ホンダの2030年ビジョン:AI技術などの新領域でパートナーシップ

2030年に世界販売の3分の2を電動車へ、2025年にレベル4の自動運転技術を確立

2017/07/07

要約

2017年7月下旬に日本で発売される新型Civic Sedan(写真:ホンダ)
2017年7月下旬に日本で発売される新型Civic Sedan(写真:ホンダ)

 ホンダが2017年6月8日に発表した「2030年ビジョン」は、2030年に目指す姿を「移動と暮らしの進化をリードする企業」と定め、注力すべき事業視点として、「地域の協調と連携」「変革のパートナーシップ」「既存ビジネスの基盤強化」を掲げた。

 「変革のパートナーシップ」では、既存事業の変革や新領域への参入のために外部とのオープン・イノベーションと協業に積極的に取り組む。社内には、ロボティクスや人工知能(AI)技術など新領域を担う研究開発組織を設立し、外部とのオープン・イノベーションの窓口とする。また、Waymo社と自動運転技術の開発、日立オートモティブシステムズ社と電動車用モーターの開発・生産・販売など、他社との協業も幅広く実施する。

 「地域の協調と連携」では、グローバルモデルであるCivic、CR-V、Accord等を、どの地域でも通用する強いモデルに育てる。また、地域専用モデルは、顧客ニーズの近い地域同士が連携し、商品力の高いモデルを開発・共有することで、地域事業の効率化を図る。

 ホンダは2030年ビジョンの発表に先立ち、従来から目指している「カーボンフリー社会」と「交通事故ゼロ社会」の実現に向けて、電動化と先進安全技術導入の計画も明らかにした。電動化計画では、プラグインハイブリッド車(PHV)を今後の開発の中心とするとともに、燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の開発も強化。2018年には中国専用のEVを発売する。2030年には世界販売の3分の2を電動車とすることを目指す。

 先進安全技術の導入では、衝突軽減ブレーキなど8つの先進機能を搭載する安全運転支援システムHonda Sensingの搭載を拡大する。日本では2017年秋に全面改良する新型N-BOX以降、軽自動車を含めたすべての新型車で標準装備し、北米・中国・欧州でも新型車から搭載を拡大する。自動運転技術の導入では、2020年には高速道路の複数車線での自動走行を可能とする技術、2025年にはレベル4(地理・環境等の限定条件下で、システムがすべての運転タスクを行い、ドライバーが介入する必要がない)の自動運転技術の確立を目指す。

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2030年ビジョン:移動と暮らしの進化をリードする企業へ

 「2030年ビジョン」は、事業環境の変化にいち早く対応し、乗り越えていくために、また、2050年に存在を期待される企業であり続けるために、2030年に目指す姿を明確にした。同ビジョンで取り組む領域は、「移動の進化」と「暮らしの価値創造」で、ホンダは「移動と暮らしの進化をリードする」企業となることを目指す。以下に、このビジョンの実現に向けた「取り組みの方向性」、さらに限られた経営資源の中で既存事業の転換や進化、新価値創造を行うための3つの「注力すべき事業視点」を紹介する。



ビジョン実現に向けた取り組みの方向性

移動と暮らしの価値創造 「モビリティ」「ロボティクス」「エネルギー」の3分野に注力
多様な社会・個人への対応 「常に人間中心に、技術で人々の生活に役立ちたい」という考えに基づき、最適な商品・サービスを提供する
クリーンで安全・安心な社会へ 環境と安全の領域でNO.1を目指してさらに資源を投入し、カーボンフリー社会と交通事故ゼロ社会の実現をリードする



注力すべき事業視点

地域の協調と連携 グローバルな視点で効率的な事業運営を進める
グローバルモデルは、どの地域でも通用する強いモデルに、地域専用モデルは、顧客ニーズの近い地域同士が連携し、より商品力の高いモデルを開発・共有する
変革のパートナーシップ 自らやるべきことを明確にし、そこに集中すると同時に、外部とのオープン・イノベーションに積極的に取り組む
Hondaの強みは内燃機関や電動車両まで「パワートレイン」と「パッケージング」を中心とした技術と世界に広がる事業基盤
パワートレインとパッケージングがHondaのコア技術。モノづくりとコトづくりの2つの視点で、外部とのパートナーシップを強化する
既存ビジネスの基盤強化 新たな四輪車開発プロセスの導入:開発・生産・営業が一体となって商品開発を進め、顧客の感性に響く商品・サービスを高効率に生み出す
数値で表せない「感性価値」を商品に持たせる企画部門「商品・感性価値企画室」を2016年10月に本田技術研究所内に設置した
感性価値を提供するため、部品やユニットの共有化を含めたモジュラー戦略の導入検討
開発・調達・生産の連携を深め、従来の原価企画力を強化し、総合的なコスト低減を担う「四輪原価企画部」を新設
これらの取り組みは、2019年発売予定の四輪車から導入


変革のパートナーシップ:Waymoと自動運転、GMと燃料電池、日立AMSと電動モーターで協力

  注力すべき事業視点の一つ、「変革のパートナーシップ」では、ホンダのコア技術を「パワートレイン」と「パッケージング」と定めた。既存事業を進化させ、新領域に参入するためには、コア技術に集中すると同時に、他企業とパートナーシップを結ぶことが必要である。

 ホンダは、新価値領域を担う研究開発組織「R&Dセンター X」など、社内に新組織を設立して外部とのオープン・イノベーションを進めている。また、他企業や大学との協業も積極的に取り組んでおり、Google系のWaymo社とは自動運転、GMとは燃料電池システム、日立オートモティブシステムズ(日立AMS)とは電動車両用モーターの分野で協力し、京都大学とボストン大学とはAI技術の共同研究を行う。

GMとホンダが燃料電池合弁会社を設立(写真:GM)
GMとホンダが燃料電池合弁会社を設立(写真:GM)



社内に新組織を設立:新領域の研究とオープン・イノベーションを加速

Honda R&D Innovations, Inc. 2017年4月にHonda R&D Americas, Inc.のイノベーションハブであるSilicon Valley Labの役割を拡大し、新会社 Honda R&D Innovations, Inc.へ改編した。今後、ホンダのすべての分野で変革を起こすような提携を模索する役割を担う。対象とする分野は、コネクテッドカー/IoTサービス、マン・マシーン・インターフェース、マシーン・インテリジェンス/ロボティクス、コネクテッド・サービス、パーソナル・モビリティ、シェアリング・エコノミー、産業イノベーションなど。
R&D センターX 2017年4月に、研究開発子会社の本田技術研究所が、新領域を担う研究開発組織として設立。当面は「ロボティクス」とそれに含まれる「エネルギーマネジメント」、ロボティクスの基盤となる「人と協調するAI技術」を研究領域とする。下記のHonda イノベーションラボ Tokyoを窓口とするオープン・イノベーションを通じ、外部との戦略的な連携を図る。
Honda イノベーションラボ Tokyo 2016年秋に、本田技術研究所が「人と協調するAI技術」と「クルマの知能化を目指したデジタル技術」の研究をメインテーマとする組織として東京に設立。R&D センターXが担当する新価値領域のみならず、自動運転やコネクティビティといった既存領域も含めた研究開発を担当する。R&DセンターXの外部への窓口も務める。



他企業との協業

ソフトバンク
(AI 技術)
ホンダは2016年7月、ソフトバンクの人工知能(AI)技術「感情エンジン」(ソフトバンクグループ傘下のcocoro SB社が開発したAI 技術で、機械自らの感情を疑似的に生成する機能を有する)の自動車などへの活用に向けた共同研究を両社で行うと発表。ドライバーとの音声会話や各種センサー等の情報を使い、車がドライバーの感情を推定するとともに、自らも感情をもって対話するようになる技術の開発を目指す。
Waymo
(自動運転)
本田技術研究所は2016年12月、Googleを傘下に持つ持株会社Alphabetの子会社で、自動運転開発を専門とするWaymo社と、米国にて自動運転の共同研究に向けた検討を開始。両社の技術チームは、Waymoの自動運転技術であるセンサーやソフトウェア、車載コンピュータ等をホンダが提供する車両へ搭載し、共同で米国での公道実証実験に使用する。
GM
(燃料電池システム)
GMとホンダは燃料電池システムを製造する折半出資合弁会社、Fuel Cell System Manufacturing LLCを2017年1月に設立。同社の生産ラインはミシガン州デトロイト市にあるGMのバッテリーパック工場内にあり、2020年頃から生産を開始する計画。GMとホンダはそれぞれの車両に燃料電池を搭載する。両社は燃料電池システムの性能の進化に加え、スケールメリットや共同調達により、開発・生産コストの削減にも協力して取り組む。
日立オートモティブシステムズ
(電動モーター)
ホンダと日立オートモティブシステムズ(日立AMS)は2017年7月、電動車両用モーターの開発・製造・販売を行う合弁会社を設立した。日立AMSが51%、ホンダが49%を出資し、資本金50億円で新会社、日立オートモティブ電動機システムズ(茨城県ひたちなか市)を設立。中国と米国にも子会社を設立し、新会社で開発したモーターを、日本では2019年度、中国と米国では2020年度にも量産を開始する。新会社は、ホンダを含めた自動車メーカー各社の需要に対応する。



大学との共同研究

京都大学
(AI)
2017年4月に京都大学大学院情報学研究科と人工知能(AI)の共同研究を開始。人と協調するAIが、広く社会に受け入れられ、活用されるコンセプトの確立を目指す。研究開発子会社のホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンが、同研究科知能情報学専攻と共同研究のプロジェクトを立ち上げた。
ボストン大学
(AI)
ホンダの連結子会社、ホンダ・リサーチ・インスティチュート(HRI)は2017年5月、人工知能(AI)の情報セキュリティー領域において、米国のボストン大学と共同研究を行うことで合意。ホンダが目指す「人と協調するAI」の開発のためには、利用者の個人情報の収集・分析が必要となる。それらの情報を守るために、信頼性の高い強固なセキュリティー技術が必須となる。最初に、データプライバシーコントロール技術の研究を行う。


グローバルモデルと地域専用モデルの強化

 2030年ビジョンの実現に向け、注力すべきもう一つの事業視点が「地域の協調と連携」である。ホンダは、2020年ビジョンでは、地域専用モデルは地域完結で進めてきたが、事業環境の変化は予想以上に激しく、2030年ビジョンではフレキシブルに対応できるようにする。グローバルモデルはどの地域でも通用する強いモデルに育て、地域専用モデルは、顧客ニーズの近い地域同士が連携し、同じコンポーネントを使用するなど、より高い商品力のモデルを効率的に開発・共有する。

ブラジルで開発し、インドでも生産・販売するWR-V(写真:ホンダ)
ブラジルで開発し、インドでも生産・販売するWR-V(写真:ホンダ)



グローバルモデル:主要モデルの動き

新型Civic 1972年の発売以来、世界で約2,400万台を販売。10代目となる新型シリーズは、新開発のプラットフォームを使用し、デザインと走りを向上させた。先進安全運転支援システム Honda Sensingを搭載。
北米ではセダンを2015年11月、ハッチバックを2016年9月、クーペを2017年3月、Type Rを2017年6月に発売。ハッチバックとType Rは英国から輸入。
欧州ではハッチバックを2017年1月、Type Rを2017年夏に発売。英国・Swindon工場に2億ポンド以上の投資を行い、Civicハッチバック生産のために設備を刷新。
日本では6年ぶりに国内復活させ、セダン、ハッチバック、Type Rの3タイプを2017年7月に発売。セダンは埼玉県寄居工場で生産し、ハッチバックとType Rは英国から輸入。
新型CR-V 2016年10月に全面改良した5代目を米国で発売。5人乗りコンパクトSUV。新型Civicに採用したプラットフォームを使用。従来の2.4Lエンジンに加え、1.5Lターボエンジンを設定。Honda Sensing を搭載。従来のオハイオ州East Liberty工場とカナダ・オンタリオ州Alliston工場に加え、インディアナ州Greensburg工場でも生産。
2017年4月開催の上海モーターショーでCR-V Hybridを世界初公開。中国では2017年下期に発売予定。2モーターハイブリッドシステムを搭載。
新型Accord 10代目となる新型Accordを2017年後半に米国で発売予定。新型Civicに採用したプラットフォームを使用。1.5L 直噴DOHCターボエンジンにCVTまたは6速MTを、2.0L 直噴DOHCターボエンジンに10速ATまたは6速MTを組み合わせる。オハイオ州Marysville工場で生産。エンジンは同州Annaエンジン工場で生産する。HVは、次世代2モーターハイブリッドシステムを搭載。
Vezel/HR-V 2013年12月に日本で発売したFitベースのコンパクトクロスオーバーSUV。中国以外の海外市場ではHR-Vと称する。日本仕様は1.5L直噴エンジンにCVTを組み合わせる。2014年に米国・中国、2015年に南米、2016年に韓国で発売。中国では広汽ホンダがVezel、東風ホンダが異なるデザインの姉妹車XR-Vとして販売。



地域専用モデル

ブラジルで開発したWR-Vをインドでも生産・販売

WR-V ホンダのブラジル法人がFitのプラットフォームをベースに開発した新型コンパクトSUV。2017年3月発売。ホンダでは、全面的にブラジルで開発した初のモデル。1.5L SOHC i-VTEC Flex OneエンジンにCVTを組み合わせる。ブラジル・サンパウロ州のSumare工場で生産。
インドでも2017年3月に発売。ホンダのインドR&Dが日本のホンダ技術研究所と初めて共同開発。1.2L SOHC i-VTECガソリンエンジンまたは1.5L DOHC i-DTECディーゼルエンジンを搭載。ガソリンエンジンには新開発の5速MT、ディーゼルエンジンには6速MTを組み合わせる。



中国

UR-V 東風ホンダのフラッグシップモデルとなる新型SUV。2017年3月に発表。2.0Lまたは1.5Lターボエンジンを搭載し、9速ATを組み合わせる。先進安全運転支援システム Honda Sensingを採用。湖北省武漢市の第1工場で生産。
Gienia 東風ホンダが2016年10月に発売。Graceをベースとする新型クロスオーバーハッチバック。流麗なスタイリングと上質かつ広い車内空間を両立。1.5L i-VTECエンジンを全車に搭載。CVTまたは5速MTを組み合わせる。東風ホンダの第2工場で生産。
Avancier 広汽ホンダが2016年10月に発売した新モデルの大型SUV。広汽ホンダの新たなフラッグシップモデル。2.0Lターボエンジンと9速ATを搭載。2017年3月に1.5Lターボエンジン搭載車も追加。Honda Sensing を搭載。広州市の増城工場で生産。



アジア

BR-V 新型クロスオーバーSUV。2015年12月にインドネシア、2016年1月にタイ、同年5月にインドで発売。SUVらしい外観とハンドリングに加え、広々とした室内空間と多彩なユーティリティを兼ね備えたモデル。1.5L i-VTECガソリンエンジンに6速MTまたはCVTを組み合わせる。



北米

新型Ridgeline 2016年6月に2代目となる新型 Ridgelineを米国で発売。ミドルサイズピックアップトラックとしては最大級の室内と荷台の広さ。3.5L V6直噴SOHC i-VTECエンジンを搭載し、6速ATと組み合わせる。電子制御四輪駆動システム「i-VTM4」、Honda Sensingを採用。アラバマ工場で生産。
新型Odyssey 2017年5月に5代目となる新型ミニバン Odyssey を米国で発売。3.5L V6 エンジンに9速ATを標準装備、10速ATも選択可能。ベースグレード以外のグレードにはHonda Sensingを標準装備。開発はHonda R&D Americasが担当。車両・エンジンの生産はアラバマ州のLincoln工場、新開発の10速ATはジョージア州Tallapoosa工場で生産。



日本

新型N-BOX 2017年秋にフルモデルチェンジ。2011年12月に発売以来、累計販売台数は107万台を超え、2015年と2016年に軽四輪車新車販売台数第1位。新型車は、前後に大きく動かせる助手席スーパースライドシートを採用するなど使いやすさが向上。全グレードにHonda Sensing を標準装備。


電動化計画:2030年に世界販売台数の3分の2を電動車へ

 「カーボンフリー社会」の実現のため、ホンダは電動化技術の導入を強化する。2030年には、四輪車の世界販売台数の3分の2を電動車両とすることを目標としている。その内訳は、ゼロエミッション車(FCVとEV)で約15%、PHVとHVで50%以上を目指す。

 電動車両の開発を急ぐため、2016年10月に電動車を一貫して開発する「EV開発室」を研究所内に設立。2018年には中国専用のEVを発売する計画。中国政府が導入を検討しているNEV(New Energy Vehicle)法(一定台数のEV、PHV、FCVの販売を自動車メーカーに義務づける)に対応する。また、2016年3月に発売したFCVのClarity Fuel Cellと同じプラットフォームを使用して、EVとPHVを2017年後半に米国で発売する。



セレナのプロパイロット搭載モデル プロパイロットは、高速道路において「車間距離キープ」と「車線中央キープ」を自動でコントロールする(日産広報資料)
Clarity Fuel Cellとプラットフォームを共有するClarity Plug-in Hybrid(左)とClarity Electric(右)(写真:ホンダ)



ホンダの電動化計画

2016年10月 「EV開発室」を研究所内に設立。開発速度を高めるため、パワートレインから車体まで一貫して開発する。
2017年6月 HVシステムをベースとする、ホンダ独自の高効率なPHVシステム搭載車が今後の開発の中心。FCV、EVの開発も強化する。
2018年 中国専用EVを発売(2017年秋に発表予定)。中国政府が導入を検討中の「NEV法」(一定の販売量を持つ自動車メーカーに一定台数の新エネルギー車(EV、PHV、FCV)の販売を義務付ける)に対応するため。中国の開発子会社が2つの合弁会社、広汽ホンダと東風ホンダと協力して開発。電池とモーターは中国内で調達する。EVに続き、中国向けPHVも発売予定。
他地域に向けてもEVの専用モデルを開発中(2017年秋に発表予定)。
ホンダとして欧州初の2モーターハイブリッドシステム搭載車を発売する。
2025年 欧州では、世界目標よりも5年早く、2025年に四輪車販売の3分の2を電動車に置き換える。
FCVのコストを、HVとの部品共通化等により、HVと同等まで低減する。
2030年 四輪車の世界販売台数の3分の2を電動化する。(内訳はEV、FCV等のゼロエミッション車で全体の15%程度、PHVとHVで50%以上。これらを日本、米国、欧州、中国で販売する。)



Clarityシリーズ:同一プラットフォームでFCV、EV、PHVをラインアップ

Clarity Fuel Cell 2016年3月に日本、11月に欧州、12月に米国でリース販売開始。5人乗りセダンに最高出力130kW、最大トルク300N・mの交流同期モーター、最高出力103kW、出力密度3.1kW/LのFCスタック、高圧水素タンク2本(圧力70MPa)を搭載。航続距離(EPAモード)は366マイル。
Clarity Electric 2017年8月に米カリフォルニア州とオレゴン州でリース販売を開始。Clarity Fuel Cellと共通のプラットフォームを使用。最高出力161hp、最大トルク221lb-ftのモーター、容量25.5kWhのリチウムイオン電池を搭載。航続距離(EPAモード)は80マイル。充電時間は240Vで3時間、急速充電器使用時は30分で80%の充電が可能。
Clarity Plug-in Hybrid 2017年後半に米国で発売予定。Clarity Fuel Cellと共通のプラットフォームを使用。1.5L 4気筒アトキンソンサイクルガソリンエンジン、最高出力181hp、最大トルク232lb-ftのモーター、容量17kWhのリチウムイオン電池を搭載。EV航続距離は42マイル、総航続距離は330マイル。
(注)2017年4月のホンダの発表によると、Clarityシリーズの米国販売目標は最初の4年間で7.5万台としている。


先進安全技術の導入:2025年にレベル4の自動運転技術確立を目指す

 「交通事故ゼロ社会」の実現のため、ホンダは先進安全技術を導入する。まず、衝突軽減ブレーキなど8つの先進安全機能を搭載した安全運転支援システム「Honda Sensing」をさらに普及させる。日本では現在、8車種に搭載されているが、2017年秋に発売される新型N-BOX以降、すべての新型車で標準装備する計画。北米、中国、欧州でも搭載を拡大する。

 また、ホンダは、自動運転技術を通じて、「すべての人に交通事故ゼロと自由な移動の喜び」を提供し、「移動が楽しくなる時間と空間」を創出することを目指している。自動運転技術の導入では、2020年に高速道路の複数車線での自動走行を可能とする技術、2025年には、レベル4(地理・環境・交通状況等の限定条件下で、ドライバーが介入する必要がない)の自動運転技術の確立を目指す。



Honda Sensingの導入計画

日本 2017年秋にフルモデルチェンジ予定の新型N-BOX以降、軽自動車を含めたすべての新型車で標準装備する
米国・中国 導入済み
欧州 2017年初頭に発売された新型Civic 5ドアハッチバックから適用開始。同モデルは英国で生産されている



8つの先進安全機能

衝突軽減ブレーキ(CMBS) アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
誤発進抑制機能 車線維持支援システム(LKAS)
歩行者事故低減ステアリング 先行車発進お知らせ機能
路外逸脱抑制機能 標識認識機能



搭載車種(日本・2017年7月現在)

コンパクト Fit
セダン Legend、Accord
ミニバン Odyssey、Jade、Step Wgn、Freed (注)JadeとStep Wgnには「歩行者事故低減ステアリング」は搭載されていない。
SUV Vezel



ホンダの自動運転導入計画(2017年6月発表)

2020年 高速道路において、複数車線での自動走行を可能とする。ドライバーの指示が不要な自動車線変更機能や、渋滞時にドライバーが周辺監視を行う必要がない自動運転(SAE基準でレベル3に相当)の実用化を目指す。その後、一般道に拡大する。
2025年頃 個人ユーザー向けに、レベル4(地理・道路・環境・交通状況・速度等の限定条件下で、システムがすべての運転タスクを行い、ドライバーが介入する必要がない)の自動運転技術を確立する。


LMC Automotive生産予測:ホンダの生産台数は中期的に510万台水準

LMC Automotive、2017年5月)

 LMC Automotive社の生産予測(2017年5月)によると、ホンダのLight vehicle生産台数は、2017年に前年比4.9%増の522万台となる見通し。2020年までの中期予測では、510万台水準を維持すると見ており、このうち米国が130万台、中国が110万台を占める。中長期的に見ると、日本での生産は必然的に減少するが、新興市場における生産台数は増加する見通し。

 ホンダはグローバル成長戦略の中心に小型車(Small Cars)を置くことで、世界販売台数を伸ばしている。日本では2011年末に発売した軽自動車「Nシリーズ」により、2012年以降の量販を支えている。実際にN-Boxは日本市場で2016年の軽自動車ベストセラーモデルとなった。海外では新興市場向けモデル「Brio」とその派生車種の発売を加速している。

 インドでは、2017年2月に「City」の2017年版改良モデルを1.3万~2万ドルで発売し、当初2週間で5,000件以上の受注を獲得した。このうち約70%はガソリン仕様モデルだった。続いて3月中旬には「WR-V」を発売。LMC Automotiveでは、「2017年第4四半期までにはニューデリー工場で10代目「Civic」の生産が開始されると見て、予測データにCivicを戻した。CivicはタイからCKD形式で導入されるだろう」としている。さらにホンダは第3工場用地として、グジャラート州Vithalapurに380エーカーの土地を取得したとされる。直ちに新たな生産能力が必要な状況ではなく、将来的な不動産コスト上昇を回避するための措置と考えられる。

 タイでは、2016年にホンダの生産台数が20万台を超えた。新型車「BR-V」や「Civic」新バージョンなど新モデルの生産が牽引。新型CivicはホンダのPrachin Buri新工場で2016年第1四半期から生産されている。

 一方、中国市場におけるホンダ車への高い需要を満たすため、華中の都市、武漢に組立工場を建設。同社によると、新工場は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を組み立てる能力を備えているという。この工場は東風汽車との合弁会社である東風本田汽車有限公司(Dongfeng Honda Automobile Co., Ltd.)が運営する。

 ホンダは現在、さらに厳格化される将来の環境規制への対応を検討する必要があることから、ハイブリッドモデルを強化している。2016年3月には燃料電池車「Clarity Fuel Cell」を発売。2017年には同モデルのEVおよびPHV派生車を発売する予定。



ホンダのLight vehicle生産台数予測

(台)

COUNTRY GLOBAL
MAKE
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
  Honda 4,300,207 4,322,391 4,773,133 5,031,625 4,965,567 4,963,045 4,878,434
  Acura 196,358 209,882 202,772 188,630 174,355 190,574 207,230
Honda Group Total 4,496,565 4,532,273 4,975,905 5,220,255 5,139,922 5,153,619 5,085,664
USA Honda 1,076,047 1,062,159 1,099,794 1,142,412 1,183,803 1,175,191 1,144,184
  Acura 192,683 207,480 190,225 174,796 158,329 163,033 171,647
USA sub-total 1,268,730 1,269,639 1,290,019 1,317,208 1,342,132 1,338,224 1,315,831
China Honda 856,425 961,400 1,199,005 1,303,089 1,123,901 1,035,937 1,095,348
  Acura 0 0 10,514 11,979 13,725 25,393 32,403
China sub-total 856,425 961,400 1,209,519 1,315,068 1,137,626 1,061,330 1,127,751
Japan Honda 953,373 717,283 816,994 800,881 875,202 956,199 817,326
  Acura 3,675 2,402 2,033 1,855 2,301 2,148 3,180
Japan sub-total 957,048 719,685 819,027 802,736 877,503 958,347 820,506
Canada Honda 392,999 384,914 411,162 445,187 433,437 404,478 389,865
India Honda 170,816 211,800 157,549 205,248 226,419 238,368 250,154
Mexico Honda 145,159 208,729 254,872 210,495 213,991 238,824 247,366
Thailand Honda 143,685 170,598 200,004 229,257 224,495 220,370 221,334
Indonesia Honda 153,113 153,543 178,437 192,981 188,013 195,923 202,492
Brazil Honda 135,242 145,330 120,179 137,809 139,486 143,553 153,156
UK Honda 121,799 119,414 134,138 127,137 117,468 116,655 118,725
Malaysia Honda 72,098 93,770 96,414 105,331 103,762 100,031 102,068
Pakistan Honda 22,344 25,459 30,570 40,716 37,100 37,889 40,551
Taiwan Honda 23,675 24,604 24,372 31,951 33,723 34,778 35,483
Turkey Honda 11,633 12,667 15,163 28,206 29,367 28,746 22,401
Vietnam Honda 6,830 7,875 11,956 9,990 14,545 14,313 14,579
Argentina Honda 6,834 7,541 12,369 11,838 11,730 11,934 12,857
Philippines Honda 8,135 15,157 9,195 8,115 8,145 8,873 9,561
Nigeria Honda 0 148 960 982 980 983 984
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (May 2017)
(注) 1.データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2.本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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ホンダ、AI、自動運転、電動化、EV、PHV、FCV

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