Stellantis (1) EV化戦略からマルチエネルギー戦略へ
20以上のプラットフォームを5種類に集約、ICE車・EV・HVを同一ラインで生産
2025/03/05
- 要約
- 長期計画「Dare Forward 2030」を推進、EV需要減で電動化を一部見直し
- 主要モデルにBEV、PHV、MHVを設定、プラットフォームを5種類に統合
- EV生産拡大:同一ラインで内燃エンジン車、EV、PHVを組立て
- LGESとのバッテリー工場で生産開始、CATLとリン酸鉄リチウム電池工場建設へ
要約
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Citroen C5 Aircross Concept (パリモーターショー2024に出展、2025年に発売予定のCセグメントSUV) (出典:Citroen) |
Stellantisは2022年3月に発表した長期計画「Dare Forward 2030」で掲げた電動化戦略を推進している。2030年までに世界で75車種超のバッテリー電気自動車(BEV)を投入し、BEVの世界販売台数500万台を目指している。BEVの販売比率は欧州で100%、米国で50%とし、2038年までにカーボンネットゼロ達成を目標としている。
Stellantisは2023年末までに30車種のBEVを発売し、2024年末までに48車種とするため、傘下の各ブランドはBEVモデルの投入を急いでいた。しかし、欧州市場では2024年にEV需要が減少したため、Stellantisはマルチエネルギー戦略をとり、新型車投入ではBEVのほか、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)やマイルドハイブリッド車(MHV)も設定している。
EV専用として開発したSTLAプラットフォームは、内燃エンジン車(ICE車)、PHV、MHVにも利用できるようにし、これまで20余りあったプラットフォームを5つに集約してコスト削減を図っている。
各地域の工場では、様々なパワートレインの車両を同一ラインで組み立てられるよう、新たな設備の導入やラインの改修を行っている。
EV用バッテリーについては、三元系正極材(ニッケル・マンガン・コバルト:NMC)を使用する電池とリン酸鉄リチウム(LFP)電池の2種類の電池技術を用いた戦略を推進している。電池メーカー4社と協力して7つのバッテリー工場の建設計画を進めているが、2024年にはAutomotive Cells Company(ACC)と共同でドイツとイタリアに建設する計画だった工場について再検討している。LG Energy Solutionとカナダに設立した合弁工場ではバッテリー生産を開始。寧徳時代(CATL)とはスペインにLFP電池の合弁工場を建設することで合意した。このほか、スペインのMadrid工場とVigo工場内に自社のバッテリー工場を新設した。
本稿は、Stellantisの戦略と最近の動きに関するレポートの前編として、電動化戦略、新型電動車投入計画、バッテリー生産計画について報告する。後編では、2024年の販売状況と業績、主要市場での動きについて報告し、併せてGlobalData社の販売予測を掲載する。
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