タイの日系部品メーカー (2):生産能力増強、生産品目拡大の動き

NOK/NTN/ジェイテクト/大同メタル/中央発條/ニッパツ/ユーシン等が新工場棟を建設

2012/07/09

要 約

 以下は、タイにおける日系自動車部品メーカーの既存拠点の生産能力増強・生産品目拡大の動きである (収録対象は、2012年6月中旬までの約1年間)。

 タイの自動車生産は2011年秋の大規模洪水で一時低下したが、洪水から復旧後は急回復している。タイ国工業連盟 (FTI) は、2012年通年予想を前年比51%増の220万台とし、2014年には243万台に達する見込みとしている。

 日 系部品メーカーは、日系自動車メーカーの生産拡大や周辺国への部品輸出拡大に対応し、既存拠点で生産能力を増強する活動が活発である。2011年秋の大洪 水 後も、この動きは続いているが、浸水被害を受けた部品メーカーの中には、リスク分散のために既存拠点とは異なる場所に新工場を建設する動きも見られる。

 また、新たな品目の生産を開始する部品メーカーも数多くある。アイシンAIは四輪駆動車用トランスファ、エクセディはトルクコンバータ、KYBはCVT用ポンプ、ティラドはEGRクーラー、パイオラックスはCVT用金属部品、フコクはワイパー部品の生産を追加する。

 なお、 日系自動車部品メーカーの新生産拠点や開発拠点構築の動きについては、2012年6月に掲載した "タイの日系部品メーカー(1)" に収録する。

Thailand production

参考:タイのメーカー・ブランド別月次生産実績

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート
ASEAN (インドネシア、ベトナム、マレーシア他) 編 (2012年6月)、 中国(東北/華北地区)編 (2012年5月)、
インド編 (2011年12月)、 メキシコ/ブラジル編 (2011年12月)、欧州編 (2011年11月)、米国編 (2011年8月)



生産能力増強の動き

(配列は企業名 50音順)

NOK:工場棟を新設し、自動変速機用シール部品の生産を開始
 NOKは、Chonburi県の生産子会社 Thai N.O.K. に工場建屋を増設し、2013年度初頭に生産を開始する計画。新工場では、自動変速機用BPS (ボンデッドピストンシール) を月間30万個生産する計画。これまでは全量、日本の二本松事業場で生産していたが、変速機メーカーからの現地調達ニーズに対応するほか、災害等のリスク対応を強化する。
NTN:タイに2つ目の工場を建設し、CVJなどの生産能力増強
 NTNは、約25億円を投資して、NTN Manufacturing (Thailand) (NMT)の2番目の生産拠点をChonburi県 Pinthong工業団地に建設する。2012年10月に稼働予定。2014年度の従業員数は220名の予定。Rayong県 Eastern Seaboard工業団地にある既存工場で生産する等速ジョイント(CVJ)の生産を移管し、生産能力を増強する。両工場では、ハブベアリングやボールベアリング等の生産能力も順次増強する。
NTNと高雄工業:NMTの第2工場敷地内に鍛造・旋削合弁会社を設立
 NTNと高雄工業は、NMTのChonburi県 Pinthong工場敷地内に、鍛造・旋削を行う合弁会社NTPTを設立(2012年2月)。現地一貫生産体制を整備する。2013年2月に稼働予定。出資比率はNTN 80%、高雄工業 20%。NTPTは生産した自動車向け商品の半製品を、タイのほか東南アジア、欧州、米州のNTNグループ工場に供給する。
遠藤製作所:鍛造部品工場を 3割増床
 遠藤製作所は、Chachoengsao県で鍛造部品を生産する Endo Forging (Thailand) に 7.6億円を投資し、工場を 3割増床する。既存工場の隣接地を取得し、延べ床面積 7,000平方メートルの建屋を建設して、2012年6月頃に稼働する計画。新たにエアハンマーを 3台導入し(既存工場の 9台と合わせ合計12台)、エンジン、ギア、タイヤ関連の鍛造部品を生産して、タイで生産する日系部品メーカー等に供給する。
大川精螺工業:第2工場を建設し、ブレーキホース継手金具等の部品生産を倍増へ
 大川精螺工業は、Thai Okawaに約 5億円を投資して第 2工場を建設し、2012年 5月に稼働させた。Rayong県 Hemaraj Eastern Seaboard工業団地にある第 1工場が手狭となったため、隣接地に第 2工場を建設。ブレーキホース継手金具やスタッドボルトなどの生産能力は、第 1・第 2工場を合わせて2014年 3月までに現行比 2倍の年1,600万個に引き上げ、ASEAN諸国やインドなど、日系を含むアジアの自動車メーカーからの受注増に対応する。全社での海外生産比率を現行の 3割から、2014年に 5割に引き上げる方針。
小倉クラッチ:工場を増築し、カーエアコン用クラッチを年350万台に増産
 小倉クラッチは、Ogura Clutch THAILAND (Rayong県) に約10億円を投資して既存工場を増築し、2013年初めからカーエアコン用クラッチを増産する。建屋面積1万平方メートルの既存工場に、3,000平方メートルを増築。2012年末までにプレス成形機等を導入して、年産能力を現行の 1.7倍の 350万台とし、現地日系部品メーカーに供給する。2013年12月期の売上高目標は、2011年12月期比 20億円増の 50億円。
キリウ:鋳造部品の生産能力を倍増の月5,000トンへ
 キリウは、Rayong県の Kiriu Thailand の敷地内に鋳造工場を増設し、電気炉 4基と造型ラインを導入する。2013年 8月に稼動し、ブレーキディスク/ドラム等の鋳造・機械加工部品を生産する計画。既存工場と合わせた生産能力は、現行の 2倍の月 5,000トン。投資額は 25億円。将来は、タイのほか ASEAN諸国およびインドにも輸出する計画で、日産、ホンダ、GM等に供給する予定。同社は2015年のブレーキディスク/ドラムの世界シェアを10%に引き上げる方針 (2012年現在は8%)。
三光合成:樹脂部品を塗装する新工場を建設
 三光合成は、Rayong県の Sanko Gosei Technology (Thailand) に、樹脂部品の塗装を手掛ける新工場を建設し、2012年 4月に稼働させた。日産能力は内装・外装部品を合わせて 4000個。既存の工場が手狭になってきたため、用地を新たに確保して建設した。同社の Ayutthaya工場は洪水の浸水被害を受けたが、Rayong工場に被害はなく、通常稼働を続けている。
GSユアサ:自動車用鉛蓄電池の年産能力を 58%増の 600万個へ
 GSユアサは2012年 2月、タイの関連会社 3社の生産体制を再編し、増強投資を行うと発表した。
 Siam GS Battery (Samut Prakarn県) は、2011年に約 15億円を投じて隣接地 5万平方メートルを購入。新工場を建設して2012年 3月に完工し、2014年までにアイドリングストップ用など自動車用鉛蓄電池の年産能力を現状の 300万個から 500万個に増強する。オートバイ用鉛蓄電池は年産能力 200万個を維持。
 Yuasa Battery (Thailand) (YBTH: Samut Prakarn県)は、Chachoengsao県にある第 2工場を GS Yuasa Siam Industry (Chachoengsao県) へ売却し、自動車用電池の生産を第 1工場に集約。今後は経営資源を主にオートバイ用電池事業に集中投下する。2014年までにオートバイ用鉛蓄電池の年産能力を 300万個から 400万個に、自動車用鉛蓄電池の年産能力を 80万個から 100万個に増強する。
 GS Yuasa Siam Industry は YBTH から第 2工場を買い取り、フォークリフト用鉛蓄電池の年産能力を、2014年までに 8,000台分から 16,000台分に増強する。
GMB:ウォーターポンプの日本生産の大半をタイに移管
 GMBは、Thai GMB Industry (Prachinburi県) に、奈良の本社工場で月約15万個生産しているエンジン冷却用ウォーターポンプの大半を、2014年度を目処に移管する (2012年 1月報道)。Thai GMBの月産能力は、現状の 35万個から、2014年には 45万個となる見込み。総費用は 6-7億円で、生産設備の移設やタイ工場での新棟建設(2013年内に完成予定)を行う。生産移管により、生産コストを従来比 25-30%削減できる見通し。
ジェイテクト:新工場棟を建設し、パワーステアリングの生産能力を5割増強
 ジェイテクトは2011年11月、Rayong県のJTEKT Automotive (Thailand) (JATH) にコラム電動パワーステアリングの生産ラインを新設した。2012年3月から、タイで生産する三菱自動車のグローバルスモールカー Mirage向けに供給する。JATHは主にトヨタ向けに生産しており、三菱自にステアリング関係部品を供給するのは初めて。
 ジェイテクトは、JTEKT Automotive (Thailand) に電動パワーステアリングを製造する新工場棟を建設すると発表した (2012年 1月)。2012年中に建設を開始し、2013年末に稼動する予定。投資額は5-6億円。生産能力は、従来比5割増強する見込み。
自動車部品工業:プロペラシャフトとリングギアを大幅増産
 自動車部品工業は、Chonburi県のJibuhin (Thailand) の生産能力を大幅増強する(2011年11月報道)。まず、プロペラシャフトについては、2012年半ばまでに約 7億円を投資して年産能力を 15%増の 75万本にし、タイで生産するいすゞやインドネシアで生産するダイハツ、スズキに供給する。また、リングギアについては、2012年度末までに約 5億円を投資して、年産能力を 50%増の 200万枚とし、トヨタ、三菱、いすゞ等に供給する計画。
シンニッタン:鍛造部品を15%増の月産2300トンに拡大
 シンニッタンは Rayong県の Siam Metal Technology に約 7億円を投資して、2012年 3月に2500トンのプレス機を導入し、生産能力を現行比 15%増の月 2300トンに拡大する。既存設備の老朽化や新規需要に対応する。2012年半ばから鍛造部品のアクスルシャフト、ナックル、ギア等を生産し、いすゞ、日産などの日系自動車メーカーに供給する。
 また、これまで外部調達していた金型を内製化し、コストを削減する。2.5億円を投資して新工場を建設。2012年6月には稼働体制に入り、従業員教育を進めている。工場の建築面積は1258平方メートル。
住軽テクノ:ラインを増設し、熱交換器用アルミ合金管を6割増産
 住友軽金属の連結子会社の住軽テクノは、生産子会社 Sumikei Techno (Thailand) に約14億円を投じ、Prachinburi県304工業団地に熱交換器用アルミニウム押出多穴管の製造ラインを増設すると決定した (2012年2月)。押出機、塗装機、切断機および付帯設備を導入し、2012年9月に稼動予定。年産能力は約 2200トンで、既存設備との合計年産能力は5800トンとなる。
 住軽テクノは、当初、Sumikei Techno (Thailand) の既存工場がある Ayutthaya県 Rojana工業団地に上記ラインを増設すると発表していた (2011年 8月)。しかし、既存工場が2011年秋の洪水で浸水被害を受けたため、洪水リスクの極小化・リスク分散を目的として、建設地を変更。それに伴い、投資金額を 10億円から 14億円へ、稼働開始時期を 2012年 3月から 9月に変更した。
大同メタル工業:第2工場を建設し、軸受メタルの生産能力を1.5倍へ
 大同メタル工業は、Chachoengsao県で軸受メタルを生産するDyna Meta の第 2工場を同県に建設し、2012年 4月末に稼働させた。2014年までに生産能力を段階的に増強し、稼働前の50%増に引き上げる。タイで生産拡大する日系完成車メーカーに対応する。
高橋スプリング:バネ工場を拡張し、プレス加工を内製化
 高橋スプリングは、Takahashi Spring Thailand (Ayutthaya県 Bangpa-In 工業団地) のバネ工場を拡張し、2012年 5月に稼働させた。プレス加工機 6台を新規導入し、プレス加工を内製化して、バネ製造、プレス加工、組立まで一貫生産する。従業員は 25人を追加採用する。2013年12月期のタイでの売上高目標は、現行比 20%増の8.4億円。(同工場は2011年秋の洪水で浸水被害にあったが、11月には一部稼働、2012年3月にはフル稼働に戻った。)
ダテックス:第2工場を新設し、内外装部品の生産能力を6-7割増強
 ダテックスは Bangkok市で内外装部品を生産する Datecs (Thailand) に第 2工場を新設した。床面積は、従来比 60%増の 5500平方メートルに拡大、生産能力は 60-70%増加。総投資額は約 3億円。
田中精密工業:新工場を建設し、2014年にロッカーアームの生産を5倍増
 田中精密工業は、Lamphun県にあるTanaka Precision (Thailand) の既存工場の近郊に、新工場を建設することを決定した(2012年4月)。約3億円で6万4000平方メートルの用地を取得。1年以内に着工し、2014年からロッカーアームを生産する。タイにおける2016年度の同社のロッカーアーム生産量は、現状の約 5倍に達する見込み。
 既存工場については2012年5月までに増築し、四輪車・二輪車向けエンジン部品の生産能力を1.5倍に引き上げる。日本で使用していない生産設備を移管し、改修して使用する。
中央発條:第2工場を建設し、ドアロックケーブルの生産能力を倍増
 中央発條は、Rayong県のChuo Thai Cableに2億5000万円を投資して第2工場を建設し、ドアロック用コントロールケーブルの生産を開始する計画 (2012年 1月報道)。同ケーブルの月産能力を140万個に倍増し、ボディ関連部品メーカー等からの受注増加に対応する(時期は未定)。
椿本チエイン:タイミングチェーンドライブシステムの生産能力を50%増
 椿本チエインは、Chonburi県の Tsubakimoto Automotive (Thailand) に第 4工場を新設し、2012年下期に稼働させる計画。既存工場に隣接する土地と建屋 (床面積約 4000平方メートル) を改修して使用する。エンジン用タイミングチェーンドライブシステムの年産能力を、現行比 50%増の 250万台に増強し、2014年には 300万台にまで引き上げる計画。インドネシア等の ASEAN地域やインドでの需要増に対応する。投資額は数億円の見込み。
 第 4工場の稼働を機に、従来日本から供給していた基幹部品や、チェーンのリンクプレートおよびテンショナーの部品の生産も開始し、タイミングチェーンドライブシステムの一貫生産体制を整備する。基幹部品の生産移管により、天災などのリスク分散を図る方針。
テイ・エステック:2014年度以降にシートの第2製造拠点を設置
 テイ・エステックは、2014年度からの次期中期経営計画中に、タイでシートの第 2生産拠点を設置する検討を開始した (2012年 6月報道)。既存拠点の TS Tech (Thailand) は、Ayutthaya県 Saharattana Nakorn 工業団地にあり、2011年秋の洪水で浸水被害を受けた。新拠点は、主要納入先のホンダの生産計画や他の新規受注動向のほか、リスク対策も考慮して決定する。年産能力は既存拠点と同程度の 25万台分。テイ・エステックはタイを、東南アジアでの生産・営業・開発・購買の重要拠点と位置付けている。
ニチダイ:ターボチャージャー部品を最大 2割増産
 ニチダイは、Chonburi県の Nichidai (Thailand) (議決権の75%を保有) に新工場棟を建設し、2012年 7月に完工する予定。延べ床面積を現行の約 6倍の 8300平方メートルに拡大する。新棟の約 3割のスペースに新たな組立ラインを設置し、2013年春からディーゼルエンジン向けターボチャージャーの基幹部品、ノズルアッシーを生産する計画。現行より最大 20% 増産し、タイの日系部品メーカーに供給する。(新棟の残りのスペースではスクロール鍛造品の生産を開始する:生産品目拡大の項を参照)
ニッパツ (日本発条):タイ子会社にシート工場を新設
 ニッパツは、約11億円を投資し、子会社の NHK Spring (Thailand) に4つ目の工場 (Rayong県Hemaraj Eastern Seaboard工業団地) を建設し、2011年11月に稼働した。敷地面積は約14万平方メートル、建屋面積は約1万平方メートル。クッション材まで組み付けた完成シートを生産し、三菱やGMの現地生産拠点に供給。2012年の売上高目標は約62億円。
日立オートモティブシステムズ:エンジン系・走行系電子製品の生産増強
 日立オートモティブシステムズは、Chachoengsao県にある Hitachi Automotive Systems Asia の既存工場の敷地内に新棟を建設し、エンジン系・走行系電子製品の生産を増強する。2013年の稼働予定で、エンジン制御機器 (ECU) 等を生産する計画。東南アジア地域で生産拡大する日本・米国の完成車メーカーに対応。
 また、Nakhon Ratchasima県の現地子会社 Tokico (Thailand) では、2012年 4月から走行系製品の生産を増強した。増産している製品は、ブレーキやサスペンションなど。日立オートモティブシステムズは、生産の海外シフトを進めており、2015年度の海外売上高比率を、2010年度比 10ポイント増の 60%超に引き上げる方針。
日立化成工業:第2工場を新設し、ブレーキ摩擦材の生産能力を倍増
 日立化成工業は、Ayutthaya県でブレーキ摩擦材を生産する Japan Brake (Thailand) の第 2工場を、Chachoengsao県 Gateway工業団地に新設することを決定した (2012年 5月)。需要増への対応と、生産拠点の分散による安定供給が目的。2013年 2月に稼働予定で、ディスクブレーキパッド、ブレーキアッセンブリー等の摩擦材を生産する。稼動後の生産能力は倍増する見込み。当初は第 1工場のある Hi-Tech工業団地に建設する予定だったが、2011年秋の洪水で第 1工場が浸水したため、建設地を変更した。
日立電線:日本から製造設備を移管し、ブレーキホース管体の生産能力を倍増
 日立電線は、茨城県日立市の電線工場からタイ・Chonburi県の AHCL (Thailand) に、ブレーキホース管体の製造設備を一部移管し、タイでの同製品の生産能力を増強する (2012年 5月発表)。タイ中心の供給体制とし、コスト競争力を高める。移設が完了する2013年度には、AHCL での同製品の生産能力を2011年度比で約 2倍とし、タイから日本を含む世界 6拠点に管体を供給する。
ファインシンター:第 2工場棟を建設し、粉末冶金部品の生産能力を増強
 ファインシンターは、Rayong県の粉末冶金部品工場 Thai Fine Sinter の敷地内に第 2工場を建設した。規模は第 1工場の約半分で、2011年末に完工し、焼結炉やプレス機等の設備を導入。2012年半ばを目処に、第 2工場でエンジン、緩衝器、変速機向けの粉末冶金部品の生産を開始し、タイで IMV およびエンジンを増産するトヨタや他の部品メーカーに供給する。投資額は約 10億円。2014年の同社のタイ工場での売上高目標は、2011年比 50%増の 30億円。
富士機工:ステアリングコラムの生産を倍増
 富士機工は、Rayong県の Summit Fuji Kiko Kurata Manufacturing に新設備を導入し、ステアリングコラムの生産を倍増する (2012年 3月報道)。2012-2013年度に生産能力を増強する。小型・軽量で燃費向上にも貢献するステアリングコラムの生産能力を増強し、タイで生産する日系完成車メーカーの増産に対応する。
三井化学とプライムポリマー:ポリプロピレン自動車材の生産能力を15%増強
 三井化学とプライムポリマー (出資比率:三井化学65%、出光興産35%) は、Rayong県でポリプロピレン (PP) 自動車材を生産する Grand Siam Composites (出資比率:三井化学45.2%、プライムポリマー3.0%他) に新規ラインを増設する。2012年第 3四半期に運転を開始し、PP の年産能力を前年比 15%増の 14万トンとする。迅速・正確な納入のため、自動立体倉庫も新設する。タイのほか、インドネシアなど周辺国の需要増に対応する。
三菱重工業:ターボチャージャーの生産能力を増強
 三菱重工業は、2012-2014年度にかけて、Chonburi県の Mitsubishi Turbocharger Asia でターボチャージャーを増産する。世界における2011年度の同社のターボチャージャー販売台数は 430万台 (シェア 21%) だったが、2014年度には 700万台 (同25%) に拡大する方針。そのため、米国で新工場を建設するほか、中国・タイで生産能力を増強する。2016年度の世界年産能力は、現状比 2.3倍の 1000万台 (うちタイは 75万台) とする計画。
三菱電機:カーオーディオの生産能力を増強
 三菱電機は、Rayong県の Mitsubishi Electric Thai Auto-Parts で、カーオーディオの生産能力を増強し、2012年度後半にも増強設備で生産を開始する計画。生産規模や投資額は明らかにしていない。製品は、欧米で生産拡大する日系完成車メーカー等に供給する。同工場は、2011年秋に洪水により部品調達が困難になり、一時生産調整を行ったが、2011年末には回復に向かった。
山下ゴム:第2工場を建設し、タイ・日本の押出製品の生産を集約
 山下ゴムは、全額出資子会社 Y-TEC (Prachinburi県 304工業団地) の既存工場の隣接地に第 2工場を建設し、ホンダ等の需要増加に対応する。2012年 5月に定礎式を行い、同年内の稼働を目指す。第 1工場では型物と押出製品を手掛けているが、第 2工場稼動後はホース、チューブなどの押出製品を全面移管する。将来は日本で生産する押出製品の大半もタイに移管し、全世界に供給する。投資額は 20億円。第 2工場稼動後の生産能力は現行の 2倍とする。Y-TECの売上高目標は2013年12月期 30億円、2014年12月期 50億円 (2011年12月期 10億円超)。
ユーシン:スズキのタイ工場建設に合わせ、第2工場を建設してキーセットを増産
 ユーシンは、Rayong県でキーセット等を生産する U-SHIN (Thailand) で第 2工場を建設し、2011年 11月から稼働を開始した。2008年に準備を始めた第 2工場計画は一時凍結していたが、スズキのタイ工場建設計画再開 (稼働は2012年 3月) に伴い、2011年初めに建設を再開。土地は取得済みで、建物・機械など投資額は22億円。スズキ向けの販売が加わるため、第 2工場稼動後のユーシンのタイでの売上高は従来比倍増を見込む。
横浜ゴム:2014年度に世界生産を12%増の6600万本へ、タイでも生産能力増強
 横浜ゴムは、2012年 2月発表の中期経営計画 "GD100" フェーズIII (2012-14年度) で、同期間にロシア、中国、フィリピン、タイを中心にタイヤの生産能力を増強し、年産能力を 2011年度末の 5900万本から 2014年度末の 6600万本に引き上げるとしている。さらに同期間に総額 1400億円の新規増産投資を実施し、2017年度末の年産能力を 8600万本とする。タイでは、Yokohama Tire Manufacturing (Thailand) の能力増強を検討する。
ヨロズ:第2生産拠点を設立し、サスペンション部品・関連部品を生産
 ヨロズは2012年4月、オグラ金属等と共同で、タイの第2生産拠点となるY-Ogura Automotive (Thailand) (ヨロズが8割強出資予定) を設立した。第1生産拠点があるRayong県に、約40億円を投資して設立し、サスペンション部品・関連部品を生産して、タイで操業する完成車・部品メーカーに供給する。2015年のフル操業時の従業員数は330名で、売上高は約45億円を目指す。

 



生産品目拡大の動き

(配列は企業名 50音順)

アイシンAI:トヨタ Hilux Vigo 向けトランスファの生産開始
 アイシンAI は2011年7月、Chachoengsao県の Aisin AI (Thailand) の第 2工場で、トヨタから委託された四輪駆動車用トランスファ (動力分配装置) の生産を開始した。Hilux Vigo 向け中容量 FR トランスファ "TV2"で、年間 13万台生産する。これまでアイシンAI は、タイ工場で Hilux Vigo 向け主導変速機等を生産していたが、トランスファの海外生産をするのは初めて。
愛知製鋼:新工場で鍛造品の一貫生産を開始
 愛知製鋼は、生産子会社 Aichi International (Thailand) で新工場を建設していたが、第1期工事が完了し、2012年6月から本格生産を開始した。Chonburi県Pinthong II 工業団地にある新工場には鍛造ラインを新設し、既存工場 (Amata Nakorn工業団地) から加工・検査機能も全面移管して、鍛造品の一貫生産体制を整備した。既存工場は順次閉鎖する。今後はアジア地域での鍛造品の生産拠点として、事業拡大を図る。
アルパイン:タイ工場でカーオーディオの生産を再開
 アルパインは、リーマンショック時に撤退したカーオーディオの生産を、2012年 9月から Prachinburi県の Alpine Technology Manufacturing (Thailand) で再開する。現在、同工場は電子機器の受託生産を行っているが、10億円弱を投資し、カーオーディオ/カーナビゲーションシステムの生産設備を導入。タイのほか、ASEAN諸国の市場を開拓する。当初は市販向けを中心とするが、将来は OEM の新車装着向けも手掛ける計画。
エクセディ:2013年からAT基幹部品のトルクコンバータの生産開始
 エクセディは Chonburi県の Exedy (Thailand) で、2013年にも ATの基幹部品であるトルクコンバータの生産を開始する。Exedy (Thailand) が新築した生産棟に設備を導入し、年約 40万台を生産して、日系変速機・完成車メーカーに供給する。周辺国への輸出も視野。タイ向けのトルクコンバータは従来日本から輸出していたが、タイで AT車の比率が高まっており、現地生産を開始する。
FTS:2013年からトヨタの新型車向けに樹脂製燃料タンクを生産
 FTSは2013年から、Rayong県の生産工場 Asno Horie (Thailand) (FTSが79%出資) で樹脂製燃料タンクの生産を開始する。現在は鉄製タンクを生産しているが、数億円を投資してブロー成形機や組立ラインを導入し、2013年からトヨタが年間7万台生産する戦略小型車向けに供給する。軽量な樹脂製タンクは燃費改善に効果があり、今後の採用拡大が見込まれる。
KYB:2013年秋にCVT用ポンプの生産開始
 KYBは2012年5月、7.8億円を投じてChonburi県Amata Nakorn 工業団地内に8.8万平方メートルの土地を取得した。新工場を建設して2013年9月頃にCVT用ポンプの生産を開始し、月5万台の生産体制を整備する計画。KYBは現在、同工業団地内の工場でパワステ用ポンプやショックアブソーバを生産しているが、CVT用ポンプは日本から輸入している。
住友電気工業:銅荒引線・伸線と切削用アルミ棒材の生産拠点を設立
 住友電気工業は2012年 4月に、全額出資の生産子会社 SEI Thai Electric Conductor を Rayong県に設立。資本金は約 27億円。2014年 4月に稼動予定で、ワイヤーハーネス等の電線・ケーブルの母線である銅荒引線・伸線と、自動変速機のバルブ部品に加工される切削用アルミ棒材を生産する計画。2015年度の月間販売量は銅製品約 1万トン、アルミ製品約 110トン、年間売上高は約 470億円を目指す。中国・東南アジア地域で拡大する需要に対応する。
タチエス:シートフレームの専用ラインを新設し、ASEAN、インドのシート工場に供給
 タチエスは、Bangkok市にある TACLE Seating Thailand のシート工場内に、シートフレームの専用ラインを新設する。投資額は約30億円。2013年秋にも生産を開始し、段階的に生産を拡大して、2014年春にフル稼働とする計画。年産能力は 10万台以上(調整中)。タイの自社シート工場に供給するほか、今後シート工場を建設する予定のインドネシアやインドにも供給する。タチエスは、日産の新興国における増産計画に対応し、中国、タイ、メキシコでフレームを集中生産して、グローバルに供給する方針。
ティラド:EGRクーラーを年20万台生産へ
 ティラドは、Chachoengsao県のT.RAD (Thailand) に専用の設備を導入し、2012年半ばからEGRクーラーの本格生産を開始する。年産20万台の予定。タイでは政府のEco-Car事業に対応して自動車生産が拡大しており、燃費向上と排出ガス削減に有効なEGRクーラーの搭載車種も増加する見通し。ティラドのEGRクーラーの生産拠点は、日本、米国、チェコに続き、4箇所目となる。
ニチダイ:2012年12月からカーエアコン用スクロール鍛造品を生産
 ニチダイは、Chonburi県の Nichidai (Thailand) に新工場棟を建設してプレス機を導入し、2012年12月からカーエアコン用のスクロール鍛造品の生産を開始する。従来は日本の宇治田原工場で生産していたが、東南アジアで生産を拡大する日系コンプレッサーメーカーの動きに対応する。タイでのスクロール鍛造品の売上高目標は、2013年度3億円、2014年度9億円。新棟の一部スペースではターボ部品を増産するが、スクロール鍛造品とターボ部品を合わせた投資額は、2012-2014年度で10億円超。
パイオラックス:2013年度からCVT用金属部品を年50万台分生産へ
 パイオラックスは、Rayong県のPiolax (Thailand) に隣接する既設工場を第3工場として取得し、建屋面積を従来比約2倍の8200平方メートルに拡大した。第3工場では、ジヤトコがタイで初のCVT工場を稼動するのに対応し、2013年度からCVT用の金属部品を生産する。パイオラックスが同製品を東南アジアで生産するのは初めて。年産能力は50万台分。投資額は数億円。
 2013-14年度を目処に、金属ファスナーも生産品目に追加することを検討中。生産品はASEAN地域に供給するほか、インドにも供給する方針。
フコク:新工場を建設し、欧米向けワイパー部品の生産開始
 フコクは、子会社の Siam Fukoku (本店:Samut Prakarn県) の第 3工場を Nakhon Ratchasima県に建設し、2012年 7月以降に稼動する計画。投資額は約 20億円。従来の 2拠点ではシール機能部品を中心に製造していたが、新工場では欧米等向けワイパー部品を生産する。現在、日本の群馬第 2工場では日本向け・欧米向けのワイパー部品を生産しているが、そのうち欧米向けをタイの新工場に移管する。Siam Fukoku の売上高目標は2012年に 24.6億円、2013年に 39.9億円 (2011年 21.3億円)。
 第 3工場新設に関する2011年 1月の当初発表では、Khon Kaen県に建設を計画していたが、同年 9月、Nakhon Ratchasima県に変更した。新たな用地を取得した工業団地には、Siam Fukoku の既存工場 (Khorat工場) があり、既存工場との協力や物流コスト低減の面でメリットが生じる。
モリテックスチール:クラッチ部品の生産を開始
 モリテックスチールは、既存の現地子会社 Juthawan Molitec (Thailand) を通して、Chonburi県 Pinthong工業団地に新工場を建設 (2012年 3月竣工)。2012年夏頃に稼働し、エンジン用クラッチの鉄鋼部品を生産する。同社にとって、同部品の海外生産は初めて。当初は12億円、2015年度までにさらに8億円を投資する。タイの日系 OEMに供給するほか、周辺国への輸出も視野に入れる。2015年度のタイ子会社の売上高目標は 50億円 (2011年度は約 10億円)。モリテックスチールは、エンジン用クラッチ部品の全社の生産能力を、2015年度までに2011年末時点の 2倍とする計画。

(参考資料:各社広報資料, 各紙報道)

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