米国の新興EVメーカー:RivianがTeslaに続いて量産へ
2022年にかけて各社納車開始、既存OEMのEV投入加速で競争激化
2022/02/21
- 要約
- 独自戦略による差別化、生産規模・ラインアップ拡大計画
- Rivian Automotive:2021年にピックアップ、並びにSUVの生産・納入を開始
- Lucid Motors:2021年10月に高級EVセダンを発売。SUV追加も計画
- Lordstown Motors:鴻海グループと戦略的提携、フルサイズ・ピックアップトラックを2022年後半に納車開始
- Karma Automotive:高級PHV販売に続き、EVセダンを市場投入
- Nikola:GM提携見直しなどトラブル続くも、2021年末に電気トラックの初回出荷を実現
- Canoo:2022年第4四半期に多目的EVプラットフォームを使ったMPVを発売予定
- Fisker:提携先のリソースを活用し、量産とラインアップ拡大の加速化を図る
- Faraday Future:高級フルサイズ・クロスオーバーを2022年夏に発売予定
- Arrival:米国に2カ所の車両工場を建設。2022年の生産開始を発表
- その他の新興EVメーカー:Bollinger、Workhorse、VinFast
要約
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2021年10月に開催されたLucid Airの初納車式(出典:Lucid Motors) |
2000年以降に続々と設立された米国の新興EVベンチャーの中からはTeslaが大きく飛躍しEV市場でのリーダーとなったが、その他の企業も商品開発と生産準備を進め、Rivian、Lucidなどいくつかの主要なメーカーが2021年後半から独自のEVモデルの市場投入を始めている。
これらの新興メーカーはいずれも、商品戦略、生産体制、販売システム、そして顧客層などで独自性を打ち出して差別化と競争優位の確保を図っており、また大手フリート顧客との提携や製造/主要コンポーネント外注で規模拡大の加速化を狙う企業もある。グローバル規模での生産拠点や販売網の展開計画を掲げる企業も多い一方で、現実を見据え事業規模や商品ラインアップの絞り込みをする企業もある。
しかしながら、当初発表した量産化の計画や車種展開の進捗遅れも多く報告されており、生産能力や顧客基盤で圧倒的な優位性を持つ既存自動車メーカーからEVの投入や計画が次々と発表されるなかで、競争環境は急速に厳しさを増すことが予想される。
また、技術開発や生産準備に必要な資金確保を目標として、ここ1、2年の間に主要な新興EVメーカーの殆どが証券市場への上場を果たしたが、その後の決算では未だ極めて小規模の売上と赤字損益が報告されている。さらに複数の企業で事業見通しや商品力に関する報告の虚偽、或いは開示不十分が指摘され当局からの調査を受けたことも報道されており、事業基盤の安定と投資家や消費者からの信頼確保も依然大きな課題となっている。
本レポートでは、米国の新興EVメーカーの動向を報告した前回レポート(2021年1月掲載)のアップデート版として、主要企業の最近の動向と、発表されている計画を整理し、報告する。
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