欧州市場:新車販売のEV比率は15%、中国製BEVの投入増加
EV用バッテリーの生産拡大、e-fuel(合成燃料)エンジン車を容認
2023/11/14
- 要約
- 英国も内燃機関車の販売禁止時期を2030年から2035年に延期
- 各国政府はEV用バッテリーの生産支援、自動車メーカーは自社開発・生産へ
- EV普及を阻む要因:新ユーロ7、英国・EU貿易の原産地規則、中国製EVの補助金
- 2023年1-8月の欧州のEV販売は前年同期比54%増の128万台、EV比率は15.1%
- 乗用車販売台数:2023年1-8月は部品供給不足の緩和により17.9%増
- 乗用車生産台数:2023年1-8月の生産台数は15.4%増の824万台
- GlobalData生産予測:西欧のライトビークル生産台数は2026年に1,194万台となる見込み
要約
EUと英国は2050年にカーボンニュートラル達成を目指しており、そのために車両の電動化をすすめていたが、最近、性急な政策に変化が見られる。EUは2035年以降、内燃機関車の販売を禁止したが、温室効果ガス排出をゼロとみなす合成燃料(e-fuel)を使う車に限り、内燃機関車の販売を認めるとした。英国は内燃機関車の販売禁止時期を、当初の2030年から2035年に延期した。
各国政府は電気自動車(EV)普及のために様々な支援策を講じている。電動車購入補助金については、対象をゼロエミッション車に限るなど縮小しつつあるが、EV・バッテリー生産工場の建設や充電インフラの整備に支援を提供している。
欧州市場にはEVの普及を阻む要因がいくつかあるが、その一つが次期排ガス規制のユーロ7規制である。環境的メリットが少ないのに、規制対応のためにコストが上昇するとして、自動車業界から草案の修正が求められている。また、英国・EU貿易における原産地規則が2024年に導入されると、輸入EVに関税が賦課されるとして、導入の延期が要請されている。欧州に輸入される中国製EVについて、欧州委員会が反補助金調査を実施することも、懸念される問題である。
欧州における電動車(EV、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV))の販売は、2023年1-8月にEVが前年同期比53.6%増の128.5万台、PHVが4.5%増の62.9万台、HVが27.9%増の218.4万台となった。同期間の新車販売は851.7万台で、EVの販売比率は15.1%。前年同期より2.2%ポイント拡大した。
2023年にも各自動車メーカーは多様なEVやPHVモデルを欧州市場に投入している。特に中国メーカーの攻勢は激しく、BYDや長城汽車のほか、新興NEVメーカーの華人運通(Human Horisons)や小鵬汽車も欧州に新型EVを投入している。
欧州の電動車販売台数の推移 (出典:ACEA資料よりMarkLines作成) |
Stellantis Jeep Avenger (新型サブコンパクト電気SUV)(出典:Jeep) |
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