BMWグループ: 電動化攻勢を加速、欧州では2021年までに25%を電動化
EV生産拠点を強化、バッテリーセル用リチウムとコバルトを直接調達
2020/12/15
- 要約
- 2021年末までに電動化車両の累計販売台数を100万台超へ
- 自動運転:Daimler AGとの共同開発は保留、サムスン電子から5G対応TCUを調達
- モビリティサービス:BMWとDaimler AGの合弁会社で事業展開、北米からは撤退
- 中国事業:華晨BMWは鉄西工場の生産能力増強、光束汽車はMINIブランド車を生産
- 2020年1-9月の販売台数は12.5%減の163.8万台
- 2020年1-9月は売上高が7.1%減、EBITが48.2%減
- LMC Automotiveの販売予測:BMWグループの世界販売は2020年に223万台へ減少
要約
BMWグループはEUが設定した排出ガス削減目標を早期に達成し、持続可能な事業を継続するために、電動化戦略を加速させている。また、自動運転技術、モビリティサービス、デジタル化など重要技術の強化にも注力している。
電動化計画では、2023年までに電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた電動化車両25車種以上(うち13車種以上はEV)をグローバル市場に投入する。2020年にはMINIブランド初のバッテリーEVとBMWの第5世代電動パワートレイン(eDrive)を搭載したEV SUVのiX3を投入。2021年にはEVクーペのi4と拡張可能な新ツールキットを採用するiX (iNEXTから名称変更) を投入する計画。
自動運転技術の分野では、BMWはDaimlerと提携していたが、2020年6月に共同開発を一時保留すると発表した。共有技術プラットフォームの開発費用や現在の経済状況を考慮し、適切なタイミングではないと判断した。また、サムスン電子は、自動運転システムに不可欠な5G対応のテレマティクス・コントロールユニットをBMW iXに提供する。
モビリティサービスでは、2018年3月にDaimlerとモビリティサービス事業を統合することで合意し、5つの合弁会社を通じて配車、駐車、カーシェアリングサービス等の事業を展開。2020年1-9月に9,580万人の顧客に対し、2億7,900万件のサービスを提供した。だが、カーシェアリングサービスのShare Nowはコスト増と利用者数の低迷により、2020年2月に北米から撤退した。
BMWの最大市場である中国では、華晨汽車との合弁会社である華晨BMWが中国での生産能力拡充を図っている。瀋陽市にある鉄西工場に新工場を追加して生産能力を80万台に倍増させるほか、研究開発センターも拡張する。また、長城汽車との合弁会社である光束汽車も新工場の建設を開始。2023年からMINIのEVを生産する計画。
BMWの2020年1-9月の世界販売台数は前年同期比12.5%減の163万8,200台。新型コロナウイルス感染拡大により落ち込んでいた販売が、第3四半期になって少し持ち直してきた。売上高は7.1%減の695.1億ユーロ、EBITは48.2%減の26.3億ユーロ。EBITマージンは3.8%となった。BMWが第3四半期決算報告時に発表した予測によると、2020年通年の世界販売台数は前年比大幅減の見込み。EBITマージンは5月に発表した0-3%を維持している。
第5世代eDriveを初搭載したBMW iX3(北京モーターショー2020) | 2021年末に投入予定のBMW iX(出典:BMW) |
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