GM (1) 米国でのEVリーダーを目指し、電動化戦略を加速
2022~23年に主力セグメントでの投入本格化、北米にEV5工場を計画
2022/06/03
- 要約
- EV戦略の展開:2035年内燃エンジンの廃止に向けた計画を掲げるが、主力セグメントへのEV投入本格化は2023年から
- GMの米国市場向けEV商品と発売計画
- 電気商用車ブランドBrightDrop:2021年12月にFedEx向けの初回納入
- 自動運転/シェアリング事業:市街地での無人タクシーの試験を開始
- バッテリー生産:北米での第4工場も発表予定
- ホンダとの協業:EV車両開発/自動運転の提携分野を拡大
要約
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2022年3月に生産開始されたミッドサイズSUV Cadillac Lyriq(出典:GM) |
GMは、いち早く商品ラインアップ電動化への大胆な戦略シフトを行い、EV生産準備と関連分野への経営資源の投入を進めてきた。内燃エンジン車の全廃へ向け、今日に至るまでEV化のタイムラインと関連投資の加速化を次々に打ち出している。
また、欧州やインドなど不採算の市場から製造や販売の撤退を決める一方で、EV商品ラインアップ強化とプラットフォームやソフトウェア分野への事業拡大により、2030年までに売上げの倍増を目指すとするなど、戦略の成功に自信を示す。
しかしながら、足元では、実質的に唯一の量販EVであるBoltが昨年リコールで生産停止となり、現時点(2022年第1四半期)ではGMの米国販売でEVの占める割合は1%にも達していない。また、市場の絞り込みによりグローバル販売規模とシェアは縮小を続けており、2021年から続く半導体不足の影響を最も大きく受けるなど、サプライチェーンの課題も明らかになった。特定の車種セグメントや市場での売上げや収益への依存が高まっている事業構造もリスクを含んでいる。
その中で、2021年末から初のEVピックアップトラックであるHummer EVの納車が開始され、2022年夏にはCadillac Lyric EVの初回納車、続いて2023年にはピックアップトラックやSUVといった主力セグメントでのEV発売が本格化する計画であり、その動向がGMのEV戦略と事業方針の成否を占うものとして注目される。
本編はGMの最近の動き、発表された計画、そしてグローバル販売の状況を整理するレポートの第一部として、EVの商品展開と関連投資について報告する。後日発行する第二部では、GMの米国、並びにグローバル市場での販売動向、企業業績などについて報告し、併せてLMC AutomotiveによるGMの販売予測を掲載する予定である。
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