合成 | 燃料用樹脂チューブ(新工場稼働、既存工場から生産移転へ) | |
ニフコ | 内装プラスチック製品(新会社設立済み) | |
西川ゴム | ウエザーストリップ(第3工場稼働) | |
ファインシンター | エンジン・変速機・ショックアブソーバー用部品(新工場追加) | |
ブリヂストン | 乗用車用ラジアルタイヤなど(第3工場建設) | |
三菱重工 | ターボチャージャー(新工場稼働) | |
横浜ゴム | トラック・バス用タイヤ(新工場稼働) | |
ヨロズ | サスペンション部品(第2拠点設立済み) |
事業体制強化では、住友ゴムが米グッドイヤーとの提携解消に伴い同社工場を買い取り、日信工業はスウェーデンAutolivと合弁会社を設立、住江織物は米国内装材加工メーカーを買収などを行った。他方、ニチリンが円安を受けて油圧式パワーステアリング用ホースの生産を日本へ移転する。
R&D体制強化では、河西工業が開発担当者を増員、横浜ゴムは開発部門の責任者を米国に配置し、開発拠点設置準備を進めている。
カナダでは、テイ・エス テックがシート工場拡張を進めており、ブリヂストンは乗用車および小型トラック用ラジアルタイヤ工場の生産能力増強を計画。
日系部品メーカー動向関連レポート:
・ 中国編:華東・華北・東北地域・中国全体での動向 (2015年10月)、華南・華中・西南での動向 (2015年11月)
・ タイ編 (2015年9月)
・ 欧州編 (2015年8月)
・ メキシコへの新規進出 (2015年6月)、メキシコでの増強とブラジルでの動向 (2015年7月)
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