タイ:中国メーカーがEV生産拠点を構築

2024-2027年に新たなEV普及支援策を施行、補助金は減額

2024/03/05

要約

長安汽車の電気SUV Deepal S07
長安汽車の電気SUV Deepal S07
(2023年11月のタイ国際モーターエキスポで発表)

 タイ政府は2030年までに国内自動車生産の30%をEVとする方針。この方針に伴い、タイ政府は2023年12月19日、2024-2027年に施行する新たなEV普及支援策を閣議承認した。2023年末に終了したプログラムと比較すると、EVに対する政府の補助金が減額され、施行期間中も段階的に引き下げられる。税優遇措置については、EV乗用車に対する物品税を8%から2%に引き下げる措置は引き続き実施される。また、当該補助金を受けてEVの完成車を輸入する場合、義務付けられるEVの現地生産比率は引き上げられた。

 タイ市場ではEV販売が急拡大している。中国メーカーはタイ政府のEV普及支援策やASEAN・中国自由貿易協定(ACFTA)による0%関税を活用し、EVの輸入販売を拡大している。2023年には江淮汽車(JAC)と長安汽車もタイ市場に正式参入した。各中国メーカーはハッチバックやセダンからSUV、MPVまで多様な新型EVを投入している。また、中国メーカーの多くは政府の補助金適用によりタイでのEV生産が義務付けられているため、EVの生産拠点構築を急いでいる。

 タイ政府はEVの重要部品であるバッテリーの生産についても優遇措置を講じている。EV用バッテリーセルを生産する企業に対し、要件を満たせば、財政面での援助や恩典を供与する。EV用バッテリーの生産には、タイのEnergy Absolute、SAIC Motor-CP、中国の国軒高科、SVOLT、タイPTT傘下のArun Plus等が携わっている。

 タイにおける2023年の自動車生産台数は前年比2.2%減の184万1,686台、完成車輸出台数は11.7%増の111万7,539台、国内販売台数は5.1%減の84万1,448台。ローン審査の厳格化、家計債務、景気減速、2024年度予算成立の遅れなどが販売に悪影響を与えた。

 タイ工業連盟(FTI)が発表した2024年の予測によると、自動車生産は前年比3.2%増の190万台の見込み。内訳は輸出向けが115万台(前年比2.9%増)、国内販売向けが75万台(同10.9%減)と予測している。

 

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