ASEANの日系部品メーカー:生産能力拡大、新品目追加、事業体制強化などが続く

中期的なASEAN市場の需要増加と輸出拠点化を見込み、現地生産体制を強化

2017/08/03

要約

 以下は、ASEAN諸国における日系自動車部品メーカーの新生産拠点構築、生産能力増強、生産品目拡大、事業体制・開発強化等の動きである (収録対象は、タイは2017年6月までの約9カ月間、その他の国は約1年間)。

 タイの2016年の自動車生産台数は194.4万台で前年比1.6%増だったが、輸出は118.9万台で同1.4%減。国内販売台数は76.9万台で同3.9%減と4年連続の減少となった。2017年1~6月の国内販売台数は41.0万台で前年同期比11.2%増と伸び、新型車投入、政府の景気刺激策、農産物輸出増などが貢献。輸出は53.6万台で同9.8%減少。自動車生産台数は95.1万台で前年同期比4.3%減。在庫削減のための生産調整が一部で行われた。

 こうした中にあっても、タイをグローバル輸出拠点とする日系完成車メーカーの戦略に基本的な変更は見られない。日系自動車部品メーカーも、タイの中期的な需要増や省燃費・環境・安全ニーズへの対応や輸出拡大を図るため、生産能力増強や商品・事業体制などの強化を進めている。件数は少ないが新規進出も続いている。



 インドネシアの自動車販売台数は、2016年が106.3万台と前年比4.9%の増加に転じた。2017年1~6月は前年同期比0.4%増の53.4万台と好調さを維持している。生産台数は、2016年が117.8万台で同7.2%増、2017年1~6月は59.8万台と同0.7%の微減。2016年の完成車輸出台数は19.4万台で前年比6.4%減だが、CKD輸出は20.3万台で同86%の大幅増となっている。

 日系自動車メーカー各社は、中期的なインドネシア市場の拡大と輸出市場の成長を見込み、生産拠点の拡充や部品の現地化を進めている。2017年4月には三菱自動車の新工場が稼働。こうした中、日系部品メーカーではインドネシア国内向けおよび輸出拡大のための生産能力拡充を進めている。新規進出は少ないが、JEFスチールやヒルタ工業の新工場が稼働した。



 ベトナムでは、グローバル輸出拠点を拡充するための設備増設、生産能力増強が多数見られる。新規進出では、旭化成がエアバッグ向けナイロン繊維の工場新設を検討している。

 マレーシアでは、東ソーが排ガス触媒原料の新工場を稼働。タイガースポリマーがエアコンダクターの設備増強を予定。

 フィリピンでは、古河電子が車載ECUに使われるコイル製品の量産を開始。テイ・エステックが日本で行っている四輪車用シートなどの開発支援業務の一部をフィリピンの拠点に移管。

 シンガポールでは、旭化成ケミカルズが省燃費タイヤ用ゴムの生産能力を増強している。

タイの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)
インドネシアの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)



タイにおける日系自動車部品メーカーの動き(生産品目など)

新規進出 エヌイー(変速機部品)、大同特殊鋼(トランスミッション用型鍛造部品)、東レ・デュポン(タイヤ補強材の繊維)、ニッタ(エアブレーキチューブ)、日本ガイシ(排ガス浄化用セラミックス)、ハヤカワカンパニー(精密鍛造ギア)、丸五ゴム(防振ゴムなど)
生産能力増強 <新たな工場建設>
澤藤電機(エンジンスターター)、JSR(低燃費タイヤ用合成ゴム)、タイガースポリマー(樹脂部品の第4工場)、東洋紡(エアバッグ基布の織布工場を自社化・能力増強)、村上開明堂(バックミラー)
<工場拡張、設備増強>
大同特殊鋼(自動車向け磁石にシフト)、椿本チエイン(タイミングチェーン)、プレス工業(フレーム、アクスルケース)
経営・事業体制強化 アルファ(開発拠点設立:鍵セットなど)、エフ・シー・シー(合弁会社を完全子会社化:クラッチ部品)、ニッパツ(ASEAN地域本社設立を検討)、武蔵精密(出資比率拡大:エンジンギアなど)、ユニチカ(合弁販売会社:合成樹脂)
(資料)各社の計画から作成



インドネシアにおける日系自動車部品メーカーの動き(生産品目など)

新規進出 JEFスチール(亜鉛めっき鋼板)、ダイアヤンド電機(点火コイル)、ヒルタ工業(足回り部品)
生産能力増強・新品目の追加 <新たな工場建設>
天馬(第2工場:内外装部品)、豊田自動織機(カ―エアコン用コンプレッサー)、ブリヂストン(委託生産を合弁自社工場に切り替え:防振ゴム)、三菱製鋼(圧延工場)、村上開明堂(バックミラー)
<設備増強、生産品目の追加>
アスカ(ハイテン材加工)、シロキ工業(リクライニング部品)、都筑製作所(足回り部品)、ベルソニカ(車体骨格部品)、三井金属(四輪車用排ガス触媒を新たに生産)
経営・事業体制強化 市光工業(合弁会社を完全子会社化:ヘッドランプ)、JFE商事(出資:伸線加工)、メタルワン(出資受け入れ:棒線二次加工強化のため)
(資料)各社の計画から作成



ベトナムにおける日系自動車部品メーカーの動き(生産品目など)

新規進出 旭化成(エアバッグ向けナイロン繊維工場を検討中)
生産能力増強・新品目の追加 <新たな工場建設>
バンドー化学(工場移転・拡張:四輪用伝動ベルトを新たに生産)
<設備増設、生産品目の追加>
クラベ(生産ライン拡充:ステアリングヒーター)、京王電化(自動化ライン設置:部品めっき)、信越化学(設備増設:レアアース磁石)、TANOI(設備増設:ターボチャージャー部品)、名古屋精密金型(新棟:ランプカバー向け金型)、三谷産業(新棟:樹脂成形部品)、UACJ(設備増設:削出型コンプレッサーホイール生産に本格参入)
(資料)各社の計画から作成

 

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<日系部品メーカーの海外動向>