ASEANの日系部品メーカー:インドネシアで事業体制の強化が続く
ベトナム、マレーシア、フィリピン、ラオス、カンボジア、ミャンマーでの動向
2013/11/19
- 要 約
- インドネシア:新生産拠点の構築
- インドネシア:生産能力増強・新製品の追加、事業体制強化
- ベトナム:新拠点設立、既存工場の拡充
- マレーシア/シンガポール/フィリピン/ラオス/カンボジア/ミャンマー
要 約
以下は、ASEAN諸国 (タイを除く) における日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2013年10月下旬までの約10カ月間)。
インドネシアの自動車販売台数は、2012年の108.0万台(同24.3%増)に続き、2013年1-10月は前年同期比10.8%増の98.9万台(登録台数)と拡大。トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツなどによる生産能力増強が進められるなか、日系自動車部品メーカーにおいても新規進出や生産能力拡充が行われている。また、インドネシアでの事業をより本格化させるための合弁会社の完全子会社化、事業拡大のための増資や生産品目の追加、一貫生産体制構築による顧客ニーズへの対応強化、インドネシアの輸出拠点化など様々な動きがみられる。
インドネシアにおける日系自動車部品メーカーの動き
新規進出 | ・自動車メーカーに納入:愛知機械(MT)、ニッパツ(シート)は日産・ダットサン向け、アサヒフォージ(ホンダ向けファイナルギア。輸出も)、メタルアート(ダイハツ向けエンジン部品)、エフテック(サスペンション部品)、児玉化学(内外装品)、山下ゴム(防振ゴム)、TDF(トラック用フロントアクスル)など ・一次サプライヤーに納入:旭ケミカルズ(樹脂コンパウンド品。タイからの輸入を現地で委託生産に)、サンライズ工業(カーエアコン用ホース口金具。マレーシアからの輸入を現地生産に)、名古屋精密金型(ランプ向け樹脂金型。ベトナムからの輸入を現地生産に)など ・インドネシアを輸出拠点にも位置付け:エイチワン(骨格部品の金型)、西川ゴム(自動車用ゴム・樹脂製品)、タツミ(電装部品、ブレーキ部品)など |
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生産能力拡充 | ・第2工場建設:明石機械(MT)、豊田自動織機(エアコン用コンプレッサー。インド、ブラジルに輸出も)、河西工業(ドアトリム)、JFE商事(鋼材加工)など ・ライン新増設・工場拡張:愛三工業(スロットルボディなど。周辺国に輸出も)、デンソー(点火プラグ)、豊田合成(エアバッグ)、ユタカ技研(排気部品)など ・新品目追加:JFEスチール(溶融亜鉛めっき鋼板生産の新会社設立)、日信工業(四輪車用ブレーキ)、プレス工業(大中型トラック用フレーム。東南アジア諸国へ輸出も)など ・一貫生産体制構築:テイ・エステック(シート組立工場新設)、トヨタ車体(大物樹脂部品の金型内製)、ユニバンス(ギア。鍛造工場・トランスファー新建屋建設。中国に輸出も)など |
子会社化、 増資、買収 |
・ジーテクト(合弁会社の独資子会社化)、日本ピストンリングとTPR(両社の合弁 子会社を解消し、各々独自に事業)、タチエス(増資によりシート組立工場建設)、豊田合成(シーリング生産合弁会社の出資比率引上げ)、豊田通商(大手地場自動車部品メーカーに出資)、黒田電気(地場自動車部品メーカー買収)など |
(資料)各社の計画から作成
ベトナムへの新規進出では、デンソーが排気センサーの新工場を建設。ブリヂストンは建設中のラジアルタイヤ新工場の生産能力増を決定。ヨコオはワイヤーハーネス新工場の二期工事を実施中。いずれも東南アジア、日米欧等への輸出拠点。この他、山下ゴムは自動車用防振部品のR&Dなどを行う合弁会社を設立し、将来は本社機能の移転を計画。日本精機は車載用計器ソフトウェアの設計開発拠点を設立し、日本での上流設計に基づく下流工程の設計開発を行う。
ベトナムでの既存工場の拡充では、ワイヤーハーネス生産で住友電装が増資により生産設備を追加。矢崎総業が2つ目の分工場を建設。三谷産業が設備を増設。この他、藤倉ゴムが成形加工用の第2工場を建設し一貫生産体制を構築。生産品目の追加では、日本電産トーソクが第2拠点を建設し、電動オイルポンプを生産。そのいずれもが輸出拠点。
その他の国々では、マレーシアで宇部興産がタイヤ向け合成ゴム、明石機械がAT生産の合弁会社を設立。東洋ゴムが最新鋭工法のタイヤ新工場を建設し、製品の約85%を輸出する計画。東研サーモテックは、既存工場の隣接地に新棟を建設し、ギアの熱処理加工設備を導入。
フィリピンでは、古河ASがワイヤーハーネス増産のために新工場を建設し、横浜ゴムが乗用車・SUV用タイヤ工場の第二次拡張を行い、輸出拡大に備えている。
ラオス・カンボジアでは、タイと連携する新会社が設立されている。ラオスでは、旭テックがタイの自社工場を補完するアルミダイカスト部品の新会社を設立。トヨタ紡織ではタイのシート工場のサテライト工場としてシートカバー新会社を設立。カンボジアでは、デンソーがタイの自社工場に輸出するための二輪用センサー部品会社を設立し、将来は四輪車用への拡大を視野に入れている。丸三金属はホイール部品生産会社を新設し、タイに集積する部品メーカーからの受注を目指す。
なお、タイでの日系部品メーカーの動向は、別途報告する予定。
日系部品メーカー動向関連レポート:
・欧州編 (2013年10月)
・インド編 (2013年8月)
・中国 (華北/東北/西南地域) 編 (2013年8月)
・中国 (華南/華中地域) 編 (2013年7月)
・中国 (華東地域) 編 (2013年6月)、
・米国編 (2013年7月)
・メキシコ・ブラジル編 (2013年5月)
・タイ編 (2013年3月)
・ASEAN編 (2013 年2月)、
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