欧州の日系部品メーカー:欧米韓メーカーへの拡販を狙う投資が続く
ロシア/東欧での新工場建設・生産能力拡大
2013/10/04
要 約
欧州29カ国の2013年1-8月の乗用車の新規登録台数は、欧州自動車工業会(ACEA)によれば、前年同期比5.2%減の814万台と、2012年に続き前年割れとなっている。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開は、欧州・米国・韓国など非日本乗用車メーカー・部品メーカーへの新規納入、販路拡大を目指すものが多い。
新会社(工場)建設は、東欧諸国・トルコに集中している(KYB、テイ・エステック、デンソー、トヨタ紡織、住友ゴムなど)。生産能力拡充では、省エネ型部品の需要拡大(豊田自動織機)や取引先拡大に備えるもの(NTN、ケーヒン、大同メタル、ハイレックス、ブリヂストンなど)が多い。
企業買収や合弁会社設立も活発。現地パートナーの持つ欧州自動車メーカーへの販路活用に加えて、開発体制・商品の強化(GSユアサ、ニフコ、三菱化学、ユーシン、リケン)、グローバルな生産体制の補完(東海ゴム、タチエス、伊藤忠丸紅鉄鋼)などがみられる。
事業体制の再編では、現地法人の事業基盤強化のための完全子会社化(IHI、三桜工業)、生産会社の統合(デンソー)、開発拠点の設立(三菱重工、ホンダエレシス、河西工業)、開発拠点の拡充(KYB、デンソー)、販売体制の強化(ヨコオ)などがある。
ロシアの2013年1-8月の自動車販売は前年同期比6.8%減の180万台と、2012年の拡大基調から減少に転じている。2013年1-8月の生産台数も139万台(同2.9%減)と低迷。
こうした中にあっても、日系部品メーカーによる新工場建設が数多くみられる。多くはアフトワズへの納入のためにTogliatti市に設立されている(アツミテック/豊田通商、エクセディ、鬼怒川ゴム、三桜工業、ハイレックス)が、その他地域での設立(住友電工・住友電装、ブリヂストン)もみられる。このほか、進出に先立つ現地企業への技術支援(小糸製作所)や、モスクワ事務所開設(ジヤトコ)などがあり、進出を検討中の部品メーカーも多い。
日系部品メーカー動向関連レポート:
・インド編 (2013年8月)
・中国 (華北/東北/西南地域) 編 (2013年8月)
・中国 (華南/華中地域) 編 (2013年7月)
・中国 (華東地域) 編 (2013年6月)、
・米国編 (2013年7月)
・メキシコ・ブラジル編 (2013年5月)
・タイ編 (2013年3月)
・ASEAN編 (2013 年2月)、
・欧州編 (2012年12月)
ドイツ:三桜工業・東海ゴムが現地メーカーを買収、豊田自動織機がコンプレッサー増産、デンソーが開発拠点拡充
IHI:ダイムラーとのターボチャージャー合弁を解消し独資とし、グローバルに顧客拡大を図る
IHIは2013年、車両用ターボチャージャーの欧州拠点である合弁会社IHI Charging Systems International GmbH(Heidelberg市)のダイムラー出資分49%を引き受けて、100%子会社とした。合弁解消後は、多様なプロジェクトにグローバルに対応するため、他地域のターボチャージャー拠点との連携を深め、欧州から世界へ顧客を拡大する。開発・製造体制の強化を図り、2015年の年産能力を2012年比5割増の約300万台に拡大する。 |
KYB:ドイツに開発要員を配置し、欧州での開発体制拡充と拡販を目指す
KYBは2013年度に、欧州統括会社の本部があるKYB Europe Headquarters GmbH(Krefeld市)に開発要員を配置し、欧州での開発体制を拡充する。現地自動車メーカーとの製品評価や欧州・ロシア向け製品の開発を担当する。欧米の主力メーカーや部品メーカーへの新規受注獲得を積極化するとともに市販品でも的確なニーズを把握し、シェアアップを狙う。 |
三桜工業:ドイツGeiger社の全株式取得し軽量化製品の開発強化、欧州本社も強化へ
三桜工業は2013年8月、Geiger Automotive GmbH(Bayern州)の全株式取得の売買契約を締結したと発表。Geiger社の得意とする樹脂射出成形技術を活かすことで、軽量化に貢献する新製品の開発力を高めると共に同社の欧州系自動車メーカーへの販路を活用し、販売の拡大を目指す。 |
また、同社は2013年度以降に、欧州本社のSanoh Europe GmbH(Munich市)に品質管理機能を設ける。数人の駐在員を置き、現地仕入れ先への管理を徹底する。また、2016年度までに欧州本社を地域統括会社として、日本本社から開発から調達、生産、管理までの権限を段階的に委譲する計画。 |
GSユアサ、ボッシュ、三菱商事:リチウムイオン電池開発の合弁会社設立で合意
GSユアサ、ロバート・ボッシュ、三菱商事は2013年6月、次世代高性能リチウムイオン電池の共同開発で合意したと発表。3社はStuttgart市に合弁会社を設立する。出資比率は、ボッシュが50%、GSユアサと三菱商事が各25%。開発では、それぞれの得意領域を持ちより、電池のエネルギー蓄積容量を大幅に引き上げ、それにより電池重量と占有スペースを減らし、電気自動車の走行距離を延ばす事を目指す。また、合弁会社は販売およびマーケティング面でも親会社をサポートする。 |
デンソー:ドイツの研究開発拠点を拡充、車両の安全技術や通信技術なども強化
デンソーは2013年9月、DENSO AUTOMOTIVE Deutschland GmbH (Eching市)の二つの技術センター(Aachen engineering center、Munchen engineering center)を拡充し、欧州での技術開発力を強化すると発表。2015年までに2100万ユーロ(約27億円)を投資し、両技術センターのオフィス棟を新たに建設すると共に、新規の評価設備などを導入し、現地従業員も2013年の400人強から490人に増やす。欧州全土から人材を集めるという。車両の安全技術や通信技術など、欧州で開発が先行している分野の技術を取り込むほか、現地の自動車メーカー向けの設計体制を強化し、連携を密にする。 |
東海ゴム:ドイツの自動車用防振ゴムメーカーAnvis社買収
東海ゴム工業は2013年5月、自動車用防振ゴムメーカー、Anvis Group GmbH(Hessen州 Steinau an der Strase。略称Anvis 社)を買収し完全子会社とした。買収額は約1.35億ユーロ。Anvis社の欧州での販売網や得意とする中・小型車向け製品の開発・生産技術を活用し、日系自動車メーカーへのグローバル供給体制強化と海外自動車メーカーへの参入を進める。生産拠点は、これまで手薄だったドイツ・フランス・ロシア・東欧・アフリカを含む9カ国13拠点が加わり、合計16カ国29拠点となった。調達では、Anvisと共同購買を実施し、コストダウンを図る。 |
豊田自動織機:独でカーエアコン用コンプレッサーを増産
豊田自動織機は2013年9月、TD Deutsche Klimakompressor GmbH(Sachsen州Bernsdorf)のエアコン用の可変容量タイプ・コンプレッサーの年産能力を、70万台増の400万台に引き上げる拡張工事を完了させた。欧州での低燃費車人気の高まりに伴う、省エネ型の需要増に対応するもの。あわせて、為替変動の影響を抑えるためにアルミニウム製部品などの生産設備も増強し、現地での部品調達率を高める。投資額は約100億円。 |
ニフコ:独のプラスチック部品メーカーKTSを買収し、子会社化
ニフコは2013年4月、ドイツの自動車向けプラスチック部品メーカーのKTS GmbH & Co. KG(Solingen) およびそのグループ企業(以下、KTS)の全株取得で合意したと発表。KTSはインテリア関係のプラスチック部品に強みを持ち、欧州自動車メーカーを主な顧客としているため、ニフコの海外拠点を活用し欧州メーカーのグローバル拠点への製品供給や、ニフコ新製品の欧州自動車メーカーへの拡販を目指している。 |
ハイレックス:独に開発拠点新設、営業拠点は現地子会社に昇格
ハイレックスコーポレーションは、2013年4月にもBayern州に開発・営業拠点を設け、欧州系自動車メーカーへの受注活動を強化する。欧州での開発拠点設置は初めて。北米の拠点などからも技術者を派遣する。また、2012年初めにHessen州に設置した営業拠点を、開発と営業を担う現地子会社に昇格させる。 |
ホンダエレシス:独に欧州開発拠点を新設
ホンダエレシスは、2013年度中にドイツに欧州開発拠点を新設する方針で、場所を選定中。取引先の日系自動車メーカーや一次部品メーカーと開発業務をやり取りする拠点にするほか、まだ取引のない欧州自動車メーカーからの受注を目指しリサーチ機能を持たせる。(2013年4月報道) |
三ツ星ベルト:欧州の営業体制強化、独に拠点を集約
三ツ星ベルトは、2013年に欧州の自動車用ベルトの営業体制を整備する。現地自動車メーカー向けの提案活動をより積極化することが狙い。2012年末には、オランダ営業拠点をドイツ拠点へ集約し、現地スタッフも増員。補修向けベルト類の販売強化のために、代理店へのフォロー体制も拡大。今後、独自動車メーカーやルノー・日産連合向けの提案活動を強化し、欧州生産車種での採用拡大を目指す。 |
ヨコオ:ドイツで欧州自動車メーカーへの技術対応を強化
ヨコオは、2013年度にドイツの販売拠点に技術担当者を派遣して、欧州メーカーへの提案活動を通じて発生する技術要求に対して迅速に対応する体制強化を図る。現地の競合メーカーが製品化していないAM/FM受信用シャークファインアンテナなど高付加価値製品を中心に、欧州メーカーとの取引拡大や新規受注に結びつける。 |
東欧:テイ・エステックがVW向けシート工場を、デンソーが現代自向けメーター工場を新設
青木精機: ターボチャージャー用シャフトの生産拠点をスロバキアに設立、2014年に量産体制
青木精機工業は2013年3月、スロバキアに現地法人AOKI Slovakia s.r.o(Dubnica市)を設立。2013年7月に生産ラインの一部を導入し、現地従業員の訓練と営業活動を開始。2014年内に年間約440万本の量産体制を整える。取引先のIHIやハネウェルなどのターボチャージャーメーカーが欧州に研究開発拠点を置いていることに対応したもの。 |
NTN: ルーマニアの生産拠点を拡充し、欧州の生産体制を再構築
NTNは、欧州子会社NTN-SNR ROULEMENTS(本拠地France)のルーマニア拠点NTN-SNR RULMENTI S.R.L.(SIBIU市)を活用し、欧州の生産体制を再構築する。ルーマニア拠点では従来、各種ベアリングを生産してきたが、このほど等速ジョイントの組み立てラインを新設した。日本型の低振動タイプの需要が欧州で拡大しており、西欧のほか東欧やロシア向け拠点として拡充を図る。(2013年3月報道) |
ケーヒン:チェコでカーエアコン向け熱交換部品の生産能力増強
ケーヒンは、VWの世界販売拡大に伴って受注量が拡大することに対応するため、メキシコ、チェコ、中国の3カ国でカーエアコン向け熱交換部品の生産能力を2013年度に年間100万台増強する。チェコでは、現地子会社Keihin Thermal Technology Czech, s.r.o.(Kladno市)の生産ラインを増設する。 |
KYB:チェコでショックアブソーバー(SA)の生産能力増強
KYBは、2013年度に現地子会社KYB Manufacturing Czech, s.r.o. (Pardubice市)の工場を拡張しSAの生産能力を約45%増強するとともに、SA構成部品のスプリングを内製するために新工場を建設する。総投資額は約30億円。欧州でのOEM用SAと市販用SAの販売拡大につなげる。 |
住友化学:ポーランドでDPF生産能力増強を検討
住友化学は、ポーランドのSumika Ceramics Poland Sp. zo.o.(Wroclaw市)でディーゼルエンジン車に装着する排出ガスセラミックフィルター(DPF)の生産を2013年7月に前倒した。直ちに年産100万個ペースに引き上げ、さらに早期に300万個体制に拡大する方針。2014年からの欧州排ガス規制「ユーロ6」の実施によって、ディーゼル乗用車にDPFの装置が義務づけられ、高水準の受注が見込まれているため。 |
大同メタル:チェコの第2工場が2013年4月に完成
大同メタルは、2013年4月にチェコ子会社DAIDO METAL CZECH s.r.o.(Brno市)の既存工場敷地内に第2工場が完成。自動車エンジン用すべり軸受の生産能力が3割増加。 |
テイ・エステック:ハンガリーにVW向けシート工場設立、2015年2月に稼働
テイ・エステックは、2013年4月に四輪車シート製造・販売の100%出資子会社TS TECH Hungary Kft.(Szazhalombatta市)を設立。VW次期SUVの3列目シート組立を2012年12月に受注したためで、2015年2月(予定)に工場を稼働させ、VWのドイツ工場に納入する。テイ・エステックは、これまでVWからシートフレーム(3列目のシート)の開発・生産を受注していた。 |
デンソー:ポーランドに自動車用メーターの新会社設立、2013年8月から生産
デンソーは、2013年4月にポーランドに自動車用メーターの生産会社DENSO Poland Sp.zo.o.(Myslowice市)を設立し、同年8月から貸工場で生産すると発表。韓国・現代自動車がチェコ工場で生産する小型車「i30」向けに供給する。ポーランドでは3社目のグループ会社で、ポーランドでのメーター生産は初めて。2016年3月期に約30億円の売上を計画。順次取引先の拡大を目指す。 |
豊田合成: チェコ工場と英国工場でBMW向け部品を本格生産へ
豊田合成は、BMWから初の量産部品受注を獲得し、2014年度までにチェコのToyoda Gosei Czech, s.r.o.(Klasterec Nad Ohri)と英国のToyoda Gosei UK Ltd.(Rotherham)の2工場でBMW、MINIブランド向けのウェザーストリップを生産開始する。豊田合成は、2020年度までの長期ビジョンで「国際舞台で戦える真のグローバルサプライヤー」を目指し、将来的に売上げに占める非トヨタ比率を2012年度の30%から50%に引き上げる目標を掲げている。 |
トヨタ紡織:ポーランドの合弁会社を子会社化し、経営基盤強化
トヨタ紡織は2012年12月、ポーランドの合弁会社、TBMECA POLAND Sp.z o.o.(レグニッツァ市。以下、TBMECA)への出資比率を引き上げ、子会社化した。出資比率は54.9%(トヨタ紡織ヨーロッパが出資)。これにより経営権を握り、自社流の生産技術などを導入し経営基盤を強化する。今後シリンダーヘッドカバーやインテークマニホールドなどのパワートレーン機器部品を欧州で幅広く拡販する。 |
ネツレン:チェコに高強度ばね鋼線の製造・販売の合弁会社設立
ネツレンは、2012年12月にチェコでメタルワンと共同で自動車向け冷間成形用の高強度ばね鋼線(ITW)の製造・販売の合弁会社Neturen Czech s.r.o.(Praha市)を設立。資本金は約16億円。出資比率はネツレン90%、メタルワン10%。欧州における自動車部品メーカー等からのITW供給要請が高まっていることに対応したもの。工場をドイツ国境に近いUsti州Zatec地域のTriangle戦略工業団地に建設し、2014年4月から製造を開始する予定。操業開始3年後の2016年度には年間2万トンの販売を計画。総投資額は約16億円。 |
ハイレックス:ハンガリー子会社で第二工場建設へ
ハイレックスコーポレーションは、2013年末に子会社のHI-LEX HUNGARY Kft (Retsag)での第二工場建設を決定する。ルノー・日産連合からのコントロールケーブルの新規受注により同製品の生産量を約3割増やし、また欧州フォードから新規に受注したウインドレギュレータ(窓昇降装置)を生産する。当初は第一工場にウインドレギュレータ用のラインを新設する計画だったが、供給開始時期の変更やルノー・日産連合からの受注もあり、工場新設に拡大させた。 |
英国/ベルギー/仏国/蘭国/スイス: ジーテクトおよび豊田合成がBMW向け部品生産へ、ユーシンがヴァレオの部門買収
河西工業:2013年度内に英国に開発センター新設
河西工業は2013年度内に、英国に開発センターを新設し、当面は4~5人の小規模体制で業務を開始する。同社は英国子会社でドアトリム、レザー・ファブリックなどを生産しているが、2015年からの日産の英国工場(Sunderland)でのインフィニティ生産などに合わせて、開発拠点を設けるもの。 |
ジーテクト:BMWから初受注のプレス部品を英国工場で生産、2013年11月に納品開始
ジーテクトは、BMWから「ミニ」に搭載する中・小物プレス部品を初受注し、G-TEKT Europe Manufacturing Ltd.(Gwent州)第2工場を中心に生産する。1機種目の部品は2013年11月に、2機種目は2014年夏に納入を開始する。生産するのは、車体を補強する役割を持つ部品のほか、配線やハンドルを取り付けるためのねじ穴がついた部品などで、BMWと金型の設計から共同で取り組む。 |
デンソー:英国のカーエアコン生産会社を統合し、事業を再構築
デンソーは、2013年1月にカーエアコンを生産する英子会社のDENSO MANUFACTURING UK LTD.(Telford市)が、カーエアコン用の樹脂部品などを生産するデンソーグル-プのシミズ工業の現地子会社SHIMIZU INDUSTRY UK LTD.(Welshpool市)の全株式を取得し子会社化した。欧州経済が不安定な現状に対して事業基盤を強化することが目的で、事業を統合することにより、更なる競争力強化を図る。 |
豊田合成:英国工場とチェコ工場でBMW向け部品を本格生産へ
豊田合成は、BMWから初の量産受注を獲得し、2014年度までに英国のToyoda Gosei UK Ltd.(Rotherham)とチェコのToyoda Gosei Czech, s.r.o.(Klasterec Nad Ohri)の2工場でBMW、MINIブランド向けのウェザーストリップを生産開始する。 |
三菱化学:ベルギー企業から樹脂コンンパウンド会社を買収
三菱化学は2013年6月、ベルギーのTessenderlo Group(Brussels)から樹脂コンパウンド事業を買収。三菱化学は機能性樹脂事業を2015年度までの中期経営計画の成長事業に位置付け、すでに米国、欧州、中国、インド、タイ、シンガポールで生産・販売体制を構築している。今回の事業買収により欧州系自動車および部品メーカーへの販売加速など、欧州における機能性樹脂事業の強化、熱可塑性エラストマー・塩ビコンパウンドなどの品揃え強化を進める。 |
三菱重工:オランダ子会社を次世代ターボチャージャーの"第2の開発拠点"に
三菱重工業は2013年6月、乗用車用ターボチャージャーの世界年産能力1,000万台体制構築に向け生産能力を増強することを発表。あわせて開発面では、世界最高効率の「新コンセプトターボチャージャー」や「電動式の二段過給システム」などの次世代ターボチャージャーを開発し、新たな市場を開拓する方針。そのため、オランダのMitsubishi Turbocharger and Engine Europe B.V. (Almere)に、日本に次ぐ"第二の開発拠点"として役割を担わせ、設備や人員を増強して顧客への開発サポートを充実させる計画。 |
ユーシン:仏ヴァレオのアクセスメカニズム事業の買収を2013年5月に完了
ユーシンは2012年11月、仏部品大手ヴァレオのキーセットやドアハンドル部門などアクセスメカニズム事業を2013年3月29日に約171億円で買収すると発表した。ヴァレオがこれらの部門の統括会社CAM Holdings Europe B.V.をオランダに設立。2013年5月にユーシンが同統括会社の全株を取得し、各アクセスメカニズムの現地法人を子会社化した。これにより、ユーシンはこれまで手薄だったGMやフィアットなど日系自動車メーカー以外に販路を広げる。 |
リケン:スイスの自動車部品メーカーと軽量な合金鋳鉄材料を使用等で契約
リケンは2013年8月、スイスのGeorg Fischer Automotive AG(本社:Schaffhausen。以下Georg Fischer社)との間で合金鋳鉄材料「SiboDur」の製造・販売に関するライセンスおよび相互協力に関する契約を締結したと発表。リケンは、日本とインドネシアにある素形材生産拠点で「SiboDur」を製造し、ナックルやショックアブソーバーなどの自社部品に利用する。また、Georg Fischer社の欧州工場でリケンの部品を生産するなど、両社の生産拠点を相互に活用していく。リケンは欧州メーカーへの販路拡大につなげる。 |
スペイン/イタリア:タチエスがスペイン社に生産委託、東海ゴムが伊メーカー買収、ブリヂストンが伊工場閉鎖へ
伊藤忠丸紅鉄鋼:イタリアのプレス部品メーカーに資本参加、新興国市場でのビジネス構築へ
伊藤忠丸紅鉄鋼は2013年8月、イタリアの最大手自動車部品メーカーC.L.N. - COILS LAMIERE NASTRI S.p.A.(本社:Torino市。以下CLN社)に10.45%資本参加したと発表。CLN社は、新興国を含む18カ国に50拠点を有し、主に日米欧自動車メーカー向けに自動車ボディ及びシャーシ等のプレス部品、スチールホイールを製造・販売。資本参加により、新興国の自動車市場で新たなビジネスの構築を目指す。 |
タチエス:スペインのメーカーと業務提携し、シートフレーム生産体制構築
タチエスは、日産がスペインで生産する次期ピックアップトラック用新型シートフレームを全量受注したが、欧州には生産拠点が無いため、スペインのシートフレームメーカー2社のうち、どちらか1社と2013年秋までに委託生産契約を行う。2014年から年産10万台で生産開始し、製品はシート本体を受注したメーカーに納める。候補の一つにあがっているのはVIZA Automocion, S.A.U社(Galicia州Vigo市)。 |
東海ゴム:イタリアのホースメーカーを買収、燃料供給分野の世界トップ集団目指す
東海ゴム工業は2013年2月、イタリアの自動車用燃料ホースメーカーDytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.(Torino市。略称DYTECH 社)を6250万ユーロで買収した。これによりホース事業の生産拠点は欧州・ロシア・南米などに7カ国が加わり、世界15カ国となる。今後、DYTECH 社の得意とするモジュールの設計・開発力を活用し、燃料供給分野のシステム提案が可能な体制を確立する。欧米メーカーからの新規受注も獲得し、2015年度までに燃料ホースの世界販売シェアをトップ集団と肩を並べる14%に引き上げる計画。調達分野では、DYTECH 社と共同購買を実施し、コストダウンを図る。 |
ブリヂストン:イタリア子会社の乗用車用ラジアルタイヤ工場閉鎖へ
ブリヂストンは2013年3月、イタリアのグループ会社Bridgestone ITALIA S.p.A(Puglia州)が保有するBari工場を閉鎖することを決定したと発表した。操業停止時期は2014年上期中の予定。Bari工場は、欧州経済の悪化の影響で稼働率が低下。生産品目の汎用乗用車用ラジアルタイヤは、コスト競争力を強みとする新興国メーカーがシェアを伸ばしており、高性能タイヤへの転換も生産設備が古く困難な状況にあり、将来的に収益確保が難しくなったもの。 |
ロシア:エクセディ、鬼怒川ゴム、住友電工・住友電装、ハイレックス、ブリヂストンが新工場建設
アツミテック、豊田通商:変速機部品生産・販売のロシア子会社設立
アツミテックと豊田通商は2013年2月、トランスミッションの変速機構を製造・販売する新会社Atsumitec Toyota Tsusho Rus LLC(Samara州)を共同で設立したと発表。年産能力60万台の工場を建設。2014年7月にもATやMTのシフター、ケーブルなどを本格生産し、アフトワズに納入する。将来は、GM、日産など他のメーカーにも販売する計画。 |
エクセディ:地元企業と合弁で四輪用MTクラッチの生産会社設立
エクセディは、ロシアの部品メーカーVaz Inter Serviceと提携し、同社が切り離したクラッチ事業部門と合弁会社EXEDY VIS RUS LLC(Samara州Togliatti市)を2012年11月に設立。エクセディの出資額は約2.6億円で出資比率は33%。合弁生産でアフトワズの新型車への納入を狙う。(2013年1月報道) |
鬼怒川ゴム:車体シール部品工場を建設、2014年度内に稼働
鬼怒川ゴムは、2013年に車体シールを生産する工場をSamara州Togliatti市に建設する。当初は成形工程を中心とした生産拠点とし、段階的に増強して一貫生産体制を整える。投資額は10億円弱。年産能力は20万台を予定。2014年度内の稼働を目指し、日産向けに拡販する。 |
小糸製作所:ロシアのアフトワズ系列のランプメーカーに技術支援開始
小糸製作所は、2013年から自動車ランプメーカーのアフトスベット(Avtosvet)社に技術支援を開始した。アフトワズ車向けの1製品に限定し、古い形式のハロゲンランプの樹脂成形、蒸着、組立の一連の工程を指導する。ロシアでは主要取引先の日系メーカーの生産規模が小さいため工場進出には至ってないが、ルノー日産連合のアフトワズ買収を契機に最初の一歩を踏み出した形。進出については1、2年内に結論を出すとしている。 |
三桜工業:2013年2月にロシアの初工場が稼働、2014年までにさらに3工場を稼働
三桜工業は、2012年7月に100%子会社のSanoh Volga Limited Liability Company(Samara州Togliatti市)を設立。2013年2月から新工場でアフトワズ向けに車輌配管製品(ブレーキ・燃料配管用)の生産を開始した。さらに2013年内に2カ所で工場を新設し、加えて2013年4月に設立したSanoh St.Petersburg Limited Liability Company(Saint Petersburg市)でも自動車メーカーの工場内にラインを設け、2014年には燃料配管やブレーキチューブの生産を開始する。 |
ジヤトコ:モスクワ駐在事務所開設
ジヤトコは2013年6月、モスクワ駐在事務所(Moscow市)を開所した。同社は2012年にTogliatti駐在事務所(Samara州)を開設し、アフトワズ向けに小型FF車用4速ATを販売開始したが、モスクワ駐在事務所ではアフトワズに出荷したATの品質保証対応業務を実施するとともに、ロシア市場に適したAT・CVTの調査を行う。ロシアでの生産拠点設立は、候補国の一つとして検討中で2013年中に結論を出す。 |
住友電工・住友電装:ワイヤーハーネスの合弁会社設立
住友電気工業と住友電装は、2013年7月にロシアの通信機器・電線メーカーOAO Zavod Radioapparatury(ZRA社:Sverdlovsk州)と合弁でオランダに持株会社Ural Wiring Systems B.V.(Amsterdam市)を設立し、同年8月にその完全子会社としてロシアに自動車用ワイヤーハーネスの製造・販売を行う事業会社OOO Ural Wiring SystemsをZRA社工場内に設けると発表した。これまでポーランドやルーマニアからロシア西部の日系・欧州系自動車メーカーに輸出していたワイヤーハーネスを供給する。 |
大同メタル:エンジン用すべり軸受生産能力を年300万台に増強、軸受素材も欧州自社工場に供給へ
大同メタルは、子会社DAIDO METAL RUSSIA LLC(Nizhny Novgorod州)の工場で生産するエンジン用すべり軸受の年産能力を、2013年央の250万台分から2014年度に300万台分へ拡充する。今後、日米欧自動車メーカーの生産増に従い、生産能力を50~60万台分ずつ増強していく予定。また、2013年秋をめどに同工場からチェコ、モンテネグロ、英国の自社軸受工場に軸受素材のバイメタルを供給開始する。これは日本からの供給に替えるもので、コストが約20%低減される見込み。当初は補修用軸受素材が対象だが、今後は量産用軸受への採用を自動車メーカーに提案する。 |
タチエス:日産向けは提携先で委託生産、アフトワズ向けは対応を検討中
タチエスは、提携先の米Lear社のロシア工場に、日産のサンクトペテルブルグ工場向けのシートフレーム生産を委託。アフトワズ向けについては、Lear社と技術支援契約を結ぶか、合弁会社をつくる方向で検討中。また、2016年に向けたグローバル開発体制構築の一環として、ロシアに開発分室を新設する予定。 |
東洋ゴム:ロシアなどでのタイヤ工場新設を検討
東洋ゴムは、2013年4月に新経営体制での成長基盤と経営基盤強化の方針を明らかにし、タイヤの生産体制では海外を中心に強化すると説明。2013年度以降に米国工場の生産能力増強や、ロシア、メキシコ、中央アジアでの工場新設を検討していく。 |
ハイレックス:コントロールケーブル等を生産する子会社を設立、2015年に生産開始
ハイレックスコーポレーションは、2012年12月にロシアで初の子会社HI-LEX RUS LLC(Samara州Togliatti市)を設立。資本金は約4億円。出資比率はハイレックス90%、豊田通商10%。工場は2015年5月に生産開始(予定)で、コントロールケーブル及びウインドレギュレータ(窓昇降装置)をアフトワズに納入する。この他、日系や米系の自動車メーカーへの納入も見込む。アフトワズとの取引は2012年夏から始まっているが、現在は中国の工場で生産している。 |
ブリヂストン: 乗用車用ラジアルタイヤの新工場建設を決定、2016年上期に生産開始
ブリヂストンは2013年4月、ロシアでの乗用車用ラジアルタイヤの新工場建設を決定。ロシアで初のタイヤ生産拠点。工場は、同年上期設立予定の新会社Bridgestone Tire Manufacturing C.I.S. LLC(Ulyanovsk州)が運営。新会社の出資比率はブリヂストン90%、三菱商事10%。工場の操業開始は、2016年上期の予定。生産品目はロシア・CIS市場向けのウィンタータイヤを中心とする戦略商品。現地の卸売会社や小売りチェーンに販売する。生産能力は2018年下期に日産約12,000本を予定。新会社設立に伴い、ブリヂストンの既存のタイヤ販売会社Bridgestone C.I.S. LLC(Moscow市)にも三菱商事が20%出資で合意。 |
ユーシン:ウラジオストックに工場進出へ
ユーシンは、主要顧客であるマツダのウラジオストックでの合弁生産に対応し、同地に工場進出する。生産規模や投資額は受注内容が固まり次第決定する(2012年12月報道)。提携先のヴォレオのロシア西部の生産拠点とあわせて東西両方をカバーする。 |
横浜ゴム: ロシアの乗用車タイヤ工場の生産能力を2014年秋までに増強
横浜ゴムは、ロシアの乗用車用タイヤ生産販売会社Yokohama R.P.Z.(Lipetsk州Lipetsk特別経済区)の工場が、2013年夏に140万本のフル生産状態に入る。このため、今後の市販市場需要拡大を見込み2014年秋までに生産能力を160万本まで増強する予定。また、ロシアで日産から乗用車タイヤを受注し2013年から供給を開始。自動車メーカー向けはフィリピン工場からの輸出で対応しているが、将来は現地工場からの供給に切り替える模様。 |
ヨロズ:サンクトペテルブルグで企業化調査を実施
ヨロズは、日産のサンクトペテルブルグ工場向けの現地生産を検討中。プレスから一貫生産するか、プレス品は他地域からの供給あるいは外部購入か、などを詰めている。 |
トルコ:トヨタ紡織が新工場稼働、ブリヂストンが乗用車タイヤ第2工場建設へ
住友ゴム: 2013年2月にトルコで合弁会社設立、日系外の自動車メーカーとの取引拡大も目指す
住友ゴム工業は、2013年2月にトルコ現地企業と合弁で乗用車・トラック用タイヤ生産拠点Sumitomo Rubber AKO(Cankiri県)を設立。生産開始は2015年7月の予定。取引先を日系以外の欧米メーカーにも拡大する方針で、すでにタイヤの品質や燃費性能が評価され、一部の海外メーカーから取引の打診をうけているという。 |
トヨタ紡織:トルコの新子会社で2013年6月にシートカバーの生産開始
トヨタ紡織は、2012年6月にシートカバー縫製の新会社TB SEWTECH TURKEY LTD.(デュズジェ県)設立。レンタル工場に設備を導入し、2013年6月からトヨタの新型カローラ向けのシートカバー生産を開始した。これまでシートカバーは、新会社に100%出資するシートやドアトリムなどの現地生産会社Toyota Boshoku Turkey Inc.(サカリヤ県)で内製していたが、労務費抑制や労働力が確保しやすい新会社で集中生産し、競争力を高める。今後新会社は、欧州各地域への納入や生産品目拡大を目指す。 |
ブリヂストン:トルコで第2工場建設を発表
ブリヂストンは2013年10月、子会社のBrisa Bridgestone Sabanci Lastik Sanayi ve Ticaret A.S. (Istanbul市、以下Brisa社)が、乗用車用ラジアルタイヤ工場(第2工場)新設用の土地の取得に関して、Aksaray工業団地と合意したと発表。2018年1月に稼働させる予定で、生産能力は日産約1.3万本(2022年下期)。総投資額は約280億円。現在、Brisa社はIzmit市に乗用車用ラジアルタイヤ、トラック・バス用ラジアルタイヤなどを生産する工場を持っている。第2工場の新設でBrisa社の生産能力は5割以上高まる。 |
資料:各社広報資料, 各紙報道
<自動車産業ポータル、マークラインズ>