欧米Tier1サプライヤー:自動運転、コネクテッド、HMI動向 (4)
ValeoはADASで他社をリード、Faureciaは未来のコックピットを開発、LearによるXevo買収
2020/11/09
- 要約
- Valeo:ADASプラットフォームの開発成果で他社をリード
- Valeo:インド、中国、フランスにおけるR&D施設への投資
- Valeo:Meituanと自動デリバリーサービスのコンセプトで協業
- Valeo:コネクテッド技術の動向
- Faurecia:未来のコックピット開発に注力
- Faurecia:AI及びADAS技術開発でアライアンスを構築
- Faurecia:未来のコックピット技術 (ディスプレイ、インフォテインメント、アプリプラットフォーム) を披露
- Faurecia:Microsoftと車載コネクテッドサービスを開発
- Lear :スタートアップ投資部門を設立、車載ソフトウェア事業に向けてXevoを買収
要約
![]() |
Valeo SCALA 2 LiDARシステム |
Valeo、Faurecia、Learの3社は、自動車内装に注力している会社であるが、昨今の自動車業界のトレンドについては、3社とも異なったアプローチを取っている。例えば、Valeoは先進運転支援システム (ADAS: Advanced Driver Assistance System) 技術の開発に注力している。同社は2017年から2019年にかけて、フロントカメラ、ドライバー管理システム、小型自動運転車両、SCALA LiDARシステムなどのADAS関連システムを含む複数の技術プラットフォーム開発に5億ユーロを投じた。この投資により、ValeoはADAS市場を牽引する存在となった。自動運転システム以外では、同社のComfort & Driving Assistance Systems部門がコネクテッドシステムや人工知能 (AI) ベース技術の開発を行っている。
Faureciaは、ディスプレイやスマートコントロール、インテリジェントシートなど個人に合わせることが可能な技術を統合した未来のコックピット開発に重点を置いている。2019年3月、Faureciaはクラリオンの買収に成功し、そのエレクトロニクス事業の経営資源をFaureciaの事業ポートフォリオに組み込んだ。新設されたFaurecia Clarion Electronics部門は、ADASの機能性や、自動駐車などの低速走行における自動運転システム、車載ディスプレイに開発の焦点を当てている。
Learは、E-Systems部門が通信やゲートウェイモジュール、サイバーセキュリティ、車両測位モジュール、ロードサイドインフラシステム、各種消費・サービスプラットフォームの事業を行っており、主にコネクテッドの動向に注力しているといえる。特に、2019年4月にコネクテッドカーソフトウェア事業を手掛けるXevoを買収したことが注目すべき点である。また、2019年1月、Learは革新的な技術開発を行うと見込まれるスタートアップに出資するため、Innovation Ventures Possibilities部門を発足させた。また、モビリティや自動車技術のスタートアップを支援するため、他のベンチャーキャピタルにも出資している。
本レポートは、2019年1月から2020年7月までの期間における、欧州及び米国大手サプライヤーの自動運転、コネクテッド及びHMI分野における各動向に焦点を当てており、今回のレポートはValeo、Faurecia、Learについて記述している。
【欧米Tier1サプライヤー:自動運転、コネクテッド、HMI動向】レポート
(1) Bosch、Marelli
(2) Continental、Schaeffler
(3) ZF、Aptiv、Magna
関連レポート:
自動運転とAI ~リスクと機会~ (2020年8月)
オートモーティブワールド2020:ロボタクシー、LiDAR、高精度3Dマップなど (2020年2月)
CES 2020:変化をとげる車室内体験 (2020年2月)
CES 2020:ADAS対AVに対する新たな期待 (2020年2月)
完全自動運転の実現に向けた高性能センシング技術 (2019年10月)
Valeo:ADASプラットフォームの開発成果で他社をリード
ValeoのComfort & Driving Assistance Systems部門は、エレクトロモビリティ以外の分野において、現在の自動車トレンドに沿って事業を展開する主要な事業グループである。同部門の製品グループは、運転支援システム、コネクテッドカー、直感的コントロール分野で構成され、それぞれ半自動運転技術、通信、HMI技術に注力している。なお、同部門の2019年における売上高は36億ユーロで前年比3.5%増となり、複数の自動車業界のトレンドを広くカバーすることで利益を獲得している。
自動運転について、Valeoは自動運転レベル1-2の領域が現在急成長セグメントであると認識している。また、高次元の自動運転に対しても事業としての成長性を感じている。レベル3-4では1台あたりの情報量がレベル1の約10倍になるためである。
Valeoは2017年から2019年にかけて、電動化とADAS技術分野の製品ポートフォリオの拡大を目的に12の技術プラットフォーム開発に約5億ユーロを投じた。このうち、ADAS技術のプラットフォームへの投資には、フロントカメラ、ドライバー監視システム、小型自動運転車両、SCALA LiDARシステムが含まれていた。また、2019年に生産されたADAS機能を備える車両の約25%はValeo製のADASシステムを搭載していた。このように、Valeoは現在ではADAS市場をリードするサプライヤーになったといえる。なお、2017年から2019年の間、同社の受注は合計約110億ユーロに上った。
Valeo:インド、中国、フランスにおけるR&D施設への投資
Valeoは近年、投資や協業により広範にわたる自動車技術の強化を図っている。これにはインドのNavalurに新設した試験施設、中国の武漢にあるR&D施設の拡張、AIベース技術開発を目的としたBrainChip Holdingsとの提携、CES 2019での様々な展示活動といったものが挙げられる。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | インド、Chennaiにおける新規R&D試験施設 Valeoは、Chennai、NavalurのR&Dハブ拠点に試験施設を設立するために2.5億ルピーを投じた。この試験施設では、製品試験とプロトタイプサービスを行い、現地顧客向けソリューションの設計開発を可能にする。このハブ拠点では現在、1,000名超のエンジニアが在籍しており、機械設計、シミュレーション、組込みソフトウェアの開発、コンピュータービジョン、機械学習、ハードウェアおよび機能安全設計などの領域で活動している。(2019年3月18日付Valeo Groupソーシャルメディアより) |
中国、武漢の技術センターの拡張 2019年10月4日、Valeoは武漢技術センターの第二期拡張工事を完了させ、3,000平方メートルの広さが追加された。この技術センターでは、ライティング技術、快適性能および運転支援システムの研究開発に注力する。この拠点はValeo最大の研究開発センターで、1,000名超のエンジニアが従事するという。(2019年10月15日付メディアレポートより) |
|
協業及び共同研究 | BrainChip HoldingsとSoCの共同開発契約を締結 BrainChip HoldingsとValeoは、AIベースの技術開発を目的とした共同開発契約を締結した。BrainChip社のニューロモーフィックSoC「Akida」を活用する。このニューラルプロセッサー「Akida」の高性能かつ超低消費電力の特性により、消費電力とフットプリントの課題を解決することで、スマートセンサーの統合を可能にした。(2020年6月8日付プレスリリースより) |
フランス、イノベーションファンドのサポートを受け将来技術へ投資 フランス政府は年間予算1.5億ユーロのイノベーションファンドを創設すると発表した。Valeoはそのサポートを受けながら、電動化、パワーエレクトロニクス、バッテリーの熱管理、AIとデータ融合、自動運転、通信、アクティブライティングなどの技術開発を推進する。(2020年5月26日付プレスリリースより) |
|
Vellore Institute of TechnologyとCenter of Excellenceを設立 Valeoは、Vellore Institute of Technology (VIT) キャンパスにCenter of Excellenceを設立した。Valeoは従来からVITとの間で新技術に関する共同開発を行ってきた。この施設は、学生が現在および将来の自動車技術のトレンドに触れる機会を提供する。研究者や学生のプロジェクトや研究のために活用される。(2019年6月25日付VIT newsより) |
|
展示会 | CES 2019に出展したValeoの各種技術 CES 2019にて、Valeoは最新技術を披露した。同社初の自動運転車「Valeo Drive4U」は、Valeoが既に量産しているセンサーとAIを駆使してあらゆる操作を行うことが可能。「Voyage XR」システムでは、仮想的に人を車両に乗せて移動させる。また「XtraVue Trailer」は、トレーラーの死角となりバックミラーでは確認できない後方視界をクリアに映し出す。(2019年1月7日付プレスリリースより) |
Valeo:Meituanと自動デリバリーサービスのコンセプトで協業
ADASシステムのマーケットリーダーとして、Valeoの近年の自動運転技術開発は、乗員以外の輸送にも注力している。例えば、ラストワンマイルの自動運転送迎サービスを目的にMeituanとパートナーシップを締結したほか、自動運転ロボットである「eDeliver4U」を開発したことが挙げられる。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | アイルランド:TuamのR&Dセンターに投資 Valeoは、ADAS技術のノウハウを拡大するため、アイルランドTuamのR&Dプログラムに4,400万ユーロを投じる。この投資により2022年までに50名の新規雇用が創出される。TuamのR&Dセンターは、ビジョンシステムにおける世界規模のリファレンスセンターの役割を果たしている。この拠点は、カメラビジョンシステムの開発・製造を行うCenter of Excellenceのほか、生産施設も備えている。(2019年3月13日付IDA Irelandプレスリリースより) |
日本:茨城先進運転支援システム開発評価センターの設立 Valeoは、茨城先進運転支援システム開発評価センターを行方市に設立する。2019年3月に建設を開始し、2020年11月に竣工する予定。Valeoは2021年までにADAS開発に携わるエンジニアを130名から180名まで増員する計画。新センターには最大直線距離300mを含む一周600mのサーキットコースやNCAPクラッシュテストを行うエリアが含まれる。(2019年1月23日付日刊自動車新聞より) |
|
連携・共同開発 | 日本:SIP-adus自動運転革新プログラムに参画 Valeoジャパンは、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) の第2期に参画すると発表した。このプログラムは、交通事故の削減、個人のモビリティの確保、ドライバー不足の解消、コスト削減などの社会のモビリティにおける課題解決に貢献する。Valeoは、東京の臨海部を通る首都高速道路で稼働する「Cruise4U」のデータ・分析結果を報告する。(2019年6月13日付プレスリリースより) |
ラストマイルの自動デリバリー技術開発でMeituanと戦略的提携 Valeoは、ラストマイルにおける自動デリバリーサービスの開発に向けて、中国のウェブサービスプロバイダーであるMeituanと戦略的パートナーシップを締結した。両社は輸送拠点から目的地までのラストマイルで商品を配送する自動運転車両の開発を行う。このパートナーシップでは、Meituanの自動運転技術とValeoの電気モーター、センサー、照明、サーマルマネジメントやその他システムを組み合わせる。(2019年1月9日付Valeo WeChat公式アカウントより) |
|
Mobileyeと自動運転車両の新安全基準策定でパートナーシップ締結 Valeoは、Mobileyeの数理安全モデル (RSS: Responsibility-Sensitive Safety) に基づいた新自動運転安全基準の策定と普及に向けて、パートナーシップを締結した。RSSは安全運転に対する人間の概念を計測可能なルールや定義を設定し、モデルとして形式化したもの。このパートナーシップでは、自動運転車の実証と運用に向けたフレームワークの起草、RSSに関する公的調査への出資、標準規格案策定の支援、標準策定を行う委員会や組織への参画といった活動を行う。(2019年1月8日付プレスリリースより) |
|
受注 | 「Fit」に搭載のホンダセンシング用カメラの受注 新型「Fit」に搭載されたホンダセンシングADASシステムに、Valeo製カメラのみを使用したシステムが採用された。従来のカメラ及びミリ波レーダーを使用したBosch製システムからの置き換えとなる。Valeoのカメラは100度のアングルを持ち、Mobileye製の画像処理チップにより画像認識精度が向上している。(2019年11月27日付日刊自動車新聞より) |
展示会 | 「eDeliver4U」電動自動配送ドロイドコンセプト Valeoは、中国のフードデリバリー大手の美団点評 (Meituan Dianping)と共同開発の自動運転電動デリバリードロイド・プロトタイプ「Valeo eDeliver4U」をCES 2020で公開した。このドロイドは1回の稼働で最大17食を配送可能で、街中の複雑な環境下でも12km/hの速度で自立走行が可能。航続距離は約100kmで4機のValeo SCALA LiDAR、フロントカメラ、2機の魚眼カメラ、2機のレーダー装置、6機の超音波センサーを搭載している。また電動シャシーは、Valeoの48Vのモーターとインバーターも搭載している。(2020年1月5日付プレスリリースより) |
![]() |
![]() |
ホンダ「Fit」 | Valeo eDeliver4U 自動配送ドロイド 出典: Valeo |
Valeo:コネクテッド技術の動向
Valeoは、乗員の精神・感情的な状態をモニタリングするシステムや、フリート管理者が保有車両の一部をセルフサービスのカーシェアリングに活用できるモビリティソリューション、「Valeo Rescuer」 eCallシステム、車両の遠隔操作を可能にする「Drive4U Remote」システム、V2X機能を備えたテレマティクスプラットフォームなどの様々なコネクテッドシステムを開発してきた。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
協業及び共同研究 | Sensumと提携し、乗員の状態を検知するシステム開発へ ValeoとSensumはパートナーシップを締結し、乗員に作用することでニーズを認識する車載システムの開発を行う。このシステムは乗員の疲労や注意力のレベルをモニタリングし、それに合わせた快適な車内を提供する。このシステムは、各乗員の生理的・感情的な状態を測定し、光・香り・音・温度を調整することで、複数の器官で快適と感じる空間を提供する。車内では、乗員の心理的な変化を認識するセンサーから取得したデータ処理を、Sensumの共感型AI技術で行う。(2019年5月23日付プレスリリースより) |
Mov’InBlueコネクテッドシェアリングモビリティソリューション ValeoとCapgeminiが立ち上げたスマートデジタルモビリティソリューションの企業Mov’InBlueと、欧州の大手カーシェアリングプラットフォームDrivyは、コネクテッドおよび相互運用性に優れたシェアードモビリティソリューションを発表した。このソリューションは250万人のユーザーを抱えるDrivyプラットフォーム上で車両をセルフサービスのカーシェアリングに利用することができる。これによりフリート管理者は、保有車両の利用を最適化し、別の収入源として活用可能となる。(2019年1月4日付プレスリリースより) |
|
新技術 | 欧州標準規格向け「Valeo Rescuer」 eCallシステム Valeoは、欧州規格に準拠した初のeCallシステムである「Valeo Rescuer」を導入した。このシステムは交通事故を自動的に検知し、車両の位置情報を取得、車両と位置を特定するデータを送信し、サポートプラットフォームに接続して必要に応じて95秒以内に緊急サービスを呼び出す。また、故障時のサポートサービスも含まれる。(2020年3月26日付プレスリリースより) |
展示会 | CES 2020:現代及びHexagonと高精度ポジショニング技術 CES 2020において、Valeoは現代及びHexagonのPositioning Intelligence部門と共同で、車両の正確な位置情報を検知できる高精度ポジショニング (HPP) と呼ばれる新技術を披露した。またHPPは、2020年モデルの現代「Sonata」に搭載される。TerraStar X技術を技術を活用して、恒久的な基準点として機能する静止した受信機のネットワークによって決定されたGPS信号に補正を適用する。(2020年1月5日付プレスリリースより) |
東京モーターショー:「Valeo Drive4U Remote」車両遠隔操作システム Valeoは、東京モーターショーで新しいソリューション「Valeo Drive4U Remote」を出展した。これは、車両が走行できなくなった場合に、オペレーターが車両周辺状況を確認し、遠隔操作により車両を動かすもの。今回披露された「Valeo Drive4U Remote」は、NTTドコモの5Gネットワークを利用した。(2020年10月15日付プレスリリースより) |
|
CES 2019:Autotalksと共同開発のV2X機能を備えたテレマティクスプラットフォーム ValeoとAutotalksは、グローバルV2X機能を統合したテレマティクスプラットフォームをCES 2019に出展した。この展示会でValeoは、DSRCとC-V2Xの切り替えが可能なテレマティクスプラットフォームを披露する。AutotalksのV2Xチップセットは、802.11p/ITS-G5規格ベースのDSRCと3GPP仕様ベースのC-V2Xの両方をサポートする。(2019年1月3日プレスリリースより) |
![]() |
![]() |
乗員の状態と居心地の検知を行う | Valeo Drive4U Remote 出典: Valeo |
Faurecia:未来のコックピット開発に注力
Faureciaのモビリティイノベーションにおける主要分野は、未来のコックピット開発と持続可能なモビリティの2点である。未来のコックピットは、自動運転、コネクテッド、電動化、モビリティといったトレンドに基づいて、キャビンがどのように変化するのかという点に焦点を当てている。Faureciaは、未来のコックピットはより柔軟に、推測をもとに動作し、通信接続された環境になり、よりパーソナルな移動空間になると見込んでいる。
2019年4月、Faureciaは買収を行ったクラリオンを統合し、第4の事業部門Faurecia Clarion Electronicsを立上げた。Faurecia Clarion Electronicsは、Faureciaが以前に買収したParrot AutomotiveとCoagent Electronics、及び今回買収したClarionを統合したものとなる。この事業部はスマートコックピットエレクトロニクスの開発、ソフトウェアの統合、低速走行時のADAS技術の開発に注力する。2020年3月、Faurecia Clarion Electronicsは、車載インフォテインメントの研究開発強化に乗り出した。
Faureciaのインテリア部門とFaurecia Clarion Electronics部門は、未来のコックピットへの技術適用に向けて、直感的に操作できるHMIの開発の一部を担っている。開発中である未来のHMIシステムには、音声認識コントロール、自動運転モード時に可動するアダプティブディスプレイ、スマートフォンと同期可能なスマートコントロールシステムが含まれる。
Faurecia:AI及びADAS技術開発でアライアンスを構築
Faureciaは、電動モビリティ以外の自動車業界トレンドに関しては、未来のコックピット開発を中心とした活動を行っているが、その他にもFaurecia Clarion Electronics部門を通じたAI開発や各種自動運転・ADASシステムの開発にも取り組んでいる。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | 重慶にFaurecia Clarion ElectronicsのR&D本部を設立 Faureciaは中国の重慶にFaurecia Clarion ElectronicsのR&D本部を設立した。同社は中国で初の独立した法人格を持つR&D施設として、4.5億元を投資した。この施設は車載エンターテインメントシステム、ディスプレイ、没入型音響システム、ADASシステムなどを開発する。2025年までに200名の雇用を予定している。(2020年5月15日付各種リリースより) |
協業及び共同研究 | 北京地平線機器と戦略的提携 Faureciaは、北京地平線機器人技術研発有限公司[Beijing Horizon Robotics Technology R&D Co., Ltd.] (地平線) と戦略的提携枠組み合意書を結んだ。両社はマルチモーダル知覚技術をベースとしたAIソリューションの開発とインテリジェントコックピットシステム及びADAS技術の商用化を推進する。(2020年1月12日付プレスリリースより) |
全志科技と戦略的提携 仏吉亜(中国)投資有限公司 [Faurecia (China) Holding Co., Ltd.] と珠海全志科技股份有限公司[Allwinner Technology Co., Ltd.](全志科技)は、インテリジェントコックピットの開発に向けた戦略提携合意書に調印した。両社はIoV (Internet of Vehicles)、VR、ADASシステム向けの受注生産式チップを共同開発する。(2019年11月11日付各種リリースより) |
|
展示会 | CES 2020に出展の各種技術 Faureciaは、フォードのピックアップトラック「F-150」のインテリアを発表した。拡張性とアップグレード性に優れたハードウェアとソフトウェアを持ち、コネクテッドでかつ汎用性が高く、パーソナライズされたインテリアとなる。また、燃費と運転時の安全性を確保する統合型のeミラーテクノロジーも発表した。そのほか、Faurecia ClarionのADASシステムを搭載した車両も紹介し、自動運転による迎車、バレーパーキング、路上走行、トレーラーアシストなどの機能を披露した。(2019年11月14日付プレスリリースより) |
東京モーターショーに出展の技術 Faureciaは、2019年の東京モーターショーに未来のコックピット向けの技術を出展した。複雑なメニュー構造を簡素化し、車載機能をより柔軟に管理できるマルチビューHMIインターフェースを披露した。また、自動運転によるピックアップソリューションも発表した。(2019年10月23日付プレスリリースより) |
![]() |
![]() |
マルチビューHMIシステム | 携帯端末での遠隔ピックアップソリューション |
Faurecia:未来のコックピット技術 (ディスプレイ、インフォテインメント、アプリプラットフォーム) を披露
FaureciaのHMI開発活動には、新しい車載ディスプレイやディスプレイ技術、Andoroidオペレーションシステム用の車載アプリケーション、ZFとfkaと共同開発したSHI (Safe Human Interaction) コックピットのコンセプトが挙げられる。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | IRYStec Softwareの買収 Faureciaは、カナダのスタートアップIRYStec Softwareを買収した。IRYStecは知覚と生理学を利用してディスプレイを最適化する世界初のソフトウェアプラットフォームを開発した企業。このソフトウェアソリューションは、ドライバーの視線と周囲の光に合わせてディスプレイ表示を最適化し、知覚上の画面の明るさとコントラストを最大30%向上させた。一方で、エネルギー効率と熱効率も最大30%向上させた。このソリューションは、2020年後半に市場投入予定。(2020年7月1日付プレスリリースより) |
協業及び共同研究 | 長春旭陽グループと合弁会社設立 Faureciaは、長春旭陽グループと合弁会社を設立し、戦略的な協力関係をさらに強化させた。この合弁会社は、車載ディスプレイの製造・販売を行い、Faureciaの未来のコックピット開発に向けた戦略を強化していく。(2020年4月24日付プレスリリースより) |
Aptoideと合弁会社設立、Andoroid車載アプリケーションの開発へ FaureciaとAptoideは、自動車市場向けのAndoroidアプリストアソリューションの開発・運営を目的に、折半出資の合弁会社を設立した。この合弁会社は、地域毎に適応し、安全な決済システムを活用し、世界で利用可能な手軽で安全な車載アプリケーション市場を提供する。(2019年11月5日付プレスリリースより) |
|
ZF及びfkaとSHIコックピットを共同開発 ZFは、車両とドライバーの相互作用に焦点を当てた「SHIコックピット (Safe Human Interaction Cockpit)」をFaureciaおよびfkaと共同開発した。SHIコックピットは、自動運転が可能な道路状況になった際、ドライバーがステアリングから手を離すと車両側が運転操作を引き継ぎ、ドライバーによる運転操作が必要になった場合には、事前に警告を与える機能を持つ。また、3Dインテリアカメラがドライバーの身長を測定し、それに応じてシートとステアリング位置を調整する。ヘッドアップディスプレイ・インストルメントクラスター (HUDIC) は、自車両を鳥瞰表示する。アクティブ・ビークル・オーラ (AVA) は、運転支援システムなどの情報を総合的に表示する。(2019年9月12日付プレスリリースより) |
|
ジャパンディスプレイとの提携 Faureciaとジャパンディスプレイ (JDI) は、車載デジタル機器の開発に向けて提携した。両社はあらゆる場面で使用できる大型ディスプレイの開発と統合で協業する。CES 2019では、インストルメントパネルに統合された32.1インチの6Kディスプレイを披露した。(2019年2月26日付プレスリリースより) |
|
新技術 | クラリオンの大型ディスプレイ市場参入 クラリオンは、大型ディスプレイ市場に公式に参入した。パネル加工技術をもつグループ企業の経営資源を活用し、自動車メーカー向けに大型ディスプレイを供給する。(2020年4月6日付プレスリリースより) |
クラリオンの車載インフォテインメントプラットフォーム Faurecia Clarion Electronics部門は、車載インフォテインメントシステム (IVI) のプラットフォームを集約し、現在の15種類から半減させる。LinuxやAndroid版を備えたプラットフォームは3つのグループ (ハイエンド、ミドルエンド、エントリー) に分類される。ハイエンドIVIプラットフォームは主に、Parrot Faurecia Automotive、ミドルエンドはクラリオン、エントリーはCoagent Electronicsが運営する。Coagent Electronicsはまた、中国向けのプラットフォームも提供する。(2019年7月22日付プレスリリースより) |
|
受注 | Aptoide アプリケーションソフトウェアがVWブラジル市場向け車両に搭載 VWは、ブラジルで販売される主力車両にAptoideアプリケーションソフトウェアを採用した。2020年7月より、FaureciaとAptoideの合弁会社Faurecia Aptoide AutomotiveがVWの南米顧客向けにコネクテッドインターフェースとして、アプリ「VW Play」を導入する。「VW Play」では、直感的な操作とパーソナライズされたHMIを通して、ナビゲーション、音楽、動画、興味のあるコンテンツ、気象情報などを含む数百ものアプリケーションを提供する。Aptoideプラットフォームは、自動更新や安全な決済システムに対応している。(2020年6月24日付プレスリリースより) |
![]() |
![]() |
ZFとfkaと共同開発のSHIコックピット | Faurecia Clarion車載インフォテインメントシステム・ディスプレイ |
Faurecia:Microsoftと車載コネクテッドサービスを開発
Faureciaのコネクテッド技術の開発活動は、同社が重視している未来のコックピット開発を補強するものとなっている。具体的には、車載サービスを提供するプラットフォームの開発や、サイバーセキュリティ開発を通じて取得した外部攻撃からの保護といった知見の活用が期待されている。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | イスラエルTel Avivにサイバーセキュリティ技術センターを開設 Faureciaは、サイバーセキュリティ戦略を加速させるために、イスラエルのTel Avivに技術プラットフォームを開設した。同社は、現地のスタートアップ及びイノベーションを推進する企業との協業を通して、サイバーセキュリティに関する専門性を深化させる。新技術プラットフォームを開設したことで、潜在的な脆弱性を分析するペネトレーションテストを通して、同社のその分野における知見を深めていく。(2020年10月3日付プレスリリースより) |
サイバーセキュリティプロバイダーGuardKnoxに資本参加 Faureciaは、イスラエルの自動車サイバーセキュリティプロバイダーのGuardKnoxに出資した。コネクテッドカーにおけるデータセキュリティの強化が目的。GuardKnoxは、コネクテッドカーや自動運転車のハードウェアおよびソフトウェアの双方で、包括的なサイバーセキュリティ技術を提供する。(2019年5月27日付プレスリリースより) |
|
協業及び共同開発 | eSync Allianceに参画 Faureciaは、コネクテッドカー向けのエンドツーエンドOTAアップデートやデータサービスを推進する、複数企業で構成されるeSync Allianceに参画した。このアライアンスは、サーバーと組込みソフトウェアのマルチベンダーOTAプラットフォームであるeSyncを中心に構成されたもので、クラウドとコネクテッドカーの双方向のデータパイプラインを提供する。(2020年3月17日付プレスリリースより) |
Microsoftと車載サービスの開発で戦略的提携 MicrosoftとFaureciaは、未来のコックピット開発に向けて、コネクテッドかつパーソナライズされたサービスを展開するために戦略的提携を行った。エッジコンピューティング、AI、クラウドベースサービス、コックピットシステムの統合、顧客情報などの分野で専門性を組み合わせる。両社は「Microsoft Connected Vehicle Platform」をベースにした車内向けデジタルサービスの共同開発を行う。なおFaureciaは、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Azure」を優先的に使用するという。(2019年7月22日付プレスリリースより) |
|
「Connected Car Lab」開発でAccenture及びAffectivaと提携 FaureciaとAccenture、Affectivaはドライバーセーフティ及びインフォテインメントにおいて協業している。「Connected Car Lab」はAccentureの「インダストリーX」プロジェクトの支援を受け設立された、デジタル製品及びサービスの開発を行う拠点。Faureciaは今回の施設においてアプリ開発やテストを行う。また、「Connected Car Lab」はドライバーの行動データや、車内外の状況を収集するコネクテッドカープラットフォームを保有しており、乗員の感情や認知状態を監視するAffectivaのAutomotive AI を活用している。(2019年6月5日付プレスリリースより) |
Lear :スタートアップ投資部門を設立、車載ソフトウェア事業に向けてXevoを買収
2019年1月、Learは「Lear Innovation Ventures Possibilities」部門を新規に立ち上げた。この部門では、スタートアップ企業に出資を行い、アクセラレーターやインキュベーターとの連携を通じて、潜在的に成長の可能性を持つ新技術や革新性の発見と発展を目指す。Learは、今回の立ち上げに伴い、社内の新規プロジェクト等へも資金を投入する仕組みを作り、企業の買収や投資と社内における開発を組み合わせていく。
Learは、「E-System」を自動運転、コネクテッド、電動化及びシェアリングといった自動車業界のトレンドの一角と位置付けた。「E-System」とは、コネクテッドにかかわるハードウェアとソフトウェア、ボディコントロールモジュール、ゲートウェイモジュール、サイバーセキュリティなど、またクラウドや車両、モバイル端末でのEコマースに使用されるソフトウェアおよびサービスといったものが含まれる。Learはこの「E-System」が短・中期的にシート事業よりも成長可能性が高いと見込んでおり、近年強化を続けている。2025年までに「E-System」部門で80億ドルの売り上げを目標とし、2019年の47億ドルから70%増加させるという。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
投資及び買収 | Autotech Venturesへ出資し、自動車にかかわるスタートアップを支援 Learは、革新的なモビリティ技術を展開するスタートアップ企業を支援するため、ベンチャーキャピタルのAutotech Venturesへ出資を行った。今回の投資はLear Innovation Ventures (LIV)を通じて行われたもの。Autotech Venturesはコネクテッド、自動運転関連、またエネルギー効率の高い自動車やサービス等に向けて投資を行っている。(2020年1月7日付プレスリリースより) |
自動車向けソフトウェアを展開するXevoを買収 Learは、自動車向けソフトウェアのサプライヤーであるXevoの買収について、最終的な合意に至った。LearはXevoの発行済み全株式3.2億ドルを債券発行により取得し、2019年第2四半期に取引を完了する。XevoのJourneyware製品シリーズは、ドライバーや車両をモバイルコンテンツにつなぐもの。また、Xevo Marketは車両やモバイルアプリを通じて文脈に応じた広告が可能になるmerchant-to-driverプラットフォーム。(2019年4月2日付プレスリリースより) |
|
新興スタートアップ企業支援に向け、ベンチャーキャピタルのManiv Mobilityへ出資 Learは、先進モビリティ技術に注力するManiv Mobilityが運営するイスラエルのベンチャーキャピタルに出資を行った。今回の出資もLear Innovation Venturesを通じて行われた。Maniv Mobilityはイスラエルにおけるコネクテッド、自動運転、ライドシェアその他モビリティ関連企業を支援するベンチャーキャピタル。(2019年3月11日付プレスリリースより)。 |
|
協業及び共同開発 | EXO技術提携プログラムに「CARMERA」が参加 Learは、自動運転向けリアルタイムHDマップ企業のCARMERAとEXO技術提携プログラムのパートナーシップ契約を締結した。Learの車両定位技術「EXO」は独自のGNSSソリューションを用いて高精度かつ即時に測位が可能。LearはCARMERAのHDマップをEXOとともにテストし、双方を使用した将来的な開発の方向性を定める。EXO技術提携プログラムは、V2Xやレベル2および3の自動運転向けソリューションを提供する技術パートナーシップ。(2019年5月29日付プレスリリースより) |
EXO技術提携プログラムにHyundai-Kia America Technical Centerが参加 Learは、EXO技術提携プログラムの初のパートナーとしてHyundai-Kia America Technical Center(HATCI)と契約を締結した。EXO車両定位技術は、車載のGNSS受信機と通信を行うことで高速かつ高精度の情報伝達を可能にし、自動運転等へ貢献するもの。HATCIは電子ハードウェア、車載センサーフュージョンソフトウェア、及びクラウドベースEXO補正サービスでEXO技術を活用する。EXO技術提携プログラムは、V2Xやレベル2および3の自動運転向けソリューションを提供する技術パートナーシップ。(2019年1月9日付プレスリリースより) |
|
受注 | 現代自動車へ Xevo Marketサービスプラットフォームを提供 Xevoは現代自動車と提携し、現代自動車の欧米市場に展開するモデルに「Xevo Market」を提供する。「Xevo Market」はインターフェースを通じて各ブランドやサービスへ顧客を誘導するmerchant-to-userプラットフォーム。具体的には、ガソリンスタンド、駐車場、レストラン、キャッシュレス決済などのサービスが提供される。「Xevo Market」は、加盟店がロイヤルティプログラムの採用を増やし注力製品の宣伝を促進するほか、リアルタイムのデータ通信を活用し各ユーザーに最適化されていくという。(2019年9月5日付プレスリリースより) |
Rinspeed microSNAPコンセプトにintelligent INTU seating systemを統合 Learは、INTUシートシステムがRinspeedの自動運転コンセプトカー「microSNAP」に採用されたと発表した。LearのINTUシステムは同社のインテリジェントテクノロジーを集約したもの。同システムは、RFセンシング技術により心拍数や呼吸からストレスや眠気を検知し、それに応じてヒーター及びマッサージ機能を操作する「BioBridge」技術、シートをカスタマイズされた位置にプリセットできる「ProActive Comfort」技術が用いられている。 (2019年1月7日付プレスリリースより) |
![]() |
![]() |
ガソリンスタンドにおけるXevo車内決済の例 出典:現代自動車 |
Rinspeed 「microSNAP」の内装 |
------------------
キーワード
Valeo、Faurecia、Lear、自動運転、コネクテッド、モビリティ、AI、CASE、サイバーセキュリティ、HMI、インフォテインメント、カメラ、配送車両、ディスプレイ、ドライバーモニタリングシステム、eCall、GNSS、高精度マップ、ライダー、レーダー、ソフトウェア
<自動車産業ポータル マークラインズ>