SUBARU:新世代アイサイトを核にADASを高度化、トヨタと電動化を推進
2019年度決算は増収増益、2020年度は米国市場の減速が影響
2020/06/23
- 要約
- 死亡交通事故ゼロを目指す安全性向上、ADASの高度化とコネクティッドサービスの導入
- 電動化戦略:2030年までに世界販売の40%以上を電動車に
- 米国モデル計画:2020年代前半に高性能車WRX/BRZ、Crossover EVを投入
- 2019年度決算は増収増益、2020年3月から米国市場に新型コロナウイルスの影響
- LMC Automotive生産予測:SUBARUの2020年生産は86.2万台、2023年に102万台
要約
トヨタと共同開発しているEVの「デザインスタディモデル」 (出典:SUBARU) |
SUBARUは2020年1月、「SUBARU技術ミーティング」を開催した。企業の社会的責任として、2030年に死亡交通事故ゼロの実現と地球環境保護を掲げている。同社は、これまで「水平対向エンジン」「シンメトルカルAWD」と「Subaru Global Platform」をベースに独自の技術を構築してきた。これに加えて、新世代アイサイトを中核とするADASの高度化と、電動化計画を発表した。
2030年に死亡交通事故ゼロを目指す安全性向上については、「新世代アイサイト」、「新開発の高精度マップ&ロケーター」、コネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」を、2020年後半に日本市場で発売する新型Levorgに初搭載する。
電動化の取り組みとしては、日本や欧州で販売するマイルドハイブリッドe-BOXERに加え、SUBARU独自技術とTHS(Toyota Hybrid System)を融合し、Strong Hybridを開発する。またトヨタと共同で中大型EV用プラットフォームを開発中で、さらに共同開発するCrossover EVを2020年代前半に市場投入する。
2020年2月に、トヨタはSUBARUへの出資比率を20%に引き上げ、持分法適用会社とした。電動車の開発や、次期型SUBARU BRZ/Toyota 86の開発などで提携関係を深める。
SUBARUの2019年度決算は、日本乗用車メーカー7社の中で唯一、連結販売台数が増加し、増収増益となった。新型コロナウイルスが早い時期に広がった中国での事業比率が低く、主力の米国市場への影響は3月後半からだったため、2020年3月期決算への影響は限定されていた。
その後、米国が世界最大の感染国となったため、3月23日から5月8日まで米国のインディアナ工場での生産を中止した。米国でも、特にSUBARUが強いスノーベルト地域で感染が広がったことが響いているという。SUBARU車の米国販売台数は、3月47.1%減、4月46.5%減と落ち込んだが、5月には18.7%減にとどまった。
2020年度の業績見通しは未定としている。
関連レポート:
トヨタ:SUBARU、マツダ、スズキとの提携を深化し、競争力を強化(2020年1月)
アジアOEMの電動化戦略:トヨタは電動化推進に向けて、スバル、マツダ、スズキと連携(2019年12月)
東京モーターショー2019:マツダ、SUBARU、スズキ、ダイハツの出展(2019年11月)
日独OEM8社の4WDハイブリッドシステム比較(2019年10月)
電動車のパワートレイン技術:スバル:クロストレック搭載のハイブリッドトランスミッション(2019年6月)
日本市場の新型車装備(下):日産、三菱、マツダ、SUBARU、スズキ編 (2019年5月)
スバル:リコール費と売上減により2018年度通期で42%営業減益見込み(2019年1月)
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。