インドの日系部品メーカー:自動車メーカーの増産に合わせて事業体制を強化

排ガス規制強化やEV推進政策に対応する取り組みも

2017/09/26

要約

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インド市場概況:生産・販売とも増加が続く

  インドの2016年の自動車生産台数は449万台(前年比8.8%増)、新車販売台数は367万台(同7.1%増)。2016年3月に自動車販売に対するインフラ目的税(税率1-4%)が導入され、その影響が懸念されたが、堅調な経済成長や賃金の上昇、メーカー各社による新型車投入などが需要増につながった。2017年1月~8月累計も、生産台数が316万台(前年同期比6.6%増)、新車販売台数は262万台(同8.3%増)と好調。輸出も着実に増加しており、2016-17年度(2016年4月~2017年3月)は86.7万台(同14.7%増)。

自動車メーカー各社の生産体制強化が進む

  こうしたなか、スズキはGujarat州の新工場(年産能力25万台)を2017年2月に稼働。さらに第2工場とエンジン・変速機工場を建設し、2019年初頭に稼働予定。また、既存の2工場への設備刷新投資も計画。ホンダは2016年にRajasthan州の第2工場を同6万台増強。FCAはMaharashtra州の工場に投資し、2017年6月にJeep Compassの生産を開始。一方、GMはGujarat州のHalol工場を2017年4月末に操業停止。2017年内にインドでの自動車販売から撤退すると発表。GMのMaharashtra州Talegaon工場は輸出向けに生産を継続する。

日系部品メーカーの投資動向

  自動車メーカー各社の増産計画への対応や取引先の拡大などに向けて、日系部品メーカーも生産能力拡充、新規進出、事業体制強化などを進めている。また、インド政府の排ガス規制強化、EV推進政策に対応した取り組みも見られる。



新規進出(生産品目)

新会社・工場設立 アドバネクス(精密ばね)、オンキヨー(車載用スピーカー)、住友化学(PPコンパウンド)、東プレ(プレス部品)、東レ(2社設立。高機能樹脂コンパウンド、エアバッグ基布)、トピー工業スチールホイール)、日本航空電子(設立を検討。電子部品)

生産能力増強(生産品目、*は新品目を追加)

設備・工場の増設 西川ゴム(*グラスランチャンネル)、日本精工(電動パワーステアリング)、ブリヂストン(乗用車用ラジアルタイヤ)、三井金属(*四輪車向け排ガス触媒)、三井化学・プライムポリマー(PPコンパウンド)
新品目の会社設立 スズキ・東芝・デンソー(合弁会社。*リチウムイオン電池)、豊田自動織機(*ディ―ゼルエンジン)
自社の新工場建設 三光合成(プラスチック成形品)、日本ピストンリングバルブシート
第2工場以上建設 光生アルミニューム(第3工場。アルミホイール)、DOWAホールディングス(第2、第3工場。部品の熱処理)、豊田合成(第4、第5工場。エアバッグ、ハンドルなど)、フタバ産業(第2工場。エキゾーストマニホールドなど)

事業体制の強化(品目など)

子会社化、現地メーカーに出資 ジェイテクト(合弁会社を子会社化。ステアリング)、住友商事(出資。特殊鋼圧延)
営業拠点設立 信越ポリマー(支店設立。シリコーン加工品)、東洋紡(販売会社。エンジニアリングプラスチック)
開発拠点設立 パナソニック(イノベーションセンター)、堀場製作所(技術センター。排ガス検査機器など)
工業団地建設 住友商事、双日

  バングラデシュでは、テイ・エス テックのトリムカバー裁断・縫製工場が2017年1月に稼働。製品は日本に輸出。

  以下は、インドとバングラデシュにおける日系部品メーカーの最近動向である(収録対象は、2017年8月までの約1年4カ月間)。



関連レポート:
スズキのインド事業:新工場稼働、生産能力225万台に拡大へ (2017年7月)
インド自動車市場:NCAPとEuro 6準拠の排ガス規制を導入 (2017年3月)

<日系部品メーカーの海外動向>
北米編 (2017年8月)
ASEAN編 (2017年8月)
メキシコ・ブラジル編 (2017年6月)
中国編 (2017年5月)
欧州編 (2017年4月)
インド編 (2016年6月)

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