中国・華東地区の日系サプライヤー: NEV市場の拡大に対応
EV、PHVなど電動車向けの部品や材料の生産・販売を増強
2019/05/30
- 要約
- 上海市:工場移転・新設(サンデン)、設備増強(三菱重工業)、拡販・事業強化(ケーヒン、豊田合成、パイオラックス、マブチモーターなど)
- 江蘇省:新工場設立(トヨタ紡織、ジヤトコなど)、工場増設(帝人、エンビジョンAESCなど)、設備増強(NTN、ニチコン、日本特殊陶業など)
- 浙江省:新会社設立(アイシンAW)、工場増設(日本電産、小倉クラッチ、日東精工など)、設備増強(愛知製鋼、神戸製鋼など)
- 山東省:新会社設立(日本パーカライジング)、出資比率変更(日鍛バルブ)
- 安徽省:新工場設立(アイシン精機、TPR)、生産調整(アーレスティ)
- 江西省:合弁設立(セントラル硝子)、事業買収(マブチモーター)
要約
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中国の自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます。) 華東地区の自動車工場マップ |
本レポートは、中国・華東地区における日系部品メーカーの動向である。(2018年2月から2019年4月までの約15ヵ月間を収録)
2018年の中国の自動車生産台数は2,781万台(前年比4.2%減)、販売台数(工場出荷台数)は2,808万台(同2.8%減)となり、市場成長の鈍化が見られた。主な要因としては米中貿易戦争の影響と2017年末の小型乗用車減税政策終了前の駆け込み需要の反動が挙げられる。車種別の販売台数では、SUVが999.5万台(前年比2.5%減)、セダン・ハッチバックは1,152.8万台(同2.7%減)とともに減少した。特に下半期の落ち込みが激しく、7月以降の全ての月で前年同月比を下回った。
一方で、EV、PHVなどの新エネルギー車(NEV)の販売台数は前年比61.7%増の125.6万台と大幅に増加している。中国政府は2018年1月からNEV対象車両の車両購置税が免除される「新エネルギー車の車両購置税免除公告」を施行。その一方で排気量1.6L以下の乗用車を対象にした車両購置税率を10%に戻した。また2019年よりICE車(ガソリン車、ディーゼル車、ガス燃料車、ハイブリッド車)の生産・販売台数が年間3万台以上の企業を対象にNEVクレジット制が導入され、新たなNEVモデルの導入や体制づくりが加速している。
華東地区は、中国自動車グループ最大手の上海汽車の本拠地がある。また、民族系最大手の吉利汽車グループの本社がある浙江省や、中国メーカーで最も輸出台数が多い奇瑞汽車やEVでVWと合弁を締結した安徽江淮汽車の本社がある安徽省などを抱える。また、新興EVメーカーのNIO(蔚来汽車)やBytonモデルを製造するFMC(Future Mobility Corporation)、WM Motor(威馬汽車)などの本社は華東地区である。
Daimlerと吉利汽車は2019年3月、smartの次世代EVを共同開発して中国の専用工場で生産すると発表。VWグループは2018年に安徽江淮汽車(JAC)とのEVモデル「SOL E20」を公開し、さらに逸駕智能、江淮汽車とともに合肥市内でスマートモビリティプラットフォームを展開することを発表した。Teslaは上海臨港地区に単独出資の工場を建設。上海汽車は華為(Huawei)と戦略的提携合意書を結び電動化・インテリジェント製造などで協力する。天津一汽華利汽車を取得したFMCは生産拠点を南京市に移転し、2019年末までにBytonモデルを生産する計画。
日系自動車部品メーカーはこうしたNEV関連の動きに対応して、EV、PHVなど電動車向けの部品や材料の生産・販売を増強している。日本電産のE-Axle専用工場稼働、サンデンホールディングスの電動コンプレッサー生産増強、三菱ケミカルと宇部興産によるリチウムイオン電池用電解液の生産集約といった動きが見られる。また今後の動向としては、パナソニックの車載用リチウムイオン電池、明電舎のモーター・インバーターなどEV部品の現地生産化を検討する動向も報じられている。電動化・軽量化に伴う樹脂製品の需要拡大に対応する動きもあり、帝人グループは車載用樹脂製品の新工場を建設する。
中国での日系サプライヤーの動向 (*新品目投入)
新会社(工場) 設立・稼働・出資 |
江蘇省 | ジヤトコ(CVT:新会社+新工場) トヨタ紡織(内装材:新会社+新工場) DOWAホールディングス(すずめっき加工:新会社+新工場) 三菱ケミカル・宇部興産(LiB用電解液:新会社、生産集約) メック(電子基板用薬品:新会社+新工場) |
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山東省 | 日鍛バルブ(エンジンバルブ:新工場設立) | ||
安徽省 | アイシン精機(AT用アルミダイカスト部品:新会社+新工場) | ||
生産能力 増強 |
生産ライン・設備 等の増資など |
上海市 | 三菱重工業(ターボチャージャー:設備増強) |
江蘇省 | NTN(等速ジョイント:新ライン設置) 虹技(自動車用プレス金型用鋳物:設備増強) ニチコン(EV向けフィルムコンデンサー:生産増強) 日本特殊陶業(*全領域空燃比センサー:量産開始・新ライン設置) 日本ピストンリング(ピストンリング:新ライン設置) hakkai(樹脂部品:設備増強) パナソニック(*車載用リチウムイオン電池:2工場で生産検討) 三井金属アクト(サイドドアラッチ:新ライン設置) 武蔵精密工業(ディファレンシャルケース:設備増強) |
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浙江省 | 愛知製鋼(モーター用磁石加工:設備増強) 神戸製鋼(冷間圧造用ワイヤー:設備増強) |
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安徽省 | TPR(ディーゼルエンジン用シリンダライナー:新ライン設置) | ||
工場増設、 建屋拡張 |
上海市 | サンデンホールディングス(電動コンプレッサー:移転、新工場) | |
江蘇省 | イリソ電子工業(*車載向けコネクター:新工場) エンビジョンAESC(車載用二次電池:新工場) 帝人グループ(バッテリーボックスなど樹脂製品:新工場) ダイキン工業(*フッ素化学品:新工場) ニチアス(インシュレーター:移転、新工場) ニチリン(自動車用ホース:移転、新工場) PEVE(車載用ニッケル水素電池モジュール:建屋増設) |
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浙江省 | 小倉クラッチ(カーエアコン用クラッチ:新工場) 日東精工(高付加価値ネジ:新工場) 日本電産(E-Axle:新工場) 明電舎(電動車向けモーター・インバーター:生産体制を検討) |
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安徽省 | TPR(*AT用樹脂シールリング:新工場) | ||
事業体制強化 (工場取得、合弁会社化、 開発・営業・試験拠点) |
上海市 | ケーヒン(電動車用製品:営業拠点設置) 積水化学工業(エレクトロニクス材料:技術サービスセンター新設) 豊田合成(地域統括会社を持ち株会社へ変更) 日本ピストンリング(ピストンリング:技術サービス事務所増設) パイオラックス(販売統括会社設立、設計開発部門設置) マブチモーター(統括会社設置) |
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江蘇省 | イーグル工業(EVモーター向けシール:研究開発拠点設置) 東海理化(スイッチ、シートベルトなど:営業技術拠点設置) 豊田合成(セーフティシステム、内外装部品:子会社合併) ミネベアミツミ(*車載モーター用センサー:生産開始、開発拠点設置) |
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浙江省 | アイシン・エィ・ダブリュ(AT部品:合弁会社設立) 住友理工(防振ゴム、自動車用ホース等:営業本部開設) 大日光・エンジニアリング(部品調達:合弁会社設立) |
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江西省 | セントラル硝子(LiB用電解液材料:合弁会社設立) マブチモーター(小型モーター向け鋼材加工:買収) |
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その他 (国外に生産移管、減産など) |
江蘇省 | 三洋化成工業(塗料用添加剤:タイに移管) | |
浙江省 | 藤倉コンポジット(自動車向けゴム:新工場の建設遅延) | ||
山東省 | 日本パーカライジング(熱処理加工:出資比率引き下げ) | ||
安徽省 | アーレスティ(ダイカスト製品:減産) |
関連レポート:
2019年中国販売の見通し(汽車工業会)は2,810万台うちNEVは160万台 (2019年3月)
2018年中国市場:新車販売台数2.8%減の2,808.1万台、乗用車は前年比4.1%減 (2019年2月)
<日系サプライヤーの海外事業動向>
西欧 (2019年5月)
インド (2018年11月)
メキシコ (2018年10月)
米国・カナダ (2018年9月)
ASEAN (2018年8月)
中国・華南・華中・華北・東北地区 (2018年3月)
中国・華東地区 (2018年3月)
中東欧 (2018年2月)
上海市:工場移転・新設(サンデン)、設備増強(三菱重工業)、拡販・事業強化(ケーヒン、豊田合成、パイオラックス、マブチモーターなど)
ケーヒン | 上海市に営業拠点を開設 ケーヒンの中国子会社である東莞京濱汽車電噴装置有限会社(Dongguan Keihin Engine Management System Co., Ltd.)は2018年8月、上海市に営業拠点(上海分公司)を開設した。電動車市場が急速に拡大する中国で地域に密着した営業活動を通して完成車メーカーのニーズに合わせたタイムリーな技術提案を行い、電動車用製品(パワーコントロールユニットやバッテリーマネジメントシステムなど)の販売拡大を図る。 |
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サンデンホールディングス | 上海工場を移転・新築、電動コンプレッサーの生産を増強 サンデンホールディングスの中国合弁会社である華域三電汽車空調有限公司(Sanden Huayu Automotive Air conditioning Co., Ltd.)は2018年7月、上海市浦東新区に新工場「華域サンデン合慶」を竣工した。新工場は上海黄浦区の本社管理機能と上海市徐匯区にある石龍工場から工場設備を移転・新築するもので、2018年3月に本社機能を新工場へ完全移転し、4月から新工場でPXコンプレッサーの生産・販売を開始、8月から電動コンプレッサーを生産する。新工場の敷地面積は11.6万平方メートル、建屋総面積は10.5万平方メートル。生産能力は年間1,500万台。華域三電はこれまで石龍工場で中国国内顧客向けのコンプレッサー開発、生産を行っていたが、販売増加に伴い手狭となり、新工場への移転を決定した。石龍工場からの生産設備ならびに開発設備の移設は2019年に終了する予定。 |
積水化学工業 | 上海にエレクトロニクス材料技術サービスセンターを新設 積水化学工業は2018年10月、中国の関連会社である積水保力馬科技(上海)有限公司(Sekisui Polymatech (Shanghai) Co., Ltd.)の建屋内に同社のエレクトロニクス製品の評価を行う施設「エレクトロニクス材料技術サービスセンター」を新設した。シール剤や電子部品用粘着テープの評価や試作を行う。中国の顧客からの評価依頼に迅速に対応するとともに、製品や技術の提案を進め、同分野の売り上げ拡大を図る。また、同敷地内に自動車電装関連製品のショールームを併設し、EV化や自動運転化などの流れを背景に市場が拡大しているカーエレクトロニクス領域の開拓も図る。 |
豊田合成 | 中国の地域統括会社を持ち株会社へ変更 豊田合成は2018年12月に中国の地域統括会社「豊田合成(上海)管理有限公司」の会社形態を持ち株会社「豊田合成(上海)投資有限公司」へ変更し、エアバック生産を拡充する。エアバック生産を担う天津、張家港、仏山の3拠点のほか、現地の主要生産子会社は新会社の傘下とする。新興国で安全基準を強化する動きがあり、中国市場における経営判断を迅速化し効率的な事業運営を推進することで、自動車部品の生産・販売を中心に事業拡大を狙う。 |
日本ピストンリング | 上海事務所を増設 日本ピストンリングは2018年8月に上海事務所を増設し、既存顧客への技術サービスの拡大と新規顧客の獲得を目指す。早期に製品調査の簡易設備やエンジンベンチシステムなどを導入するほか、常駐のエンジニアも置く。同社は2005年に日環汽車零部件製造(儀征)(NPR Auto Parts Manufacturing (Yizheng) Co., Ltd)を設立し、生産規模を拡大するとともに、中国に展開する自動車メーカーへの拡販を進めている。 |
パイオラックス | 中国の販売統括会社を設立、設計開発部門も設置 パイオラックスは上海営業所を法人化して、2019年1月に中国の販売統括会社「上海パイオラックス (Shanghai Piolax Co., Ltd.)」を設立した。広州、武漢にも営業支店を設立し、元の上海支店、天津支店と4拠点で中国全土への拡販を強化する。また、上海パイオラックスに設計開発部門を置き、技術革新が進む中国市場で自動車メーカーが積極的に取り組んでいるCASE分野の情報を社内で共有する体制を整え、最新の技術動向を調査する。 |
マブチモーター | 中国事業の統括会社を設置、拡販体制の構築と意思決定の迅速化を図る マブチモーターは中国事業の強化を目的に、万宝至馬達(上海)有限会社 (Mabuchi Motor (Shanghai) Co., Ltd.)の商号を変更し、2019年3月に統括会社「宝至馬達(上海)管理有限公司(Mabuchi Motor(Shanghai) Management Co., Ltd.)」を設置する。統括会社を中心に中国市場での拡販体制を構築するとともに、中国事業における意思決定の迅速化を図る。 |
三菱重工業 | 上海工場のターボチャージャー生産を増強、カートリッジ生産ラインを導入 三菱重工業は自動車用ターボチャージャー(過給機)事業を拡大するため、上海工場に中核部品であるカートリッジの生産を導入し、過給機の生産を増強する。同社は日本(相模原)とタイで生産したカートリッジを上海菱重増圧器(SMTC: Shanghai MHI Turbocharger Co., Ltd.)に供給し、最終組み立てを行っていた。カートリッジ生産ラインは上海の第3工場に整備して、2018年度から生産を開始。また、相模原とタイでも最終組み立てとカートリッジのラインを増強する。新興国での自動車の普及や環境対応などに伴って、当面は過給機市場が成長する見込み。三菱重工業は年間生産1,000万台を目安に設備投資を進め、過給機のグローバル生産体制を増強する。(2018年8月報道) |
江蘇省:新工場設立(トヨタ紡織、ジヤトコなど)、工場増設(帝人、エンビジョンAESCなど)、設備増強(NTN、ニチコン、日本特殊陶業など)
イーグル工業 | 中・欧に研究開発拠点、EVモーター向けシール材強化 イーグル工業はEVの普及拡大を見据えて研究開発機能を強化する。2019年に中国とドイツで次世代自動車の研究開発拠点を開設し、EVモーター向けメカニカルシールなどの開発に取り組む。中国では江蘇省無錫市に「Eagle sealing R&D (Wuxi)」を設立する。 |
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イリソ電子工業 | 南通市に車載用コネクターの工場開設 イリソ電子工業が江蘇省南通市に建設していた新工場が2018年4月に完成し、稼働を開始。IoTを用いた新生産システムが特徴。車載市場向けコネクターを生産する。同社において海外で4番目の生産拠点になる。(2019年4月報道) |
NTN | 南京子会社に等速ジョイントの生産ライン新設、新興EVメーカー開拓 NTNは、江蘇省南京市にある生産子会社「南京恩梯恩精密機電(Nanjing NTN Corporation)」で等速ジョイントの生産ラインを新設する。新規受注先のEVメーカーが2019年内にも生産を開始する予定のモデルに等速ジョイントとハブベアリングを供給する。南京市は自治体全体でEV産業の振興に力を入れており、市内のEVメーカーに生産部品の市内調達を推奨している。こうした背景から南京市に工場のあるNTNの等速ジョイントが採用された。NTNは新興EVメーカーの開拓も進めており、2017年から蔚来汽車(NIO)に等速ジョイント、2018年から長春富晟汽車創新技術(FAST)にEVのインホイールモーター技術を提供するライセンス契約を締結している。(2019年3月報道) |
エンビジョンAESC (旧オートモーティブエナジーサプライ) |
無錫に車載用二次電池の新工場と開発拠点を建設 中国の再生エネルギー大手エンビジョングループ傘下のエンビジョンAESCは、江蘇省無錫市に車載用二次電池の新工場と開発拠点を建設すると発表した。2020年末に量産をはじめ、2023年には年間生産能力を20ギガワット時まで高める。同社の2018年の車載二次電池の世界シェアは6%。将来的には20%超を狙う。エンビジョンAESCの前身は日産自動車子会社のオートモーティブエナジーサプライ(AESC)。3月末にエンビジョングル―プへの事業売却が完了。エンビジョンAESCグループの株式保有比率は日産が20%、エンビジョングループが80%。(2019年4月報道) |
虹技 | 南通工場で自動車用プレス金型用鋳物を増産 虹技は岡谷鋼機との合弁会社で、自動車用プレス金型用鋳物を生産する南通工場(江蘇省南通市)に2億円を追加投資した。発泡加工機やクレーンを増設して需要増に対応する。2017年6月に稼働した同工場は順調に生産を増やしており、稼働当初の計画の月産1,000トンから、2018年2月には月産2,000トンを突破している。(2018年3月報道) |
三洋化成工業 | 塗料用添加剤の生産をタイに移管、中国での環境規制強化が影響 三洋化成は2019年中に、江蘇省南通市の工場で手掛ける塗料用添加剤の生産をタイの既存工場に移す。これまで生産過程で大量に排出する廃液を現地業者が回収していたが、環境規制の強化による回収価格の上昇や業者の廃業などで対応が困難になった。2018年には汚染物などの排出量に応じた税制度も導入され、進出企業のコスト負担が増加している。(2019年2月報道) |
ジヤトコ | 蘇州にCVT新工場を設立 ジヤトコは中国における同社第2の無段変速機(CVT)生産拠点となる「ジヤトコ(蘇州)自動変速機有限公司」を江蘇省に設立すると発表した。中国市場におけるCVT需要の拡大に伴い、生産能力を強化する。資本金は64億円。2019年末に生産開始、稼働時の生産能力は年間48万台で従業員は約1,000名の規模。中・大型FF車用のJatco CVT08を生産する。 |
ダイキン工業 | 江蘇省にフッ素化学品の新工場、EV市場を開拓 ダイキン工業は2022年をめどに500億円を投じて江蘇省の常熟市に化学工場を新設する。半導体製造設備や車載用リチウムイオン電池の部材に使うフッ素化学品を製造する。同社はフッ素化学品事業の拡大に向け、同年までに国内外で総額1,000億円を投じる計画。中でも第5世代通信(5G)機器用の半導体需要が拡大し、世界最大のEV市場になる期待が高い中国市場での需要取り込みを加速する。(2019年2月報道) |
帝人グループ | 常州市に自動車向け樹脂製品の工場新設 帝人グループのコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチック(CSP)の中国合弁会社CSP-Victall社は2019年1月、唐山市に続き、常州市の武進国際ハイテク工業区内に第2工場を新設すると発表した。常州市は長江デルタ地帯にあり、GMやVWなどの欧米自動車メーカーだけでなく、寧徳時代新能源科技(CATL)や江鈴汽車(Jiangling Motors Co., Ltd.)、上海汽車集団(SAIC)といった中国有力メーカーが集積する。CSP-Victall社は、2015年から唐山市で自動車向けコンポジット製品とその中間材料として熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させ、シート状にした成形材料のGF-SMCを製造している。第2工場の新設で、中国国内で急速な伸びが期待されているEV向けバッテリーボックスのほか、自動車向け外板部品やピックアップトラック向け部品などを含む多様な製品を中国市場へ積極的に投入していく。 |
東海理化 | 無錫に営業技術拠点を設置 東海理化は営業技術拠点として江蘇省無錫に全額出資による新会社「東海理化(江蘇)汽車部件有限公司(Tokai Rika (Jiangsu) Automotive Parts Co., Ltd.)」を設立した。2019年1月に業務を開始。同社にとって中国4番目の拠点となる。生産拠点から独立した営業技術拠点を新たに設けることで、従来以上に中国市場のニーズに迅速かつ積極的に対応できる体制を構築する。資本金は200万ドル(約2.2億円)。東海理化は天津、無錫、仏山にスイッチやシートベルトなどを製造する拠点を持ち、そのうち約7割はトヨタ向け。新拠点の設立でFordなど中国に注力する外資メーカーや急成長する中国ローカルメーカーとの取引を増やす狙い。 |
トヨタ紡織 | 塩城市に内装材製造・販売の新会社設立 トヨタ紡織は上海にある連結子会社の川島織物(上海)有限公司(Kawashima Textile Manufacturers (Shanghai) Ltd.)が江蘇省塩城市に輸送機器用内装材の製造販売を行う子会社「川島汽車部件江蘇有限公司」を設立すると発表した。資本金は5,000万元(約8億4,200万円)。新会社では原糸からファブリック、シートカバー縫製までの一貫生産体制を整え、業容拡大に対応できる工程を整備する。 |
豊田合成 | 中国の生産子会社2社を合併 豊田合成は江蘇省にある生産子会社「豊田合成(張家港)科技有限公司(Toyoda Gosei (Zhangjiagang) Co., Ltd.)」と「豊田合成(張家港)塑料製品有限公司(Toyoda Gosei (Zhangjiagang) Plastic Parts Co., Ltd.)」を合併することを決定した。セーフティシステム製品を扱う豊田合成(張家港)科技が存続会社となり、内外装を生産する豊田合成(張家港)塑料製品を吸収合併する。合併後は統合会社がセーフティシステム製品や内外装部品を生産し、トヨタなど現地に進出する日系自動車メーカー向けを中心に製品を納入する。 |
DOWAホールディングス | 南通に新工場、すずめっき加工事業を拡大 DOWAホールディングスは子会社のDOWAメタルテックが江蘇省南通市に「同和金属技術(南通)有限公司(Dowa Metaltech (Nantong) Co., Ltd.)」を設立し、中国での伸銅品すずめっき加工事業を拡大すると発表した。資本金は1,500万ドル(約16.5億円)。2019年10月に月間加工量500トン規模で操業開始予定。中国における自動車生産の拡大と高品質化に伴い、車載向け電子機器のコネクターなどへのすずめっき加工需要が拡大することに対応する。 |
日本特殊陶業 | 全領域空燃比センサーを量産、国6規制導入に伴う需要増加に対応 日本特殊陶業は江蘇省常熟にある生産子会社の工場で2019年2月より全領域空燃比センサーの量産を開始する。また、2020年6月の稼働に向け、第2生産ラインも導入予定。生産能力は1ラインあたり年間350万個で投資額は各ライン10億円。同製品の生産は日本、米国に次ぎ3カ国目。中国で生産するのは最新型の「ZFAS-U3」で、自動車の排出ガス中の酸素をより厳密に測定できる。焼成を含む素子の成形は日本で担当し、常熟では組立のみを担当する。同社は酸素センサー全体ではBoschに次ぎ世界シェア2位。2020年に中国で排出ガス規制「国6」が導入されることに向けて、全領域空燃比タイプでも現地生産で競争力を高め、規制強化による酸素センサーからの切り替え需要を取り込む。(2019年1月報道) |
日本ピストンリング | 新ライン導入でピストンリング生産を効率化 日本ピストンリングは2018年後半から2019年までに江蘇省の「日環汽車零部件製造(儀征)有限公司(NPR Auto Parts Manufacturing (Yizheng) Co., Ltd.)」にピストンリングの新ラインを設ける。岩手県一関市にある子会社で導入されている生産ラインと同一で、生産コストが約3割削減できる。従来は別々の工程で作っていた構成部品を同一設備で生産することができ、加工冶具の共通化、検品の効率化や製品搬入の自動化なども備える。(2018年3月報道) |
ニチアス | 蘇州工場を移転、インシュレーター増産 ニチアスはエンジンなどからの熱を保護する遮熱板のインシュレーターを、中国子会社である蘇州双友汽車零部件(Suzhou Shuangyou Auto Parts Co., Ltd.)の生産拠点や茨城県下妻市にある結城工場で増産する。北米を中心に海外需要が堅調に推移していることから生産体制を強化する。現在の蘇州双友汽車零部件の生産拠点は市街地にあるため中国当局に移転を命じられており、2019年1月までに25億円を投じて近隣に新工場を建設する。移転に伴いインシュレーターの生産能力も引き上げる。(2018年8月報道) |
ニチコン | EVコンデンサーの生産能力を3倍に増強 ニチコンは2020年度に中国の宿遷工場(江蘇省)でEV向けフィルムコンデンサーの生産を始める。宿遷工場に同コンデンサーの新棟も建設する予定。2025年までに同コンデンサーの生産能力を現状比で3倍に引き上げる。同社のコンデンサー事業の売上のうち、EV向けフィルムコンデンサーの割合は7%、将来20~30%に引き上げる方針。世界最大のEV市場で日系自動車メーカーなどの現地生産や中国系メーカーからの需要を狙う。(2019年4月報道) |
ニチリン | 江蘇省に新工場、上海から生産移管 ニチリンは上海市の都市計画を受け、エアコンホースとブレーキホースを生産する「上海日輪汽車配件(Shanghai Nichirin Automobile Accessories Co., Ltd.)」での生産を移管して、江蘇省常熟市に新工場を設立する。新工場建設に伴い、従来からの合弁先である上海北蔡工業(Shanghai Beicai Industry Co., Ltd.)と新たな合弁会社「蘇州日輪汽車部件(Suzhou Nichirin Automobile Parts Co., Ltd.)」を2017年に設立。2019年6月から稼働する予定。生産能力は現行の約1.5倍に引き上げる。既存の上海工場は精算する方針。(2019年2月報道) |
hakkai | 中国・メキシコで自動車向け樹脂部品を増産 樹脂部品メーカーのhakkaiは、中国とメキシコで自動車関連部品などを増産する。両工場で射出成型機を追加し、2018年12月期の出荷量を金額ベースで3~5割増やす。中国江蘇省にある工場では自動車部品や電気機器に内蔵する部品の生産を増やす。現地で伸びている日系メーカーの自動車販売や中国政府の政策に伴うエアコン需要の拡大に対応する。同工場では射出成型機を2割増の35台に増やした。(2018年3月報道) |
パナソニック | 江蘇省の2工場で車載電池の生産を検討 パナソニックは江蘇省の2工場(無錫と蘇州)で、EVなどに搭載する車載電池の生産を検討している。江蘇省の工場は現在、リチウムイオン電池をノートパソコン用などに生産しているが、これを車載用への切り替え、あるいは製造ラインの新設を検討。環境対応車の普及が見込まれる中国で生産体制を整えるのが狙い。(2018年3月報道) |
プライムアースEVエナジー(PEVE) | HV向けニッケル水素電池の生産能力増強 トヨタ子会社のプライムアースEVエナジー(PEVE)は中国における関連会社「科力美オートモーティブバッテリー有限公司(Corun PEVE Automotive Battery Co., Ltd.)」の常熟市(江蘇省)の工場の隣接地に2棟目の新工場建屋を建設する。投資額は約160億円で、2020年前半に稼働開始を予定している。新工場の生産能力は年間約11万台分(車両換算)。同社の中国での生産能力は現在の約2倍になる見込み。ハイブリッド車(HV)の中国における需要増加に対応するため、車載用ニッケル水素電池モジュールの生産能力増強を図る。 |
三井金属アクト | 無錫工場にドアラッチの新ラインを導入、タクトタイム短縮 三井金属アクトは江蘇省無錫市にある生産子会社の無錫大昌機械工業 (Wuxi Dachong Industry Co., Ltd.) で新しい生産ラインを導入する。新ラインは伝導磁石の力を利用し、加工物の工程間の輸送スピードをアップできることが特徴で、既存の生産ラインよりタクトタイムを短縮できる。また、全工程を自動化できるため省人化によって人手不足や人件費の上昇に対処できる。2018年から稼働を開始し、日系自動車メーカー向けのサイドドアラッチを車両ベースで年間170万台分を生産する。(2018年4月報道) |
三菱ケミカル・ 宇部興産 | リチウムイオン電池用電解液で合弁発足、供給体制を整備 三菱ケミカルと宇部興産は中国でリチウムイオン電池(LiB)用の電解液事業の共同出資会社「常熟宇菱電池材料有限公司(Changshu UM Battery Materials Co., Ltd.)」を2018年1月に発足した。三菱ケミカルの電解液子会社の株式50%を宇部興産へ譲渡して合弁形態に切り替えた。生産拠点は宇部興産の中国工場を閉鎖して、旧三菱ケミカルの江蘇省常熟の工場に集約し、電解液の年産能力を2万トンに倍増する。両社の知的財産や開発力を活用することで、技術力とコスト競争力を強化する。 三菱ケミカルは2020年度をめどにLiB用電解液の世界生産能力を現状比2.8倍の12万トンに増強する。米国テネシー州メンフィス市の既存工場を強化、停止していた英国ストックトンオンティーズ市の工場を再稼働させることで対応する。 |
ミネベアミツミ | 車載モーター用センサーを生産、中国・欧州に開発拠点 ミネベアミツミは2018年10月から中国でEV駆動モーターに使うセンサー部品の生産を開始する。主軸などの角度を計測して、モーターを制御する「レゾルバ」というセンサー部品で、タイの工場で生産しているが、上海郊外の呉江工場でも駆動モーター向け製品を生産する。また、蘇州では10月にモーターなどの車載部品の開発拠点を設置する。これらの投資に中国では3年間で計30億円投じる。同社は欧州でもスロバキアに車載モーターを開発する新拠点を整備する。中長期目標として2020年3月期に売上高1兆円、2021年3月期に営業利益1,000億円を目指す。(2018月6月報道) |
武蔵精密工業 | 南通拠点でディファレンシャルケースを一貫生産 武蔵精密工業は江蘇省南通市にある武蔵精密汽車零部件(南通)有限公司(Musashi Seimitsu Auto Parts (Nantong) Co., Ltd.) の生産体制を増強する。同拠点ではディファレンシャルのケースの加工のみ手掛けていたが、設備を導入して構成部品であるギアの生産から、アッセンブリーまで一貫生産する。 同社は中国のBYDからボールジョイントを受注、2018年内に供給を開始する。中長期的には南通市の工場でボールジョイントなど生産する部品の種類を増やして現地供給体制を拡充する。(2018年3月報道) |
メック | 電子基板用薬品の生産会社を新設、自動車の電装化に対応 メックは江蘇省常熟市付近に電子基板・部品製造用薬品の生産子会社「美格特殊化学(常熟)有限公司(MEC China Specialty Products (Changshu) Co., Ltd.)」を設立すると発表。スマートフォンやパソコン、自動車の電装化に伴いパッケージ基板の搭載が増加。製造工程で必要な薬品の需要増に対応する。2019年11月に設立、2021年10月に操業開始を予定している。資本金は18億円(予定)。現子会社である「美格特殊化学(蘇州)有限公司(MEC China Specialty Products (Suzhou) Co., Ltd.)」の約3倍の生産能力を持つ。新工場の開設後、現存の蘇州市の拠点は閉鎖する。 |
浙江省:新会社設立(アイシンAW)、工場増設(日本電産、小倉クラッチ、日東精工など)、設備増強(愛知製鋼、神戸製鋼など)
アイシンAW | 寧波市に吉利グループとの合弁会社を設立、FF用6速ATを生産 アイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)は2018年10月、吉利グループ(浙江吉利控股集団)傘下の浙江吉利羅佑発動機と合弁会社を設立した。新会社「浙江吉利愛信自動変速器有限公司(Zhejiang Geely Aisin Automatic Transmission Co., Ltd.)」は寧波市杭州湾新区に設立、資本金は117百万ドル(約127億円)で、出資比率はアイシン・エィ・ダブリュが60%、浙江吉利羅佑発動機が40%。2020年2月に前輪駆動(FF)用6速ATの生産を始め、年間生産能力は40万台の予定。 |
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愛知製鋼 | 浙江愛智機電に追加出資、磁石事業の生産能力増強と製販拠点強化 愛知製鋼は2019年3月、モーター用磁石加工を手掛ける浙江愛智機電 (Zhejiang Aichi Mechanical & Electrical Co., Ltd.)に800万元(約1.4億円)の追加出資を行い、出資比率を33.3%から48.6%に引き上げた。生産能力増強のための増資分を100%引き受けたもので、月産能力は80万個から140万個に拡大する。増産開始は2019年5月から。浙江愛智は主に自動車シート用モーターなどを供給しているが、EVモーター市場への参入も視野に入れている。愛知製鋼は2018年3月から浙江愛智機電に出資しており、磁石の一体射出成形技術を移管している。 |
小倉クラッチ | カーエアコン用クラッチの専門工場を新設 小倉クラッチの中国生産子会社である小倉離合機(長興)有限公司 (Ogura Clutch (Changxing) Co., Ltd.、林城工業集中区)が第2工場を新設した。第1工場で製造していたカーエアコン用クラッチの生産を移管して専門工場とした。投資額は約10億円。生産能力は年間100万台で、広東省東莞市にある工場と同等となる。中国国内の需要増に対応するほか、北米や南米に向けての出荷も視野に入れている。なお、第1工場では一般産業機械向けのブレーキ・クラッチを集中生産する。(2018年3月報道) |
神戸製鋼 | 平湖工場で冷間圧造用ワイヤーを増産 神戸製鋼は約9億円を投じて、特殊鋼線材二次加工拠点である神鋼特殊鋼線(平湖) (Kobe Special Steel Wire Products (Pinghu) Co., Ltd.)の生産能力を強化した。神鋼特殊鋼線は自動車用ボルト・ナット、軸受製品などに使用される冷間圧造用ワイヤーを製造している。2020年3月までに伸線機3機、2020年6月までに熱処理炉2基を増やす予定。増強により月産能力は5,500トンになる。中国の自動車生産拡大に伴う材料の現地調達ニーズに応える狙いがある。 |
住友理工 | 中国自動車営業本部を新設、ローカル民族系メーカーへの拡販を目指す 住友理工は地元資本の民族系メーカーに防振ゴムや自動車用ホースを拡販するため、2019年4月に中国自動車営業本部(嘉興市)を新設した。これまで日系メーカー向けの製品が大半だったが、中国の完成車メーカーや部品メーカーにもアプローチする。住友理工は2020年頃のEV向け部品の現地生産も視野に入れている。 |
大日光・エンジニアリング | 慈渓市に部品調達のための合弁会社を設立 電子機器製造の大日光・エンジニアリングは寧波福爾達智能科技(浙江省)など中国の車載機器メーカーや投資ファンド4社と、部品調達のための合弁会社「慈渓衆車聯网絡科技」を慈渓市に設立、2018年4月より稼働する。大日光・エンジニアリングの関連会社が5%(約6,000万円)出資する。大日光・エンジニアリングは江蘇省無錫市でカーエアコンやパワーウィンドなどに使う車載関連機器を製造している。車載関連部品の共同購入によりコストを抑制するとともに、購買力のさらなる強化と車載メーカーとの取引拡大を図る。 |
日東精工 | ネジ生産の新工場を建設、自動車向け高付加価値ネジ生産にシフト 日東精工の子会社である日東精密螺絲工業(NPS: Nitto Precision Screw Industrial (Zhejiang) Co., Ltd.は嘉善県の敷地内にネジ生産の新工場を建設する。投資額は4億円で、稼働開始は2020年6月を予定している。新工場の稼働によりNPS全体の生産能力を1.5倍に引き上げる計画。ローカル競合メーカーの台頭により価格競争が激化する標準ネジ製品から、品質要求が高い自動車向けの高付加価値ネジの生産にシフトする。 |
日本電産 | 平湖工業圏にE-Axleの専用工場稼働、第2工場も建設 日本電産は中国のEV市場の将来性を見込んでトラクションモーターシステム「E-Axle」の専用工場を平湖工業圏に建設、2019年5月に量産を開始する。E-Axleが広汽新能源汽車の発表した新型量産EV「Aion S」に採用されたため供給量を増やす目的がある。E-Axleはモーターとインバーター、ギアを一体化することで小型化・軽量化を実現し、車両レイアウトの柔軟性を高めている。 同社はさらに200億-300億円を投資し、駆動用モーターの第2工場も建設する。生産能力は第1工場と同規模の年間60万-70万台で、2020年から稼働する予定。中国市場は環境規制強化に伴い新エネルギー車の生産が増える見通しで駆動モーターの需要増に対応する。 |
藤倉コンポジット (旧藤倉ゴム工業) |
湖州市の新工場建設が遅延、環境規制強化の影響 藤倉コンポジット(旧藤倉ゴム工業)は2019年2月、子会社の安吉藤倉橡膠 (Anji Fujikura Rubber Ltd.)による新工場建設中止の報道を否定した。その一方で環境規制の影響を受け新工場の建設予定が遅れていると発表した。新工場(湖州市安吉経済開発区)の建設には約21億円の投資を見込んでおり、インジェクション装置の導入による新規製品立ち上げを予定している。2018年3月に着工、2019年10月に完工予定だった。中国国内のゴム生産に関する環境規制が強まっており、これまでは上海など大都市を中心とした規制であったが、地方にも広がっている。同社は自動車向けゴムを生産しており、新工場の建設は許可されていたが、安吉経済開発区での生産が困難になっている。 |
明電舎 | 2020年をめどにEV部品の中国生産を検討、杭州市の既存工場が候補 明電舎は中国国内での電動車向けモーターやインバーターの生産体制を築く検討に入った。これまで電動車向け部品は日本国内でのみ生産していた。産業機器向けのモーターやインバーターを生産する杭州市の生産子会社や現地日系企業との協業による生産体制の構築などを候補に検討する。明電舎のモーターやインバーターは三菱自動車のOutlander PHEVやi-MiEVに採用されている。今後は中国における日系自動車メーカーの電動車向け部品需要を取り込み、安定供給する目的がある。(2018年12月報道) |
山東省:新会社設立(日本パーカライジング)、出資比率変更(日鍛バルブ)
日本パーカライジング | 山東省日照市に熱処理加工の子会社を新設 日本パーカライジングは山東省日照市に熱処理事業の中核拠点となる完全子会社「日照パーカー表面処理有限公司(Rizhao Parker Surface Treatment Co., Ltd.)」を2018年6月にを設立、2019年3月開業する。資本金は1.1億元(約19億円)、段階的に出資。同社は中国生産拠点を6カ所展開しており、今回新たに中国北部に拠点を設けることで新規需要を取り込んでいく。 |
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日鍛バルブ | 傘中空バルブ新会社への出資比率を51%に引き下げ 日鍛バルブは2018年9月設立の合弁会社への出資比率を当初計画の85%から51%に引き下げると発表した。同社は傘中空バルブを山陽工場(山口県山陽小野田市)で集中生産しているが、グローバルで需要増加が見込まれることから、同製品を生産する合弁会社「日照日鍛汽門 (Rizhao Nittan Valve Co., Ltd.)」を山東省日照市に設立する計画。合弁先のEatonと日鍛バルブの中国エンジンバルブ生産拠点としては広東省広州市に続く工場となる。新会社の出資比率を当初の計画から引き下げるのは、グループ内の長期的な海外戦略や現地法人の投資計画の変更が理由としている。(2018年3月報道) |
安徽省:新工場設立(アイシン精機、TPR)、生産調整(アーレスティ)
アーレスティ | 合肥工場でダイカスト製品などを減産 アーレスティは子会社の合肥アーレスティ(合肥阿雷斯提汽車配件有限公司)合肥工場でダイカスト製品などの生産を3~4割減産することを決めた。当工場は2018年に鋳造工程や加工工程で増強を行っており、月間最大1,400トンの生産能力がある。中国市場では「国6」規制への対応でエンジン設計の見直しなどが進んでいるほか、米中貿易摩擦の影響で成長が鈍化しているため、現地生産を調整する。 (2019年2月報道) |
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アイシン精機 | AT用アルミダイカスト部品生産の合弁会社を設立 中国におけるオートマチックトランスミッション(AT)の生産量拡大に対応するため、安徽環新集団有限公司との合弁で「愛信(安慶)汽車零部件有限公司」を設立した。AT用トランスミッションケースなどアルミダイカスト部品の生産を2020年8月から開始する予定。新工場は安徽省安慶市に設立、華東地区のグループ内AT生産工場への供給を強化する。 |
TPR | AT用樹脂シールリング工場を新設、主要納入先の生産能力増強に対応 TPRは2年以内をめどに安徽省に自動変速機(AT)用樹脂シールリングの工場を新設する。投資額は約10億円を見込む。樹脂製品事業は2014年に安徽省安慶環新集団と合弁会社を設立して開始している。主要取引先のアイシン・エィ・ダブリュが進める生産能力の増強に対応するため、検討を始めた。新工場には上海市にある工場からゴム製品の生産移管も検討。中国で環境規制が強化される中、都市部におけるゴム製品の生産を避ける意向。(2019年2月報道) |
ディーゼルエンジン用シリンダライナーの生産効率化、商用車向け受注拡大を目指す TPRは安徽省安慶市にあるシリンダライナー工場に約10億円を投じて、ディーゼルエンジン用ライナーの生産ラインを効率化する。新ラインは2019年半ばに稼働する予定。生産合理化により製品のコスト競争力を高める狙い。中国市場で商用車販売が伸びると見て、ディーゼルエンジン部品の受注拡大を目指す。(2019年2月報道) |
江西省:合弁設立(セントラル硝子)、事業買収(マブチモーター)
セントラル硝子 | 九江天賜高新材料と合弁会社を設立、電解液原料を生産 セントラル硝子は広州天賜高新材料股份(広東省広州市)の100%子会社である九江天賜高新材料(江西省九江市)とリチウムイオン二次電池用LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)の濃縮液を製造するため、2018年3月に合弁会社を設立した。社名は江西天賜中硝新材料有限公司(Jiangxi Tinci Central advanced materials Co.,Ltd.)、資本金は1.2億人民元(約20億円)で、九江天賜高新材料が65%、セントラル硝子が35%出資する。セントラル硝子はEVに搭載する大型リチウムイオン二次電池の材料である電解液を製造しており、LiPF6の独自製造法を有する。合弁会社の設立は電解液の主原料であるLiPF6の低コストかつ安定調達が目的。 |
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マブチモーター | 阪和興業の子会社を買収、鋼板のスリット加工技術・設備を取得 マブチモーターは阪和興業の中国子会社である阪和鋼板加工(江西)有限公司を子会社の萬寶至實業有限公司(香港マブチ)を通じて買収した。阪和鋼板加工は万宝至馬達(江西)有限公司(江西マブチ)にハウジング、エンドベル、ローターなどの材料である鋼板をスリット加工し、コイル材として供給している。今回の買収により小型モーターの主要材料である鋼板のスリット加工技術及び設備等を獲得し、内製部材の競争力向上を目指す。 |
(参考資料:各社広報資料, 各紙報道)
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中国、日系、サプライヤー、部品メーカー、電動化、軽量化、樹脂成形、バッテリー、モーター
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