東南アジアの日系部品メーカー:インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン等

インドネシアでは新規進出・能力拡大が続く、ベトナム、マレーシア、フィリピンは輸出拠点として強化

2015/04/23

要 約

東南アジア 以下は、東南アジア諸国 (タイを除く) における日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2015年3月下旬までの約10カ月間)。

 インドネシアの2014年の自動車販売台数は、前年比0.4%減の119.2万台と2009年以来5年ぶりのマイナスとなった。経済成長の減速を背景にルピア安に伴う金利の高止まり、燃料費の値上げなどが影響した。2015年1-2月も前年同期比15.2%減の17.7万台と減少が続いている。こうしたなか、一部の日系部品メーカーでは工場建設の中止や停止がみられる。

 しかし、中期的なインドネシア市場拡大の見込みと輸出拠点として育成する計画により、トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツなど主要自動車メーカーによる生産能力増強、新興国向け戦略車の投入、エンジン工場建設などが進められており、それに対応した日系部品メーカーの新規進出や生産能力拡充が行われている。また、進出している部品メーカーにも輸出拠点化の動きもみられる。


 ベトナムでは、グローバル輸出拠点拡充のための生産能力増強の動きが見られる。原田工業は車載アンテナの、矢崎総業はワイヤーハーネスの第2工場を建設。ヨコオは車載用アンテナの工場を増設し、中国からの生産移管品目を拡大させている。ミツバもリレーの生産能力を増強。山下ゴムは、防振部品のR&Dセンターが2014年8月に完成し、本社での基礎研究や開発機能の段階的移管を進めている。

 マレーシアでも輸出拠点化が進められている。新規進出では、宇部興産が省エネタイヤの原料となるポリブタジエンゴム(BR)で、昭和電工はアルミニウム鋳物で、日本化薬はエアバッグなどの部品で新工場を建設。生産能力の拡大では、東洋ゴムが米国市場向けの乗用車用タイヤ、日本電気硝子が高機能樹脂強化用ガラスファイバの工場を拡充。

 フィリピンでも輸出用の生産能力増強が行われている。第2工場建設では、東海理化がスイッチ類、原田工業がアンテナ、古河ASがワイヤーハーネス、中山精工がエンジン部品のシャフトなどで生産能力を拡大。既存工場の拡張では、日本セラミックが衝突防止装置のセンサー、ミツバが小型モーター、横浜ゴムが乗用車・SUV用タイヤの生産能力増を図っている。

 カンボジアでは、デンソーがオイルクーラー等の工場を、ニッパツがシートカバーの縫製工場を建設。両社とも製品をタイの自社工場に輸出。ラオスでは、トヨタ紡織がタイ工場の布製シート工程をラオスの工場に全面移管する。

 なお、タイでの日系部品メーカーの動向は、別途報告する予定。


日系部品メーカー関連レポート:
米国編(2015年3月)
中国編(下):華東・華北・東北地域・中国全体での動向(2015年2月)
中国編(上):華南・華中・西南での動向(2015年1月)
インド編(2014年11月)

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