ASEANの日系部品メーカー:インドネシア、ベトナム、マレーシア他

インドネシアで、部品メーカーの新規進出・能力拡大が続く。ベトナム、マレーシア等ではグローバル輸出拠点としての強化

2013/02/25

要 約

 以下は、ASEAN諸国 (タイを除く) における日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2013年 2月中旬までの約10カ月間)。

 インドネシアの自動車販売台数は、2010年が74.2万台(前年比52.7%増)、2011年が86.9万台(同17.1%増)、2012年が108.0万台(同24.3%増)と拡大。更なる市場拡大が見込まれる中、トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツなど主要自動車メーカーによる生産能力増強が進められている。

インドネシアにおける主要メーカーの生産増強計画

トヨタ ・2014年の年産能力:25万台(2013年8月までは年産18万台)
 第1工場の年産能力を、2013年9月をめどに11万台から13万台に引き上げ。
 年産能力7万台の第2工場は2013年始めに完成(生産開始時期は未定)。2014年初めに年産能力を12万台に増強する。
日産 ・2014年の年産能力:25万台(2011年8月までは年産5万台)
 既存工場の年産能力を2011年9月に5万台から10万台に拡大。2013年に18万台に拡大。さらに2014年までに25万台に拡大。
ホンダ ・2014年の年産能力:18万台(2013年までは年産6万台)
 既存工場の年産能力は6万台。 建設中の新工場(年産能力12万台)を2014年までに完成。
ダイハツ ・2012年10月からの年産能力:45万台
 既存工場の年産能力は33万台。新工場(年産能力12万台)が2012年10月から操業開始。

(資料)各社の計画から作成


 これに呼応して日系部品メーカーによる新規工場進出や既存会社の生産能力増強、新たな部品の生産計画が進められている。新規進出が依然として多く、ティア1のみならずティア2による工場建設も増加している。青山製作所(ボルト・ナット一貫生産)、エイチワンジーテクト(車体骨格部品)、新日鉄住金(鋼板)、富士通テン(製販2社設立)、トピー工業(ホイール)など。インドネシア国内需要向けだけでなく輸出拠点機能を併せ持つ進出では、積水化学(射出成型)、プレス工業(フレーム)、セーレン(内装材)、タイガ-サッシュ(ドア関連部品)、西川ゴム(ゴム・樹脂製品)などがある。この他、ニッパツフジオーゼックス、山下ゴムなどもインドネシア進出計画の詳細を検討中。

 既存工場の生産能力増強、新製品の投入では、アイシン高丘(鋳造ライン追加)、曙ブレーキ(ドラムブレーキ内製化)、エフ・シー・シー(CVT用の追加)、住友電工(OT線の追加)、ティラド(四輪用ラジエーターの追加)、ユタカ技研(排気系部品・触媒コンバータ)、ユニプレス(車体用プレス部品)などがある。新会社・新工場への追加投資では、デンソー(電子制御ユニット生産の第3工場)、テイ・エステック(シート新工場)、中央精機(アルミホイール新会社)、東海理化(スイッチ類の新工場とシートベルト新会社)、東海ゴム(自社工場および防振ゴム新会社)、トヨタ車体(樹脂めっき新会社)などがある。

 なお、2012年にはインドネシアでの自動車ローン引き締め政策などの影響による需要鈍化のため、一部の部品メーカー(エフ・シー・シーイーグル工業プレス工業など)での増産計画修正、本格稼働の延期などが見られた。

 ベトナムでは、グローバル輸出拠点の強化として、横浜ゴム(製販2社を統合し、ミニスペアタイヤの供給拠点に)、日本電産トーソク(電動オイルポンプの第2拠点)、ムロコーポレーション(既存工場のプレス部品一貫生産体制)、ヨコオ(車載通信機器用部品の新工場稼働と二期建設工事の前倒し着工)などがみられる。この他、三井金属によるベトナムの排ガス規制強化に対応した触媒製販会社設立がある。

 その他の国々 (マレーシア、シンガポール、フィリピン) では、昭和電工がマレーシアでアルミニウム鍛造用の鋳造会社を新設し、シンガポールの鍛造部品会社の生産能力を増強。マレーシアでの新会社設立は、この他にタチエス(シート組立)、東洋ゴム(含む低燃費タイヤ)、日本化薬(安全部品)などがある。フィリピンでのグローバル輸出拠点の強化としては、横浜タイヤ(低燃費タイヤシフト)、群馬合金(アルミダイカスト)での生産能力増強がなど見られる。

 なお、タイでの日系部品メーカーの動向は、別途報告する予定。

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート

欧州編 (2012年12月)、インド編 (2012年11月)、

メキシコ・ブラジル編 (2012年9月)、中国(華中地区/西南地区)編 (2012年7月)、中国(華南地区-広東省)編 (2012年7月)、

中国(華東地区)編 (2012年6月)、中国 (東北/華北地区)編 (2012年5月)、米国編 (2012年7月)、

タイ編 その一 (2012年6月)/ その二(2012年7月)

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