ルノー・日産・三菱アライアンス:中期計画が進展、電動化を加速(上)
日産は長期ビジョンを発表、三菱は固定費削減目標を早期達成
2021/12/21
- 要約
- 日産:中期計画「Nissan NEXT」を進展、固定費3,500億円以上削減
- 日産:長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の下、電動車比率を50%以上に拡大
- 日産:独自のEV生産システムを栃木工場に導入、EV生産ハブを英国Sunderlandに建設
- 日産:知能化技術の開発により次世代ライダー技術を全新型車へ搭載
- 日産:スポーツカーの新型Z、日産と三菱が共同開発する軽EV等を投入予定
- 三菱:中期経営計画の固定費削減目標を1年前倒しで達成
- 三菱:欧州15カ国で販売撤退へ、ASEAN・オセアニアではさらなる販売拡大
- 三菱:2030年までに全車種に電動車を設定
- 2021年度業績見通し:日産、三菱とも収益改善により黒字化の見込み
要約
Nissan Chill-Out(次世代クロスオーバーEVのコンセプトカー)(出典:日産) |
ルノー・日産・三菱3社連合(R-N-Mアライアンス)は2020年5月27日に各社の競争力と収益性を高める取り組みを発表し、地域、開発、商品ごとに「リーダー」と「フォロワー」の役割を決め、効率的にプロジェクトを推進してきた。
日産はアライアンス方針に沿って、2022年度までの事業構造改革計画「Nissan NEXT」を実施してきたが、2021年度黒字化の見通しが立ったため、2021年11月29日、「事業の再生から未来の創造へとギアをシフトする時が来た」として、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。
この長期ビジョンは今後10年間の羅針盤となるもので、電動化を戦略の中核とし、今後5年間で2兆円を投資して、電動化と知能化等の技術革新を加速させる。また、2030年度までに15車種の電気自動車(EV)を含む23車種の電動車を導入する。
三菱自動車は、2020年7月に発表した新中期経営計画「Small but Beautiful」に基づく構造改革活動が当初の想定以上に進捗し、2年間で20%の固定費削減計画を1年前倒しで達成。2020年11月に発表した新環境計画では、2030年までに全車種に電動車を設定し、電動車の比率を50%にするとしている。
日産と三菱は2021年11月に2021年度上期(2021年4-9月)の業績を発表したが、両社とも利益が大幅改善し、黒字転換を果たした。2021年度通期見通しについても黒字化を見込んでいる。しかし、新型コロナウイルス感染再拡大、半導体供給不足、為替レートなどのリスクはあり、引き続きコスト削減、販売の質の向上等を目指すとしている。
本稿では、ルノー・日産・三菱アライアンスの動きに関するレポートの前編として、日産と三菱について2022年度までの中期経営計画の進捗状況と、日産が2021年11月29日に発表した2030年度までの長期ビジョンを中心に報告する。ルノーについては本レポートの後編として、LMC Automotive社によるアライアンス販売予測と併せて報告する。
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