インド自動車市場:NCAPとEuro 6準拠の排ガス規制を導入
一本化した間接税GSTの導入で、セグメント構成に影響も
2017/03/17
要約
![]() 販売好調なRenault Kwid(写真:Renault) |
インドでは、2014年5月に就任したモディ首相の主導で、経済全般の改革が進んでいる。本レポート前半では、インドにおいて進められている二つの経済改革、「高額紙幣の廃止」と「間接税の一本化」およびその自動車市場への影響を考察する。後半では衝突テストである「NCAP(New Car Assessment program)」および「Euro 6に準拠する排ガス規制」の導入について報告する。
インドの経済は、BRICsのなかでも最も高い7%前後の成長率を示している。2016年4月~2017年2月の11カ月の自動車国内販売台数は、前年同期に比べ8%拡大し339万台となった。
2016年11月に、高額紙幣の廃止と新紙幣への切り替えが行われた。ブラックマネーの撲滅、脱税防止や現金経済からの脱却が目的。一時的に現金が不足し自動車販売に影響したが、四輪自動車販売は短期間に回復し、影響がより大きかった二輪車も2017年2月には前年並みに回復した。
そして、2017年7月に、現在10を超える種類がある間接税を、物品・サービス税(GST)に1本化する税制改革が予定されている。間接税合計額は下がる予定で、その分は顧客に還元される見込み。現在は、全長4m以下の乗用車の間接税が優遇され、乗用車市場の6割強が全長4m以下の車両という状況が続いているが、GSTが導入されると価格差が縮小し、市場の構成に影響を及ぼすとされている。
車両に関する規制としては、自動車衝突テストであるNCAPを2017年10月から導入する。また、排ガス規制については、Euro 4準拠の規制を2017年4月からインド全土に広げる段階だが、Euro 5に準拠する規制は省略し、2020年からEuro 6に準拠する規制を導入する。
インドで進む経済面および車の制度関連の主な改革
経済面 | 高額紙幣の廃止 (新紙幣への切換え) |
2016年11月 | 500ルピー、1,000ルピー紙幣を廃止し新紙幣を発行。混乱はあったが、自動車販売への影響は短期間で終了した模様。 |
---|---|---|---|
間接税の統一 | 2017年7月 | 10種類以上ある間接税を、物品・サービス税(Goods and Services Tax:GST)1本にまとめる。 | |
自動車関連 | NCAP導入 | 2017年10月 | NCAPを2017年10月から段階的に導入する。 |
排ガス規制の強化 (Euro 6基準規制の導入) |
2020年4月 | Euro 4基準の規制を2017年4月からインド全国に拡大。Euro 5基準規制を省いて、Euro 6基準規制を2020年4月から導入する。 |
関連レポート:
インド市場分析:2015-16年度は過去最高の販売、今年度も好調が続く(2016年8月)
インド(下):タタは乗用車事業を立て直し、近くコンパクト車ZICAを投入 (2016年1月)
インド(中):スズキは25万台の新工場建設、上級車販売チャネルを開設 (2016年1月)
インド(上):自動車産業を10年間で4倍に拡大する構想 (2015年12月)