米国の日系部品メーカー:受注拡大に対応し、生産能力拡充、新たな生産品目追加

デンソー、小糸製作所、新日鉄住金、曙ブレーキ、ケーヒン、東洋ゴム、ジーテクト、三菱電機など

2014/03/26

要 約

 本レポートは、米国・カナダにおける、日系部品メーカーの生産能力拡充、新品目の生産などの動向についてまとめた(収録対象は、2014年3月中旬までの約9カ月間)。

米国の年次生産台数
 米国の自動車販売(乗用車、小型トラック)は、2013年には1,560万台で前年比7.6%増となった。2014年1~2月の累計販売台数は、前年同期比1.4%減の220.6万台。異常気象による大寒波の中で当初予想を下回ったが微減にとどまった。自動車業界では、販売ペースは依然堅調であり、2014年通年では1,600万台以上と予想している。

 米国での自動車生産も拡大を続け、2013年は前年比7.2%増の1,079万台となった。2014年1月は、前年同月比0.6%増の87.6万台。

 日本メーカーの米国生産は、2013年は前年比9.1%増の362.9万台と堅調に増加。

 中期的に日本メーカー各社は、北米での積極的な生産増強を図っている。トヨタは2013年に3工場で生産能力を拡大。2014年も4工場で増産ないしライン新設を計画している。ホンダは、米国販売車はハイブリッド車を除き、ほぼ全量を北米で生産する計画。日産は、2015年に米国販売車の85%を北米生産車にする計画。


 こうした動きに対応して、日系部品メーカーも生産能力増強を進めている。小糸製作所は、2014年3月までに米国2工場でのヘッドランプ、リアランプの年産能力を100万台分増強し、金型の内製率も引き上げる。設備投資額は80億円。曙ブレーキは、米国4工場でブレーキの生産能力を2016年までに2010年比1.5倍に引き上げる。新しい生産設備の導入・ラインの改造などへの投資額は150-200億円。

 日系部品メーカーによる生産能力増強の多くは、既存取引先の日・米自動車メーカーの増産あるいは新車種用部品の新たな受注などに対応するものだが、新規開拓した取引先からの受注(FCC:クライスラー、豊田合成:GM、フォードなど)もみられる。

 また、従来日本から輸出していた部品を米国で新た生産する動きもみられる。燃費規制強化に対応した軽量化・省燃費強化、ハイブリッド車や電気自動車の米国での生産本格化に対応した関連部品などである(下表)。

分野 メーカー 新たな生産品目
軽量化・
燃費効率など
FCC 紙ベースの摩擦材(日本から生産移管)
ケーヒン 直噴エンジン対応インジェクター
ジーテクト 新軽量化技術のホットスタンプ部品
太平洋工業 超高張力鋼板の車体骨格部品
トピー工業 不等厚リムの乗用車スチールホイール
三井金属鉱業 自動車用および汎用エンジン用触媒
三菱重工 乗用車用ターボチャージャー
UACJ・Constellium パネル用アルミニウム材
ハイブリッド車、
電気自動車
デンソー ハイブリッドシステムのインバーター
標準化したカーエアコン用HVAC
パナソニック・TESLA MOTORS 電気自動車向けの大規模電池工場(計画)
三井ハイテック ハイブリッド車などのモーターコア(検討中)
その他 セーレン 高付加価値合成皮革の内装材(検討中)
大同工業 四輪車用エンジンチェーン
日本精機 ヘッドアップディスプレー
三菱電機 高効率オルタネーターモーターコントローラーユニット


 新規生産拠点設立では、大同工業による米国販社内での四輪車用エンジンチェーン工場建設、三井金属鉱業による自動車触媒の製造・販売新会社設立、パナソニックとTESLA MOTORSによる電気自動車用電池の合弁会社設立計画、UACJとConstelliumによる自動車パネル用アルミニウム材の合弁会社設立計画などがみられる。

 事業強化・生産体制改革では、新日鉄住金とArcelorMittalはThyssenKrupp Steel USA LLCの鋼板工場を買収した。ケーヒンは、新型フィットの廉価部品のグローバル生産体制構築の一環として、「集中生産型」のインジェクター、ECU、熱交換器を日本、米国、タイで集中生産する。八千代工業は、米国の板金事業を売却し、樹脂製燃料タンクやサンルーフ事業に経営資源を集中させる。

 R&D体制強化では、アルパインが親会社のアルプス電気と米国内の研究開発拠点を統合し、次世代カーナビなどの開発を加速。河西工業は、北米開発センターを2014年に稼働させる計画。ジーテクトは、北米の既存子会社の営業・開発機能を分離し、G-NACに営業・研究開発を統合。三菱重工は、米拠点の乗用車用ターボチャージャーの開発人員を増強している。


日系部品メーカー動向関連レポート:
中国編(下):華南・華北・東北などでの動向(2014年3月)、中国編(上):華東・華中地域の動向(2014年3月)
中南米編(下)(2014年2月)、中南米編(上)(2014年2月)、
タイ編(上)(2014年1月)、タイ編(下)(2014年1月)、ASEAN編(2013 年11月)
欧州編(2013年10月)、インド編(2013年8月)、米国編(2013年7月)



生産拠点の構築・増強:曙ブレーキ、FCC、ケーヒン、小糸製作所、ジーテクト、デンソーなど

 

会社名 活動内容
アイシン化工
AT用摩擦材の生産能力を増強
アイシン化工は、2013年7月にAISIN CHEMICAL INDIANA, LLCでAT用湿式摩擦材の生産ラインを1本増設し、月産能力を約30万枚増の約120万枚に引き上げた。供給先のアイシンAWやトヨタのAT生産増に対応したもの。増設により、2014年3月期の売上高は前期比25%増の50億円を見込む。
曙ブレーキ
北米でのブレーキ生産能力を2016年までに1.5倍に
曙ブレーキは、Akebono Brake Corporation(Kentucky州)の4工場でブレーキの生産能力を2016年までに2010年比1.5倍に引き上げ、摩擦材の生産能力も同等に増強する。2014年度から3年間で150億-200億円を投じる。
Tennessee州Clarksville工場では、ローターの耐食性を高める軟窒化表面処理(FNC)設備を導入するほか、多品種少量生産が可能なラインに変える。Kentucky州では、Elizabethtown工場でディスクブレーキやドラムブレーキの生産体制の合理化を、Glasgow工場で摩擦材の新生産設備を導入する。South Carolina州のColumbia工場では設備を新設・更新し、欧州向けブレーキの生産を本格化させる。
これにより、北米事業の2015年度の営業利益を2013年度見込み比7.9倍の55億円に引き上げる。最大顧客はGMで、トヨタ、日産などの日系を上回っている。GMからは、グローバルプラットフォーム車のブレーキを新規受注し、2014年秋から納入する。
今仙電機
2工場でシートアジャスタの生産設備を増強
今仙電機製作所は、2013年度中に17億円を投じ、米国での自動車用シートアジャスタの生産体制を増強する。Imasen Bucyrus Technology Inc.のOhio工場には13億円を投じて生産設備を増強し、ホンダや富士重向けを拡充。Tennessee工場には4億円を投じて建屋、生産設備を増強し、日産の新車種立ち上げに対応する。
FCC
North Carolina工場へ日本から紙ベースの摩擦材を生産移管
FCCは、2014年2月にFCC(North Carolina),LLCに新工場棟が完成し、日本の竜洋工場から紙ベースの摩擦材の生産を移管。日本での津波のリスクを回避するためで、同部品の海外生産は初めて。北米での現地調達により、生産コスト低減にもつなげる。
FCCの北米での主な取引先は、ホンダ、フォードだが、クライスラーからAT用クラッチの完成品などを2013年に初受注。クラッチの組立はFCC(INDIANA),LLCで、摩擦板と芯板の生産はFCC(North Carolina),LLCで、アルミダイカスト部品はIndiana州のFCC(Adams),LLC.で生産する。また、ZF Transmissions Gray Court, LLC(South Carolina州)からも、AT用クラッチとディスクセットを受注し、上記3工場に新ラインを設置し、2013年5月から生産。ZF向けの売上高は2016年度に約70億円を見込んでいる。
エフテック
2017年までに米国などでGM向け足回り部品生産へ
エフテックは、2017年までに米国、中国、メキシコ、カナダでGMから新規受注した足回り部品の生産を立ち上げる。GMのグローバル生産車種に加え、他車種での新規受注も増えていることに対応する。米国や日本で進めてきたシミュレーション技術の向上による開発能力の強化や、品質などが評価されたため受注が増加。同社は米国に2社とカナダに2社の拠点を構えている。
オイレス工業
軸受の生産能力を拡充
オイレス工業は、OILES AMERICA Co.のNorth Carolina工場で、建屋の7,180平方メートルから11,664平方メートルへの拡張を2013年8月に完了した。排気系、サスペンション周り、ステアリングなどに使う軸受の新規受注や既存顧客への供給増に対応。北米での売上高は、2013年度の約48億円から2014年度は約62億円に増加する見込み。
河西工業
Tennessee工場にドアトリムの自動組立工程を導入
河西工業は、2013年にM-Tek, Inc.Tennessee工場に次期型SUVのドアトリム自動組み立て工程を導入。また、米国ではドアトリムに加えて、天井やトランクルームの内張りなど受注品目が増加しており、これらの構成部品の内製化を進めるために生産能力の増強を検討している。
ケーヒン
直噴エンジン対応のインジェクターを2015年から生産
ケーヒンは、環境ニーズの高まりや燃費規制の強化に伴い、今後拡大が見込まれるガソリン直噴型エンジン対応のインジェクターを2013年から日本で生産開始。2015年からはKeihin IPT Manufacturing, LLC.(Indiana州)に新ラインを設置して生産する。メキシコのKeihin de Mexico S.A. de C.V.(San Luis Potosi州)にも労働集約型の新ラインを設置する。北米での投資額は4,000万ドル。2016年中に年産能力は、日本と北米工場合計で約6,500万本に拡大する。
また、ケーヒンは新型フィットの廉価部品を供給するグローバル生産体制の構築を進めている。10品目余りの部品を「物流優先型」「集中生産型」「労働集約 型」に分け、最も低コストの国・場所で生産するというもの。「集中生産型」のインジェクター、ECU、熱交換器は、日本が全生産量の半分、残りを米国とタ イで生産する。
KYB
市販用ショックアブソーバーの生産ラインを2013年度に増設
KYBは、市販用ショックアブソーバーの世界生産・販売量を2020年に2010年比2倍に拡大する計画。その一環として米国では2013年度に生産能力を増強。2015年度に現状比3倍の年産180万本体制を整える。(2013年11月報道)
小糸製作所
北米でのヘッドランプの年産能力を2014年度に年産500万台分に拡大
小糸製作所は、2014年3月までにNorth American Lighting, Inc. (NAL)のAlabama工場とIllinois州Paris工場を拡張し、ヘッドランプの年産能力を合計100万台分増強する。メキシコ新工場にも2014年夏までに同規模の能力増を行い、北米全体で年産能力は2013年度の300万台分から2014年度に500万台分に増加する。リアランプの年産能力も米国で100万台分増強する。
また、Indiana金型工場では、樹脂成型金型の内製率を2013年の15%から2016年までに約25%に引き上げる。これらを合わせた設備投資額は80億円。中期経営計画では、北米事業の2015年度の営業利益を2012年度比約7.2倍の約85億円を見込む。
サンコール
弁バネ、リングギアの生産設備を2013年度中に増強
サンコールは、2013年度中に日本、米国、中国、タイの4拠点で生産設備を増強し、エンジンバルブ用バネ(弁バネ)を前期比3割増の月産1300万個、エンジンスターター用のリングギアを同2割増の85万個に引き上げる計画。総投資額約10億円のうち、米国のSUNCALL AMERICA INC.(Indiana州)には2.3億円を投じる。トヨタなど日系メーカーの生産増に対応する。
ジーテクト
新工場で新軽量化技術のホットスタンプ量産へ、営業・開発機能も集約
ジーテクトは、2013年4月設立のG-TEKT North America Corporation(G-NAC、Ohio州)の敷地内に新工場を建設し、新軽量化技術のホットスタンプ部品を量産し、溶接などの追加加工を行いホンダの米国工場に出荷する。稼働開始は2015年3月。投資額は3,000万ドル。
また、G-NACには、北米の既存子会社の営業・開発機能を分離・独立させた営業・研究開発拠点を設け、顧客対応を強化。ホットスタンプの量産対応では、日本の本社との一体で品質向上、安定生産に向けた技術開発を行う。2016年度に6400万ドルの売上を見込む。
新日鉄住金、
住友商事
鍛造クランクシャフトのプレスラインを1基増設
新日鉄住金と住友商事の合弁会社International Crankshaft Inc. (ICI、Kentucky州)は、2013年12月に第4鍛造プレスラインの設置を決定。生産開始は2015年11月の予定。年産能力は、現状のプレスライン3基による約270万本から約400万本へ増加する。日系自動車メーカーの現地生産化の進展に伴う増産要請や、米系自動車メーカーでの低燃費化に伴うエンジンの小型化・高性能化への対応としてクランクシャフトを鋳造から鍛造への切り替えに対応する。
セーレン
高付加価値内装材の米国生産を検討
セーレンは、日系自動車メーカーの北米生産モデル向けに需要が増加する、付加価値の高い合成皮革の内装材「クオーレ」の米国での生産を検討中。月産20万平方メートル規模の需要が見込まれる場合に、グループ会社のViscotec Automotive Products, LLC(North Carolina州)の工場を拡張し、生産ラインを追加する。この他、セーレンはメキシコでの自動車内装材の生産も検討開始。
大同工業
四輪車用エンジンチェーンで北米初の工場建設、2014年に稼働
大同工業は、米国販社のDaido Corporation of America(Tennessee州)の敷地内に四輪車用エンジンチェーンの工場を建設する。販社は、二輪車用チェーンやリム及び産業用チェーンに加えて2012年から四輪車用チェーンなどの輸入販売を行っている。米国での四輪車事業に本格参入するため、北米で初の四輪車用エンジンチェーンの生産拠点を新設する。このため2013年10月に、販社に200万ドルを増資し、資本金を500万ドルに引き上げた。工場建設の投資額は430万ドル。稼働は2014年8月の予定。チェーンの年産能力は95万メートル。この他に関連システム部品を生産する。四輪車事業の売上高は、2014年に500万ドル、2016年に1,800万ドルの見通し。
太平洋工業
1.5ギガパルス級車体骨格部品の生産体制構築
太平洋工業は、2014~15年度にかけて1.2~1.5ギガパルス級の引っ張り強度を持つ車体骨格部品の生産体制を日本、米国、中国で構築する。米国ではPacific Manufacturing Ohio Inc.(Ohio州)に2,500~3,000トン級の大型プレスマシンを導入し、超高張力鋼板を加工できるようにする。また、プレスから塗装までの一貫生産ラインを整備し、競争力を強化する。2014~15年度に投資額27億円を計画。
大豊工業
エンジン軸受の生産能力増強へ
大豊工業は、2015年度までにエンジン軸受のグローバル月産能力を2011年度比4割増の4,000万個に拡大する。米国のTAIHO Corporation of America(Ohio州)やタイ、ハンガリーなどでの増強計画を決定。
ダイセル
北米で自動車エアバッグ用インフレーターの生産能力増強
ダイセルは、2014年度からの新しい中期経営計画期間中に、北米で自動車エアバッグ用インフレーター(ガス発生装置)の生産能力を増強する。Daicel Safety Systems America(Kentucky州)ではフル生産状態が続いているため、設備を増強し生産能力を増やすが、敷地内での新工場建設も視野に入れている。また、2012年に買収したイニシエータ製造販売会社Special Devices, Inc. (California州)の生産設備活用やメキシコへの工場進出も検討する。
TPR
米国2工場でのシリンダーライナーの月産240万本体制構築
TPRは、2013年6月に稼働した合弁会社TPR Federal-Mogul Tennessee, Inc.での、アルミ合金製エンジンブロックとの密着性を高めた「アズロックシリンダーライナー」の生産能力が、2014年4月頃には月60万本になる見通し。Minnesota州のFederal-Mogul TP Liners, Inc.の工場では月120万本生産しているが、米系メーカーからの受注が増えたため、日系メーカー向けの分は新設のTennessee工場に生産を移管。将来的には、Tennessee工場の生産能力をMinnesota工場と同規模にして、米国で合計月産240万本体制にする計画。
デンソー
ハイブリッドシステムのインバーターと標準化したエアコン用HVACを初の海外生産へ
デンソーは、ハイブリッドシステムの主要構成部品のインバーターを初めて海外生産する。米国では、2014年度をめどにテネシー州の工場で、トヨタをはじめとするメーカー各社の供給ニーズに対応して組立ラインを設置する。パワーカードなどの主要構成部品は日本から輸出し、基板実装やハウジングの生産、組立作業を現地化する。
また、同社は、BからDセグメントや自動車メーカーをまたいで搭載できるように標準化した新開発のカーエアコン用HVAC(室内ユニット)の海外生産を開始する。第1弾として2015年度にも北米で生産開始。マザー工場である西尾製作所の生産ノウハウを北米に移し、トヨタをはじめとする自動車メーカー向けに供給体制を構築する。海外生産を本格化させることで量産効果を引き出す。
東洋ゴム
SUV用タイヤの生産能力増強、乗用車用タイヤ生産の一部をマレーシアへ移管
東洋ゴム工業は、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.(TNA、Georgia州)のフル生産状態が続いており、第4期の生産能力増強として新工場を建設。2013年12月から、主にSUV向けタイヤを生産。年産能力は250万本。投資額は200億円。TNAでの乗用車用タイヤの生産量を減らし、2013年5月に稼働したマレーシアのTOYO TYRE MALAYSIA SDN BHDに移管し、米国へ輸出する。この他、日本、中国からも乗用車用タイヤを米国に輸出する。
トピー工業
不等厚リムの乗用車用スチールホイールを2014年から生産開始
トピー工業は、Topy America Inc.(Kentucky州)で従来よりも7~10%軽量化した不等厚リムの乗用車スチールホイールを2014年後半に生産開始し、2015年前半から日系自動車メーカーへ納入する。日本では不等厚化による材料の削減量が顕著なトラック・バス向けに広く採用されいるが、削減量が少ない乗用車向けはない。しかし、軽量化への要求が高まる中、欧米の乗用車メーカーが他社の不等厚リムを一部で採用しているため、米国での量産に踏み切った。日系自動車メーカーが、同ホイールを乗用車で採用するのは初めて。初年度は1モデルのみで月産7万個の計画。2016年以降は採用車種を拡大し、生産量を増加させる計画。
豊田合成
燃料用樹脂チューブの第2工場が2013年7月に稼働
豊田合成は、TG Fluid Systems USA Corporation(TGFSUS)のHowell工場(Michigan州)を、燃料用樹脂チューブの第2工場として2013年7月に稼働。新工場は建屋を賃借し、生産設備を新規導入。投資額は約11億円。納入先はトヨタ、クライスラーのほか、新型車向けを新規受注したGMやフォード。新工場で主要部品を生産し、既存工場で最終組み立てを行い、生産の最適化を図る。TGFSUSの2014年の売上高は、2012年度比80%増の約90億円を計画。
豊田自動織機
カーエアコン用可変容量型コンプレッサーの部品工場が2013年に稼働
豊田自動織機は、Toyota Industries Compressor Parts America, Co.(Georgia州)でカーエアコン用可変容量型コンプレッサーの部品生産を2013年9月に開始。同部品は、コンプレッサーを生産するMichigan Automotive Compressor, Inc.とTD Automotive Compressor Georgia, LLC.に供給。燃費規制強化に伴い、北米で需要が伸びている可変容量型コンプレッサーの生産能力を拡大すると共に、部品の現地調達率を高め、価格競争力の向上を図る。
豊田鉄工
北米での車体骨格部品の生産能力拡充
豊田鉄工は、2015年度までに北米3工場で車体骨格部品の生産能力を拡大する。トヨタ、日産の増産要求に対応するもの。2013年にToyotetsu Canada, Inc (TTCA, Ontario州)に大型プレスマシンを導入。2014年には、TTCA、Toyotetsu Mid America, LLC.(TTMA, Kentucky州)、Toyotetsu America, Inc. (TTAI、Kentucky州)の3工場でプレスマシン、ブランキングマシンを増設し、供給能力を高める。2013-14年度の総投資額は40~50億円の見通し。北米事業での売上高を2015年度までに2013年度見通し比11%増の1000億円規模に拡大させる。
日鍛バルブ
北米でのエンジンバルブの年産能力を2013-14年度に拡大
日鍛バルブは、合弁生産拠点のU.S Engine Valve(South Carolina州)に2013年11月までにエンジンバルブを生産する2ラインを増設、プレス設備も導入した。2014年に1ライン追加し、合計22ライン体制とし年産能力を1000万本引き上げる。また、米Eaton社の工場(Nebraska州)の施設内にバルブの生産設備を導入する。米国での年産能力は、2013年初の5000万本から2014年には8000万本になる模様。
日本精機
ヘッドアップディスプレー初の海外生産を米国で開始
日本精機は、二輪・四輪用計器類を生産するNew Sabina Industries, Inc.(Ohio州)でヘッドアップディスプレー(HUD)専用の組立ラインを設置し、2013年から採用車種が拡大したGM向けの新製品を生産開始。これまでにはHUDは全て日本から供給していたが、受注台数の増加を受け現地でも生産する。2014、15年には年間10万台を生産する計画。今後、新規受注分は米国現地生産に切り替えていく。
パナソニック、TESLA MOTORS
米南西部に大型自動車用電池工場建設、2017年に稼働計画
パナソニックは、TESLA MOTORS (California州)と共同で、電気自動車向けのリチウムイオン電池工場を建設することで最終調整に入った(2014年2月報道)。TESLA MOTORSが2014年2月に発表した計画概要によると、工場所在地はNevada州など米西南部。敷地面積は最大400平方メートル。工場は2017年に稼働し、2020年の年産能力は50万台分。総工費は40~50億ドルで、TESLAがうち半分を負担し、残りをパナソニックなど日米複数の協力企業が出資する見通し。材料から電池の心臓部であるセル、組み立てまでを一貫して手掛ける世界で最大規模の「電池コンビナート」型の工場で、パナソニックやTESLA、材料メーカーなどが同じ敷地内に生産拠点を構える。
光精工
ユニバーサルジョイントなどの生産能力を増強へ
光精工は、2015年までの3年間に海外工場に約10億円を投資する。中国、米国、フィリピンでエンジン部品の生産能力を増強、インドネシアへは新規進出を計画している。米国のHIKARI-U.S.A(South Carolina州)工場では、ユニバーサルジョイントやシャフトの生産能力を引き上げるために新たな生産棟を設け、2014年中に生産を開始する。生産能力増強に伴い、米子会社の売上高を約25%引き上げる計画。
日立化成
粉末冶金製品の生産能力を増強、樹脂成型品を新たに生産
日立化成は、Hitachi Powdered Metals (USA), Inc.(Indiana州)の粉末冶金製品の生産能力を2014年秋に増強する。また、同工場敷地内に生産設備を導入し、2015年にも自動車用樹脂成形品生産を開始する。投資額は最大で20億円になる見込み。
フタバ産業
インパネリインフォース生産のプレス能力増強へ
フタバ産業は、Futaba Industrial Texas Corp.の工場でのボディ部品、インパネリインフォース(補強材)等の生産量が増加しているため、プレス能力を大幅に増強する計画。投資額は明らかにされていない。(2014年2月報道)
三井金属鉱業
自動車触媒の製造販売会社を設立
三井金属鉱業は、自動車触媒を製造販売するMitsui Kinzoku Catalysts America Inc.(Kentucky州)を2013年7月に設立。資本金は1000万ドル。工場は2015年7月に操業予定。自動車用および汎用エンジン用の触媒を製造し、主に日系自動車メーカーに供給する。同工場では、セラミックメーカーなどから仕入れた触媒担体に希少金属を担持させる工程を担う。
三井ハイテック
ハイブリッド車のモーターコア生産を検討
三井ハイテックは2013年9月、ハイブリッド車などの駆動部のモーターコアの米国生産に向け、具体的な検討に入ることを発表。工場進出の時期や規模などは未定。事業化調査を経て進出形態や地域、工場規模などを決定する。自動車メーカーがHVの現地生産を始める前には準備を進めるとしている。
三菱アルミニウム
熱交換器用アルミニウム押出チューブの生産能力増強
三菱アルミニウムは、熱交換器用アルミニウム押出チューブ(押出多穴管)を製造・販売しているTHERMALEX,INC.(TMX、Alabama州)に押出プレス1基の増設と付帯設備を新設する。投資額は約9.5億円。2014年11月に稼働予定で、年産能力は3,000トン増の1.3万トンになる。北米での冷暖房空調設備のアルミ化が進むため、押出多穴管の需要拡大に対応する。
三菱重工
乗用車用ターボチャージャーの新工場が2014年秋に稼働
三菱重工は、Mitsubishi Heavy Industries Climate Control, Inc.(Indiana州)の敷地内に乗用車用ターボチャージャー生産拠点を建設。2014年秋には量産を開始する予定。年産能力は60万台。米系自動車メーカーや日系、欧州メーカーの北米拠点への納入を狙い順次設備を増強し、2016年をめどに120万台に引き上げる計画。顧客の要望に沿った仕様に合わせる設計人員の拡充も計画。
三菱電機
自動車用電装品の生産体制強化
三菱電機は2013年10月、Mitsubishi Electric Automotive America, Inc.(Ohio州)に約70億円を投資し、自動車用電装品の生産体制を強化すると発表。現在、日本から輸出している部品を現地生産に切り替える。高効率オルタネーターはMason本社工場(Ohio州)で2014年1月から、電動パワーステアリング用モーターコントローラーユニットはKentucky州Maysville工場で2014年10月から量産を開始し、2016年にそれぞれ年産約130万台を目指す。売上高は2012年度の11億ドルから2016年度までに2割の増収を目指す。
八千代工業
米板金事業をユニプレスに売却、燃料タンクとサンルーフの新工場建設
八千代工業は2014年3月、Yachiyo Manufacturing Of Alabama, LLC(YMA、Alabama州)の板金事業をユニプレスに売却すると共に、主力製品の樹脂製燃料タンクとサンルーフの事業に経営資源を集中すると発表。YMAの樹脂製燃料タンクの生産能力を拡大するため、製造をAlabama州から、新たに建設するGeorgia州の工場に移転し、年産能力を2014年中に2倍の40万台に増強。投資額は約30億円の見込み。稼働開始は2014年9月予定で、ホンダのAlabama工場に全量供給する。米国内の燃料タンクの年産能力は、Ohio工場と合わせて140万台になる。またGeorgia工場には、年産20万台規模のサンルーフ製造ラインを併設する。
UACJ
蘭Constellium社との自動車パネル用アルミニウム材の合弁会社設立を計画
UACJ(古河スカイと住友軽金属の合併会社)は2014年1月、オランダのConstellium(Amsterdam市)と米国において自動車パネル用アルミニウム材の供給に関する共同事業の検討を開始したと発表。2014年半ばをめどに正式合意を結ぶ予定。出資比率はConstellium51%、UACJ49%。投資総額は1.5億ドル、初期段階では年産能力10万トンを想定して、仕上げ連続熱処理および表面処理ラインのある工場を建設。合弁事業にはUACJの米国連結子会社Tri-Arrows Aluminum社(Kentucky州)も連携する予定。

 

 



事業体制強化、買収、資本・業務提携解消:ショーワ、新日鉄住金、住友ゴムなど

 

会社名 活動内容
黒田電気
プラスチック射出成型の米部品メーカーを買収し、北米事業に参入
黒田電気は2014年3月、南開工業の完全子会社Nankai Enviro-Tech Corporation(California州)の全株式を取得することで合意したと発表。同子会社は資本金が100万ドル、メキシコに主力の生産拠点を持ち、米国やメキシコを中心に、主に日欧自動車部品メーカー向けにプラスティック射出成型部品を供給。2013年度の売上高は約1800万ドル。買収額は非公表だが、数億円とみられる。黒田電気は北米に販売子会社はあるが、生産拠点はなかった。今回の買収に伴い、北米で自動車部品を自社で製造販売する体制を築く。
ショーワ
米子会社を完全子会社化
ショーワは2014年3月、米連結子会社のAMERICAN SHOWA, INC.(Ohio州)の発行済み株式8.65%をAmerican Honda Motor Co., Inc.( California州)から取得し、100%子会社とする。意思決定を迅速化し、機動性を高める狙い。ASIは、資本金8500万ドル、ショックアブソーバーやパワーステアリング部品を生産している。
新日鉄住金
ThyssenKruppの鋼板工場をArcelorMittalと共同で買収、2014年2月に合弁事業開始
新日鉄住金とArcelorMittal(AM)は、ThyssenKrupp Steel USA LLCの鋼板工場(Alabama州)を2013年11月末に買収し、2014年2月末に合弁事業を開始。買収金額は15.5億ドル。出資比率は新日鉄住金・AMが各50%。合弁会社名は、AM/NS Calvert LLC。年産能力は熱延鋼板が約530万トン、酸洗・冷延鋼板が約250万トン、溶融亜鉛めっき鋼板が約140万トン。新日鉄住金は、米国でAMとの自動車用鋼板の合弁事業としてインディアナ州のI/N Tek社(冷延鋼板)・I/N Kote社(表面処理鋼板)を持ち、年産能力は計200万トン超。今回の新合弁事業で、特に米国南部の自動車鋼板市場の拡大に対応し得る供給力を整える。
住友ゴム
Goodyear社からアライアンス契約及び合弁事業の解消の申入れ
住友ゴムは2014年2月、Goodyear社よりアライアンス契約及び合弁事業の解消の申入れ、及び国際商業会議所に対する仲裁申立てがあり、同会議所から正式な通知を受領したことを発表。両社は1999年からアライアンス契約に基づき、欧州及び北米でのタイヤ製造・販売の合弁会社ならびに日本でのタイヤ販売の合弁会社の運営、タイヤ技術の交換促進、及び購買のための合弁会社の運営を進めてきた。提携解消の交渉は、数年がかりになる模様。

 

 



研究開発拠点の強化:アルパイン、河西工業

 

会社名 活動内容
アルパイン
アルプス電気と研究開発拠点を統合し、次世代カーナビなどの開発を加速
アルパインは、次世代型の車載向け製品の開発を加速するため、米国の開発体制を見直す。とりわけ、カーナビの開発・販売を中心に親会社のアルプス電気との連携を加速していく方針。2013年に、ALPINE ELECTRONICS OF AMERICA, INC.(California州)のDETROIT OFFICE(Michigan州)にある技術開発・販売拠点を、アルプス電気の現地子会社ALPS ELECTRIC(NORTH AMERICA), INC.(California州)のDETROIT OFFICEの建物内に移転。技術者の交流を深め共同開発に着手。研究開発拠点のALPINE ELECTRONICS OF SILICON VALLEY, INC.(California州)も、アルプス電気のシリコンバレーの拠点に統合し、自動運転など次世代型自動車技術の情報収集を強化する。
河西工業
2014年に北米開発センターを稼働
河西工業は、北米開発センターを2014年に稼働させる計画。Nissan Technical Center North America (NTCNA、Michigan州)やHonda R&D Americas, Inc. Ohio Centerなど、取引先の開発センターに対応し、開発スピード・効率の向上、北米での工程完結を目指す。実験・試作棟は、M-TEK(Tennessee工場)に設置。設計部門は、人材を集めやすい場所に置く計画。(2013年11月報道)

 

 



カナダ:豊田合成、フタバ産業の動向

 

会社名 活動内容
豊田合成
内外装部品の新工場が2013年に稼働
豊田合成は、TG Minto Corporation(Ontario州)のStratford新工場が2013年7月に稼働。工場面積は約6,000平方メートル。投資額は約10億円。インストルメントパネル構成部品、ピラーガーニッシュ、コラムカバー等などの内外装部品を生産し、トヨタのカナダ工場に供給。新工場の2014年度の売上高は約14億円の見込み。従業員数は約70名。
フタバ産業
カナダ工場にプレス棟を建設し一貫生産体制へ
フタバ産業は、F.I.O Automotive Canada Corp(Ontario州)の排気管、マフラー、ボディ部品等の工場にプレス工場棟を建設し、2014年末に稼働する予定。投資額は約27億円。現在はプレス工程が無く、米Illinois州の工場からプレス構成部品を送り、組み立てている。北米でのトヨタ向けなどの供給量が増えており、プレスから溶接の一貫生産体制構築によりコスト削減と生産能力増強を図る。

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