ルノー・日産・三菱アライアンス:中期計画が進展、電動化を加速(下)

ルノーは新5カ年計画「Renaulution」を遂行、2025年までに新型EV10車種を投入

2022/01/14

要約

Renault 5 Prototype
Renault 5 (サンク) Prototype
(2024年投入予定のBセグメントEV)(出典:Renault)

  ルノー・日産・三菱3社連合(R-N-Mアライアンス)は2020年5月27日に各社の競争力と収益性を高める取り組みを発表し、地域、開発、商品ごとに「リーダー」と「フォロワー」の役割を決め、効率的にプロジェクトを推進してきた。

  ルノーグループは2020年5月29日に変革計画(transformation plan)を発表し、3年間で20億ユーロ超のコスト削減を含む効率向上と収益改善を目指して計画を進めてきた。続いて2021年1月14日には新5カ年計画「Renaulution」を発表し、2025年までにグループの営業利益率を5%超、自動車事業の累積フリーキャッシュフローを60億ユーロ(2021-2025年)、ROCE改善率を15ポイント以上(2019年比)とすることを目指すとした。

  「Renaulution」では、収益構造を改善するとともに商品ポートフォリオを刷新し、エネルギーやテクノロジーを含めた総合グループとしての新しいビジネスモデルを強化していくことを強調した。特に「量より価値へ」という方針を重視し、販売拡大路線から適正な生産規模、適切な商品ポートフォリオ、効率的なアライアンス活用を目指す。

  2021年6月30日には新たな電動化戦略を発表。欧州市場では2025年までにルノーブランド車の販売台数の65%を電動車とし、2030年までに90%を電気自動車にする計画。2025年までに、市場競争力がありサステナブルで大衆的な新型EVを10車種投入するとしている。

  ルノーグループの2021年1-9月の世界販売は前年同期比2.6%増の202.2万台、売上高は同12.3%増の323億4,400万ユーロ。半導体不足の影響を受けた生産損失は、第3四半期に約17万台となったが、2021年9月末時点の受注残は売上高の2.8カ月分と高水準にある。ルノーグループは2021年通期について、新型コロナウイルス感染拡大と半導体不足の影響により生産損失が50万台弱と見込まれるが、グループの営業利益率は2.8%程度になると予測している(2021年11月時点)。


  本レポートでは、R-N-Mアライアンスの動きに関するレポートの後編として、ルノーグループの新たな5カ年計画「Renaulution」と加速化する電動化戦略を中心に報告する。併せてLMC Automotiveによる3社アライアンスの中期販売台数予測を掲載した。日産と三菱の動きについては、ルノー・日産・三菱アライアンス:中期計画が進展、電動化を加速(上)をご覧下さい。


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