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メキシコ:中国製車が輸入の3割、販売の2割に

「ニアショアリング」が投資拡大を促すが、地政学的な影響懸念も

2024/06/14

要約

Seiシリーズ
安徽江淮汽車(JAC)がメキシコで生産するSUV、Seiシリーズ(出所:JAC)

 メキシコでの自動車生産・販売は、最大顧客である米国市場の需要拡大とそれを受けたメキシコ経済の活況により拡大を続けている。さらに、昨今のグローバルな地政学的リスクやサプライチェーン制約の懸念を背景とする「ニアショアリング(より消費地に近い所で生産を行う)」の動きによって米国に隣接するメキシコの生産拠点としての優位性が高まり、自動車関連の投資計画が立て続けに発表されている。

 メキシコでの生産車は約9割が北米を中心とする輸出向けで、一方で国内販売は中国や南米、インドなどからの小型車の輸入により需要に対応する構造がより明確になっている。2023年の輸入車の台数は90.4万台で総販売台数の66.4%を占める。このうち中国からの輸入は前年比53.2%増の26.6万台で、輸入車全体に占めるシェアは凡そ3割(29.4%)となっている。

 2023年のメキシコ国内の自動車販売台数は前年比24.4%増の136.1万台。上海汽車、奇瑞汽車、安徽江淮汽車(JAC)など、中国ブランド車の販売台数は前年比61.5%増の13.5万台で、市場シェアは約1割(9.9%)となっている。さらに、GM、Fordなどのメーカーが中国で製造する輸入車を加えると、中国ブランド車・中国製車のメキシコ市場でのシェアは凡そ2割(19.5%)に達する。

 2023年は、グローバルな拡大を目指す中国自動車産業のメキシコでの存在感が一層顕著になっており、米国OEMによる中国子会社からの輸入販売や中国ブランド車の輸入が増加しているのに加え、多くの中国メーカーがメキシコへの生産投資に意欲を示す。

 一方で、大統領選を控えた米国が中国メーカーの北米進出やサプライチェーンでの台頭に懸念を示し、米中対立の動向が大きな不安定要素となるなど、メキシコの自動車産業を取り巻く環境の変化は激しい。

 本レポートでは、前回レポート(2023年4月掲載)のアップデート版として、メキシコの自動車産業、市場の最近の状況を俯瞰すると共に、主要OEMを中心に業界各社の動向と発表された計画を整理し、報告する。

 

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