インドネシア:BYD、MG、長城、奇瑞、VinFastがEV市場に参入
EVの税制優遇策を継続、ニッケルを活用してEVエコシステムを構築
2024/04/12
- 要約
- 電動化政策:EVに対する税制優遇策を2024年にも継続
- インドネシアのEV販売:2023年は前年比40%増の1万7,000台
- ニッケル鉱石を利用してインドネシアをEV用バッテリーの生産ハブへ
- 三菱、現代は生産能力拡大、Citroen、BYD、NetaはEVの現地生産開始
- 2023年の国内販売は前年比4%減の101万台、完成車輸出は7%増の51万台
- 国内市場:日本メーカーは多数のHV・PHVモデルを投入
- GlobalData生産予測:インドネシアの生産台数は2027年に157万台となる見込み
要約
インドネシア政府は2060年までにカーボンニュートラルを達成することを目指している。そのためには輸送部門の電動化が重要とし、2025年までに四輪電気自動車(EV)を40万台以上、2030年には60万台以上生産することを目標としている。
EVの普及のため、インドネシア政府は2023年に開始した税制優遇策を継続する方針。付加価値税、奢侈品販売税の減免措置は2024年末まで、輸入関税免除は2025年末まで継続する。また、国産化率40%以上の電動バイクの購入補助金は2024年にも予算が続く限り支給する。
インドネシアにおけるEV販売台数は、2022年には7メーカーで10,327台だったが、2023年には14メーカーで17,057台に増加した。その約8割を現代自動車と五菱(Wuling)のモデルが占めている。2024年には中国のBYD、MG、長城汽車、奇瑞汽車、ベトナムのVinFastもインドネシアのEV市場に参入する。
インドネシアはEVの生産ハブになるとともに、国内に豊富にあるニッケル鉱石を利用してEV用バッテリーの生産ハブとなることも目指している。国営企業や自動車メーカー、バッテリー関連企業が協業し、ニッケル鉱石の採掘、精製から前駆体や正極材の生産、リサイクルまで、EVおよび車載バッテリーのサプライチェーンを構築している。
生産に関する動きでは、EVの生産能力を拡大する計画が目立つ。三菱自動車は軽商用バン L100 EVの生産を開始したインドネシア工場の年産能力を、2024年に22万台から25万台に引き上げる。現代自はEVの年産能力を7万台に増強する。Stellantis傘下のCitroen、BYD、哪吒汽車(Neta)はEVの現地生産を開始する。
インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)の統計によると、2023年の生産台数は前年比5.1%減の139.6万台、販売台数は4.0%減の100.6万台、完成車輸出台数は6.7%増の50.5万台となった。
2023-2024年のEV以外の新型車の投入では、日本メーカーが多くのPHVやHVモデルを発売。トヨタがPHVのRAV4 GR Sport、新型ヴェルファイア(Vellfire)のHVバージョン、ホンダがHVの新型Accord RS e:HEV、HVも選択可能なCR-Vを発売した。
五菱(Wuling)のAir EV Lite(2023年8月発表、Air EVの低価格バージョン)(写真:Wuling) | インドネシアの自動車生産・販売・輸出台数(出所:GAIKINDO資料よりMarkLines作成) |
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