ASEAN(1):各国ともEVシフトを加速、中国メーカーの参入拡大

タイはEV向け補助金を導入、インドネシアではSK OnやLGESがバッテリー工場を建設

2023/08/16

要約

 ASEAN市場では最近、脱炭素社会実現に向けて各種施策を実施しており、その一環として電気自動車(EV)の普及拡大も加速させている。

 ASEAN地域でのEV生産ハブを目指すタイは、EV・バッテリー向けの補助金プログラムや税優遇策を導入。タイのEV市場には多数の中国メーカーが参入し、EV工場を建設するメーカーも多い。

 インドネシアもEV生産ハブになるとともに、国内のニッケル鉱石を利用してEV用バッテリーの生産ハブとなることも目指している。

 マレーシアは2030年までに自動車販売の15%をEVにすることを目指し、税制優遇措置を導入している。

 フィリピンは2023年に「EV産業の包括的ロードマップ」を制定する計画。EVと部品の輸入関税率を引き下げる。

 ベトナムはEV普及のため、EVにかかる特別消費税を引き下げ、登録料を免除する。ベトナムの新興EVメーカーVinFastは米国とASEAN諸国に輸出を開始した。

 シンガポールは2040年までに内燃エンジン車を廃止する方針。EVの普及拡大のため、EVの追加登録料の45%を払い戻している。


 本編ではASEAN各国の電動化政策、EVの投入計画・生産計画、EV用バッテリーの生産計画に焦点を当てて報告する。後編の「ASEAN(2)」では、ASEAN市場の生産・輸出・販売状況、並びにGlobalDataによる販売予測について報告する。

Dolphin VF 3
BYDのサブコンパクトハッチバックEV Dolphin(2023年3月にタイで予約開始) VinFastの小型電気SUV VF 3(2024年第3四半期にベトナムで納車開始予定)(出典:VinFast)

 

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