欧州の日系部品メーカー:ロシア/東欧で生産能力拡大、欧州メーカーへの拡販を狙う
旭硝子、大同メタル、東海ゴム、東レ、トヨタ紡織、ブリヂストン、ユーシンなどの動向
2012/12/21
- 要 約
- ドイツ・オーストリア:三菱レイヨンが独・日メーカーを買収し炭素繊維の開発強化、大同メタルがBMWとの取引拡大で増産
- 東欧:サンデン、日本電産、ブリヂストン、日立電線、トヨタ紡織、日本化薬、大同メタルの動向
- 英/仏/蘭国/ベルギー/スイス/ルクセンブルク:日清紡ブレーキがTMDを、ユーシンが仏ヴァレオの一部門を買収
- ポルトガル/イタリア/スペイン:ニチリンがスペインでブレーキホース会社に出資、トヨタ紡織がミラノにデザイン拠点設立
- ロシア:横浜ゴム/ユニプレス/タカタが新工場建設。カルソニックカンセイ/河西工業はインサイト方式で生産開始へ
- 欧州その他:KYBが欧州に統括会社設立、住友ゴムがトルコで合弁工場新設、日本精工が欧州での生産比率引き上げ
要 約
欧州18カ国の乗用車登録台数は、2012年1-11月の新規登録台数が前年同期比7.2%減の1,169万台と低迷している。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開は、欧州乗用車メーカーとりわけフォルクスワーゲンやドイツ高級車メーカーなどへの拡販を狙ったものが多い。工場新設、既存工場の生産能力拡充では、地域的には労働コストの安い東欧諸国が多いが、英国、フランス、ドイツ、オランダなどでの展開もみられる。
企業買収や合弁会社設立では、製品開発力の強化(旭硝子、三菱レイヨン、住友電工・住友電装)、世界シェア・トップクラスの確保(ユーシン、日清紡ブレーキ)、現地パートナーの持つ欧州自動車メーカーへの販路の活用(旭硝子、豊和繊維など)、欧州・中東・アフリカ市場への拠点(住友ゴム)などを目的としたものがみられる。
事業体制の再編では、営業強化のための駐在員事務所の現地法人への格上げ(東海ゴム)、販売会社の設立(太平洋工業)や欧州持株会社の設立(ケーヒン)がある。この他、フランスでの研究開発拠点(曙ブレーキ)、イタリアでのデザイン拠点(トヨタ紡織)の新設もみられる。
ロシアの2012年の自動車販売は前年比9.4%増の290万台が見込まれ、生産台数も222万台(同11.5%増)の見通しで順調に拡大している。海外自動車メーカーも現地メーカーとの提携で生産体制の拡充を進めている。
こうした中、日系部品メーカーは、新工場の建設、企業買収による生産拠点確保、既存工場の生産能力拡充などを進めている。新工場建設では、自社工場(横浜ゴム、ユニプレス、タカタ)だけでなく、日産の工場内でのインサイト方式(カルソニックカンセイ、河西工業)もみられる。また、アフトワズを供給先とするケースも多い(タカタ、豊田通商のプロジェクト、三桜)。生産能力拡充では、欧米自動車メーカーの現地工場からの受注拡大への対応(大同メタル)もある。ブリヂストン、ユーシン、ヨロズは工場建設を検討中。
販売体制の強化では、駐在員事務所の新設(ジヤトコ:アフトワズに初出荷)、輸入販売会社の設立(KYB:ロシア全域・旧CISをカバー)がみられる。