欧州市場:EV販売の減速で電動化計画を修正
中国製EVに追加関税、欧州メーカーも低価格のEVを投入へ
2024/12/25
- 要約
- 欧州でのEV販売減速、各メーカーが人員削減
- EU、中国製EVに対する追加関税を決定
- 各国で様々なEVインセンティブ、メーカーは手頃な価格のEVを計画
- 2024-2025年に欧州に投入されるゼロエミッション車(EV・FCV)
- 乗用車販売台数:2024年1-10月は前年同期と同水準の1,082万台
- 乗用車生産台数:2024年1-10月の生産台数は1.3%減の1,160万台
- GlobalData販売予測:西欧のライトビークル販売台数は2027年に1,454万台となる見込み
要約
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欧州のEV販売台数の推移 | Stellantisとの合弁会社が販売するLeapmotor T03(AセグメントEV)(出典:Leapmotor) |
欧州の自動車業界は2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、電動化への移行を急いできた。電気自動車(EV)の普及を促進するため、各国政府は購入補助金や減税を実施。EV販売は順調に拡大してきた。しかし、2023年後半から補助金が終了・縮小すると、販売が減速。2024年1-10月の欧州におけるEVの販売台数は前年同期比1.7%減となった。多くのメーカーは今後のEV生産に向けて工場の設備を刷新・拡充してきたが、EV需要が計画通り拡大するか不透明で、一部のメーカーは工場閉鎖や従業員の削減を決定・検討している。
欧州委員会は2024年10月、中国からのEV輸入に関し、補助金の調査を実施した。これは、補助金を受けた中国製EVが低価格でEU域内へ輸入され、それが急増していることが、EUのEV産業に経済的脅威を与えているかどうかを調査するものである。調査の結果、中国のEVバリューチェーンが不当な補助金による恩恵を受けており、EU域内のEVメーカーに経済的損失を与える恐れがあると判明。今後5年間、相殺関税を課すと決定した。この措置に対抗するため、一部の中国メーカーはEU域内での生産を開始・計画している。
各国政府は最近のEV販売の急減を受け、EV普及のために税額控除の拡大や補助金の継続を決定している。各自動車メーカーは引き続きEUのCO2排出量削減目標達成に向けて、電動化戦略を策定しているが、計画を修正するメーカーもある。中国メーカーのEVに対抗するため、低価格のEVを投入したり、ブランド間でプラットフォームを共用してコスト削減を図るメーカーもある。
2024年1-10月の欧州31カ国の乗用車販売台数は前年同期比0.9%増の1,082.1万台、欧州17カ国の乗用車生産台数は同1.3%減の1159.5万台となった。EVの輸出減少や、次世代EV生産のための工場刷新等により、生産が減少した。国別では、最大市場のドイツでは生産・販売ともほぼ横ばい、フランスは生産は横ばいで販売はやや減少した。イタリアでは生産は減少したが販売は横ばいとなり、英国では生産は減少したが販売は増加した。
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