トヨタとホンダ:収益減とコロナ危機への対応を模索
トヨタはモビリティカンパニーとしての未来への投資を継続、ホンダは四輪事業強化を加速
2020/05/25
- 要約
- トヨタ:2019年度は1.0%の営業減益、2020年度は8割減を見込む
- トヨタ:コロナ危機との闘い、未来への投資を継続
- ホンダ:2019年度の当期純利益が25.3%減、2020年度見通しは未定
- ホンダ:コロナ危機克服に向け、四輪事業の体質強化を加速
- LMC Automotive生産予測:日本のライトビークル生産は2021年以降900万台を下回る
要約
本レポートは、日本自動車メーカーのうち、2020年5月12日に発表されたトヨタとホンダの2019年度決算および2020年度見通しの概要を報告する。
トヨタ
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トヨタの業績推移(出典:トヨタ) |
トヨタの2019年度決算は、売上高が29兆9,299億円(前年度比1.0%減)、営業利益は2兆4,428億円(1.0%減)。新型コロナウイルスによるマイナス影響が、売上高で3,800億円、営業利益で1,600億円あったが、原価改善努力などで補い246億円の減益に止めた。
2020年度見通しについては、売上高24兆円(19.8%減)、営業利益5,000億円(79.5%減)を見込む。減益要因としては、為替変動の影響4,300億円、(主に新型コロナウイルスによる)台数減少の影響を1兆5,000億円としている。当期純利益は未定とした。2020年末から2021年初めに、世界の販売状況が正常化するとのシナリオを前提としている。
リーマン・ショック直後の2008年度には、連結販売台数135万台(前期比15%)の減少により4,610億円の営業赤字となった。2020年度には、リーマン・ショック時より大きい連結販売台数195万台(22%)の減少を見込むなか、(計画段階ではあるが)5,000億円の営業利益を見込めることは、この間のトヨタの体質強化の成果の現れであるとしている。
収益が落ち込む2020年度も、モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに向けた未来への投資は続ける方針で、2019年度並みの研究開発費と設備投資を計画している。
ホンダ
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ホンダの2019年度連結決算総括(出典:ホンダ) |
ホンダの2019年度の業績は、売上収益が14兆9,310億円(6.0%減)、営業利益が6,336億円(12.8%減)、当期純利益は持分法による投資利益の減少を反映し4,557億円へ25.3%減少した。
2020年度の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響を現時点において合理的に算定することが困難なことから未定とした。
ホンダではここ数年、四輪事業の収益性低下という大きな課題を抱えている。ホンダは、既に着手している世界生産能力の適正化など四輪事業の強化を加速することで、コロナ危機に対応する。2020年4月から開発体制も再編した。
コロナ危機は、事業環境のみならず顧客の価値観にも影響すると思われる。ホンダは、そうした変化を織り込んだ新たな事業方針を早期に提示したいとしている。
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