Daimler:電動化への投資を優先、投資総額を抑制しキャッシュを保持
2019-20年は次世代技術への投資や操業休止の影響で大幅減益
2020/05/14
- 要約
- 次世代技術への投資などで収益性が低下、コスト削減とキャッシュ保持を最優先
- 2020年第1四半期決算は大幅減益、Cash flowと流動性を重視
- 電動化戦略:「Ambition 2039」を発表、2039年にCO2-neutralを目指す
- 中国市場が乗用車部門の成長を牽引、2020年も早期の回復を期待
- 2020年の見通し:新型コロナウイルスの影響で全経営指標が前年割れ
- LMC Automotive販売予測:Daimlerグループの2023年販売は299万台
要約
Daimlerは2020年4月20日から段階的に生産を再開した (出典:Daimler、以下同様) |
Daimlerは2020年第1四半期決算発表において、コスト管理とキャッシュ保持の体制に入ったと発表。新たなリストラ策の発表はなかったが、既に2019年11月のCapital Markets Daysと2020年2月のAnnual Report 2019において、2019年に表面化した収益性悪化に対応して材料費・人件費の削減および設備投資と研究開発費の抑制を発表していた。ただし、今後のキー・テクノロジーである電動化とデジタル化への投資は優先して継続するとしている。
Daimlerは、気候変動を防止するためCO2削減を最重要課題の一つと位置づけている。乗用車については、2025年までにEV比率を25%に高め、2030年には50%以上をEVまたはPHEVとする計画。また2039年に全世界で販売する乗用車について、車両の全ライフサイクルにおけるCO2-neutralを目指している。
乗用車部門のMercedes-Benz Carsでは中国が国別最大市場であり、ここ数年の成長を牽引してきた。2020年第1四半期の中国販売台数は20%を超える落ち込みとなったが、他地域に比べて早期の需要回復を示している。Mercedes-Benzの販売店は1月末に全店閉じられたが、3月に99%、4月には100%の販売店が再オープンした。
2020年通年の見通しとしては、新型コロナウイルスの影響は年間を通して続き、数字を示すことは困難だが、Daimlerが事業領域としている自動車市場はすべて縮小すると予測。同社の全ての経営指標は2019年を下回る見込みとしている。しかし、Daimlerは既に十分な資金の流動性を確保し、コスト削減にも取り組んでいて、パンデミックの期間中およびその後において十分事業をコントロールできる体制にあるとしている。
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