BMWグループ: 電動車投入計画を2年前倒し、2023年までに25車種を投入
Daimler AGとモビリティサービス事業の合弁会社5社を設立
2019/10/15
- 要約
- 2023年までに電動車25車種を投入、うち13車種以上はEV
- 自動運転:Daimler AGと次世代技術を開発、中国ではTencentと提携
- モビリティサービス:BMWとDaimler AGが事業統合、合弁会社5社で展開
- 新型車投入計画:高級車のラインアップを拡大
- 中国事業:華晨BMWへの出資比率を引き上げ、生産能力を拡充
- 米国のX3生産を一部中国へ移管、メキシコとハンガリーでは工場新設
- 2019年通年の業績見通し:世界販売は小幅増、税引前利益は大幅減
- 2019年上期の販売台数は0.8%増の125万台
- 2019年上期は独占禁止法違反関連の引当金でEBITが48.8%減
- LMC Automotive生産予測:BMWグループの世界生産は2022年に265万台へ
要約
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2019年11月発売予定のBMW X6 (IAA 2019) | PHVスポーツカーのコンセプト車BMW Vision M NEXT (IAA 2019) |
BMWグループはプレミアムセグメントのモビリティテクノロジーでナンバーワンを目指すとともに、4つの課題ACES(自動運転、コネクテッド、電動化、サービス/シェアード)への取り組みを強化している。
電動化計画では、2025年までに電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた電動化車両25車種以上(半数以上はEV)をグローバル市場に投入するという従来計画を2年間前倒しにすると表明。2020年にはMINIブランド初のバッテリーEVとBMW初の本格的なEV SUVとなるiX3、2021年にはEVクーペのi4とレベル3対応の自動運転機能を搭載するiNEXTを投入する計画。
自動運転技術の分野では、Daimlerと提携し、まず高速道路での自動運転や自動駐車など次世代運転支援技術を開発する。中国ではTencentと提携し、中国市場に適した自動運転車の開発にあたる。また、自動運転分野の開発に不可欠なシミュレーションセンターをミュンヘンで建設しており、2020年には完成する予定。
モビリティサービスでは、2018年3月にDaimlerとモビリティサービス事業を統合することで合意していたが、同年12月に規制当局の承認を得て5つの合弁会社を設立。マルチモーダル、充電サービス、タクシー配車サービス、駐車サービス、カーシェアリング等の事業を展開している。
2019年上期にはX SeriesのSUVと電動車のi Seriesの販売が拡大。新型車のZ4、8 Series、X7の販売も好調な滑り出しを見せた。2019年内には新型1 Series、新型3 Series Touring、新型X6、新設定の8 Series Gran Coupeを投入する計画。
BMWの最大市場である中国では、華晨汽車との合弁会社である華晨BMWへの出資比率を75%に拡大。瀋陽市にある華晨BMWの鉄西工場に新工場を追加して生産能力を倍増させる。また、大東工場では設備の大幅刷新を行い、2020年からEV SUVのBMW iX3を生産する計画。
BMWは2019年第2四半期決算報告時に2019年通年の見通しを再確認した。2019年は欧州のBrexitや米中貿易摩擦など多くの不確実性が見込まれる一方で、電動化など将来に向けたR&D費は高いレベルで維持し、環境規制の強化により生産コストは増加することから、税引前利益は2018年比で大幅減になると予想している。世界販売台数は小幅増の見込みだが、自動車部門のEBITマージンは欧州の独占禁止法違反関連の引当金計上のため、従来予想の6-8%から4.5-6.5%に押し下げられた。
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