米国市場:新車販売は回復、BEVは失速
電動化・投資計画の見直し、サプライチェーンの再編
2025/02/21
- 要約
- 2024年の米国販売は対前年2.1%増、電動車の拡大ペースが鈍化
- メーカーグループ別でGMがトップを維持
- OEM各社が電動化・投資計画の見直しを発表
- 新たな提携戦略の模索が活発に
- EVサプライチェーンの構築と再編が進む
- トランプ新政権が関税やエネルギー政策で大きな政策転換を示唆
- GlobalData生産予測:米国のライトビークル生産台数は2028年に1,084万台
要約
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電動車の米国販売シェア |
2024年の米国自動車販売は対前年2.1%の増加の1,646万台となり、堅調な需要の回復を示した。
メーカーグループ別の実績では、前年に引き続き、GM、トヨタがシェア1、2位(それぞれ16.4%、14.2%)を占めた。
過去2~3年に急成長した電気自動車(EV)の伸びは鈍化し、販売に占めるゼロエミッション車(バッテリーEV(BEV)/プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)/燃料電池車(FCEV))の合計シェアは9.5%と、対前年0.3ポイントの増加に留まった。
EV普及には予想以上の時間を要するとの認識が一般化する中で、電動化戦略の方向性に変更はないとしながらも多くのOEMがバッテリーEVの投入計画の見直しや、より利便性や経済性に優れたハイブリッド車(HEV)やPHEVのラインアップ強化によって市場のニーズや環境規制に応えようとする動きも広がっている。また、EVの開発コスト負担や、激化する中国メーカーとの競争に対応するための新たな提携の動きも見られた。
一方で、地政学的なリスクや脱中国の動きを背景に米国内でのEVサプライチェーン構築を進める動きに対しては、バイデン政権下で米政府が積極的な財政支援を行った。
米国の自動車産業に大きな影響を及ぼすと予想されるトランプ新政権の具体的な施策はまだ明確になっていないが、本編では米国自動車市場の2024年通期の状況を俯瞰すると共に、電動化の動きを中心に、今後を見通す上で重要と思われるトピックを取り上げた。併せてGlobalDataによる北米生産予測を掲載する。
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