北米の日系部品メーカー:生産能力拡充や新会社設立

電動化・燃費規制強化への対応、自動運転関連など西海岸での事業強化も

2017/08/24

要約

米国の自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)

 本レポートは、米国・カナダにおける日系部品メーカーの動向レポート。生産能力拡充、新会社設立、事業体制強化などの動向についてまとめた(収録対象は、2017年7月までの約9カ月間)。

 米国の自動車販売(乗用車、小型トラック)は、2016年が1755万台で前年比0.4%増。車種別販売では、乗用車が前年比8.1%減だったが、小型トラックは同7.2%増。2017年1~7月は987万台で前年同期比2.9%減。このうち、乗用車が375万台で同11.7%減、小型トラックは612万台で同3.5%増と、乗用車からピックアップトラックやSUVなどへの需要シフトが続いている。

 米国での自動車生産(乗用車、小型トラック)は、2016年が1191万台で前年比0.1%減。車種別では、乗用車が同15.0%減、小型トラックは同4.7%増。2017年1~7月は644万台で前年同期比6.7%減。乗用車が同18.1%減、小型トラックが同0.1%減と共に減少している。

 しかし、トランプ大統領の要請により、中期的には米国への生産回帰の動きもみられる。GMとFCAが国内工場にそれぞれ10億ドル、Fordは4年間で16億ドル規模の投資を発表。トヨタとマツダは折半出資の合弁会社を設立し、2021年をめどに年産能力30万台の工場を稼働させる計画。VWは数10億ドル、Daimlerは13億ドルの米国工場への投資を表明。この他、日米欧メーカー各社は、米国での電動車生産や自動運転、AIなど次世代技術開発への取り組みを進めている。

 このような動きに対応して、日系部品メーカーも既存工場の生産ライン・設備の増設や新会社・新工場設立により、既存・新規顧客の様々なニーズに対応している。その中には、環境・燃費規制強化に伴う新たな需要への取り組みも数多くみられる。事業体制の強化では、先進技術を取り込むための買収、資本・技術提携、協業などが目立った。

投資形態 メーカー 生産品目(*新品目。実施状況など)
生産能力増強
(設備・生産ライン増設など)
アドヴィックス 電動パーキングブレーキ*(新棟建設)
神戸製鋼、三井物産、豊田通商 アルミの溶解鋳造、鍛造プレス*(建屋増設、設備増強)
ジェイテクト 新開発のEPS*(生産ライン増強)
住友ゴム 乗用車用高付加価値タイヤ(設備増強)
大同工業 四輪車用チェーン(部品加工、熱処理ライン設置)
大豊工業 バキュームポンプ*、すべり軸受(設備増強)
タチエス EV用シートフレーム*(TESLA社に供給)
椿本チエイン エンジン用タイミングチェーン(設備増強)
テイ・エステック シート(建屋増設)
東洋ゴム 乗用車用タイヤ(設備増強)
豊田合成 樹脂フューエルフィラーパイプ(設備増強)
豊田鉄工 プレス部品(北米の4工場で設備増強)
日清紡ブレーキ 銅フリーのブレーキ材(生産ライン増設)
日本板硝子 ヘッドアップディスプレイ向けフロントガラス*(新ライン設置)
日本バイリーン 樹脂製フロアマット(設備増強)
日本ピストンリング バルブシート(2工場で設備増強/省力化新ライン設置)
パイオラックス ホースクランプや金属ファスナー(新建屋設置、熱処理炉増設)
ハイレックス ドアモジュール(2工場で新ライン設置)
ファルテック ミリ波レーダーのカバー*(生産ライン新設)
深井製作所、豊田鉄工 車体プレス部品(工場拡張)
ブリヂストン 乗用車用タイヤのゴム練り工程(新棟建設)
三井化学、プライムポリマー PPコンパウンド(最新設備に入れ替え)
山本製作所 厚物クラッチ板(設備増強)
新会社設立、新工場の追加 NTN シャフトの旋削および熱処理加工*(第2工場建設)
シャープ 液晶パネル*(新会社設立計画)
東プレ プレス部品(新工場建設、別拠点で建屋増設)
東レ 炭素繊維(新工場稼働を1年延期)
パナソニック 車載用リチウムイオン電池セル*(生産開始)
日立オートモティブ電動機 電動車両用モーター(新拠点設立計画)
ファインシンター ATM/エンジン部品など(第2工場稼働)
ヨロズ サスペンション部品(第2拠点工場を1年以上前倒し稼働)
事業体制強化
(M&A、資本・技術提携、拠点開設など)
インクリメントP 日本、アセアン地域の地図データ(戦略拠点設立)
岡谷鋼機 トラックの隊列自動走行ソリューション(米開発会社に出資)
小糸製作所 センサー内蔵ヘッドライト*(米開発会社と協業)
中央発條 精密ばね、コントロールケーブル(米の2子会社を合併)
ツバキ・ナカシマ 精密ベアリング用部品(米社から同事業を買収)
帝人 ガラス繊維強化複合材料(米CSP社を買収)
TDK 慣性センサー(米InvenSense 社を買収)
ニチコン EV/PHV向けワイヤレス充電システム(米Qualcomm社とライセンス契約)
日本電気硝子 ガラス繊維事業(米PPG Industries社の事業買収)
三菱レイヨン 炭素繊維事業(米2社を買収)
リケン スチール製ピストンリング(米合弁会社解散を決定、自社独自で事業)



 R&D体制強化では、エイチワンが既存のR&Dセンターで軽量化と安全性に資する技術などの基礎技術開発に新たに取り組む計画。住友ゴムは、既存工場の敷地内に研究開発拠点「米国テクニカルセンター」を開設した。

 カナダでは、阪和興業が高純度炭酸リチウムの開発・製造プロジェクトを実施中のカナダ企業に一部出資し、リチウムイオン電池向けの販売を担う計画。

 

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<日系部品メーカーの海外動向>



米国 生産拠点増強、新設:NTN、タチエス、椿本チエイン、東プレ、日本板硝子、日本ピストンリング、ブリヂストンなど

会社名 活動内容
アドヴィックス 電動パーキングブレーキを米国工場で2017年に生産開始
アドヴィックスは、ADVICS Manufacturing Ohio, Inc. (Ohio州)の敷地内に2016年9月に工場を一棟建設。2017年内に新型の電動パーキングブレーキ(EPB)の生産を開始する。EPBは日本でのみ生産してきたが、日本メーカーのグローバルモデルでの採用が増加しているため、海外(米国及び中国)での供給体制を整備する。(2017年7月報道)
NTN シャフトの旋削および熱処理加工を行う第2工場を建設、2018年の稼働を計画
NTNは、高雄工業、高周波熱錬との3社で設立したNTK Precision Axle Corporation (Indiana州)の第2工場を、2017年4月に稼働したDRIVESHAFT ANDERSON, INC. (Indiana州)のドライブシャフト完成品工場の隣接地に建設する。第2工場は、2018年4月の量産開始を計画。シャフトの旋削および熱処理加工を行う。投資額は約1億ドル。2021年度まで米国でのドライブシャフト生産能力を倍増させる計画。
神戸製鋼、三井物産、豊田通商 サスペンション用アルミ鍛造部品の生産能力を増強
神戸製鋼所、三井物産、豊田通商は、3社合弁のKobe Aluminum Automotive Products, LLC(Kentucky州)のサスペンション用アルミ鍛造工場の溶解鋳造、鍛造プレスなどの生産設備を増強し、2017年夏頃から順次稼働。月産能力は2015年の54万本から75万本に増加。これに続き、さらに約5,300万ドルを投じて工場建屋を増築し、溶解鋳造1ライン、鍛造プレス2機などを増設。2018年秋頃から順次稼働し、2019年初の完成を目指す。月産能力は、97万本に増強予定。軽量化を進める日系、米系メーカーからの需要を取り込む。
ジェイテクト Tennessee工場で新タイプのEPSの生産ラインを2017年度に増強
ジェイテクトは、JTEKT AUTOMOTIVE TENNESSEE-VONORE LLC(Tennessee州)で新開発の大出力用のラックパラレル式電動ステアリング(RP-EPS)を2017年夏から生産開始し、トヨタの新型カムリに供給。続いて、デュアルピニオンEPSも生産開始し、欧州メーカーの米国工場に供給する。2017年度の月産能力は3万台。中・大型車、高級車での需要を取り込む。
シャープ 大型パネル工場新設を計画、車載用などを生産
シャープは、1兆円超を投じWisconsin州に大型パネル工場新設を計画。「最も先進的な8Kエコシステムの製造業を米国に築いていく」としている。産業用・医療用ディスプレイ、車載、テレビ用などの中大型液晶パネルなどの生産を検討。2017年9月をめどに投資計画をまとめる方針。
住友ゴム 米国でのタイヤの現地生産比率を2019年までに20%に引き上げる計画
住友ゴム工業は、Sumitomo Rubber USA, LLC(New York州)の乗用車・ライトトラック用タイヤの日産能力を、2016年末の5,000本から、2019年末に10,000本まで引き上げる。米国で販売するタイヤの現地生産比率を2019年までに20%に引き上げる。とりわけ、高性能SUV用タイヤや低燃費タイヤなどの高付加価値タイヤの供給能力を強化する。
大同工業 チェーン工場で材料調達から組立までの一貫生産体制を2017年に構築
大同工業は、四輪車用チェーンを組立生産するDAIDO CORPORATION OF AMERICA (Tennessee州)で700万ドルを投じて材料調達から部品加工、熱処理、組立までの一貫生産体制を構築。2017年4月に稼働し、同年9月から納品を開始する。原材料・部品の現地調達比率を段階的に高め、為替変動リスクの軽減や輸送コスト低減を図り、トランプ政権下での自動車産業の米国回帰による需要拡大に対応する。売上高は、2017年度に4000万ドル(見込み)、2019年度に4300万ドルを計画。
大豊工業 米国でのエンジン部品の生産体制増強
大豊工業は、TAIHO Corporation of America(Ohio州)で高効率エンジン用のバキュームポンプ生産を2017年3月に開始。グローバル生産拡大の一環で、タイに続く海外で2番目の拠点となった。また、エンジン用すべり軸受では、2016年にトヨタ向けに生産開始した低燃費対応のすべり軸受の樹脂コーティングの取引先がトヨタ以外にも増加しており、2018-2019年に生産ラインを増強する計画。
タチエス TESLAのモデルX向けシートフレームを供給開始
タチエスは、米国工場で米TESLAのEV「モデルX」の現行モデル向けに後部座席用シートフレームの供給を2016年度に開始。TESLAからの受注は初めてで、軽量化技術などを応用し、モデルX専用に設計開発した。今後はTESLAの他の車種や運転席、助手席用も提案し取引拡大を目指す。また、TESLA以外の新興企業の需要獲得にも取り込む。(2017年2月報道)
椿本チエイン 2工場でエンジン用タイミングチェーン部品の生産能力を増強
椿本チエインは、U.S. Tsubaki Automotive LLC(Massachusetts州)の工場を増床し、エンジン用タイミングチェーンドライブシステムの生産能力を2017年度末までに約25%増強する。投資額は約30億円。また、2019年半ばには、U.S. Tsubaki Inc.のPortland工場(Tennessee州)でも同部品の生産能力を2017年比約3倍に拡充する。既存工場の隣接地に現状比約2倍の床面積の新工場を建設し、移転する。投資額は約35億円。米国への自動車生産の回帰などによる受注増に対応するために不可欠と判断。
テイ・エステック シート工場を増築し、生産効率を20%高める
テイ・エステックは、四輪車用シートの生産拠点TS TECH ALABAMA, LLC.(Alabama州)の工場建屋を増築し、2016年12月に稼働。工場のレイアウトを変更し、生産効率を従来よりも約20%高めた。投資額は10億円以上。主要納入先のホンダとVW向けの生産品数や部品点数の増加に対応。VW向けでは、新型SUV向け3列目シートフレームも新たに生産開始した。
東プレ 2020年までにプレス部品の生産能力を5割増強
東プレは、2020年までにTopre America Corporationのプレス部品の生産能力を2016年比5割高める。Ohio州に新規のプレス工場を建設し、2018年10月に稼働予定。投資額は約60億円。また、既存のTennessee工場では建屋を増築して、大型プレス機および関連設備を追加導入する。稼働は2019年9月の予定。投資額は約40億円。
東洋ゴム タイヤ工場の生産能力を2017年に約3割増強
東洋ゴム工業は、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.(Georgia州)に100億円超を投じで年産能力を2015年の900万本から2017年内に1150万本に増強。これにより2020年度の北米でのピックアップトラック/SUV/CUV用タイヤの販売数量を 2016年度比30%増にする計画。東洋ゴム全社の2020年度のタイヤ事業売上高目標は4000億円で、2016年度比約3割増。
東レ 炭素繊維工場の稼働が1年程延期
東レは、米ボーイング社からの受注拡大に対応してToray Composites (America), Inc.の2つ目の炭素繊維工場(South Carolina州)建設を2016年に着手。しかし、ボーイング社が旅客機の増産を遅らせるなど需要が大幅に減退するため、稼働を当初計画の2017年5月頃から1年程度遅らせる。計画では、稼働安定のために自動車など他産業への供給拡大も視野に入れていた。(2017年5月報道)
豊田合成 樹脂フューエルフィラーパイプ工場の生産能力を2020年までに増強
豊田合成は、日本の工場と米子会社TG Kentucky, LLC(Kentucky州)の工場に約20億円を投じて生産設備を増設する。これにより、2020年度までに両拠点合計の樹脂フューエルフィラーパイプの年産能力を2017年比約4倍の200万本に増やす。同樹脂製パイプは、金属製に比べ重量が約半減しているため、日米メーカーからの採用が増加しており、今後の需要拡大に対応する。
豊田鉄工 北米4工場でプレス部品の生産能力増強
豊田鉄工は、2017年度から2018年度にかけて北米と中国の工場の設備増強に重点投資する。フル稼働状態になっている北米の4拠点には合計4ラインを新設する。ハイテン材の加工に対応する3000トンプレス機も導入する。2017年度の豊田鉄工(連結対象18社)の設備投資額合計は465億円。その約4割を北米・中国などの生産拠点の設備増強に向ける。(2017年5月報道)
なお北米には、Kentucky州のToyotetsu America, Inc. とToyotetsu Mid America, LLC、Texas州のToyotetsu Texas, Inc.、カナダOntario州のToyotetsu Canada, Inc. の4拠点がある。
日清紡ブレーキ 銅使用規制に対応したブレーキ材などの生産能力を増強
日清紡ブレーキは、NISSHINBO AUTOMOTIVE MANUFACTURING INC.(Georgia州)で2017年度から2019年度にかけて、銅を使わない複合材を量産するため生産設備を入れ替え、銅規制対応品の生産能力を2016年度比20~30%引き上げる。また、振動が少なく耐摩耗性が高いブレーキ材の生産能力も増強する。投資額は2019年度までの3年間で約100億円。
日本板硝子 ヘッドアップディスプレイ向けフロントガラスの最新工法の設備を導入
日本板硝子は2017年3月、Pilkington North America, Inc.(Kentucky州)の自動車向けガラス工場の製造プロセスを刷新すると発表。ヘッドアップディスプレイ(HUD)に対応した高精度のフロントガラスを量産するために最新の高精度のプレス(APBL)ラインを新設し、2017年7月に稼働(予定)。あわせて既存設備も改修する。投資額は750万ドル。
日本バイリーン 樹脂製フロアマットの生産能力を増強
日本バイリーンは、VIAM Manufacturing, Inc. (Tennessee州)の樹脂製フロアマットの生産能力を2018年をめどに50%増強する。大型射出成形機を2017年中に2台、2018年中に1台増やし、9台体制にする計画。生産量は非公開。投資額は10億円以下と見られる。降雪量が比較的多い米国北部を中心に拡大する需要を取り込み、シェア拡大を図る。(2017年3月報道)
日本ピストンリング Michigan工場の生産能力増強、Kentucky工場では省人化ラインを導入
日本ピストンリングは、米国と中国でバルブシートの生産能力を増強し、VWからの受注増に対応する。同社の2017年度の総投資額60億円の多くをこの2カ国にあてる。米国ではNPR of America, Inc. Michigan事業所の生産能力を2017年度末までに2015年度比20%増強する。
また、NPR of America, Inc. Kentucky事業所では、2018年度をめどに省人化生産ラインを新たに導入する。この新ラインは日本の工場で導入したばかりのもので、米国での労働需給の逼迫や人件費上昇に対応し、米国工場向けに設計を急遽見直し展開する。(2017年3月報道)
パイオラックス Georgia工場に熱処理炉を1基追加し、処理能力を7割増に
パイオラックスは、ホースクランプや金属ファスナーを生産するPIOLAX CORPORATION(Georgia州)の工場に新建屋を設置し、熱処理炉を1基導入。2018年に稼働し、既存機と合わせて3基体制とし、処理能力を約7割増強する。新規受注を獲得したことや、今後の需要増が見込まれるため、供給体制を強化する。投資額は約3億円。(2017年6月報道)
ハイレックス Michigan州の2工場でドアモジュールの生産体制を拡充
ハイレックスコーポレーションは、HI-LEX CONTROLS INC.(Michigan州)の2工場でドアモジュールの生産体制を拡充する。FordとFCAの新型ピックアップトラック・SUV向けに新規受注を獲得したため、各工場を拡張して新生産ラインを2017年内に構築する。投資総額は約32億円。内訳はLITCHFIELD工場が約10億円、Hudson 工場が約22億円。(2017年2月報道)
パナソニック TESLA向けリチウムイオン電池セルの量産を2017年1月に開始
パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)は、TESLAの「Model 3」およびTESLAの蓄電システム向けのリチウムイオン電池セルを2017年1月から量産。同年6月に出荷を開始。パナソニックでは、2017年度後半から生産量が増加するため、パナソニック本体の利益にも貢献してくるとみている。TESLAでは、同電池セルを使用した電池モジュールを生産する。
日立オートモティブ電動機 電動車両用モーターの生産を計画、ホンダなどに供給へ
日立オートモティブシステムズと本田技研は、2017年7月に合弁会社の日立オートモティブ電動機システムズ(本社:茨城県ひたちなか市)を設立。2019年度から日本で電動車両用モーターの生産を開始する。米国と中国にも子会社を設立し、2020年度中に生産開始予定。米国では、Hitachi Automotive Systems Americas, Inc. -Betea(Kentucky州)のモーター専用工場の使用を検討。ホンダが投入するEVやPHV向けに供給する。ホンダ以外の完成車メーカーへの供給も計画。
ファインシンター 第2工場が2017年6月に本格稼働、ショックアブソーバー用部品の新型ラインも導入
ファインシンターは、American Fine Sinter Co., Ltd.(Ohio 州)の第2工場が2017年6月に本格稼働。トヨタのTNGA車に新たに採用される自動変速機用部品やエンジン用部品を生産。これに合わせてショックアブソーバー用の粉末冶金部品の新型ラインも導入。燃焼時間を従来比3分の1の45分に短縮。1ラインの全長も従来の35メートルから10メートルに短縮。生産能力は従来よりも小さいが、投資額を約4割削減。小規模生産にも対応でき、順次事業規模の拡大を図る。
ファルテック 新たにミリ波レーダーのカバーを2018年にも生産開始
ファルテックは、FALTEC AMERICA, INC(Georgia州)のフロアカーペットを生産する工場に、ミリ波レーダーのカバーを生産するラインを新設し、2018年から量産する。米国では2022年から乗用車への自動緊急ブレーキの搭載が義務付けられるため、ミリ波レーダーの採用が増加すると見込み、まず年産能力50万台を計画。投資額は約10億円程度。既存顧客の日産、ホンダ以外への開拓も図り、受注次第では2ライン体制の年産100万台を計画。
深井製作所・豊田鉄工 車体プレス部品工場を2019年までに2倍に拡張
深井製作所と豊田鉄工は、スバル向けに車体プレス部品を供給する折半出資のFukai Toyotetsu Indiana Corp.(Indiana州)の工場の延べ床面積を2019年までに2倍に拡張。プレス機を3台追加し、合計5台体制とする。このため、2017年2月に合弁会社の資本金を約30億円増資して約60億円とした。スバルが米国生産を2018年度末に年産43.6万台に引き上げ、新車種の生産も計画していることに対応する。増産が順調に進めば、2020年度の売上高を当初計画の91億円から140億円に引き上げる。
ブリヂストン 乗用車用ラジアルタイヤ工場に高付加価値、大径タイヤ生産向けの追加投資
ブリヂストンは2017年1月、Bridgestone Americas Tire Operations LLCのWilson工場(North Carolina州)に1億8,000万ドルの追加投資を決定。今後10年間で、段階的にゴム練り工程などを強化する。まず、大径タイヤやランフラットタイヤなどの需要増に対応するため、新棟を建設し、ゴム材料を混ぜ合わせる最新鋭のバンバリーミキサーなどを設置する。稼働は2018年秋の計画。2016年1月に発表済みの乗用車用ラジアルタイヤの生産能力増強(日産能力を2015年の32,000本から2018年までに35,000本へ)と合わせた総投資額は3億4,400万ドル。
三井化学、プライムポリマー PPコンパウンド工場の生産能力増強、開発拠点も設置
三井化学とプライムポリマーは、合弁会社のAdvanced Composites, Inc.(Ohio州)のバンパーやインパネ材等向けポリプロピレン(PP)コンパウンド工場で一部の老朽設備を最新設備に入れ替え、年産能力を従来の41万トンから2017年6月に44万トンに増強。投資額は数十億円。軽量化ニーズの高まりの中、日系メーカーに加えてGMやFord、VWなどへの供給拡大を図る。今後も需要増が見込まれるため、2020年までに年産能力48万トンへ拡大する計画。
また、Advanced Composites, Inc.が中心となり、デトロイト近辺に開発拠点を2017年に設置。米メーカーなどを対象に設計段階から提案を行い、PPコンパウンドの拡販を図る。
この他、三井化学の米国での自動車向け合成油と樹脂改質材工場の新設計画は、建設コスト高騰のため先延ばしと報じられている。(2017年6月報道)
山本製作所 クラッチ板の生産能力を増強
山本製作所は、Yamamoto FB Engineering, Inc (Kentucky州)で厚物クラッチ板のプレスラインを2017年3月までに1本新設して2ライン体制とし、月産能力を約15万枚から約30万枚に増強。投資額は約1億円。さらに需要が増加する場合は、2019年初頭までに3ライン体制に引き上げる計画。(2016年11月報道)
ヨロズ 第2生産拠点の工場を1年以上前倒しし2017年1月に稼働
ヨロズは、米国の第2生産拠点となるYorozu Automotive Alabama, Inc.(Alabama州)のサスペンション新工場を1年以上前倒しして稼働し、2017年1月にプレス部品の生産を開始。フル稼働が続く第1生産拠点のTennessee州の工場(YAT)での労働負荷の高まりに起因する離職者の増加や損益の悪化を止めると共に、プレス部品の外注費を抑制。同年第3四半期までには、組立と塗装工程のラインを設置し、サスペンション部品の一貫生産体制を整える。土地取得費などを含めた総投資額は2018年度までに約140億円を計画。2020年度の売上高は、約135億円を目指す。


米国 事業体制強化、買収など:小糸製作所、帝人、TDK、日本電気硝子、三菱レイヨンなど

会社名 活動内容
インクリメントP 日本、ASEAN地域の地図データ供給の戦略拠点を2016年に設立
インクリメントPは、北米地域の戦略的活動拠点としてIncrement P North America, Inc. (California州San Jose市)を2016年10月に設立。資本金は60万ドル。北米のIT企業がアジア圏でシェアリングサービス、自動運転などのグローバル展開を計画しているため、日本及びASEAN地域の地図データへの需要が増加すると判断。米新拠点で、コンサルティング業務・地図提供活動を強化する。
岡谷鋼機 トラック隊列自動走行技術をもつ米企業に出資、日本などでの実現に取り組む
岡谷鋼機は、トラックの隊列自動走行ソリューションを提供する 米Peloton Technology (California州Mountain View市)に、2017 年 3 月に 30万ドルを出資。2017年4月に開設したOKAYA(U.S.A.) , INC.のシリコンバレー事務所と協業しながらPeloton Technology 社と緊密に協力し、日本および東南アジア地域でのトラック隊列走行実現に向けた取り組みを進める。
小糸製作所 センサー技術をもつ米企業とヘッドライトの概念設計で協業
小糸製作所と米Quanergy Systems(California州Sunnyvale市)は2017年1月、小型のQuanergy製S3ソリッドステートLiDAR(レーザースキャナー)センサーを内蔵したヘッドライトの概念設計での協業を発表。共同開発したヘッドライトは、同年1月開催の国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で展示。LiDAR は、先進運転支援システム (ADAS)や自律走行車(AV)システムのメインセンサーとして機能し、車両の周囲環境をリアルタイム3Dビューで把握・追跡する。
中央発條 精密ばねとコントロールケーブルを生産する2つの子会社を合併
中央発條は、精密ばねを生産するChuo Precision Spring Glasgow, Inc.とコントロールケーブルを生産するACK Controls Incを2017年2月に合併した。2社は同じ敷地内にある完全子会社で、前者が後者を吸収合併。社名をCHUH ATSU North America, Inc.(Kentucky州)に変更した。2社の供給先が重なってきており、管理体制を一元化することで、経営の効率化をはかる。
ツバキ・ナカシマ 米NN社の精密ベアリング部品事業を2017年に買収、欧米での事業強化を図る
ツバキ・ナカシマは2017年7月、米NN, INC.の精密ベアリング部品事業の買収を発表。買収額は3億7500万ドル。これにより同社の米国、欧州4カ国、中国にある精密ボール、精密ローラーの生産・販売拠点を傘下におさめた。買収した事業の2016年の売上高は約2.5億ドル、営業利益は約2300万ドル。自動車の電動化や自動運転技術の実用化に伴い、モーター向けベアリングで使用されるボールやローラーの需要が拡大しており、今回の買収によって手薄だった欧米での事業を強化する。
帝人 米複合材料成形メーカーを2017年1月に買収
帝人は、自動車向け複合材料成形メーカーのContinental Structural Plastics Holdings Corporation(以下CSP、Michigan州)の全株式を2017年1月に取得。買収額は約840億円。CSPは、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)を得意とし、米メーカーや北米トヨタとの関係も強い。帝人の炭素繊維強化樹脂(CFRP)との組み合わせにより、自動車向け複合材料製品事業の拡大を目指す。2030年をめどに売上高を2015年比3倍の20億ドル規模に引き上げる計画。
TDK 米センサー企業を2017年5月に買収、高付加価値製品の創出を図る
TDKは、慣性センサーのInvenSense (California州San Jose市)を2017年5月に買収。買収金額は1500億円超。これにより、戦略成長製品分野のセンサー・アクチュエーターでI oTや車載向け製品を増強するほか、センサーフュージョンによる先進運転支援システム領域などで高付加価値製品の創出を図る。車載センサーの拡大により、TDK全体のセンサー応用製品分野の2018年3月期の売上高を前年度(429億円)比約30%増と見込む。
ニチコン EV/PHV向けワイヤレス充電システムで米Qualcomm社とライセンス契約
ニチコンは2017年7月、EV/PHV向けワイヤレス充電システムの開発で米Qualcomm Incorporated (California州San Diego市)とライセンス契約を締結したと発表。ニチコンは既にEV/PHV用急速充電器を製造・販売しているが、今後Qualcomm社の通信技術を活用して、個人向け、公共用充電施設向けのワイヤレス充電システムを2019年度に商品化する計画。
日本電気硝子 米PPG Industries社のガラス繊維事業を買収
日本電気硝子は、PPG Industries(Pennsylvania州)の米国でのガラス繊維事業を買収する契約を2017年5月に締結。買収金額は5億4500万ドル。2017年末までに手続きを完了する予定。取得するのは、樹脂強化用ガラス繊維の製造・研究開発を担うPPG Industries Fiber Glass Products, Inc.(本社Delaware州、他州に3事業拠点をもつ)の全株式のほか、ガラス繊維事業に係る知的財産、ITや販売部門の人的資産など。これにより自動車をはじめとする幅広い分野での樹脂強化ガラス繊維のグローバル生産体制を強化する。2016年にはPPG Industriesの欧州ガラス繊維事業も取得。
三菱レイヨン 炭素繊維関連の米メーカー2社を買収
三菱レイヨンは、100%子会社のMitsubishi Rayon Carbon Fiber and Composites(California州)が炭素繊維関連の米2社を2017年に買収したと発表。1社は、独SGL Groupの米国での炭素繊維製造拠点の SGL Carbon Fibers LLC(以下SCF、Wyoming州)。年産能力は1,000 トン以上。三菱レイヨンの「高機能ラージトウ」への需要拡大に対応し、供給力を高める。SCF社の敷地内に更なる炭素繊維及び中間材料の製造設備増設も検討する。もう1社は、Gemini Composites LLC(Washington州)で自動車向け炭素繊維材料の SMC(Sheet Molding Compound)を加工した複合材の開発を専門とする設計・製造会社。買収により、SMCを使用した高機能部品の製品開発力強化を図る。
リケン スチール製ピストンリングの米合弁会社を2018年末に解散
リケンは2017年3月、Riken Corporation of Americaと ドイツMAHLE GmbHの子会社 MAHLE Engine Components USA, Inc.との合弁会社Allied Ring Corporation(Michigan州)を2018年末に解散すると発表。合弁会社ではスチール製ピストンリングを製造販売しているが、製品品質ニーズなどに柔軟に対応するためには解消が必要と判断。今後はそれぞれが独自に成長戦略を推進する。


米国 研究開発拠点の強化・新設:エイチワン、住友ゴム

会社名 活動内容
エイチワン 米国のR&Dセンターで車体骨格部品の基礎技術開発にも着手へ
エイチワンは、2015年11月に設立したKTH R&D Center (Ohio州)で車体骨格部品の設計や衝突安全性解析などを実施しているが、数年内に軽量化と安全性に資する技術などの基礎技術開発に着手する。現在は日本のみで行っているが、米国との2軸体制にすることで開発を加速させる。とりわけ、米国では大型車・高級車に適した新素材の基礎研究や生産技術の開発を行う。
住友ゴム 米国テクニカルセンターを2017年1月に本格稼働、タイヤテストコースも四輪車用に改修
住友ゴムは、Sumitomo Rubber USA, LLC(New York州)の工場敷地内に研究開発拠点「米国テクニカルセンター」を2017年1月に開設。主に北米と南米市場向けタイヤを開発する。さらに、これまで二輪車用タイヤの評価を行っていた「米国タイヤテストコース」(Alabama州)を四輪車用タイヤ向けに改修し、2017年3月から四輪車用タイヤの評価を開始した。将来的には、米州の顧客ニーズを迅速に取り入れた新商品を現地で設計、評価、フィードバックまで行う体制へと充実を図る。


カナダ 現地企業に出資:阪和興業

会社名 活動内容
阪和興業 炭酸リチウム製造会社への出資、世界での販売拡大を目指す
阪和興業は2017年4月、カナダの炭酸リチウム製造会社Bacanora Minerals Ltd.(以下BCNR、Alberta州)に一部出資する契約を締結。BCNR社がメキシコで開発中の Sonora Lithium Project で生産予定のリチウムイオン電池向けの高純度炭酸リチウムを、日本やアジア全域及び欧米において販売する計画。入手が難しくなりつつある炭酸リチウムの需要に対応する。メキシコでの生産開始は、2018年末から2019年初の予定。

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キーワード
北米、米国、カナダ、日系、サプライヤー、部品メーカー

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