東南アジアの日系部品メーカー:インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ラオス

インドネシア、ベトナムでは生産能力の拡充が続き、マレーシアでは輸出拠点化の強化、ラオスではタイ工場の生産補完が進む

2016/07/07

要約

東南アジア

以下は、東南アジア諸国 (タイを除く) における日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2016年6月中旬までの約15カ月間)。

インドネシアの2015年の自動車販売台数は、前年比16.1%減の101.3万台と2年連続のマイナスとなった。2016年1-5月は前年同期比0.6%減の44.5万台だが、4月に20カ月ぶりにプラスに転じ、5月は2ケタの増加をみた。生産台数は、2015年が前年比15.4%減の109.9万台。2016年1-5月は前年同期比1.3%増の48.8万台に回復。完成車輸出台数は、2015年に前年比2.7%増の20.8万台に拡大した。

日系自動車メーカー各社は、中期的なインドネシア市場の拡大と輸出の成長を見込み、生産拠点の拡充や部品の現地化を進めている。日系メーカー以外も含めたインドネシア全体の自動車年産能力は、2015年末の約150万台から2017年には約200万台に拡大すると見込まれている。こうしたなか、日系部品メーカーではインドネシア国内向けおよび輸出拡大のための生産能力拡充を進めている。新品目の投入も見られる。新規進出は少なく、新日鉄住金の合弁工場建設開始、積水化成品の新工場稼動などが目立つ程度。

ベトナムでも、新規進出よりも生産能力増強が多く見られる。グローバル輸出拠点の拡充、顧客のニーズに対応した工場・設備の増設、新品目の投入などが行われている。

マレーシアでは、宇部興産が省エネタイヤの原料となる合成ゴムの合弁工場を稼働させ、グローバル供給体制を構築。ポリプラスチックは、エンジニアリングプラスチックのコンパウンド設備を増設し、アセアン・欧米市場での需要拡大に対応。GSユアサは、鉛蓄電池を生産する合弁会社の出資比率引き上げにより経営権を取得し、事業強化を図る。バンドー化学は、ワイパーブレードラ-バーの現地子会社を閉鎖し、タイに生産を集約。

フィリピンでは、テイ・エステックが四輪用シートなどの設計に係るデータ作成・解析の受託子会社を設立。西山製作所が小径引抜鋼管の生産拠点を新設。

ラオスでは、トヨタ紡織が布製シートカバーの縫製工程をタイ工場からラオス工場に全面移管。大和産業がサブワイヤーハーネスの新工場を稼働、タイ工場の手組工程の一部を移管。



インドネシアにおける日系自動車部品メーカーの動き

新規進出 <軽量化対応>
新日鉄住金(ハイテン材)、積水化成品(発泡プラスチック成型品)
生産能力増強・
新品目の追加
<新たな工場建設>
黒田電気(プレス部品)、GSユアサ(鉛蓄電池)、天馬(バンパーなど外装部品)、ブリヂストン(防振ゴムの新会社)
<設備増強、生産品目の追加>
AGC旭硝子(苛性ソーダ、塩ビ樹脂、塩ビモノマー:タイ、ベトナムにも輸出)、GSユアサ(鉛蓄電池)、住友電装(ワイヤーハーネス:日本向け輸出増)、西川ゴム(グラスランチャンネルを新たに生産)、浜名湖電装(ホーン:米国向け輸出増)、メタルアート(クランクシャフト:新規顧客対応)
販売子会社、
企業買収
アイシン化工(化成品の販売会社)、日本電産サンキョー(現地日系メーカー買収:車載カメラレンズ事業強化)
生産移管 JVCケンウッド(日本向けカーナビ生産の一部を日本に移管検討)、住江織物(マット生産の一部を中国から移管)

(資料)各社の計画から作成

ベトナムにおける日系自動車メーカーの動き

新規進出 マイクロテクノ(油圧部品:タイのマツダAT工場に供給)
生産能力増強・
新品目の追加
<新たな工場建設>
東光通商(第2工場:金属粉末射出成形品を新たに生産)、ミツバ(新立地に新工場:自動車用リレーの輸出拠点化拡充)
<新工場棟・設備増設、生産品目の追加>
FCC(新工場棟:四輪用クラッチ部品の米国向け輸出増)、藤倉ゴム(工場拡張:四輪車向けダイヤフラム、シール材を周辺国に輸出)、古河AS(新建屋に入居:ワイヤーハーネス)、UACJ(新設備増設:切削加工によるコンプレッサーホイールを新たに生産)、ヨコオ(設備増強:シャークフィンアンテナの米国向け輸出増)、横浜ゴム(設備増強:応急用タイヤの日本、中国向け増産)
設計・解析支援 旭化成(樹脂部品の設計・解析支援会社:日本の開発部隊支援など)

(資料)各社の計画から作成

なお、タイでの日系部品メーカーの動向は、別途報告する予定。

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