タイ: 2017年の生産台数は前年比2.6%増の200万台の見通し
買い替え需要増加で国内市場は回復、世界経済の低迷により輸出は横ばい
2017/01/16
- 要約
- 2016年1-10月は中東向け輸出が大幅に減少
- タイの国内市場:トップのトヨタは新型Hiluxの不振でシェアが31.7%に低下
- タイ政府:EV振興策、商用車税制優遇措置を実施
- 生産拠点:ホンダは新工場稼働/既存工場は生産ラインを集約化、マツダはエンジンの、BMW/SAICは車両の生産能力増強へ
- 日本メーカー:トヨタ、ホンダ、三菱、日産、富士重工の動向
- その他のメーカー:GM、BMW、VWの動向
- 商用車メーカー:北汽福田汽車、東風商用車の動向
- (資料)
- LMC Automotive 生産予測:タイの生産台数は2020年に237万台となる見通し
要約
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購買力の低下により2016年の国内販売は低迷、2017年は増加
タイでは2016年1月から排出量基準の新たな物品税が導入され、一部モデルが増税になったために2015年終盤に駆け込み需要が発生し、2016年初頭からの販売に悪影響を与えた。その後も自動車ローン審査の引き締めや購買力の低迷により販売は軟調に推移。10月には前国王が崩御し、消費等の自粛の影響もあり、タイ工業連盟(FTI)が12月に発表した2016年通年の販売実績見込みは前年比6.2%減の75万台。
2017年は、2011-2012年に実施された初回購入支援策の際のローンが終了するほか、購入から5年間という転売禁止期間が終わって買い替えが可能となるため、国内販売は増加に転じ、前年比6.7%増の80万台の見込み。
2017年の生産は微増、輸出は前年並みの見込み
FTIは、2017年の生産台数見通しを前年比2.6%増の200万台と予測。タイ全体の年産能力は300万台以上あり、生産能力が過剰な状況が続く。そのため、ホンダは生産ラインの集約を2017年3月末以降に行い、生産効率を高める。
生産のうち、輸出向けは前年と同水準の120万台を見込む。世界経済、特に中東地域の市況の低迷により輸出は伸び悩む見通し。また、米国の新政権による経済政策の転換も、米国への輸出に影響を与える可能性がある。
タイ政府:EV振興策を策定
タイ政府はハイテク産業による経済発展と環境に配慮した車の普及を目指し、タイをEV生産のハブとするため、2016年3月にEVの本格的普及ロードマップを作成。8月には、EV製造に対する税制優遇措置を承認した。しかし、10月になっても申請はなく、一部の専門家やOEMは政策の方向性や時期について見直しを求めていた。12月の報道では、政府が近く公表する新たなEV振興策にはプラグインハイブリッド車(PHV)も含まれる予定。
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