欧州の日系部品メーカー:ロシア/東欧で生産能力拡大、欧州メーカーへの拡販を狙う

旭硝子、大同メタル、東海ゴム、東レ、トヨタ紡織、ブリヂストン、ユーシンなどの動向

2012/12/21

要 約

 欧州18カ国の乗用車登録台数は、2012年1-11月の新規登録台数が前年同期比7.2%減の1,169万台と低迷している。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開は、欧州乗用車メーカーとりわけフォルクスワーゲンやドイツ高級車メーカーなどへの拡販を狙ったものが多い。工場新設、既存工場の生産能力拡充では、地域的には労働コストの安い東欧諸国が多いが、英国、フランス、ドイツ、オランダなどでの展開もみられる。

 企業買収や合弁会社設立では、製品開発力の強化(旭硝子三菱レイヨン住友電工住友電装)、世界シェア・トップクラスの確保(ユーシン日清紡ブレーキ)、現地パートナーの持つ欧州自動車メーカーへの販路の活用(旭硝子豊和繊維など)、欧州・中東・アフリカ市場への拠点(住友ゴム)などを目的としたものがみられる。

 事業体制の再編では、営業強化のための駐在員事務所の現地法人への格上げ(東海ゴム)、販売会社の設立(太平洋工業)や欧州持株会社の設立(ケーヒン)がある。この他、フランスでの研究開発拠点(曙ブレーキ)、イタリアでのデザイン拠点(トヨタ紡織)の新設もみられる。


 ロシアの2012年の自動車販売は前年比9.4%増の290万台が見込まれ、生産台数も222万台(同11.5%増)の見通しで順調に拡大している。海外自動車メーカーも現地メーカーとの提携で生産体制の拡充を進めている。

 こうした中、日系部品メーカーは、新工場の建設、企業買収による生産拠点確保、既存工場の生産能力拡充などを進めている。新工場建設では、自社工場(横浜ゴムユニプレスタカタ)だけでなく、日産の工場内でのインサイト方式(カルソニックカンセイ河西工業)もみられる。また、アフトワズを供給先とするケースも多い(タカタ、豊田通商のプロジェクト、三桜)。生産能力拡充では、欧米自動車メーカーの現地工場からの受注拡大への対応(大同メタル)もある。ブリヂストンユーシンヨロズは工場建設を検討中。

 販売体制の強化では、駐在員事務所の新設(ジヤトコ:アフトワズに初出荷)、輸入販売会社の設立(KYB:ロシア全域・旧CISをカバー)がみられる。



ドイツ・オーストリア:三菱レイヨンが独・日メーカーを買収し炭素繊維の開発強化、大同メタルがBMWとの取引拡大で増産

旭硝子:独ガラスメーカーInterpane Glas Industrie AGを子会社化

 旭硝子(AGC)は2011年12月、欧州子会社のAGCガラス・ヨーロッパ(AGEU)が、ドイツのガラスメーカーInterpane Glas Industrie AG(IP)の株式を51%取得し、子会社化することで合意したと発表。AGEUとInterpaneは、ガラス製造・加工について、拠点展開および製品ラインナップの点で相互補完していく。AGCグループは、IPの子会社化を通じて、主にドイツの板ガラス市場での存在感を高めるとともに、建築用、自動車用、ソーラー用ガラスに対し新たな機能を付加するガラスコーティング分野での先進性を強化する計画。

住友電工住友電装:REMA社と合弁会社設立、Combo規格のEV用充電コネクター開発

 住友電気工業と住友電装は2012年11月、ドイツに充電コネクタメーカーのSUMI REMA EV Solutions GmbHを設立した。資本金は50万ユーロ、出資比率は住友電工 36%、住友電装 24%、REMA 40%。また、住友電工と住友電装は、REMA社の保有する充電コネクターの基礎技術に関するノウハウを買い取った。合弁会社では、欧米の「Combined Charging System」(通称Combo)規格に対応した電気自動車用充電コネクターの開発、設計等を行い、2013年度中にも製品化する計画。

大同メタル:独BMWからDEの軸受けを初受注、2013年秋から納入

 大同メタル工業は、2012年半ばに独BMWの主力セダンの「3シリーズ」と小型車の「1シリーズ」に搭載する新型ディーゼルエンジンの軸受けを初めて受注した。2013年秋から、BMWの欧州の工場に納入する。初年度は数万台分だが、2015年度をめどに15万台分に拡大し、中長期では100万台分に増やす方針。大同メタルは、鉛不要の軸受けの開発に力を入れてきた。競合他社より早い時期に欧州市場に投入し、BMWへの積極提案もあり受注を獲得した。

DIC:オーストリアの新工場でPPS生産を2013年1月に開始

 DICは、PPS(ポリフェニレン・サルファイド)コンパウンドの販売を欧州自動車向けに拡大する。2011年9月に欧州の大手化学メーカーSolvay社からPPSコンパウンド事業を譲受することで合意し、同年10月にオーストリアの子会社DIC Performance Resins GmbHでの新工場建設を決定。2013年1月から欧州市場向けの生産を開始する。新工場の生産能力は、稼動開始時点では年産6,000トンの予定。将来的には年産10,000トンまでの拡張が可能。また、2012年に買収したベルギー企業の生産も加えて、DICグループ全体で、数年後に欧州でのPPSコンパウンドのシェア20%以上を目指している。

テイ・エステック:欧州での工場建設を検討

 テイ・エステックでは、独VW向けのシート供給が2014年頃から始まる見込み。欧州での工場建設を検討するほか、他社との提携も活用して供給体制を整備する。

東海ゴム:ドイツ駐在事務所を現地法人に格上げし、拡販活動を強化

 東海ゴム工業は2012年7月、自動車用品の欧州での拡販活動を強化するため、ドイツ駐在事務所を現地法人TRI Europe GmbHに格上げした。TRIEUは、東海ゴムの全額出資で資本金12万ユーロ。同社では、すでに独ポルシェからの受注に成功し、続けてフォルクスワーゲン(VW)、アウディ、BMWからも防振ゴムを初受注した。これに合わせ、ポーランドに第2工場と開発拠点を新設し、欧州メーカー向けの開発・生産体制を構築する(下記参照)。

三菱レイヨン: 独社を買収、炭素繊維複合材事業強化へ

 三菱レイヨンは2012年11月、ドイツの炭素繊維ファブリック開発製造会社であるTK Industries GmbH(以下「TK社」)を買収したと発表した。いずれも炭素繊維複合材料事業の発展拡大を図るため。今後、三菱レイヨンは高性能ラージトウをTK社の炭素繊維多軸ファブリックに適用し、自動車用途をはじめ一般産業用途の成形加工に最適な中間基材の開発を加速させ、欧州における事業の拡大を目指す。

 

 



東欧:サンデン、日本電産、ブリヂストン、日立電線、トヨタ紡織、日本化薬、大同メタルの動向

東海ゴム: ポーランドに第二工場建設、欧州メーカーへの供給拠点

 東海ゴム工業は2012年10月、ポーランド子会社 TRI(Poland)Sp.zo.o(TRP)に、新工場を建設することを発表。既存の第1工場は、主に日系自動車メーカーの欧州生産拠点向けに自動車用防振ゴムと制遮音材を供給してきたが、欧州メーカーからの受注増に対応して第2工場を建設するもの。また、新工場はウクライナに近く、将来はロシア向けの供給拠点としても活用する考え。生産開始は2013年8月の予定。TRPの2015年度の生産規模は76億円(2011年度の約1.8倍)の見通し。
 なお、第2工場には第1工場から生産設備の一部を移管し、第1工場の空いたスペースに開発拠点を設置する。製品の試作や耐久試験を行い、開発から生産までを一貫して行える環境を整える。開発拠点は、日本、米国、タイ、中国に続き5カ所目。

サンデン:ポーランドでコンプレッサーの中核部品工場を新設

 サンデンは、ポーランドで既存工場(Sanden Manufacturing Poland Sp.z.o.o.)のあるPolkowiceで新工場を完成させ、2013年1-4月にかけてカーエアコンのコンプレッサーに搭載する中核部品の生産を開始する。フォルクスワーゲンに供給する製品では、日本などからの部品輸入比率が50%。中核部品の現地生産により、円高の影響を回避し、輸送時間も解消する。

大同メタル:チェコの既存工場で生産能力を増強

 大同メタルは、チェコの子会社DAIDO METAL CZECH s.r.o.の既存工場敷地内に工場棟を新設し、自動車用軸受メタルの生産能力の増強を図ることを決定した。(判治誠吾会長、2012年11月報道)

トヨタ紡織:チェコに初の生産会社設立、欧州メーカーからの受注に対応

 トヨタ紡織の欧州子会社BOSHOKU AUTOMOTIVE EUROPE GmbH(BAE)は、チェコで初の自動車用内装部品の生産新会社BOSHOKU AUTOMOTIVE CZECH s. r. o.を2012年5月に設立。資本金は約3億円、トヨタ紡織グループで全額出資。成形天井やドアトリムをはじめとする内装部品の生産を2013年中頃に開始する。BAEの欧州域内での新規受注獲得に合わせて、欧州メーカー向けの最適生産体制を構築する意向。既存のドイツの生産体制再編も視野に入れている。

日本ガイシ: ポーランドに第2工場建設、既存工場も生産能力増強

 日本ガイシ(NGK)は2012年3月、ポーランドの製造子会社NGK CERAMICS POLSKA SP. Z O.O.でディーゼル車排ガス浄化用大型触媒担体「大型ハニセラム」の新工場を既存工場の隣接地に建設することを発表した。生産開始は2014年1月、生産能力は標準品換算で120万個(ハニセラム換算で800万個)を計画。また、既存工場の炭化ケイ素(SiC)製ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)の生産設備も増強し、生産能力を2013年度までに2012年度より約20%引き上げる。

日本化薬:チェコに第二工場建設、安全部品の需要拡大に対応

 日本化薬は、チェコの子会社INDET SAFETY SYSTEMS a.s.の既存工場の隣接地に第2工場を建設し、生産能力を3割増強する。2013年中の稼働開始を予定。欧州での安全部品の需要拡大に対応するもので、エアバッグを膨らませるためのガス発生装置「インフレータ」、衝突時などにシートベルトを引き締める装置のための「マイクロガスジェネレータ」(MGG)、それらの点火装置「スクイブ」などを生産する。

日本電産:ポーランドでレアアース不要モーター量産へ

 日本電産は、2015年頃までに2000億円から3000億円を投じて、レアアースを使わない可変磁気抵抗(SR)モーターの世界での量産体制を整備する。主にEV、HVの駆動用モーターとしての用途を見込む。海外では、中国、ポーランド、メキシコで量産する方針。なお、NMAポーランドでは、2014年に電動パワステ用モーターの生産を開始する。

ハイレックス:ハンガリー子会社工場に窓昇降装置用の生産ラインを新設

 ハイレックスコーポレーションは、ハンガリー北部にある子会社HI-LEX HUNGARY Kft の工場に、ウインドレギュレーター(窓昇降装置)用のラインを新設する。欧州フォードから初めて受注した同装置の生産を2012年11月から開始。

日立電線:チェコにブレーキホースの新工場建設、2013年2月に稼働開始予定

 日立電線は2012年6月、英国の子会社Hitachi Cable Europe Ltd.(HCE)が、チェコに自動車用ブレーキホースの新工場Hitachi Cable Europe Limited, Czech Branchを2012年2月に設立したと発表。HCEの英ウェールズ工場に拡張余地が無いため、チェコに設立したもの。工場は初期投資及び管理コストを低減するため、日立オートモティブシステムズのグループ会社Hitachi Automotive Systems Czech, s.r.o.の敷地内に建設。生産開始は2013年2月の予定。稼動から3年後の2016年3月期にはHCEのブレーキホース製造能力を現行の約2倍に高める。

ブリヂストン:ポーランドとハンガリーの工場の生産能力を増強

 ブリヂストンは2012年7月、ポーランド子会社Bridgestone Stargard Sp. z o.o.の工場のトラック・バス用ラジアルタイヤ(TBR)の生産能力増強を発表。2012年4月末の日産約2,400本から、2014年下期中に日産約3,750本体制にする予定。総投資額は約1億2,000万ユーロ(約126億円)。
 また、ブリヂストンは2012年10月、ハンガリーのBridgestone Tatabanya Termelo Kft工場の乗用車用ラジアルタイヤ(PSR)の生産能力増強を発表した。2012年6月末の日産6,000本を、2017年上期中に日産約18,000本に増強する。総投資額は約2億6,700万ユーロ。

八木工業:ポーランドの工場を拡張し、生産能力を増強

 八木工業は2012年初までに、ポーランドの製造子会社YAGI POLAND FACTORYを拡張した。工場面積を約45%増の8600平方メートルとして日本の本社工場から機械加工ラインを移設。これにより、主力の自動車用ハブ部品の生産能力を従来の2倍の月20万個に高めた。今後、さらに機械加工ラインを増強し月30万個に引き上げる計画。取引先の日系自動車部品メーカーの欧州拠点での増産に対応するもので、売上高は2012年3月期の約21億円(見込み)から、2016年3月期に50億円を目指す。

 

 



英/仏/蘭国/ベルギー/スイス/ルクセンブルク:日清紡ブレーキがTMDを、ユーシンが仏ヴァレオの一部門を買収

曙ブレーキ:研究開発センター新設のためにフランスに新子会社設立

 曙ブレーキは2012年11月、ファウンデーションブレーキ(ブレーキキャリパーなど機構部品の意味)研究開発センターを2015年に新設するため、フランス新子会社(仮称:Akebono Engineering Center, Europe S.A.S.)を設立すると発表した。曙ブレーキはフランスにブレーキ摩擦材研究開発拠点(CREA)と摩擦材生産拠点があるが、これにブレーキの機構研究開発センターを加えることで、欧州のファウンデーションブレーキビジネスへの本格参入を目指す。また、2020年に向けた新中期経営計画では、欧州でのブレーキキャリパー工場の新設も検討。場所と時期、規模は未定。さらに摩擦材工場の生産能力増強、原価低減の推進の計画があり、ブレーキシステムの生産拠点を設立の方向で検討。

イーグル工業:フランス子会社の生産能力を5割増、部材の現地調達も進める

 イーグル工業は、フランスの子会社Eagle Industry France S.A.S.(EIF。Moselle県Faulquemon)のカーエアコン用コンプレッサー制御弁の生産能力を2012年度中に現状比5割増の年600万個に引き上げる。このため、建屋を増築し、組み立てラインを1本増設する。2012年度下半期には、部材を内製化するため加工設備も導入する。初期投資額は約20億円。日本からフランスに輸出していた部材は、2015年度までに現地調達に切り替え、為替変動のリスクを回避し、原材料の変動費比率を下げて収益力を高める。精密加工が必要なコア部品の生産も日本からEIFに移管する。

三光合成:英国子会社の生産能力を25%引き上げ

 三光合成は、英国の生産拠点で3億円程度を投資し、2012年6月に自動車用プラスチック部品の生産能力を25%引き上げる。(2012年1月報道)

ショーワ日信工業:両社の英国合弁会社を解消し、ショーワが単独で事業継続

 ショーワと日信工業は2012年1月、両社の英国合弁会社NISSIN SHOWA UK LIMITED(NSUK)を2013年3月末を目途に解消すると発表した。欧州域内での販売低迷と、日信工業が欧州での四輪ブレーキ事業戦略再構築の一環で、現行モデル向け生産が終了する2012年末をもってNSUKでの事業から撤退するため。ショーワがNSUKの全株式を譲り受け、四輪車用ショックアブソーバ・パワーステアリング分野に特化して事業を継続する。

太平洋工業:ベルギーにTPMS等の販売会社設立

 太平洋工業は2012年3月、ベルギー・ブリュッセル市近郊に自動車部品販売会社Pacific Industries Europe NV/SA を2012年7月に設立することを発表した。資本金は100万ユーロ(約1億円)。タイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System(TPMS))の欧州域内装着法制化に伴い、市場の拡大が予想されるため、同部品等の販売及びアフターサービスを行う会社を設立するもの。

東レ:仏の炭素繊維製造販売合弁会社の全株式を取得、増産などを検討

 東レは2012年1月、70%出資するフランスの炭素繊維製造販売子会社Societe des Fibres de Carbone S.A.の全株式を取得し、100%子会社化したと発表。これに伴い、社名をToray Carbon Fibers Europe S.A.(CFE)に変更した。炭素繊維焼成生産能力は現在年産5,200トンだが、世界的な炭素繊維の需要拡大が見込まれる中、更なる焼成能力の拡大と、炭素繊維原料であるプリカーサや航空機向けプリプレグの新規生産化など、一貫生産体制の構築と事業拡大を加速させる計画。

トヨタ紡織:スイスAutoneum社、日本特殊塗料と3社提携、防音材の総合力強化

 トヨタ紡織は2012年8月、スイスの部品メーカーのAutoneum、日本特殊塗料との3社共同で、自動車用の内装システムを開発する覚書に調印したと発表。トヨタ紡織の内装事業と、Autoneum、日本特殊塗料の高い音響技術(エンジンルームや車室フロアなどの防音技術)を融合させた内装システムインテグレーターとして、世界中の自動車メーカーに対して、最高の移動空間を提案・供給していく計画。従来のガソリンエンジン車だけでなく、ハイブリッド車や電気自動車向けの開発も進める。

日清紡ブレーキ:ルクセンブルクの摩擦材メーカーを買収し、世界シェアトップに

 日清紡ブレーキは、2011年11月にルクセンブルクのTMD Friction Group S.A.の全株式を取得し、ブレーキ摩擦材の世界シェア約15%超のナンバー1メーカーになった。買収の効果である技術補完による業容拡大、物流体制の合理化や原材料調達の一本化によるコストシナジー、グローバルな人材・組織体制の獲得の実現をはかる。

ニフコ:英国子会社で新工場を建設

 ニフコは、2012年2月に英国子会社Nifco U.K. Ltd.において新工場への移転・拡張を行った。既存工場が築40年と老朽化したためで、総額780万ポンド(約9億7,500万円)を投じ、既存工場から数キロメートル先に敷地面積56,000平方メートルを確保し、延べ床面積が既存工場の1.6倍となる12,000平方メートルの新工場を建設。既存工場から設備を移転し、ファスナー類の生産している。

豊和繊維:仏自動車内装部品メーカーを100%買収

 豊和繊維工業は2012年7月、フランスTRAMICO SAS 社の自動車部品事業部門を保有するTramico Automotive France SASの株式100%を買収する契約書の締結を発表。Tramico Automotive France SASは、自動車用天井材を中心とした自動車内装部品の製造、販売を欧州およびロシアで展開しており、フランス国内のほかスロバキア、ロシア、スペインに合計6拠点を持つ。主要顧客は、プジョー・シトロエン、ルノー・日産、VWなどの欧州大手自動車メーカーで、買収により豊和繊維はこれらメーカーとの取引が実現可能となる。買収後は社名をHOWA TRAMICOに変更する。

三菱重工:独自動車メーカーへの過給機拡販のため、欧州工場で生産拡大へ

 三菱重工業は、欧州でターボチャージャーをBMW、ダイムラー、VWなどの独メーカーに拡販する計画。販売先に占める独メーカーの割合を、2012年の約4割(台数ベース)から2016年度をめどに7割に引き上げる。このため、欧州拠点でのターボチャージャー生産を従来の2倍増の450万台に引き上げる計画。また、オランダにある生産拠点では技術者を現行の60人から徐々に増やし設計・開発能力を高め、顧客との共同開発を進める。さらに、オランダ拠点でのコスト競争力を上げるために、ターボチャージャーの基幹部品(VGのターボノズルアッシー)の現地調達への切り替えを検討中。

ユーシン仏ヴァレオのキーセットやドアハンドル部門を2013年3月に買収へ

 ユーシンは2012年11月、仏部品大手ヴァレオのキーセットやドアハンドル部門を2013年3月29日に約171億円で買収すると発表した。ヴァレオがこれらの部門の統括会社をオランダに設立し、ユーシンが同社の全株式を取得する。これまで手薄だった欧州の自動車メーカーに販路を広げ、現在は3割弱の海外売上高を早期に7割以上に引き上げる。ユーシンは、ヴァレオの事業の買収によりキーセットで世界1位(シェア約3割)になるほか、ドアハンドルなどの関連製品でも上位になる。ヴァレオの買収対象部門は、ブラジルやドイツなどに12工場をもつ。ユーシンの田辺耕二会長兼社長は「買収の完了後に拠点や生産品目の整理・再編を進め、2014年11月期から大幅な増益を見込む」と語る。

ユニプレス:英国にハイテン材用の大型プレス機を2013年に一台追加導入

 ユニプレスは、超高張力鋼板(ハイテン)材の世界供給体制の拡充を進めており、ハイテン材生産に対応する大型トランスファー(TRF)プレス機を、世界全体で2012年11月現在の14機から2014年までに7基増やし21機へ増強する計画。欧州では、2013年中に英国のUnipres (UK) Limited に3000トンTRFを1機導入し、計2台にする。

 

 



ポルトガル/イタリア/スペイン:ニチリンがスペインでブレーキホース会社に出資、トヨタ紡織がミラノにデザイン拠点設立

内山工業:ポルトガルの子会社工場にベアリングシール用部品の生産設備を新設

 内山工業は、海外(中国、ベトナム、ポルトガル)でベアリングシール用部品の生産を拡大する。ポルトガルでは、子会社UCHIYAMA Portugal - Vedantes Lda.の工場に生産設備を新設し、2012年内をメドに磁性ゴムローターの生産を開始する。

河西工業:スペインの提携先部品メーカーと顧客窓口を一本化

 河西工業は、スペインの自動車部品大手のGrupo Antolinと提携関係にあり、グローバル地域補完体制をしいており、さらに今後、顧客窓口機能を一本化する。具体的には、日本に共同出資会社を設立し、共同案件について役割分担などを行う受注本部として運営する。具体的には、受注案件ごとに生産や設計をどちらの企業が主体となり、どこで行うかなどを管理する。

トヨタ紡織:イタリア・ミラノに欧州初のデザイン拠点開設

 トヨタ紡織は2011年9月、欧州における初のデザイン開発拠点として、イタリア・ミラノ市にカーインテリアのデザインスタジオのTOYOTA BOSHOKU MILAN DESIGN BRANCHを開設した。業務内容は、デザイン情報収集、創作活動、客先への提案活動など。デザインスタジオでは、日本と海外のデザイナーが欧州トレンドを把握しながら感性を磨き、協力して創造活動を行い、オリジナリティー豊かで高レベルな室内デザインの創造、表皮素材の新たな可能性を追求するとしている。

ニチリン:仏系部品メーカーのスペイン子会社に出資。シナジー効果、欧州での拡販目指す

 ニチリンは2012年11月、仏トタル系のHutchinson社のスペイン子会社Palamos Hutchinson.S.Aのブレーキホース事業部門を分離させた新会社に30%出資(投資額は約3億円)することを発表した。合弁会社のHUTCHINSON NICHIRIN BRAKE HOSES, S.L.は2013年1月に発足する。ニチリンは、両社の持つ技術・ノウハウの活用や製造・販売・購買等の各分野で協業していくことを通してシナジー効果を生み出し、ブレーキホース事業分野において欧州地域だけではなく、グローバル規模での事業拡大を目指す。

 

 



ロシア:横浜ゴム/ユニプレス/タカタが新工場建設。カルソニックカンセイ/河西工業はインサイト方式で生産開始へ

カルソニックカンセイ:ロシア子会社設立、日産の完成車工場内でインサイト生産

 カルソニックカンセイは、2012年5月にロシアの子会社Calsonic Kansei Russia (Saint Petersburg市)を設立した。日産自動車の工場内に7.5億円を投じて生産設備を設置し、コックピットモジュール、HVACをインサイト生産する。稼働開始は2013年12月の予定。このほか、アフトワズ向けについては「まだ決まっていないが、初期の段階では自前の投資をできるだけ抑えたい」(呉 文精社長、2012年10月2日報道)と語る。

河西工業:ロシアの生産体制は、Antolin社との生産補完およびインサイト方式で

 河西工業は、ロシアでの生産体制について「日産のサンクトペテルブルグの工場には、Antolin社の工場から供給。アフトワズの工場で生産する日産車向けは完成車工場内でのインサイト方式か、中国の広州から部品を送って組み立てるKD方式で対応することになるだろう」(渡邊邦幸社長、2012年8月22日報道)としている。

鬼怒川ゴム:ロシアにサテライト工場を2013年に設立

 鬼怒川ゴムは、2012年3月期からの五カ年の中期経営計画において、2013年にロシアにサテライト工場を設ける。生産品目は車体シール部品など。サテライト工場に持ち込んだ半製品を完成品に組み立てる方式で生産する。

KYB:ロシアに輸入・販売会社設立し、販売拡大・物流コスト削減を図る

 KYBは2012年11月、ロシアに自動車用油圧緩衝器およびサスペンション部品の輸入および販売会社LLC KYB Eurasia(KER、Moscow市)を設立したと発表。営業開始は2013年1月。ロシア全域および旧CIS東欧圏の補用および市販緩衝器やコイルスプリング等のサスペンション部品の販売拡大を図ると共に、ロシア圏の販売流通網を整備し、物流コストの大幅削減を進める。

三桜工業: ロシアの大手部品メーカーの配管部門を買収し生産拠点に

 三桜工業は、2012年内にもロシア部品大手メタロプロダクシア(MP)(Samara州)の配管部門を買収して生産拠点や販売網を得る。2014年にはロシア自動車最大手アフトワズの本拠地Tolyattiで車用配管部品製造の新工場を稼働させる計画。買収費用や新規の設備投資を含めて、2015年度までに約30億円を投じる。三桜は、MP社の既存工場とは別に、配管の製造から曲げ加工まで手がける一貫工場もTolyattiに建設する計画。2014年の稼働を目指し、150万台/年まで対応する。トヨタなど日系企業が工場を構えるサンクトペテルブルクなどには、配管の曲げ加工だけを手がける簡易拠点を設ける方針。

ジヤトコ:ロシア・トリヤッチに駐在員事務所開設、増員も計画

 ジヤトコは2012年6月、ロシアの自動車メーカー、アフトワズ社へオートマチックトランスミッション (AT)の出荷を開始し、あわせてロシア駐在事務所(Samara州)を開所した。ATの出荷は、ロシアで初のビジネスであるとともに、アフトワズ社としては初のAT搭載車となる。また、ロシアでの受注先拡大のため、同駐在事務所には、2014年をメドに変速機の商品知識を備えた常駐の「セールスエンジニア」を5人程度を配置し、総勢7名程度に増やす計画。

大同メタル:ロシア工場のすべり軸受の生産能力を増強

 大同メタルは、ロシアの子会社DAIDO METAL RUSSIA LLC(Nizhny Novgorod州)の工場のエンジン用すべり軸受の生産能力を2014年をめどに2012年比50%増の105万台に引き上げる。投資額は約2億円。現地に進出している欧米系や地場の自動車メーカーからの受注が拡大しているため供給能力を高めるもの。

タカタ:ロシアの新工場でシートベルト、エアバッグなどを生産開始

 タカタは、2012年4月にロシア子会社TAKATA-PETRI Rus LLC(Ulyanovsk州)の新工場で、アフトワズ向けのシートベルト、エアバッグ、ステアリング・ホイールの生産を開始した。同工場への投資額は約20億円、敷地面積は約9万9千平方メートル。

豊田通商:アフトワズへの部品供給で日系部品メーカーとロシア進出のFS

 豊田通商は、2012年にアフトワズへの現地部品供給について、日系部品メーカー数社と現地進出の企業化調査(FS)を始めた。アフトワズが豊田通商に対し日系部品メーカーの進出を要請したためで、2014年にもアフトワズがトリヤッチ市の工場で生産予定のダットサン・ブランド車向けに現地供給を始める。この他に、サンクトペテルブルクに生産拠点を持つ日産、モスクワ近郊のルノーを含めた日産・ルノー・アフトワズグループのロシア全域の相互物流体制を構築する。このため、豊田通商は、トリヤッチ市に現地拠点を設立した。

ブリヂストン: いずれかのタイミングで工場進出

 ブリヂストンは、ロシア進出を検討中で、「いずれかのタイミングで必ず工場進出する」(津谷CEO)と語る。関連会社のノキアンタイヤからノウハウを吸収しながら、参入機会をうかがう模様。

矢崎総業:ロシアのワイヤーハーネス製造・販売会社

 矢崎総業は2012年7月、ロシアのワイヤーハーネス製造・販売会社の"Industrial Volga Company" Limited Liability Company(IVC社、Nizhegorodskiy州)を買収し、2012年8月をめどに社名を"Yazaki Volga" Limited Liability Companyに変更し、自動車用ワイヤーハーネスの製造・販売を開始する予定と発表した。矢崎総業では初のロシア拠点。今後、ヴォルガの顧客を引き継ぎ、本格的な事業展開を行う。2012年の売上は3500万ユーロを見込む。

ユーシン:ロシアでの工場建設を検討

 ユーシンは、ロシアでのキーロック製造工場建設を検討しているが、単独のみならずM&Aについても視野に入れている。2013年から2014年の進出を目指す。(2012年11月報道)

ユニプレス:ロシア工場の建設地、進出形態でFSを実施

 ユニプレスは、車体骨格部品の生産でのロシア進出のフィージビリティスタディを行っており、日産のロシア工場のあるサンクトペテルブルグ周辺などを候補に工場を新設する考え。早ければ2013年前半の稼働を目指し、建設地や進出形態を絞り込んでいる。

横浜ゴム: ロシア工場が2011年末に竣工、2012年6月に本格稼働

 横浜ゴムは、ロシアのタイヤ生産販売会社Yokohama R.P.Z.(Lipetsk州Lipetsk特別経済区)の乗用車用タイヤ工場が2011年末に竣工し、2012年6月から本格稼働に入った。工場への投資額は48億ルーブル、建屋面積は4.3ヘクタール、年間生産能力は140万本。今後も、生産能力を順次増強していく計画。

ヨロズ:ロシアでの現地生産を検討。最短でも2014年に開始

 ヨロズは、自動車用サスペンション部品などの「ロシアでの現地生産の検討を進めている。生産量を確保するために、日産のみならずルノーなどにも拡販したい。最短でも生産開始は2014年後半になる」(志藤会長、2012年9月26日報道)。

 

 



欧州その他:KYBが欧州に統括会社設立、住友ゴムがトルコで合弁工場新設、日本精工が欧州での生産比率引き上げ

ケーヒン:欧州の営業体制を再構築

 ケーヒンは2012年10月に、2020 年Vision「地球環境に貢献する商品・技術でメガサプライヤーと競合できる真の自立したシステム部品メーカーとなる」の実現に向けた事業拡大の一環として、欧州の営業体制の再構築を発表した。従来の欧州二輪車メーカー向けの営業拠点であるドイツにあるKeihin Sales and Development Europe GmbH(KSE)に、欧州熱交換器事業の営業部門および英国のKeihin Europe Ltd.(Glasgow)の四輪営業部門を統合し、システム提案できる体制として新規顧客の獲得を目指している。

KYB:欧州グループ会社を統括する持ち株会社設立

 KYBは2012年2月、欧州グループ会社を統括する持株会社の設立、および既存の欧州子会社6社をその子会社へ異動すると発表。欧州域内における意思決定の迅速化と経営資源の最適化を図るためで、持株会社名は、KYB EUROPE HEADQUARTERS B.V. (オランダ)。

サンデン:エアコン用コンプレッサーの現地調達率を80%に高める

 サンデンは、欧州でのカーエアコン用コンプレッサーの現地調達率を2012年半ばの約30%から2012年度中に75%に引き上げる。為替変動の影響を回避し、収益の確保につなげるためで、構成部品の生産設備を日本から移転し、現地化のコストを抑える。その後も部品生産の現地化を進め、2014年度から2015年度をめどに現地調達率を80%まで高める。

住友ゴム: トルコに工場を建設

 住友ゴム工業は2012年9月に、トルコ現地企業と合弁で乗用車・トラック用タイヤ生産工場を建設すると発表した。建設地はアンカラ近郊。建設は2013年6月に着工し、生産開始は2015年7月の予定。生産能力は2019年末で日量3万本。中東・北アフリカ・ロシア等の新興市場、及び欧州市場向けの供給拠点との位置づけ。合弁企業の資本金は3000万ドル、出資比率は住友ゴム80%、Abdulkadir Ozcan Otomotiv Lastik 20%。

日本精工:欧州各拠点の生産比率を上げ、輸入品と代替へ

 日本精工は、英国、ドイツ、ポーランドなどの拠点での生産比率を上げ、輸入を抑えて現地生産品への代替を促進する。生産性向上を目的に設備更新を積極化したほか、他地域での効率化策を欧州の各拠点にも導入する計画。日本精工の欧州での売上高に占める輸入品比率は5割(2011年)と高く、ユーロ安の進行により収益を圧迫していた。この他、ロシアでは2013年以降に販売拠点を設立する予定。

資料:各社広報資料, 各紙報道

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>