以下は、ASEAN諸国における日系自動車部品メーカーの新生産拠点構築、生産能力増強、生産品目拡大、事業体制・開発強化等の動きである (収録対象は、タイは2017年6月までの約9カ月間、その他の国は約1年間)。
タイの2016年の自動車生産台数は194.4万台で前年比1.6%増だったが、輸出は118.9万台で同1.4%減。国内販売台数は76.9万台で同3.9%減と4年連続の減少となった。2017年1~6月の国内販売台数は41.0万台で前年同期比11.2%増と伸び、新型車投入、政府の景気刺激策、農産物輸出増などが貢献。輸出は53.6万台で同9.8%減少。自動車生産台数は95.1万台で前年同期比4.3%減。在庫削減のための生産調整が一部で行われた。
こうした中にあっても、タイをグローバル輸出拠点とする日系完成車メーカーの戦略に基本的な変更は見られない。日系自動車部品メーカーも、タイの中期的な需要増や省燃費・環境・安全ニーズへの対応や輸出拡大を図るため、生産能力増強や商品・事業体制などの強化を進めている。件数は少ないが新規進出も続いている。
インドネシアの自動車販売台数は、2016年が106.3万台と前年比4.9%の増加に転じた。2017年1~6月は前年同期比0.4%増の53.4万台と好調さを維持している。生産台数は、2016年が117.8万台で同7.2%増、2017年1~6月は59.8万台と同0.7%の微減。2016年の完成車輸出台数は19.4万台で前年比6.4%減だが、CKD輸出は20.3万台で同86%の大幅増となっている。
日系自動車メーカー各社は、中期的なインドネシア市場の拡大と輸出市場の成長を見込み、生産拠点の拡充や部品の現地化を進めている。2017年4月には三菱自動車の新工場が稼働。こうした中、日系部品メーカーではインドネシア国内向けおよび輸出拡大のための生産能力拡充を進めている。新規進出は少ないが、JEFスチールやヒルタ工業の新工場が稼働した。
ベトナムでは、グローバル輸出拠点を拡充するための設備増設、生産能力増強が多数見られる。新規進出では、旭化成がエアバッグ向けナイロン繊維の工場新設を検討している。
マレーシアでは、東ソーが排ガス触媒原料の新工場を稼働。タイガースポリマーがエアコンダクターの設備増強を予定。
フィリピンでは、古河電子が車載ECUに使われるコイル製品の量産を開始。テイ・エステックが日本で行っている四輪車用シートなどの開発支援業務の一部をフィリピンの拠点に移管。
シンガポールでは、旭化成ケミカルズが省燃費タイヤ用ゴムの生産能力を増強している。
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