現代自動車:2025年に電動化車両を44モデルに拡大、EVとFCVで世界をリード

自動運転でPony.aiやAptivと提携、米国・アジアでモビリティサービスを推進

2020/06/15

要約

  現代自動車グループは2020年1月に事業方針を発表し、今後5年間のグループ全体の投資は100兆ウォン、1年当たりの投資は20兆ウォンとなると表明。 既存事業の競争力強化に向けた商品開発や設備投資に充てるほか、電動化、自動運転、人工知能(AI)、ロボティクス、新エネルギー分野等に投資する。 傘下の現代自動車と起亜自動車もそれぞれ中期計画を発表し、電動化戦略や自動運転技術、モビリティサービスの開発を進めるとしている。

  電動化戦略では、グループ全体で電動化車両を2019年の24モデルから2025年には44モデルに拡大する。内訳はHV13モデル、PHV6モデル、EV23モデル、FCV2モデル。2020年には起亜自のSorento、現代自のTucson、Santa FeなどSUVの最量販モデルにHVとPHVバージョンを設定する計画。
  自動運転技術については、現代自グループは近い将来SAEレベル4とレベル5の自動運転ソフトウェア技術の開発を加速し、自動運転車を商品化するとしている。2022年までに自動運転プラットフォームの開発を終え、2023年に地域限定で自動運転車を運用し、2024年下期までに商業生産に結び付ける。現代自は、レベル2-3の技術と自動駐車などの運転支援システムを2025年までにすべてのモデルに導入するとしている。
  モビリティサービスでは、サービスの拠点となるベンチャーMoceanLabをロサンゼルスに設立し、2020年からカーシェアリング事業を開始した。また、既に投資を行っているGrabやOlaなどのモビリティプラットフォーム会社との協業を拡大する。

  現代自グループの2019年の販売台数は前年比1.4%減の719万台。主要市場である米国と中国の低迷および新興国市場の景気減速により販売は減少した。一方で業績は回復し、営業利益は現代自が前年比54.1%増、起亜自が73.6%増となった。両社とも競争力のある新型車を投入するなど製品構成が改善し、収益性が向上した。
  しかし、2020年1-3月は新型コロナウイルスの感染拡大による需要減で、グループの世界販売は前年同期比13.2%減の146万台。現代自の営業利益は4.7%増だが、特別利益を除くと減益となり、起亜自の営業利益も25.1%減となった。コロナ禍による世界経済の低迷で、今後はさらなる収益悪化に直面することが予想される。

  新型車投入計画では、現代自はAvante/Elantra等の量産モデルの更新およびSUVのラインアップ拡大に注力する。SUVでは、サブコンパクトSUVのVenueにより新たなSUVセグメントに参入した。起亜自は2020年にフラッグシップSUVの新型Sorentoを韓国・欧州・米国で発売する。2019年に参入したインド市場には、MPVの新型CarnivalとコンパクトSUVの新型Sonetを投入する計画。
  生産拠点の拡充では、起亜自が2019年12月にインドで年産能力30万台の工場を開設。また、現代自は同社初のASEANでの生産拠点をインドネシアに建設中。2021年12月に年産能力15万台で生産を開始する予定。

新型Sonet
現代自のEV KONA Electric(インドオートエキスポ 2020) 起亜自のコンパクトSUV 新型Sonet(写真:起亜自)


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