欧州の日系部品メーカー:欧米メーカーへの事業拡大を狙い、生産/販売/開発拠点の強化、現地部品メーカーの買収

東欧では新工場稼働/生産能力増強、ロシアでは延期していた新工場の稼働

2016/09/16

要約

 西欧17カ国のライトビークルの販売台数は、LMC Automotiveによれば、2015年が前年比8.9%増の1,318万台、2016年1-8月は前年同期比7.2%増の934万台と増加を続けている。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開では、欧米自動車メーカー・部品メーカーからの受注拡大を図るものが引き続き多い。炭素繊維製品、安全技術分野での生産・事業体制構築も目立つ。

欧州全般:営業・開発拠点の強化、一部事業領域の整理

 曙ブレーキは、営業・開発人員を増強し量産メーカーへの受注拡大を目指す。日本電産エレシスは、先進運転支援システム(ADAS)の開発拠点設立を計画。トヨタ紡織は、トヨタおよび上級車向け以外の内装事業を売却。

ドイツ:営業体制の強化、生産拠点の再編・強化、炭素繊維・安全技術分野の事業体制構築など

 ドイツでは、ドイツメーカー向け営業拠点設立(旭化成、芦森工業パイオラックス)、生産体制の集約化・強化(住友ゴム:現地3子会社を集約化・開発拠点も新設、日清紡ブレーキ:2工場を統合し新建屋増設も、武蔵精密:M&A)、炭素繊維製品の生産体制強化(帝人:材料から成型までの一貫生産体制、三井物産:現地エンジニアリング会社に資本参加、三菱レイヨン:量産車向け中間基材の新工場)、先進安全にかかわる画像認識技術開発の新会社設立(デンソー)により、欧州自動車メーカーからの受注拡大を目指している。

西欧(除くドイツ):生産能力増強・工場再編、企業買収、販売体制強化

 生産能力増強では、カルソニックカンセイの英国でのコックピットモジュール、積水化成品のオランダでの発泡樹脂原材料とドイツを候補地とする成形・加工工場の新設計画、ユニプレスの英国での骨格部品などがあり、工場再編では、ジェイテクトの欧州全体での軸受工場の再編による収益基盤強化の動きがみられる。M&Aでは、アルファによるスウェーデンの鍵メーカーグループ買収、東レによるイタリアの炭素繊維プリプレグメーカー買収、ハイレックスによるイタリアのウインドレギュレーター・メーカー買収がみられる。トピー工業はイタリアのスチールホイールメーカーとの資本関係を強化。販売体制強化では、ヨロズがパリ郊外に欧州事務所を開設。いずれも欧州メーカーを主とした事業拡大を目指すもの。

東欧:新工場の稼働・生産能力増強が続く

 東欧では、日欧系メーカー等からの受注に対応した新工場の稼働(JSR:高機能合成ゴム、住友理工:ホース、ハイレックス:ドアモジュール)や生産能力の増強(日本電産:モーター、ハイレックス:ウインドレギュレーターなど、サンデンホールディングス:エアコンシステムの新ライン立ち上げ)がみられる。

ロシア:市場縮小のなか新工場を稼働

 ロシアの2016年1-8月の自動車販売台数は前年同期比14.9%減の90万台と2015年1月以来20カ月連続のマイナスが続いている。2016年1-6月の生産台数も61万台(同16.2%減)と低水準。このため、日系部品メーカーの新設工場の稼働延期が続いていたが、大同メタル(トラックエンジン用軸受)、ハイレックス(コントロールケーブルなど)が、2016年に入って稼働に踏み切った。

モロッコ/トルコ:新工場の建設・稼働、現地企業への出資による増産計画

 モロッコでは、旭硝子が自動車ガラスの合弁工場新設を計画。トルコでは、GSユアサがトルコ企業に50%出資し、鉛蓄電池の増産を計画。住友ゴムが、合弁新工場での乗用車用ラジアルタイヤを生産開始。

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