欧州の日系部品メーカー:欧州自動車メーカーへの販売拡大を狙う

現地部品メーカーを買収・提携、合弁会社設立、東欧・ロシアでは生産能力増強、新工場建設

2014/07/17

要 約

 西欧17カ国の2014年1-6月の乗用車の新規登録台数は、LMC Automotiveによれば、前年同期比5.4%増の638万台と増加に転じた。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開は、欧州自動車メーカー・部品メーカーへの納入拡大を目指すものが多い。

ドイツ:ドイツメーカーへの販売拡大を目指す

 ドイツでは、地元部品メーカーとの合弁会社設立(富士機工、長野計器)、買収(豊田合成ニフコ)、提携(セーレン)や、自社の営業拠点・駐在員事務所の設置(三菱レイヨン、エフテックショーワ東洋ゴムなど)によってドイツメーカー等への販路拡大を目指す動きがみられる。予防安全技術開発では、デンソーによる現地部品メーカーへの出資がみられる。

東欧:工場拡張・設備増強が続く

 東欧では、欧州自動車メーカーからの受注拡大に対応した工場拡張・設備増強(KYB大豊工業大同メタルなど)が比較的多くみられる。ユーロ6対応や燃費向上・軽量化部品の生産開始(デンソー:新型コモンレール、日本ガイシ:排ガス浄化セラミックス、大同メタル:ターボチャージャー用軸受、東海ゴム:樹脂部品内製化、トヨタ紡織:シートなど)も特徴的。新規進出では、曙ブレーキアドヴィックスタカタなどが工場建設。

西欧など:生産能力増強の一方、整理統合も

 英・仏・蘭・スウェーデンなどでは、新規進出に備える持株会社設立(ニッパツ)、高機能製品の生産開始(日本板硝子)、受注拡大に伴う生産能力増強(曙ブレーキジーテクトプレス工業、三菱重工)がある一方で、生産拠点の整理・統合(ケーヒンジェイテクトユーシンなど)の動きもみられる。

ロシア/トルコ:ロシアでは進出が続くも、新車市場は販売減が続く

 ロシアの2014年1-6月の自動車販売台数は前年同期比7.6%減の123万台と、1月から6カ月連続で前年比マイナス。6月も5月に続いて2ケタ減となっている。2014年1-5月の生産台数も84万台(同3.8%減)と低迷。

 こうした中にあっても、2014年から2015年にかけての新工場建設・稼働(ユニプレス、GMB、アツミテック/豊田通商、住友電工/住友電装ブリヂストン)、生産能力増強(大同メタル横浜ゴム)がみられる。このほかに、資本進出を検討中(河西工業住友ゴム小糸製作所など)との動きもある。

 トルコでは、駐在員事務所新設による営業機能の強化(古河電工)、受注拡大や需要増を見込んだ生産能力拡充(TPRブリヂストン)が見られる。


日系部品メーカー動向関連レポート:

インドネシア編 (2014年6月)、ベトナム/マレーシアなど編 (2014年6月)、米国編 (2014年3月)
中国編(下):華南・華北・東北などでの動向 (2014年3月)、中国編(上):華東・華中地域の動向 (2014年3月)
中南米編(下) (2014年2月)、中南米編(上) (2014年2月)、
タイ編(上) (2014年1月)、タイ編(下) (2014年1月)、ASEAN編 (2013年11月)
欧州編 (2013年10月)、インド編 (2013年8月)

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