新型コロナウイルスが自動車産業に与えた影響

販売台数、生産台数、工場閉鎖、損益などを分析

2020/10/30

要約

  今回の新型コロナウイルスは地震や水害など設備というモノへの災害ではなく、感染症というヒトへの災害であり近年の産業界が経験したことのない出来事である。そこで現時点において、新型コロナウイルスが世界の自動車産業・メーカーにどのような影響を与えたかを分析してみた。

  世界合計の販売台数をみると、2020年1~8月累計で4,558万台にとどまり、前年同期から約1,300万台という大幅な落ち込みとなっている(マークラインズの台数データより集計)。主要国・地域別では西欧と東南アジアが前年同期を30%超も下回った一方、感染症を早期に抑え込んだ韓国と中国は被害が少ない。メーカー別ではルノー・日産が前年同期に対し29%減と大きく落ち込んだ。これに対しBMW、現代・起亜、ダイムラーなどは20%前後の減少幅にとどめている。

  各社の工場閉鎖や稼働停止により生産台数は販売台数以上に大きな変動をみせることとなった。特に、4月は西欧、北米、東南アジアが工場閉鎖の真っ只中であったためほとんど生産を行うことができなかった。日本や韓国も5月には生産台数が半減前後となったが、中国については販売台数とほぼ同様に大きく回復している。

  欧米では感染者数の増加が激しくロックダウンが広範かつ長期になされたため、GMやVWでは3月中旬から約1~2カ月、ほぼ全工場での工場閉鎖が実施された。トヨタでは車種別の需給や感染者の発生状況などを考慮しながら、4月から7月にかけて工場毎・ライン毎に部分的な稼働停止がなされた。

  各社の損益への影響については、以前より業績不振の傾向にあったフォード、日産は営業利益率の悪化が著しく、2020年1~6月累計で10%近くマイナスとなった。一方でブランド力やコスト削減などを背景としたトヨタとBMW、自国市場の被害が少なかった現代・起亜は低水準ながら営業利益率でプラスを維持している。


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