タイの日系部品メーカー (下):生産拠点新設、開発能力増強など

ジヤトコ、タチエス、小糸製作所、三桜工業、GSユアサ、デンソ-、ブリヂストン、日本精工など

2014/01/07

要 約

Thailand Map 本レポートは、タイにおける日系自動車部品メーカー動きをまとめたレポートの後半で、新しい生産拠点構築、開発拠点強化等の動きをまとめた (収録対象は、2013年12月上旬までの約10カ月間)。生産能力増強、製品追加などの日系サプライヤーの動向をまとめた1本目のレポートはこちらをご覧下さい。

  新規進出では、取引先の自動車メーカーやティア1の事業展開に対応するもの(ジヤトコタチエス、トーヨーエイテック、豊生ブレーキ、国産電機など)、タイの輸出拠点化をも図るもの(タチエス、ホンダエレシス、テクノアソシエなど)がある。

 研究開発拠点の強化では、日本の機能の一部を移転してタイをアジア地域の拠点とする動きがある(小松製作所、デンソーブリヂストンなど)。事業体制の強化では、現地会社の連結子会社化(GSユアサ東海ゴム)、タイ子会社に地域統括機能(パイオラックス)や地域サポート機能(村上開明堂)を付与する動きがみられる。

 生産品目の追加では、アジア市場への販売拡大を計画するものも多い(KYBのCVT用ポンプ、JVCケンウッドのカーオーディオ用光ピックアップ、デンソーの新型コモンレールの生産など)。タイや他のアセアン諸国での低燃費・安全などのニーズの高まりに対応する生産能力拡充や生産品目追加(三菱重工のターボチャージャー、東レのエアバッグ用繊維、ティラドのEGRクーラー、アイシン高丘の軽量化骨格部品など)もみられる。

 なお、タイ以外のASEAN諸国における日系自動車部品メーカーの動きは、2013年11月に掲載した "ASEANの日系部品メーカー:インドネシア、ベトナム、マレーシア他" に収録した。

 日系部品メーカー動向関連レポート:  
ASEAN編 (2013 年11月)欧州編 (2013年10月)インド編 (2013年8月)
中国 (華北/東北/西南地域) 編 (2013年8月)
中国 (華南/華中地域) 編 (2013年7月)中国 (華東地域) 編 (2013年6月)
米国編 (2013年7月)メキシコ・ブラジル編 (2013年5月)タイ編 (2013年3月)

 



新たな生産拠点構築の動き

(配列は企業名 50音順)

柿原工業:樹脂メッキ部品の生産子会社設立、初の海外工場を2014年夏に稼働

 柿原工業は2013年5月、初の海外生産拠点のSiam Kakihara Co.,Ltd.(Chachoengsao県Gateway工業団地)を設立。資本金は11.2億円で全額出資。メッキを施したドアハンドルやグリルなどの内外装部品を現地日系部品メーカーに納める。これまでは日本から輸出していたが、日本の工場はフル生産状態が続き、今後の需要拡大や為替変動対応もあり現地生産を決定。2014年夏に量産開始し、2016年には12億円の売上を見込む。

国産電機:合弁会社を設立し、2015年第1四半期に電装品・モーターを生産へ

 国産電機は、初の海外生産拠点のKokusan MAHLE Siam Co., Ltd.(仮称)(Samut Prakan県)をドイツの部品メーカーMAHLEと合弁で2014年4月に設立予定。資本金は1億バーツ。出資比率は国産電機51%、MAHLE49%。操業開始は2016年第1四半期の予定。二輪車・農機・四輪車等のデ-ゼルエンジン用の発電機の電装品や小型DCモーターなどを生産し、日系メーカーなどに販売する。取引先企業の海外進出に対応し、現地での需要を取り込むもの。

サムテック:ベアリング部品工場が2013年1月に本格稼働、更なる生産能力拡大を計画

 サムテックは、2011年6月に設立したSAMTECH(Thailand)Inc.(Chonburi県)の鍛造工場で2013年1月から量産を開始。自動車向けハブユニットベアリング部品を月間60万個生産し、ベアリングメーカーに納入。2015年春には現有設備での生産がひっ迫することから、新棟の建設に着手。2018年11月期には全社売上高で2012年度比50億円増の200億円を目指す。

ジヤトコ:新会社のCVT工場が2013年7月稼働開始

 ジヤトコは、2013年7月にJATCO(Thailand)(Chonburi県)新工場でCVTの本格生産を開始。新工場は、メキシコ、中国に続くジヤトコの3番目の海外生産工場であり、小型車用の副変速機付CVTをタイ日産で生産されるマーチやシルフィ向けなどに生産。投資額は約200億円で、生産能力は年間50万台。インドネシアなど他のアセアン各国へのCVT供給も強化する計画。

神星工機:AT車用シフトレバー生産工場建設へ

 新星工機は2013年9月、Chonburi県の工業団地の工場用地を購入する契約に調印。単独出資子会社のSHINSEI KOKI (THAILAND) CO. LTD.を設立して、AT車用シフトレバー及び関連部品の製造・販売を行う計画。

シバサキ製作所・東京鋲兼:合弁会社を設立し自動車部品生産へ

 シバサキ製作所と東京鋲兼は2013年5月、合弁会社SHIBASAKI TB (THAILAND) Co,. Ltd. (Saraburi県)を折半出資で設立。2013年内に総投資額5000万円で工場を建設し、2014年5月の稼働を計画。生産品目は、自動車用エンジンやブレーキ向けの部品の切削加工、及び鍛造製品の2次加工(仕上)。

タチエス:新工場が2014年2月稼働、シート内部の骨格部品のアセアンでの生産拠点に

 タチエスは、TACHI-S THAILAND(Bangkok)の建設中の新工場が2014年2月に稼働予定。シート内部の新型フレーム(TTKフレーム)と機構部品のキーコンポーネントを集中生産し、タイのみならずインドネシアなどアセアンの同社の生産拠点に供給する。

テクノアソシエ:金属切削加工の新会社を2013年8月に設立

 テクノアソシエは、子会社のTECHNO ASSOCIE (THAILAND) CO., LTD(Bangkok)の子会社として金属切削加工の新会社TECHNO ASSOCIE AUTOMOTIVE PARTS (THAILAND) CO., LTD(Chonburi県)を2013年8月に設立。資本金は約3億8400万円。ASEAN地域における自動車部品関連の需要の伸長に対応して、駆動系や制動系、防振系などの部品を製造する。

トープラ:自動車用ねじの生産会社の工場開所式

 トープラは、TOPURA(THAILAND)CO., Ltd.(Rayong県)の新工場の開所式を2013年8月に実施。自動車用ねじ、ボルトなどを生産する。タイでの需要増に対応し、コスト競争力を高める狙い。(2013年8月報道)

トーヨーエイテック:オイルポンプ生産の新工場設立

 トーヨーエイテックは、2013年7月に初の海外工場のTOYO ADVANCED TECHNOLOGIES AUTOMOBILE COMPONENTS (THAILAND) CO., LTD (Chonburi県)を設立。マツダが建設中の新トランスミッション工場内で「SKYACTIV-DRIVE」用オイルポンプを生産し供給する。稼働は2015年上半期で、年間約40万台分を生産する予定。新工場への投資額は約12億円。

ファルテック:車外装品の合弁工場を2013年9月に開所

 ファルテックは、米SRGグローバルとの合弁会社FALTEC SRG GOBAL(THAILAND)(Bangkok)の車外装品の工場(Chachoengsao県Gateway工業団地)を2013年9月に開所。これまでの現地企業への生産委託から、自社でも生産する体制に再編する。2015年度の新工場の売上げは35億円を目指す。

豊生ブレーキ:ドラムブレーキ会社設立、工場の稼働は2014年6月予定

 豊生ブレーキは2013年9月、自動車用ドラムブレーキの生産会社HOSEI BRAKE (THAILAND) CO., LTD (Rayong県)の設立を発表。資本金は約10億円。工場建設の投資額は約18億円。操業開始は2014年6月の予定。最大で年産100万個まで対応し、トヨタやスズキの現地工場に納入する。2017年の売上高は約45億円の予定。

ホンダエレシス:タイ工場が2013年8月に稼働、電子制御ユニットを生産

 ホンダエレシスは、2012年12月にElesys Asian Co., Ltd.(Chonburi県)を竣工し、2013年8月に工場を稼働。二輪車用ABSの電子制御ユニットから生産を始め、2013年度末には電動パワーステアリング用や画像処理用などの四輪車用製品の生産を始める。四輪車用はタイ工場を、中国工場と並ぶグローバル供給拠点と位置付け、製品の大半を北米、日本、欧州などに輸出する。

三菱レイヨン:炭素繊維複合材合弁生産の事業化調査開始

 三菱レイヨンは2013年9月、タイ国営のPTT Public Company LimitedとASEAN地域における炭素繊維及び炭素繊維複合材料事業の検討を行うことを発表。自動車向けなどの炭素繊維複合材料の成形品をターゲットに事業展開する方針で、同年12月末までに検討結果をまとめる計画。

リコーエレメックス:リコー工場でエンジン部品生産を2013年に開始、2014年に自社工場建設を検討

 リコーエレメックスは、2013年7月にRicho(Thailand)(Bangkok)のRayong県にある工場の一部を間借りして自動車エンジン部品の生産を開始。現在は月産7500個の生産能力を持つラインを整備。扱う品目は1アイテム。2014年度には自社工場を建設することも検討。生産能力を月15万個に引き上げ、品目数を6アイテムにして事業を本格化させる計画。自社工場の立地場所は今後詰める。

 

 



地域統括会社、開発拠点新設・拡充、販売拠点設立等の動き

(配列は企業名 50音順)

小糸製作所: タイに技術センター開設、開発要員を2割増員

 小糸製作所は、Thai Koito Co., Ltd(Samutprakarn県)に技術センターを開設し2012年4月に稼働させた。世界5極体制で開発のレベルアップを図る中期経営計画(2013~15年度)の一環で、タイでは国内向けのほかインドネシア、インドなどアジア向けの開発業務を全て行う体制を構築する。タイの開発要員を2015年までに2013年初比2割増の120人に増員し、開発業務内容の拡充、開発期間の短縮、コスト低減などを図る。

三桜工業: タイにアジア地域の品質保証部門設置へ

 三桜工業は、2013年度-2015年度の間にタイ現地法人に品質保証部門を設置する。駐在員を置き、現地仕入れ先への管理を徹底し、生産量の急な変動しても高い品質を保てる体制を整える。現地調達部品比率も、今後2年間で大幅に引き上げる計画。

GSユアサ: バッテリー生産の合弁会社を子会社化

 GSユアサは2013年5月までに、合弁会社のSiam GS Battery Co., Ltd.(Samut Prakan県)の出資比率をこれまでの39%から60%まで引き上げ経営権を獲得し、連結子会社化した。株式買い取り額は約30億円。今後、アイドリングストップ車向け鉛蓄電池に関する最新技術の移転や、自動化製造設備の導入により2014年に四輪車用電池の年産500万個体制(2012年は同300万個)を構築するほか、ミャンマー、ラオス、カンボジア等への経営資源の投入により、グローバル化、事業拡大を図る。この他、2014年1月にアジア開発センターをタイに設立する予定。

セーレン:内装材デザイン開発のバンコクオフィス新設

 セーレンは、内装材やエアバッグを製造するタイ子会社Saha Seiren Co., Ltd.がバンコクオフィスを2013年に新設。主要取引先の日系自動車メーカーの企画・開発部門と連携を強化して、ニーズに応じた製品を提案、受注拡大を図る。(2013年10月報道)

デンソー:タイに風洞実験設備を新設

 デンソーは、開発・設計機能をもつDENSO INTERNATIONAL ASIA CO., LTD.(Samutprakarn県)にエンジン部品やカーエアコンの風洞実験設備を新設し、開発体制を強化する。送風機と実車の走行状態を再現する装置で、カーエアコンやエンジンの評価に使う。投資額は約6億円。これまで日本で実施していた実験をタイで実施し、開発期間とコスト圧縮につなげる。タイのみならずアジア・豪州地域での開発に活用する。(2013年5月報道)

東海ゴム:タイの関連会社を連結子会社化し、自動車用ホース事業の基盤強化

 東海ゴムは2013年4月、関連会社のInoac Tokai (Thailand) Co., Ltd.(Ayutthaya県)の株式を50.6%まで追加取得し、連結子会社とした。これにより販売網を拡大すると共に、環境規制対応品などの高付加価値製品の生産力を拡充し、受注の拡大を図る。

ニッキ:ガス燃料供給装置の販売子会社設立

 ニッキは、2013年8月にガス燃料供給装置・部品の販売子会社Nikki Thailand(Nakhon Pathom県)を設立。資本金は約1億5650万円。天然ガス車の需要増が見込まれるアセアン諸国市場向けの事業拡大とサービス強化を目指す。日本で生産した燃料供給装置を日系自動車メーカー向けに販売する。

ブリヂストン:テクニカルセンターを2013年7月に開所、日本で担っていた機能の一部を移設

 ブリヂストンが設立したBridgestone Asia Pacific Technical Center Co., Ltd.(Bangkok)は、2013年7月末に業務を開始した。資本金は約30億円。従来、日本のテクニカルセンターが担っていたアジア・大洋州地域でのタイヤ開発、タイヤ生産技術、品質管理、域内顧客への技術サービス提供の一部をなどの機能を移管し、現地で迅速に対応する。総投資額は約41億円。

村上開明堂:地域サポート会社を設立、2013年12月に営業開始

 村上開明堂は、グローバル展開の柱となるアジア(アセアン・インド)域内の総合力を強化し、2013年9月に地域サポート会社のMurakami Corporation (Thailand) Ltd.(Bangkok)を設立。資本金は約6000万円。営業開始は2013年12月の予定で、自動車用バックミラーの設計・生産準備を請負う。

ヨコオ:技術対応体制を拡充

 ヨコオは、主力商品のマイクロアンテナやシャークファインアンテナなど高付加価値製品の需要が拡大している中、2013年度中にYokowo (Thailand) Co.,Ltd(Samut Prakan県)に技術担当者を派遣して自動車メーカーとの現地での共同開発や開発期間の短縮につなげる。タイ拠点を中心に日系メーカーのアセアン地域での生産拡大に合わせた現地開発体制を構築する。

 



生産品目拡大の動き

(配列は企業名 50音順)

アイカ工業:部品用接着剤を2014年4月に生産開始

 アイカ工業は、2014年4月に自動車部品向けの工業用接着剤を生産開始する。同社のホットメルト接着剤は、主に自動車のヘッドライトやテールライ ト内側の部品をつなぎ合わせるのに使う。2012年12月に1.5億ユーロで買収したフィンランドの接着剤メーカーDynea Chemicals Oyのアジア太平洋部門(Dynea AP部門)子会社のタイ工場内に2億円を投じて生産ラインを新設。

アイシン高丘:熱間プレスの試験製造設備を導入

 アイシン高丘は、米国、中国、タイの3カ国に熱間プレスの最新鋭の試験製造用の設備を導入し、2013年度中に稼働を開始して、熱間プレス部品のサンプル出荷を始め、現地に工場を持つ自動車メーカーや部品メーカーに対して、車体骨格部品を軽量化できる生産技術を提案する。早ければ2015年にも量産を開始す る。

旭化成インターテキスタイルズ:シート向けポリエステル撚糸を生産開始

 旭化成インターテキスタイルズは、ASAHI KASEI INTERTEXTILES (THAILAND) CO., LTD.(Samutprakarn県)で2014年3月から自動車シート向けポリエステル撚糸の生産を開始する。現工場の一部を利用し、約1億円を投じて段階的に専用設備を導入。当初は年産500トンから始め2016年には同1500トンに引き上げる。まず、アセアン諸国向けに車用シート素材を販売する蝶理に供給する。

KYB:CVT用ポンプの生産を2013年7月に開始

 KYBは、KYB(Thailand) Co., Ltd.(Chonburi県Amata Nakorn 工業団地)で2013年7月に新たにCVT用ポンプの生産を開始。ジヤトコに納入する。年産能力は60万台。顧客ニーズに対応したグローバル4極供給体制確立の一環で、日本、中国の既存拠点に加えてタイとメキシコに新たな拠点を構築。これにより、グローバル生産能力を2012年の年産336万台から2014年に同516万台に増やす。

JFEスチール:自動車用溶融亜鉛めっき鋼板生産拠点が2013年4月に稼働

 JFE スチールは、JFE Steel Galvanizing (Thailand) Ltd.(Rayong県)に、タイで初の自動車用溶融亜鉛めっき鋼板製造設備を設置し、2013年4月から稼働。生産能力は年産40万トン。投資額は約 15億円。タイで自動車用高級鋼板需要の更なる拡大が見込まれるため、従来の日本からの輸出に替えて現地生産を行う。自動車メーカーの現地調達要請や高度化するニーズに対応する。

JFE商事:自動車用高張力鋼板(ハイテン材)の加工設備を導入し2013年11月に稼働

 JFE 商事は、Summit Corporationとの合弁会社STEEL ALLIANCE SERVICE CENTER CO., LTD.(RAYONG県)に約15億円を投じて、新たに大型スリッターや大型レベラーを導入し工場を拡張。2013年11月から新規設備を稼働させ、超広幅の自動車用高張力鋼の加工を開始。顧客ニーズへの対応体制を整えた。

JVCケンウッド:カーオーディオ向け光ピックアップの新工場建設

 JVC ケンウッドは、JVC Optical Components (Thailand) Co., Ltd.(Nakhon Ratchasima県)の既設工場の隣接地にカーオーディオなどに組み込む車載機器向け光ピックアップの新工場を建設する。新興国などでカーオーディオの需要が拡大すると判断、2014年春の稼働を目指す。投資額は数億円規模の見通し。新工場の稼働で2015年度に2012年度比4割増の3500万個以上を外販できるようにする。2015年度時点の光ピックアップの売上高は同じく4割増の約85億円を目指す。

新日鉄住金:溶融亜鉛めっき鋼板工場の営業運転開始

 新日鉄住金は、NIPPON STEEL & SUMIKIN GALVANIZING (THAILAND) CO., LTD.(Rayong県)の溶融亜鉛めっき鋼板工場の営業運転を2013年10月に開始。投資額は約3億ドル。年産能力は36万トン。同工場は新日鉄住 金の日本の最新鋭設備と同等の設備を備え、自動車用外板、高張力鋼板を含む高品質の(合金化)溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。また、冷延鋼板製造・販売の 連結子会社The Siam United Steel Co., Ltd.の隣接地に建設することで、冷間圧延からの一貫生産・管理体制を構築。

大同特殊鋼:タイ子会社で四輪車・二輪車向け磁石の生産に転換へ

 大同特殊鋼は、Daido Electronics (Thailand) Co.,Ltd.(Ayutthaya県)を車載向け磁性製品の生産拠点に切り替えていく。今はHDD用の超小型モーター磁石を主に生産。将来的に、タブレット端末へのシフトに伴い、記憶装置がHDDからフラッシュメモリーへ転換し、需要が減少すると判断。自動車のスピードメーターなど車載用磁石を生産できるよう設備を更新する。(2013年9月報道)

デンソー:新型コモンレールをタイで生産へ

 デンソーは2013年6月、世界最高の最大2500気圧の燃料噴射圧力を実現できるディーゼルエンジン用の電子制御燃料噴射システム「コモンレールシステム」を開発したと発表。2013年中に日本で生産し供給を開始し、2018年度をめどに世界で年150万-200万台の供給規模を目指す。海外では、2015年から2016年にかけてタイ工場、ハンガリー工場でも生産を開始する。

日本精工:ハイドロ加工の電動パワステ部品の製造開始

 日本精工は2013年内にSiam NSK Steering System Co., Ltd.(Chachoengsao県)でハイドロフォーミング加工による電動パワーステアリング(EPS)部品の製造を開始する。現在は鳥羽工場のみで行っているが、EPSの製造が増えているタイにも技術移転して加工拠点を増加し、新たな案件獲得を図る。鳥羽工場に2台ある加工機をオーバーホールしタイの工場に移管する。(2013年4月報道)

日本特殊陶業:タイで3つ目の点火プラグ製造会社を2013年に設立

 日本特殊陶業は、世界的な新車販売台数やアフターマーケットの拡大に対応し、2020年に点火プラグの年間生産量を2013年より3割増の10億個にする国際分業体制を構築中。主体金具の製造拠点として新たにSparkTec (THAILAND) CO., LTD (Chonburi 県)を2013年7月に設立。投資額は30億円。着工は2014年2月、操業開始は2015年4月を予定。年産能力は2016年に年1800万本。その後、段階的に能力を増強し、2020年には年間1億4000万個の主体金具を生産する予定。

日本バイリーン:フロアマット製造の新会社設立

 日本バイリーンは、タイに自動車用フロアマットを製造するVIAM Manufacturing (Thailand) CO.,Ltd.( Prachinburi県)を2013年5月に設立。資本金は約3.3億円。操業開始は2014年4月予定。タイの日系自動車メーカーの工場向けに供給するのに加え、アセアン域内の自動車メーカーへの輸出も視野に入れる。既に稼働している日本、中国、米国、メキシコに加え世界5拠点体制を確立する。

大和ケミカル:インジェクターなど生産品目を拡大

 大和ケミカルはYamato Polymer Co., Ltd.(Chonburi県)で自動車関連の生産品目を拡大する。2013年7月からコイルスプリングなどの現地調達を開始。これらと主力の車用ゴム製品を組み合わせて自動車用のインジェクター、レギュレーターなどを生産する。もう一つの子会社Yamato Chemical (Thailand) (Chonburi県)でも生産品目を広げる方針。

(参考資料:各社広報資料, 各紙報道)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>