ASEAN(1)各国のEV普及促進策、中国メーカーの参入拡大
タイ:BYDや五菱がEV生産開始、インドネシア:現代とLGESがバッテリー合弁工場を建設
2024/09/03
- 要約
- ASEAN各国の電動化政策・EV投入計画(概要)
- ASEAN市場へのEV投入・生産拠点の構築
- タイの電動化施策:2024-2027年に新たなEV優遇策を実施
- インドネシアの電動化施策:CATLやLGESがバッテリーの生産拠点構築
- マレーシアの電動化施策:EV/FCVの道路税は2026年からモーター出力に応じて課税
- フィリピン、ベトナム、シンガポールの電動化施策
要約
ASEAN市場ではカーボンニュートラル達成を目指して、自動車の電動化を進めている。電気自動車(EV)の普及を促進するため、各国はEVに対する税制優遇や補助金プログラムを継続している。
タイはASEAN地域でEVとEV用バッテリーの生産ハブとなることを目指し、引き続き補助金プログラムや税優遇策を継続しているが、2024年からは補助金を減額している。タイのEV市場には多数の中国メーカーが参入しているが、その多くは政府の補助金適用によりタイでのEV生産を義務付けられているため、EV工場の建設を急いでいる。
インドネシアもEV生産ハブおよびEV用バッテリーの生産ハブになることを目指している。同国政府も付加価値税、奢侈品販売税、輸入関税の減免措置を2024-2025年まで継続する。
マレーシアは2030年までに新車販売に占める電動車(EV+HV)の比率を20%とする目標を掲げ、輸入関税、物品税、販売税、道路税等の減免措置によりEVの普及拡大を図っている。
フィリピンは2023年1月にEVおよび部品の輸入関税を免除する大統領令を発令。2024年5月には同令を見直し、輸入関税免除の適用範囲にHVとPHVも含めることとした。
ベトナムはEV普及のために引き続き特別消費税を引き下げ、登録料を免除する。EVおよび主要部品の製造に対しては、法人税が減免される。ベトナムの新興EVメーカーVinFastはインドに工場を建設するが、米国での工場建設計画は延期し、2028年に生産を開始する見込み。
シンガポールは2025年1月1日からはディーゼル車の新規登録を認めないとしている。EVの購入を促すため追加登録料の45%を払い戻しているが、上限を引き下げて同措置を2025年末まで延長する。
本編ではASEAN各国の電動化政策、EVの投入・生産計画、EV用バッテリーの生産計画を中心に報告する。後編の「ASEAN(2)」では、ASEAN市場の生産・輸出・販売状況、ならびにGlobalDataによる販売予測について報告する。
哪吒汽車(Neta)の電気SUV哪吒V-II(2024年3月タイで生産開始)(写真:哪吒汽車) | 五菱の電気MPV Cloud EV(インドネシアで2024年4月発売)(写真:五菱) |
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