GM(1):2025年に北米で年間100万台のEV生産を目指す
シボレーほか主力ブランドのEV投入、バッテリーの供給確保が課題
2023/09/05
- 要約
- 米国市場向けEV商品と発売計画
- EV生産能力:2025年までに北米で100万台/年に増強
- バッテリー生産:米国4カ所のUltiumバッテリーセル工場で160GWhの生産能力を目指す
- バッテリー材料:安定的なサプライチェーン構築へ投資、提携を進める
- 充電ネットワーク:他OEM各社との連携によりEV普及の条件整備を進める
- 自動運転事業:ロボタクシー事業拡大をカリフォルニア州が承認
- ホンダとの共同開発:ホンダ/アキュラ・ブランドEVを2024年に発売
要約
2024年に発売予定のSUV最上級EVモデルEscalade IQ(出典:Cadillac) |
GMは、いち早くラインアップの完全電動化へのコミットを打ち出し、2035年までに新車ライトビークルにおいて内燃エンジンを廃止する計画を発表して、EVの市場投入を進めている。
同社は2025年に北米で年間100万台のEVを生産する目標を掲げているが、米国におけるEV販売の9割以上を占める「ボルト(Bolt)」の生産がリコール問題で停滞し、その他のモデルでもバッテリー供給不足などで生産立ち上げが遅れた。米国での2023年上期6カ月の北米EV生産は5万台に留まっており、EVの市場導入は順調とは言えない。2023年後半には、米国市場の最大セグメントであるコンパクト/ミッドサイズSUV、そしてフルサイズ・ピックアップでGM主力ブランドのEVの販売を開始する計画であり、目標達成に向けてEV増産ペースの加速化を図る。
一方で、EV増産にあたってバッテリーの供給確保が大きな課題であるとし、GMは米国内で4カ所のバッテリーセル工場を建設することを発表している。併せて、米国内、或いは友好国からの将来的なバッテリー材料確保のための施策を立て続けに発表し、安定的なサプライチェーンの構築を進める。
また、EV充電ネットワークの拡充においては、他OEMとの提携や共同出資により、利便性を高め、EV拡販への環境整備に取り組む。
GMは2022年に米国販売台数を3%増加させシェア1位を奪還し、2023年上期も対前年同期で18%の増販、直近の決算報告(2023年上半期)では対前年同期から売上高で18%、純利益で7%改善するなど、好調な業績を示している。GMが今後2024年にかけて主力EVの市場投入を本格化させる中で、収益性を維持しながら商品ラインアップのEVへの転換を計画通り進めていけるかが注目される。
本編は、GMの最新のグローバルな動向と発表された計画を整理するレポートの第一部として、北米におけるEVの商品展開と関連投資について報告する。第二部では、中国を始めとする海外主要市場でのEV商品展開、グローバルな販売状況、企業業績などについて報告し、併せてGlobalDataによるGMのグローバル生産予測を掲載する。
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