Stellantis(上):2030年までにBEV 75車種を投入、BEV年販500万台を目指す

長期戦略「Dare Forward 2030」を発表、統合シナジーと多彩なブランド群で売上倍増へ

2022/07/21

要約

Carlos Tavares CEO
Stellantisの長期戦略「Dare Forward 2030」を発表するCarlos Tavares CEO(2022年3月)(出典:Stellantis)

 Stellantisは、2021年初頭にFiat Chrysler Automobiles (FCA)とPSA Group (PSA)の統合により誕生し、超小型車から高級スポーツカーまで広範な市場をカバーする14のブランドを擁する世界第6位のグローバルメーカーとしてスタートした。2021年は車種ミックス改善と統合のシナジー効果による大幅な売上増と、前年の2倍近くに相当する収益増を果たしたことが報告され、それに続く2022年3月に今後10年間にわたる成長戦略としてStellantisグループ初となる長期プラン「Dare Forward 2030」が発表された。


 同計画では、2030年までに75車種を超えるBEV(バッテリー電気自動車)を揃えBEVの販売比率を欧州で100%、米国で50%に、グローバルな年間BEV販売を500万台以上にすることを目指す。また、成長ポテンシャルのある市場や車種セグメントで収益を拡大し、さらに革新的テクノロジーへの積極投資によりソフトウェアとモビリティ分野での事業拡大を行うことで、10年間で売り上げを倍増する野心的な目標を掲げる。

 欧州をメイン市場とするブランドではPHV、BEVの車種を急速に展開しており、また商用車セグメントや南米市場でも強いブランド力と事業基盤を持つものの、収益性の高いフルサイズトラックなど米国向け主要モデルの電動化計画は後発となり、また中国事業の再編強化も課題となっている。

 今後数年で各自動車メーカーが主要セグメントへのEV投入や電動化技術の開発を急速に進め、勢力地図が大きく変わる可能性がある中で、Stellantisが統合シナジーの効果と、伝統ある多彩なブランド資産を活かして成長路線を描けるかが注目される。


 本稿は、Stellantisの戦略と最近の動き、発表された計画に関するレポートの前編として、3月に発表されたグループの長期目標・戦略と、最近の電動化の動きを整理して報告する。後編では、関連する投資活動、主要市場での販売の状況を報告し、併せてLMC AutomobilesによるStellantisのグローバル販売予測を掲載する。


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