タイの日系部品メーカー:能力拡大、事業体制・開発機能強化などが続く

エイチワン、カルソニックカンセイ、GSユアサ、ジェイテクト、大豊工業、帝人、横浜ゴム、ヨロズ、プレス工業など

2014/09/03

要 約

Thailand Map 以下は、タイにおける日系自動車部品メーカーの新生産拠点構築、生産能力増強、開発拠点強化、生産品目拡大等の動きである (収録対象は、2014年8月上旬までの約11カ月間)。

 タイの2014年1-6月の自動車生産台数は、95.3万台(前年同期比29.0%減)と2013年後半からの減少が続いている。原因は、国内景気の減速や政局の混乱に伴い国内販売台数が2014年1-6月に44.1万台(同40.5%減)となっているため。輸出は、同56.0万台(同3.6%増)と比較的堅調である。

 こうしたなか、トヨタやホンダによる2014年のタイ国内販売計画の下方修正や、ホンダによる2015年予定の新工場稼働の延期方針などはあるものの、中期的にはトヨタをはじめとする日系完成車メーカーの生産能力拡大計画に大きな変更はない。日産は新工場を2014年7月に稼働させ、国内販売冷え込みの影響を輸出でカバーする計画。

 このような動きを受けて、日系自動車部品メーカーによる生産能力の増強が活発で、既存取引先の生産拡大への対応のみならず、納入先拡大に伴う生産体制強化の動きがみられる。また、現地生産拠点の完全子会社化、現地企業の買収、地域統括会社設立などによる事業体制の強化、生産品目の拡大、タイでの開発機能強化などにより事業拡大を図る動きもみられる。新生産拠点構築も、かつてほど多くはないが続いている。

タイにおける日系自動車部品メーカーの動き

新規進出  アステア(ピックアップ車用金属プレス部品)、ジヤトコ(CVT)、帝人(タイヤコード)、東プレ(骨格部品)、豊田鉄工(骨格部品)、大陽ステンレススプリング(スペーサー部品など)、福井鋲螺(圧造パーツ)
生産能力増強 <新工場・新棟建設>
 エイチワン(プレス工場)、カネミツ(プーリーの第2工場)、大豊工業(バキュームポンプ工場)、椿本チエイン(4棟目の建屋)、日清紡ブレーキ(商用車用ブレーキ工場)、日東精工(ねじの第3工場)、パイオラックス(樹脂製締結部品の新建屋)、ファインシンター(粉末冶金の新工場)、モルテン(樹脂部品の第3工場)、村上開明堂(ドアミラーの新建屋)
<設備増強>
 帝人(ホースコード)、ヨロズ(金型製造)、愛知製鋼(鍛造品)、カルソニックカンセイ(熱交換器など)、北川鉄工所(鋳造部品)、日鍛バルブ(四輪車向けバルブ)、日本電産トーソク(コントロールバルブ)など
<能力増強延期>
 住友ゴム(乗用車用ラジアルタイヤ増産)、ユタカ技研(トルクコンバーターなどの第2工場稼働延期)
生産品目拡大  JVCケンウッド(車載カメラ)、ジェイテクト(パワステの構成部品)、日本モリマー(精密部品)、プレス工業(大型トラック用および1トンピックアップ用リアアクスルケース)、ユニバンス(トランスファーユニット)
事業体制強化・再編  新日鉄住金(2子会社の経営統合)、田中精密(地域統括会社)、タチエス(完全子会社化)、カルソニックカンセイ(連結子会社化)、日本モリマー(買収)、山下ゴム(日本からの生産移管)
開発・技術センター等 <新規設立>
 アステア(金属部品の設計・開発機能)、GSユアサ(鉛電池の開発調査会社)、
<拡充・強化>
 ポリプラスチック(新技術センター)、横浜ゴム(タイヤ性能試験用テストコース拡充・開発体制)

(資料)各社の計画から作成


 なお、タイ以外のASEAN諸国における日系自動車部品メーカーの動きは、2014年6月に掲載した "インドネシアの日系部品メーカー"と "ベトナム、マレーシア、ラオス、ミャンマーの日系部品メーカー" に収録した。

 日系部品メーカー動向関連レポート:
インドネシア編 (2014年6月)、ベトナム/マレーシアなど編 (2014年6月)、欧州編 (2014年7月)、米国編 (2014年3月)
中国編(下):華南・華北・東北などでの動向 (2014年3月)、中国編(上):華東・華中地域の動向 (2014年3月)
中南米編(下) (2014年2月)、中南米編(上) (2014年2月)、
タイ編(上) (2014年1月)、タイ編(下) (2014年1月)、ASEAN編 (2013年11月)
欧州編 (2013年10月)、インド編 (2013年8月)

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