人とくるまのテクノロジー展 2017:主要樹脂材料メーカーの技術展示
金属代替、高強度・高剛性材料、異種材料の接合など新技術を披露
2017/06/13
- 要約
- 旭化成:ブレーキペダルの樹脂化提案、テキスタイルコンポジット、RFM工法
- 東レ:エンジンルームの樹脂化、サクションブロー成形、CFRPシート成形品
- 帝人:着脱可能な高機能内外装製品、CSP社のシート成形コンパウンド
- 三井化学:CFRポリウレタン、変性ポリアミド6T、布製ボディのEV
- 三菱ケミカル:長繊維強化PP製構造部材、電池パックの部品材料
- 住友化学:熱線吸収ポリカーボネート、液晶ポリマー製部品、高純度アルミ製品
- 積水化学:合わせガラス用中間膜、フォームエアダクト
- カネカ:3次元エンボス加飾シート、PP高発泡成形品、PETベースの外装材
- リケンテクノス:耐熱性アクリル樹脂、熱可塑性エラストマー製品
要約
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素材メーカーのブースにコンセプトカーが置かれている |
2017年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2017 横浜 (公益社団法人 自動車技術会主催)」では、素材メーカーの展示ブースがTier1サプライヤーの出展エリアに数多く立ち並び、活況を呈していた。自動車分野への事業拡大を図るため、素材メーカーや成形メーカーは高強度・高剛性材料の展開、金属代替材料、異種材料の接合、加飾関連など、多様な新技術を披露。車載の樹脂製品を分かりやすく紹介するコンセプトカーの展示も見られた。
車両の軽量化、電動化が進む中、素材メーカーの参入領域も拡大している。これまで高級車の車体骨格や構造材に採用されていたCFRP(炭素繊維強化樹脂)は、トヨタPrius PHVなど量産車にも展開されていく。強度や剛性に優れるCFRPは、衝突時の衝撃軽減など安全性能の向上に貢献するほか、一体成形が可能なことから部品点数の削減にもつながる。また、軽量で成形加工に優れる樹脂部品の採用も増加しており、特に強度や耐熱性に優れた(スーパー)エンジニアリングプラスチックは、構造材や機構部品、電装部品、絶縁部品などに使用されている。例えばエンジン部品として金属に替わって樹脂を採用することで、軽量、断熱、遮音などの効果が期待できる。
大手樹脂メーカーは、様々な素材を複合的に使用するマルチマテリアル化の提案を目指し、素材の強度や剛性、加工性やコストバランスに優れる金属代替材料、接合技術の開発を進めている。また、電動車両の増加に合わせて、リチウムイオン電池材料(セパレーター、正極材、負極材、電解液など)を供給するための国内外投資を積極的に行っている。
本稿では主要樹脂材料メーカーの展示概要を報告するとともに、安田ポリマーリサーチ研究所の安田武夫所長の協力を得て、今回注目すべき製品や技術を紹介する。また、次稿ではユニークなプラスチック材料や成形加工技術を中心に展示内容を取り上げる。
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